みなさんこんにちは。

アクアライフWEB編集部です。

 

小さな容器の中に水を入れ、水草や生き物を育成するボトルアクアリウムには、小さいがゆえのリスクがたくさんあります。

上手く扱わないと、“かわいそう”な結果になってしまうことも。

本日は、そんな失敗をしないために守りたい「2つのルール」をお話ししていきます。

ボトルアクアリウムを成功させる「2つのルール」

ボトルアクアリウム
手のひらサイズのアクアリウムは、グラスアクアリウム、ボトルアクアリウムなどと呼ばれる。月刊アクアライフ2020年1月号より Photo by T.Ishiwata

ボトルアクアリウムは、通常の水槽飼育に比べ水量が少ないため、環境が不安定になりがちという大きな弱点があります。

 

暑い日に、ペットボトルの水を持ち歩いているとすぐにぬるくなってしまいますよね。

それと同じように、気温などの外部からの影響を少ない水はとてもうけやすいのです。

そして水の状態が悪くなれば、その中に暮らす水草や魚たちの調子も悪くなってしまうものです。

 

だからこそ、ボトルアクアリウムは、ある程度水量のある水槽の管理に比べ「扱いが難しい」と言われているのです。

 

今からお話しする2つのルールは、その弱点を克服するための限定法です。

ボトルアクアリウムだからこその制限をしっかり覚えて、不安定になりがちな環境をうまく安定させていきましょう!

ルール1 置き場所を限定する

小型アクアリウム
室内で美しく管理されている小型アクアリウムの例。LED照明で管理されている。月刊アクアライフ2020年1月号より Photo by T.Ishiwata

ボトルアクアリウムにとって、置き場所はとても重要です。

なぜなら置き場所は、水温に影響を与える可能性があるからです。

 

ボトルアクアリウムで気をつけるべき水温は、2つあります。

長期的なものと、一時的なものです。

 

「長期的」の例としては、夏があります。

閉め切って熱のこもった部屋にボトルアクアリウムを放置するなどしてしまうと、高水温が続き、水草や生物、そして水質にダメージを与えてしまう可能性があるのです。

逆に冬の場合は、低水温が続きがちです。

 

「一時的」の例としては、日光があります。

ボトルアクアリウムに一時的に日光が当たることで、その時間帯だけ水温が上昇し、高水温だけでなく温度差でも負担をかけてしまうというパターンです。

深夜、早朝などに気温に引っ張られ、一時的に水温が低下するということもありますね。

 

これらの負担を軽減するためには、まず、ボトルアクアリウムの置き場所を考えることが大切です。

強い日差しが当たらず、周りの温度も安定している。そんな場所に限定してボトルアクアリウムの置き場所を選ぶのです。

 

また、“ちょうどよい場所”は季節によって変化したりするものですので、水温計を利用するなどして状態を把握し、その時その時でよい場所を見つけましょう。

 

ボトルアクアリウムは、窓際などで水草の育成に日光を利用することもありますが、水温が不安定になりがちな場合は、日光を完全にシャットダウンし、高温になりにくいLEDライトの使用などを検討してみましょう。

この方法は、光が強すぎてコケが発生してしまう場合にも有効です。

ルール2 飼育生物を限定する

白メダカの若魚が泳ぐ、球形の小さなアクアリウム。月刊アクアライフ2020年1月号より Photo by T.Ishiwata

ボトルアクアリウムは環境を整えれば、意外と飼育できる生き物の種類は多いものです。

ただそれは、ある程度技術や知識があっての話。

なれていないうちは、ボトルアクアリウムで飼育しやすい生物を選択するとよいでしょう。

 

ボトルアクアリウムで飼育しやすい生物の特徴は、まずある程度の温度変化に耐えてくれること。

水温の上下が起こりやすい環境なので、それが原因で病気になりやすい魚はあまり向いてはいないのです。

もし、熱帯魚を飼育したい場合は、水温を安定させる方法も考えていきましょう。

ただ、水量の少ないボトルアクアリウムでは、水の蒸発が早く、水中ヒーターが空気中に露出してしまい事故に繋がる危険性があります。(そもそも瓶が小さすぎて、水中ヒーターを設置できない場合がほとんどですが。)

水槽の下に敷くパネルヒーターを利用すればそうした事故は起こさずに済みますが、水温を安定させるのに少しコツが必要だったりしますので、事前にテストするなどしてから生物を導入しましょう。

 

ボトルアクアリウムでの飼育に向いている生物に求めたい特徴は、まだまだあります。

小型で、水質の変化にもある程度強い生物であることです。

メダカやアカヒレなどがボトルアクアリウムで飼育する生物として選ばれやすいのは、それらの条件を兼ね備えているからですね。

もちろん、変化に強い生物とは言ってもどんな環境にも耐えられるわけでもありませんし、環境が劣悪になっていけば調子を崩してしまいます。

ボトルアクアリウムでの飼育は、フィルターなどを取り揃えた水槽飼育より難しくなってしまうことがほとんどなので、飼育する生物に適した水温や水質は特にしっかり調べておく必要があります。

