みなさんこんにちは。

アクアライフWEB編集部です。

本日は、砂利や砂、ソイルなどの水槽の底に敷く「底床」各種について解説していきます。

 

水槽の底に何を敷くか。

これは見た目だけの問題ではありません。

環境づくりを失敗しないためにも、底床それぞれの性質や特徴を覚え、選び方をマスターしていきましょう!

底床のメリットって何?

砂をはむコリドラス
コリドラスは底床を敷いた水槽では、独特の行動を見せてくれる。砂を食んだり、もぐったりする魚には角のない細かい砂を敷いてあげたい 月刊アクアライフ2017年12月号より Photo by N.Hashimoto

底床とは、水槽の底に敷く砂利や砂、ソイルなどのことです。

底床は、水槽の見た目を自然にするだけでなく、魚が落ち着いたり、水質を浄化してくれるバクテリアの住処となったりと、いろいろな効果をもたらしてくれるのです。

 

底床はとても種類が多いので、なかなか選べなくて悩んでいる方も多いかと思います。

ですが、ちゃんと特徴を把握すれば、作りたい環境に合わせた底床を選ぶことができますので、焦らず、楽しみながら勉強していきましょう!

ブルーテトラさんブルーテトラさん

底床は水槽全体の印象にもつながる、大事なアイテムだルー!

底床を選ぶ時に「気にしたい」主なポイント

底床を選ぶ際は、いくつかのポイントに絞って考えていくと、目的に合ったものを選びやすくなります。

例えば、以下のようなポイントですね。

  • 水質への影響
  • 粒の大きさ
  • 耐久性
  • 表面のなめらかさ
  • 色の明暗

見た目だけでなく、その性質も気にする。常に水中にある底床選びには、そんな視点も必要なのです。

 

底床を決める時は、まず作りたい環境を意識することが大切です。

次に、デメリットを知ること。

飼育したい魚や、育てたい水草にとって、マイナスの要素がないかしっかりチェックしましょう。

 

底床は一度入れてしまうと、簡単に取り出すことはできません。だからこそ、事前にどの底床が適しているかをしっかり考えなければならないのです。

タイプ別! 底床特徴一覧

それではここから、タイプ別に底床を解説していきます……と、解説を読む前に、ひとつ覚えておいてほしいことがあります。

 

ここから解説するタイプごとの特徴は、あくまでそのタイプの「概要」のようなものです。

同じタイプに属する底床も、製品それぞれ細かな違いがありますので、最終的には個別の特徴を確認してから決定するようにしましょう。

砂利

砂利
「大磯砂」と呼ばれる海産の砂利はアクアリウムではとてもポピュラーな存在 Photo by N.Hashimoto
水質への影響
水質に影響のない物が多いですが、材質によっては硬度を高くするものがあります。海産のものは、含まれている貝殻などの影響でアルカリ性に傾くことがありますが、長期使用により貝殻が溶けるとその作用は弱くなっていきます。
粒の大きさ
小さなものから、小石ほどの大きなものまでバリエーションは豊富です。
耐久性
耐久性は非常に高く、半永久的に使用できます。
表面のなめらかさ
表面はなめらかなものが多いですが、一部角のあるものもあります。角があるものは低層で暮らす魚や底床に潜る性質のある魚を、傷つける可能性がありますので注意してください。
色の明暗
明るいものから暗いものまで様々です。

古くから底床として用いられている砂利は、粒の大きさがあるおかげで、底床内の通水性が確保されやすく環境が悪化しづらいという特徴があります。

また非常に耐久性が高く、重量もあるためメンテナンス性の高い底床としても知られています。

 

砂利には淡水域で採れたものと海水域で採れたものがあり、水質への影響などが大まかに分けられています。

有名な話だと、海水域でとれたものは貝殻などが含まれている場合があるので、それが溶け切るまでの間はpHを上昇させるという話ですね。

pHが高く(アルカリ性寄り)なると、それを好まない魚や水草の育成には適していない水となりますので注意してください。逆を言えばその水は、高めのpHを好む生物にとってはすごしやすい水となります。

