みなさんこんにちは。

アクアライフWEB編集部です。

今回の金魚Q&Aは飼育に使う塩について。

どんなふうに使えば良いか、解説します。

金魚Q&Aとは

金魚Q&Aは金魚に関する様々な疑問に理科教諭、生物部顧問であり金魚の研究なども行なっている川澄 太一(かわすみ たいち)さんにお答えいただく連載です。一回一回独立したQに答えていくので、まとめて読んでいただいても、気になるQだけ見ていただいても、どちらでも大丈夫! 金魚Q&Aの更新情報はアクアライフ編集部のTwitterでもお知らせしておりますので合わせてご覧ください。

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Q:金魚水槽には塩を入れるのがおすすめ? いきなり入れても大丈夫?

まずは浸透圧について

ナメクジに塩をかけるとどうなりますか?

ナメクジの体から水が出てしぼんでしまいます。

また、目薬は目にあまりしみませんが、水道水で目を洗うとしみます。

これらは全て「浸透圧」が関係しています。

ざっくりいうと、主に塩分濃度の違いにより上記のような現象が起こります。

目薬は涙と浸透圧が等しくなるように調整されているそうです。

さらに知りたい方は浸透圧について調べてみてください。

金魚は水をかき出している!?

で、金魚はどうかというと、これも細胞の中にある程度の塩分があります。

でも、金魚はいつも塩分濃度ゼロに近い淡水で暮らしています。

するとですね、金魚の細胞、体内にはいつも水が入ってきているんです。

そのままにしておくと、水で体が膨れ上がってしまいますよね。

ですから、エラや腎臓を使って水を体の外にかき出しています。

金魚や魚が死んでしまい、しばらくそのままにしていると、その亡骸が少し膨らんでいるような気がしませんか。

あれは死んでしまったので、体内に入ってくる水を外に追い出す機能がストップしてしまったからです。

私は一度、カメが川で亡くなっているのを見たのですが、けっこう膨らんでいましたねえ……。

ただ、ずっと飼育水に塩を入れっぱなしにしているのは、問題があるかもしれません。

本来、金魚という生き物が行なっていることをやらなくてよい環境に置き続けると、金魚の生命力を弱くしてしまう可能性があると思うのです。

まだ、私は自分で調査したことはないのですが……。

具体的な塩の量

では、具体的にどれくらいの塩を溶かせば良いかというと、飼育水との重量比で0.5%程度です。

例を挙げると、1Lの飼育水に5gの塩を入れると、およそ0.5%の塩水になります。

こうした濃度の飼育水で金魚を飼うと、金魚の負担は軽くなります。

仮に60cmレギュラー水槽(60×30×36cm)を60Lとした場合、およそ0.5%の塩水を作るのには300gの塩を入れることになる。けっこうな量だ。Photo MPJ

魚病薬とも併用できる!

また、塩は寄生虫などにとってもありがたくない存在のようで、白点病は薬浴と同時に0.5%の塩も溶かす治療方法がおすすめです。

ただ、金魚の水槽にいきなり薬浴と同時に塩を入れると金魚が苦しそうにしていることがあります(特に若くて小さい金魚)。

私は、そのような金魚には最初は0.3%、次の日に0.5%になるように塩を溶かしています。

塩のみを加えるときも、小さな金魚や稚魚の場合は様子を見ながら、時間をかけて塩分濃度を上げていくとよいでしょう。

ブラインシュリンプ幼生を長生きさせるために

また、あるお店で稚魚にブラインシュリンプを与えている時期に、0.3%の塩分濃度で金魚を飼育することを勧められたことがあります。

すると、淡水中では長生きできないブラインシュリンプがけっこう生きることができるようです。

これにより、稚魚が食べ残したブラインシュリンプが死ぬことで起きる水質の悪化を、防ぐことができるとのことでした。 

ちなみに。

塩分を溶かした水は、エアストーンなどから出る泡が、きれいで細かくなります。

塩を入れたかどうかを忘れ場合、泡を見るとよいでしょう。

同じエアストーンを使って、淡水と、塩を入れたかどうか忘れた水で、泡の出方を比べてみてください。

ブラインシュリンプ。塩水飼育をしている水槽では長生きする。Photo N.Hashimoto