魚が問題なく暮らせる環境と、耐えられる環境は違うと考えておきましょう。

ボトルアクアリウムでの飼育で失敗する人の多くは、「なんとか耐えられる環境」で生き物を飼育してしまっている場合がほとんどです。

 

そのような環境にしてしまわないためには、生き物それぞれの細かい情報にも目を向けておきたいところです。

例えば、さきほど名前を出したアカヒレ。

丈夫で、ボトルアクアリウムでもよく飼育されている魚ですが、実はとてもよく泳ぎ回る魚だったりします。

つまり、アカヒレを飼育する際は、しっかり泳げるように、それなりに大きなボトルのほうが好ましいということです。

そのあたりの詳細は、以下記事にまとめてありますので、当記事と合わせてお読みください。

このような感じで、自分のボトルで飼育できる生き物の種類をしっかり限定できれば、失敗してしまう可能性は大きく下がります。

また、ボトルのサイズをあげ水量を増やすことで、飼育の安全性が高まるということは、しっかり頭に入れておきましょう。

ボトルに生き物を合わせるのではなく、生き物にボトルを合わせてあげるわけですね。

 

限定が必要なのは、生き物の種類だけではありません。

とても重要なのは、飼育数。

水量が少ないボトルアクアリウムに、あまり多くの生き物を入れてしまうと、水質の悪化が早くなり環境が崩壊しやすくなってしまうのです。

よく小型魚の飼育数の基準として「1リットルに1匹」と言われることがありますが、1リットルしかないボトルのギリギリの1リットルと、60リットルの余裕がある水槽の中の1リットルでは、環境の変化の緩やかさが大きく異なるので注意が必要です。

通常は、水量が少ないほうが、環境が変化しやすくなりますので、ボトルアクアリウムのほうが「扱いの難しい1リットル」となってしまうのです。

 

だからこそボトルアクアリウムでは、生き物の飼育数を控えめにしておく必要があるというわけです。

しっかり育てられる自信がない方は、あえて飼育数を「ゼロ」に限定して、水草だけで楽しむところから始めてみるのもよいでしょう。

水草だけの環境は、生き物がいる環境よりもシンプルで「水草だけに集中」できます。

まず、その中で環境を維持するコツを覚えて、それから生き物という新しい要素に挑戦していく形です。

水草を選ぶ際も同じように、限定して考えていきます。

小さなボトル内に収まるのか、今の光量で十分育つのかなど……ボトルと周囲の環境に合わせた水草選びをしていきましょう。

水草の中には、CO2(二酸化炭素)の添加が必要であったり、強い光量を求めるものがありますので、注意が必要です。

水草の種類を限定しておけば、枯らしてしまうリスクも減り、また環境もよりシンプルになりますので、扱いやすくなるのです。

小さな容器だからこそ

今日のようなお話をしてしまうと、ボトルアクアリウムがとても難しいものに感じられてしまうかもしれませんが、そんなことはありません。

自分の手に負える範囲に限定してやれば、ボトルアクアリウムは意外と親しみやすく、またはじめやすいものです。

 

本日お話したとおり、ボトルアクアリウムは本体だけでなく、気温や光など、周りの環境込みで考えるものです。

もし、ボトルアクアリウムを上手く管理できるか心配な方は、ボトルに水と水温計だけを入れて、ボトルアクアリウムを実際に設置したい場所に置いてみましょう。

そして昼や夜など様々な時間帯での温度変化を観察し、育成したい水草や生き物が飼育できる範囲に収まっているかを確認してみてください。

そうすれば、始める前の不安はだいぶ軽減できるはずです。

 

ボトルアクアリウムは、とても小さな世界です。

本日は、小さいことのリスクを中心に解説してきましたが、小ささはボトルアクアリウムの利点でもあります。

 

置き場所が合わないと思ったら、すぐに移動できる。

中に入るものが少ない分、目が全体に行き届きやすい。

 

メリットとデメリットは隣り合わせだと考え、ボトルアクアリウムとじっくりつきあっていきましょう。

そうすれば、ボトルアクアリウムが“かわいそう”な結果になってしまうことも、回避できるはずです。

 

それでは、本日もアクアライフブログをお読みいただきありがとうございました。

月刊アクアライフで2020年1月号では、小さな容器を利用したアクアリウムを特集していますので、ボトルアクアリウムに興味のある方は、ぜひご覧ください!

2020年の小型アクアリウム特集
ボトルアクアリウム
雑誌:月刊アクアライフ2020年1月号
巻頭特集の「手のひらの小宇宙(アクアリウム)」は、その名の通り手のひらにのるような小さな水槽をはじめとする、小型アクアリウムを楽しむための特集です。実際のレイアウト例からメンテナンス方法、小型容器で育成しやすい水草、生き物なども特集していますのでどうぞご覧ください。小型の照明やフィルターなど、手のひらアクアリウムに適した器具の紹介もありますよ!