QA100シリーズ最新刊「メダカQA100」の著者をお招きして、そのメダカ人生についてうかがってみた。
◆PROFILE 大場貴保さん(おおば たかやす)「めだかの館」に勤務するメダカのプロフェッショナル。ブリードや販売だけでなく、品評会の開催、海外へのメダカ普及、放流禁止の啓蒙活動など、メダカにまつわる様々な取り組みを精力的に行なっている。お父さんは「楊貴妃」の作出で有名な大場幸雄さん |

大場貴保 著
A5判型 176ページ
2026年4月発刊
株式会社エムピージェー発行
AL:この度発刊となった「メダカQA100」には、大場さんの活動が色濃く反映されていますね。
大場:メダカの仕事に就いて20年ほどになります。毎日のように質問をいただいて、その累計はたぶん1万件を超えていると思います。そうした経験をもとに、飼育者がつまずきやすいポイントはある程度把握しているつもりです。
AL:その経験が、100の質問と回答に反映されていると。
大場:ええ、特に多かった質問を中心にピックアップしました。「メダカの飼育にエアレーションは必要か?」なんて、本当によく聞かれます。本書にはそういったよくある疑問への回答を載せています。
AL:本書の回答は、現場にいる大場さんならではの視点が多いと感じます。
大場:例えば、エアレーションひとつとっても「これが正解」と断言できないんです。飼育環境や条件によって違いますから。ですから基礎となる部分を伝えて、その上で読んだ方が応用できるような書き方を心掛けました。
AL:誠実な姿勢です。
大場:北海道と沖縄では、同じ質問でも条件が違いますよね。家にいる人、日中出かけている人でも答えは変わります。でも、共通する考え方はありますので、そこをお伝えできればと思ったんです。

AL:メダカがブームとなっておよそ20年が経ちますが、この間で飼育やその周辺は変化しましたか?
大場:難しい質問ですね(笑)。飼育者は昔から老若男女と幅広くて、そこは変わりません。ライフスタイルは変化していると思いますが、メダカ自体が今も昔もきれいで飼いやすい魚だから、根本は同じですね。
AL:本質ですね。
大場:逆に「思ったよりメダカの飼育は難しい」と感じる人が増えたように思います。特に熱帯魚に慣れている方が「メダカは絶対的な正解がない」と言われることが多いです。
AL:水槽飼育の問題でしょうか。
大場:かもしれません。しかし、屋内の水槽でうまく飼えない方も一定数いらっしゃいますが、逆に上手に殖やしている方もいます。必ずしも屋内水槽が向いていないとは言い切れないです。
AL:たしかに。
大場:変わらないこともあって、繁殖の喜びですね。アンケートを取ったことがあるんですが、メダカを飼っている人の約85㌫が繁殖まで楽しんでいるという結果でした。これはメダカならではの特徴で、昔から変わらない部分です。
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AL:メダカの改良を手掛ける大場さんにとって、美しさの基準はありますか?
大場:個人的な美しさは感じていますが、メダカの場合はみんなの総意で決まると思っています。
AL:どういうことでしょうか。
大場:毎年のように多くの新しい品種が出ていますが、残るものはほんのわずかです。その選抜が、飼育者みんなの意見で決まる。人気を集めたメダカが自然と残ります。
AL:市場原理ですね。
大場:そうです。ただ、「これは流行る」というメダカを見抜くのは得意なんですよ。でも、それをうまく言葉にできない。赤いから流行るとか、ラメが多いから人気になるという明確な基準はないんです。
AL:お仕事柄、その感覚は大事ですね。
大場:色や柄は市場原理が大きく影響すると考えていますが、体型についてはきちんとした基準があります。美しく健康的な体型というのは変わりません。左右対称で、骨も曲がってなくて、程よい肉付きがあるものですね。

AL:今後、メダカはどんなふうに進化していくと思いますか?
大場:それは予想できません(笑)。20年前にメダカの仕事を始めた時は、今のメダカの姿を想像できませんでしたから。
AL:では質問を変えて。「めだかの館」では「100年メダカ」という標語を掲げています。100年後にも残る文化という意味合いだと思いますが、その手応えはいかがですか。
大場:たくさんの方にメダカを知ってもらえましたし、認知という点では合格点だと思っています。次の段階として、錦鯉のように世界でも通用するIPとして定着させる活動をもっと充実させていきたいです。
AL:そうなったら素敵ですね。
大場:そのためには品種の定義などもしっかり作る必要があります。100年後、国内だけじゃなく世界中でメダカ愛好者が増えている、そんな未来を目指して日々取り組んでいます。
AL:最後になりますが『メダカQA100』をどう読んでほしいですか?
大場:これからメダカを始める方、うまくいかない方、ネットで調べてみても納得できる情報が見つからなかった方、そういう方をイメージして書きました。飼育のつまずきやすいポイントを、わかりやすく回答しているので、悩んだときにはまず本書を開いてみてほしいです。

大場貴保さん(おおば たかやす)





