みなさんこんにちは。
アクアライフWEB編集部です。
持ち帰った魚を水槽に迎え入れるための儀式とも言える「水合わせ」には、本当に大切な理由があります。
そして、その理由を正しく知れば、水合わせをマスターすることにつながります。
逆を言えば、理由を知らなければ、知らず知らずのうちに失敗することも……。
熱帯魚飼育のキホン 第5回は、水槽への魚の導入方法を覚えていきましょう。
熱帯魚飼育のキホン 熱帯魚飼育のキホンは、熱帯魚飼育の基本をゼロから解説したシリーズ記事になります。水槽の準備から魚の導入、日常管理まで。熱帯魚を飼うということについて一緒に学んでいきましょう! |
たった一回の水合わせで後悔しないように
同じ透明の水に見えたとしても、持ち帰った熱帯魚が元々暮らしていた水(お店の水)と、自宅の水とでは目に見えない違いがたくさんあります。
そしてその違いは、熱帯魚にショックを与える壁になりかねないもの。だからこそ私たち飼育者が、その壁を取り除いてあげなければなりません。
そして、その壁をできるだけ安全に取り除くために考えられた方法が「水合わせ」です。
水合わせで“合わせる”「水の違い」は、主に二つ。
水温と水質です。
この二つを手間をかけて合わせてあげることで、魚の負担を軽減していくというわけです。
水合わせは、魚の迎え入れ時や、水槽の移動時など、水温や水質が急に変化する可能性がある場合に行なうものです。
つまり、そう滅多にやるものではありません。
だからこそ大切に。
水合わせを行なうチャンスは「一回」しかないと念頭に置き、慎重に行ないましょう。
魚は急な変化に弱い生き物だから、優しくしないといけないルー!
STEP1 水温の合わせ方
水温の合わせ方は、非常にシンプルです。
熱帯魚を購入してきた袋を開封せず、そのまま水槽に浮かべて待つ。そうすることでゆっくりと、水槽と袋の中の温度を揃えていきます。
熱帯魚が袋に入っていない時は、プラケースなどの容器に元の水ごと魚を入れて、水槽に浮かべてください。エビなどの甲殻類の場合は、水草の欠片など足場になるものをいれてあげるとなおよいでしょう。
熱帯魚にとって2℃、3℃という差は大きな負担になる可能性があります。「たかが数℃の差」と侮らず、しっかり揃えてください。
水温が揃うのにかかる時間は、めやすとして30分程度とされますが、温度差などにより異なりますので、最終的に揃ったかどうか確認する際は待った時間ではなく、水温計で実測すると確実です。
水温計を二本使うと誤差が生じる場合がありますので、水槽の水と袋の中の水は、同じ水温計で測るようにしてください。
また一度袋を開封してしまうと、中に封入された酸素が抜けてしまいますので、水温合わせ開始後30分~1時間は未開封で浮かべておくとよいでしょう。
開封後は浮力がなくなりますので、水槽のフタに袋を挟むなど、水没しないように対策してください。
酸欠に弱い魚や、袋に入れられている魚の数が多い場合は、開封して軽くエアレーションをかけながら水温合わせをしてあげると安心です。エアレーションをかける場合は、エアーによる水流が強くなりすぎないよう、一方コックなどで勢いを調整してあげましょう。
STEP2 水質の合わせ方
水温が揃ったことを確認したら、今度は水質を揃えていきます。
こちらの方法も、とてもシンプルです。
まず、袋の中の水を少し捨て、それと同量の水槽の水を袋の中に入れてください。
それからしばらく(約10分など)待って、また同じように袋の水を少し捨て、水槽の水を同量入れるということを繰り返していきます。
つまり、少しづつ元の水と水槽の水を入れ替えていくことで、緩やかに水質を水槽側に寄せていくというわけです。
このペースに明確な答えはなく、魚の種類や数、状態に合わせ慎重に行なうべきとしかいえません。
目安の一つとして、元の水が1リットルほどだとすると、1時間かけていれかえるイメージを持てば、よほど水質変化に弱い魚でなければ問題になることは少ないかと思います。
もっと安全に水合わせを行なうために
もっと慎重な水合わせを行ないたい。そういう場合は、点滴法という手法を使います。
点滴法に必要な器具は以下の4つ。
点滴法に必要な器具類 |
エアーチューブ用吸盤(以下図①) |
必須ではありませんが吸盤で固定すると、エアーチューブが落ちなくて安心です。 |
エアーチューブ(以下図②) |
チューブを利用することにより、水槽からバケツへと水を送ります。 |
一方コック(以下図③) |
水の落ちる勢いを弱めるために使います。 |
スポイト |
点滴を始める際の水を「呼ぶ」ために使います。 |
点滴法はその名の通り、一滴づつ水槽の水を混ぜていくことで水質を合わせていく方法です。
この手法はかなり緩やかなペースで行なえますので、水質に敏感な魚やエビの水合わせでよく用いられています。
まず、以下の図のように器具をセットしてください。Aが水槽、そしてBが「熱帯魚と熱帯魚が元々入っていた水」を移したバケツになります。
この時、AとBの間に図のような「高低差」がつくようにしてください。
セットを終えたら、一方コックの先にスポイトを押しつけ思いっきり吸い込んでみてください。(うまく吸えない場合は、一度一方コックを外してもよいです。)
そうすることにより水が水槽(A)より吸い上げられ、バケツ(B)へと落ち始めます。水が落ち始めたことを確認したらすぐに一方コックを閉め、水が一滴づつ落ちるようにしましょう。
点滴法を行う時間は状況により変わりますが、バケツの水が三倍以上に薄まる程度まで行なうと安心感は強いでしょう。デリケートな生体であればもっと長時間行なっても問題ありません。
酸欠に弱い種に点滴法を行なう場合は、バケツ内に軽くエアレーションをかけてあげるとよいでしょう。
エビやザリガニなどの甲殻類の場合は、水草の破片を浮かべておくなど、足場になる場所を作っておくとさらに負担を減らすことができます。
点滴法の注意点は、バケツが水槽の外にあるため水温が低下しやすいことです。エアコンで部屋を温めるなどして、バケツ内の水温が低下しないよう充分に気をつけてください。
点滴法の水質合わせが終わった際に、バケツ内の水と水槽の水に温度差があった場合は、プラケースなどを利用した水温合わせを行ってから魚を水槽に放します。
また、袋が複数ある場合は、袋が違えば水質も違うかもしれないと考え、袋ごとに点滴法を行ないます。3袋持ち帰った場合は、点滴法も3セットになるというわけですね。
それでは本日も記事をお読みいただき、ありがとうございました。
次回、熱帯魚飼育のキホン 第6回は水換えについて解説していきますので、どうぞお楽しみに!
熱帯魚飼育のキホン飼育に |
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