ただ、どの程度pHが上がるかは、底床の使用量、貝殻の含有量などで変わってきますので、必ずしも海産の砂利を使用すればアルカリ性になるというわけではありません。

心配な場合は、pHの検査薬などを使用して確認してみましょう。

珪砂
色合いの美しい珪砂。写真のものは「砂」の中では粒の大きさが比較的大きいほうだろう。たまに貝殻などが混じることがある Photo by N.Hashimoto

 

水質への影響
水質に影響のない物が多いですが、材質によっては硬度を高くするものがあります。また海産のものは、含まれている貝殻などの影響でアルカリ性に傾くこともありますが、長期使用により貝殻が溶けるとその作用は弱くなっていきます。
粒の大きさ
基本的に粒が細かいものを砂と呼びますが、砂の中にも、パウダー状のものからある程度サイズのあるものまで様々に存在します。
耐久性
耐久性は非常に高いですが、細かく舞い上がりやすい砂などは水換えの時に一緒に吸い出し「減って」しまわないよう注意しましょう。
表面のなめらかさ
角のあるものは少ないですが、念のため確認しておくとよいでしょう。
色の明暗
明るいものから暗いものまで様々です。

アクアリウムの世界では、砂利が更に細かくなったものを、砂として区別しています。砂利同様、淡水域でとれたもの、海水域でとれたものがあります。

また、砂利と砂の中間サイズのような製品も存在しています。

 

砂は、全体的に使用するだけでなくレイアウト水槽で部分的に使用し、演出に使われたりすることでも知られています。

細かな砂は、コリドラスや砂に潜る魚の習性を観察するのに適していたりと、見た目以外にも多数のメリットがありますので、実際に使用した時をイメージしながら選んでみましょう。

 

ただ、厚く敷くと下の方の通水性が悪くなり環境悪化の原因になったりと、砂利と同じ感覚で使用できない場合もありますのでご注意ください。

サンゴ砂

サンゴ砂
サンゴ砂はサンゴの死骸でできている。海水魚の水槽では一般的 Photo by N.Hashimoto
水質への影響
水質をアルカリ性に傾ける作用が強いです。
粒の大きさ
砂状のものから大きなものまであります。
耐久性
耐久性は高いですが、水質が酸性に傾くと少しづつ溶けていく性質を持ちます。
表面のなめらかさ
大粒の表面はザラザラしていますが、パウダー状まで砕いた細かなものは砂のような状態になっています。
色の明暗
白に近い明るい色を持ちます。

サンゴの死骸を原料とする砂です。砂や砂利のような形状のものから、サンゴの形が認識できる状態のものまで、様々なものが売られています。

海水魚飼育では一般的な底床ですが、水質をアルカリ性に傾けてしまうため、湖産のアフリカンシクリッドなど一部の魚の飼育を除き淡水魚の世界ではメインの底床として使用されることはそう多くありません。

 

ただ、その性質を利用し「pH降下をおさえるために少量水槽に入れる」などの使用法は古くから行われているので、意外と馴染み深いという人も多いでしょう。

ソイル

ソイル
水草の育成には欠かせない存在となったソイル。土を焼き固めたもの Photo by N.Hashimoto
水質への影響
多くの水草が好む、弱酸性の軟水に水質を傾けるものが多いです。多孔質のため、有害物質を分解してくれるバクテリアが繁殖しやすいという特徴があります。
粒の大きさ
数ミリ程度のものが多いです。粒の細かいものはパウダータイプと呼ばれ区別されることがあります。
耐久性
強い力を加えたり、長期使用により粒が崩れてくることがあります。
表面のなめらかさ
土を固めたものなので柔らかさがあり、非常になめらかな底床といえるでしょう。
色の明暗
暗い色のものが多いです。

土を固めた底床であるソイルは、水草水槽でよく用いられていますが、高い水質安定作用を利用して多くの魚の飼育でも活躍しています。ただ、粒が潰れてきたら交換が必要になるなど、他の底床とは異なる点があります。

 

また、ソイルには栄養を含んだ栄養系と、有害な物質などを吸着する吸着系があることも覚えておきましょう。

吸着系は水質維持の動きが強く、立ち上げ初期から水質を安定させることができます。

 

栄養系は水草の栄養分がソイルに含まれていますので、うまく使えば水草をしっかりと育てることができます。

ただ、栄養系は、立ち上げ初期にアンモニアが発生したり、栄養がコケの発生につながってしまう場合もありますので、扱いの難易度は吸着系に比べると少し高いかもしれません。

