みなさんこんにちは。

アクアライフWEB編集部です。

 

シリーズ「読む熱帯魚図鑑」。

本日紹介させていただく魚は、インドグリーンスパイニーイール(スパイニィイール)です!

インドグリーンスパイニーイール
インドグリーンスパイニーイール  Macrognathus pancalus   生息地:南アジア 全長:15cm〜
比較的ポピュラーなトゲウナギの仲間で、イエロースパイニーイールの名もある。状態よく飼育すると体色が美しい黄緑色になる Photo by N.Hashimoto

この魚、独特の見た目を持つ、なかなか癖の強い魚なのですが、実はとっても飼いやすいのですね。

しかも人馴れしやすくて……ほんっっっとに、可愛いんですよ。

 

というわけで、インドグリーンスパイニーイールどうぞご堪能ください!

インドグリーンスパイニーイールは素晴らしく素敵で可愛いのである

本日の主役インドグリーンスパイニーイールは、インドなどの南アジアに生息する細長い体型を持つ魚です。

種によっては100cmを超えるものもいるスパイニーイールですが、本種は成長しても15cmほどと、この仲間の中では小型な部類に入ります。

イール(ウナギ)と名前についていますが、分類学上ではウナギとはかなり離れた魚です。

スパイニーという名前通り、この魚には小さなトゲが生えていますが、そこまで大きなものではなく、このトゲが原因で混泳魚が傷つけられるということはありません。

そしてこの魚……実に、愛らしさの塊のようなお魚なのです!

若干、筆者の趣味嗜好も入ってはいますが、それを差し引いても、愛らしさがたんまり残ります。

インドグリーンスパイニーイール
ツンと尖った吻の先が、ユニークな表情を作り出す。そしてこのクリッとした眼! Photo by N.Hashimoto

どうです、この顔。この体型。

 

見るからに愛しくないですか? もう愛しさしかないですよね。

 

この魚、何が面白いって、様々な動きを見せてくれるので、本当に見飽きないのです。

見せる行動のバリエーションは相当多く「何考えてるのかな今……」と思わされることもしばしば。ある意味、哲学的な魚でもあります。

 

移動の仕方も、泳ぐと言うより動くという言葉が似合う感じで。

さらに人馴れもしやすく、餌を与えようとした時に寄ってくる姿なんてもう!!!

 

大好物は冷凍アカムシ。

アカムシを食べるスパイニーイール
冷凍アカムシに飛びつく! この水槽では種の異なるスパイニーイールと混泳しているが、大きなケンカもすることなく皆で食事にありついている Photo by N.Hashimoto

口が細いので、餌をとるのが下手くそかと思いきや、意外と器用に食べてくれます。

餌に対する積極性もありますので、よほど餌食いのよい混泳魚がいない限りは、とりっぱぐれることもないでしょう。

 

そしてまた、餌を食べる姿がめちゃくちゃ可愛いんですよ。

あの口で器用に…………もう反則です。

隠れたがるけど意外と出てくる

インドグリーンスパイニーイールは、砂にもぐったり、土管に入ったりと隠れたがる魚です。

そこもまた、萌えるポイントのひとつですね。

そしてこれは、飼育する上でのポイントでもあります。

彼らを飼育するときは「もぐれる場所や隠れる場所を用意して、落ち着ける環境を作ってあげましょう!」ということですね。

また、体を傷つけないよう、角のない底床を選ぶことも重要です。

 