 

ソイルと言えば水質を弱酸性の軟水に傾けることで知られていますが、一部の製品は違った影響を持つものもありますので、必ず事前に確認してください。

セラミックサンド

セラミックサンド
セラミックサンドにはカラフルな製品も多い。水質浄化効果を期待できるものもある Photo by N.Hashimoto
水質への影響
多孔質のため、有害物質を分解してくれるバクテリアが繁殖しやすいという特徴があります。また製品そのものに、水質に作用する効果を持つものが多数あります。
粒の大きさ
数ミリ程度のものが多いです。
耐久性
耐久性は非常に高いですが、小さな穴が目詰まりしてくる可能性があります。
表面のなめらかさ
製品により異なりますが、比較的なめらかな製品が多いです。
色の明暗
人工的なものという特徴もあり、様々な色のものが用意されています。

ソイル同様、土や鉱物などを人工的に焼き固めたものですが、こちらは硬さがあり耐久性も高い底床です。ただ単純に「硬いソイル」というわけではありませんので、別物としてみたほうがわかりやすいかと思います。

人工的なものだけあり、製品により性質が大きく異なりますので、購入前にはそれぞれの特徴をしっかりとチェックしてください。

溶岩砂

水質への影響
多孔質のため、有害物質を分解してくれるバクテリアが繁殖しやすいという特徴があります。
粒の大きさ
砂利と同程度のものが多い。
耐久性
耐久性は非常に高いですが、小さな穴が目詰まりしてくる可能性があります。
表面のなめらかさ
ゴツゴツとしているので、低層で暮らす魚や底床に潜る性質のある魚を傷つける可能性があります。
色の明暗
暗い色のものが多いです。

固まった溶岩の砂です。

大きなものは溶岩石と呼ばれ、レイアウト素材としてよく使用されています。

 

色は暗いですが、黒っぽいものや赤みの強いものがありますので、好みで選んでいくとよいかと思います。

多孔質であるため、バクテリアの定着がよく、水質浄化作用を狙い利用されることも多い砂ですが、長期使用による目詰まりには注意が必要です。

ガラス性の底床

ガラス製底床
ガラスでできているため、水質への影響はほとんどない。小さなアクアリウムなどで涼やかな演出をしてくれる Photo by N.Hashimoto
水質への影響
水質への影響はほとんどありません。
粒の大きさ
小さなものから、小石ほどの大きなものまでバリエーションは豊富です。
耐久性
非常に高いですが、乱暴に扱うと割れる可能性もあります。
表面のなめらかさ
なめらかに処理されたものがほとんどですが、割れてしまったものは断面が鋭利になってしまう場合もあります。
色の明暗
人工的なものという特徴もあり、様々な色のものが用意されています。

ガラスで作られた底床は非常にカラフルで、また透明感もあることから他の底床とは少し違った利用をされているように思います。

基本的に水質に影響は出ないのですが、その透明度ゆえに照明の光などが反射しまい、魚が落ち着かないというデメリットにつながる場合もあります。

底床の自主採取は危険?

底床を選ぶ時に、川や海などから自主採取しようと考える方も多いかと思います。

ただ、自主採取の底床は何が付着しているかわからず、魚や水草に思わぬ影響を出してしまうことがあります。

採取した場所で魚が泳いでいたとしても、水槽は自然界と違い限られた空間ですので、農薬などが付着していた場合、影響が色濃くでてしまうということも考えられるので注意しましょう。

 

また地域によっては、砂や砂利の採集が禁じられていたり、個人の敷地であったりする場合もあります。

アクアリウムで使用する底床の自主採集は、確実に許可されており、安全性が確保されている場合のみ行なえるものだと覚えておきましょう。

 

また、自主採集の底床は販売されているものと違い、底床そのものが水質にどのような影響を与えるかわかりません。

可能であれば、いきなり生き物のいる水槽には使わず、別の水槽にしばらくいれておき、試薬などで水質への影響を検査するなどしてから使用するとよいかと思います。

 

それでは本日もアクアライフブログをお読みいただき、ありがとうございました。

当ブログでは、今後もアクアリウムで使用する様々なモノたちを解説していきますのでどうぞお楽しみに!