ただ、隠れるのが好きと言っても、ずっと隠れているわけではなく、それなりに姿を見せてくれますので、どこに行ったかわからなくなることはそうそうありません。

隠れ家から体を伸ばし、上をじーっと見上げていたりするんですよ。

私はその姿が、彼らが見せる行動の中で一番好きかもしれません。

飼育上の注意は「力」と「脱走」

インドグリーンスパイニーイールは、小型魚と呼ぶには大きい15cmほどになる魚ですが、口が小さいため様々な小型魚との混泳が可能です。

流石に、口に入ってしまいそうなほど小さな魚との混泳は避けておいたほうが無難ですが、稚魚とかでなければ、あの口にはそうそう入らないでしょう。

性格も大人しめで、また丈夫な魚でもありますので、混泳水槽でも飼いやすい魚と言えるのではないでしょうか。

ただ、飼育する上で注意すべき点がないわけではありません。

インドグリーンスパイニーイールはとても力持ちなので、流木や石などのレイアウト素材を動かしてしまうことがあるのです。

少し動かすくらいなら問題にならないことも多いですが、場合によっては素材が倒れたりして事故につながってしまう可能性もあります。

しかも、砂に潜るタイプの魚なので、埋め込んで動かないようにするという技が使いにくい……。

 

なので、この魚を飼育するときは、素材選びやレイアウトに少し気を使わねばなりません。

とはいえ、暴れん坊というわけでもないですし、倒れにくい素材や、怪我をさせにくい素材もたくさんありますので、全くレイアウトできないというわけではないですが。

「動かせないよう重たい素材を使用する際には、水槽の底にしっかりつけて下にもぐってしまう隙間を作らないようにする」など、万が一の事故を起こさないための対策はしておきましょう。

 

あと、砂に潜るという性質上、水草が抜けてしまうことがある点はご愛嬌。

 

入荷直後や、まだ若いインドグリーンスパイニーイールは細長い個体も多いので、どことなく頼りない印象があるかもしれませんが、しっかり飼い込むと体高も出てガシッとした体つきになっていきます(それでも細長いですが)。

質感も、とても筋肉質に。

よくうねる体から発せられるパワーは、あなどれないものがありますので注意しましょう。

 

そして、脱走しやすい魚でもありますので、それまたご注意を。

水槽の底のほうで生活していると思いきや、結構上まで泳いできたりしますので、フタではカバーしきれない小さな隙間なども、塞いでおくほうがよいでしょう。

 

と……もろもろの注意点はあれど、インドグリーンスパイニーイールが丈夫で大人しい魚であることは間違いありません。

その特異な見た目の影響か、初心者向けの魚として挙げられることは滅多にありませんが、初心者さんでも十分に飼育可能と言える魚なのではないでしょうか。

 

そんなインドグリーンスパイニーイール飼育でも押さえておきたい、熱帯魚飼育のキホンは以下リンク先にてご覧いただけますので、どうぞご利用ください!

出会える珍魚、飼いやすい珍魚

インドグリーンスパイニーイールはすっごくマニアックそうな見た目をしておきながら、意外と入手難易度が低いという特徴もあります。

流通量もそれなりにあり、価格もびっくりするくらいリーズナブル。

まさに、出会える珍魚

 

しかも泳ぎ回る魚ではないので、そこそこの水槽サイズで飼育できる。(15cmになるのであまり狭いのは問題ですが。)

まさに、飼いやすい珍魚

 

そんな親しみやすさも、彼らの魅力のひとつと言えるのではないでしょうか。

 

確かに万人受けする魚ではありませんが、インドグリーンスパイニーイールは「飼育したからこそわかる魅力」の宝庫でもあります。

また、グリーンと言うだけあり、落ち着きのある緑色の体色はとても美しい。

いろいろな意味で観賞価値の高い、本当に素敵な魚なんです。

 

余談ですが、スパイニーイールの仲間は意外と多く、中には大型になるものや、飼育情報がほとんどないマニアックな種類もいたりしますので、グループ全体を見てみても面白いですよ!

 

それでは本日もアクアライフブログをお読みいただき、ありがとうございました。

読む熱帯魚図鑑シリーズでは、インドグリーンスパイニーイールに近い仲間であるトゲナシトゲウナギの回もありますので、よかったら合わせてご覧ください。

 

追伸!

2020年12月11日発売予定の、月刊アクアライフ2021年1月号は「図鑑特集号」です。

様々な魚をドカンとまとめて掲載しますので、どうぞお楽しみに!

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