みなさんこんにちは。
アクアライフWEB編集部です。
メダカの進化はとどまるところを知らず!
背中やラメが輝いていたり、ヒレが長かったり……数え切れないほどの種類のメダカが登場し、世間を賑わせています。
そんな種類ごとに特徴のあるメダカたちは、一緒に飼育してよいものなのでしょうか?
本日は、メダカ同士の混泳についてお話ししていきます。
種類違えど……メダカはメダカ?
改良が進み、野生とは違った、多種多様な姿を見せるようになったメダカたち。
そんなメダカたちですが、皆、メダカであることに違いはありません。
例えば赤い楊貴妃と真っ黒なオロチは見た目が大きく異なりますが、これらの改良品種のもとになった「原種」はどちらも日本に生息している野生のメダカです。
必要な飼育環境は、違う品種でも基本的には同じですから、同じ水槽やケースで飼うこと自体は可能です。
「ならば一緒に飼育しても何も問題ないのでは」と思えるかもしれませんが、メダカのように改良が進んでいる生き物の混泳には、いくつか注意しなければならないことがあります。
そして、その注意点を知ることは、メダカをより楽しむことにも繋がるのです。
種類の違う改良メダカを混泳させるときに、気をつけたいこと
どんどん品種が増えて、賑やかになっていくメダカの世界。
色とりどりのメダカたちを一緒に泳がせたい! と思う方もいらっしゃると思います。
メダカ飼育を思う存分楽しむためにも、ここからは「メダカ同士を混泳させるときの注意点」を覚えていきましょう!
掛け合わせが起こるかも! 掛け合わせについて理解しよう
先ほどお話ししたとおり、改良されて様々な姿になっているとはいえメダカはメダカですので、違う特徴を持った品種同士であっても、一緒に飼育するとその間に交雑がおき、子どもが生まれる可能性があります。
異品種を混泳させるのであれば、そうした交雑が起こることも想定しておかなくてはなりません。
そして、その特性を積極的に利用し、“異品種同士の掛け合わせ”をして新しい品種を生み出すという楽しみ方が、メダカの世界にはあるのです。
掛け合わせは、品種改良の一つの手段というわけですね。
しかし、掛け合わせの結果は、必ずしも飼育者の満足のいくものになるわけではありません。「両親の特徴を“よい感じに”引き継いだ」個体というものは、簡単に生まれるものではないからです。
しかも、改良メダカは遺伝に関して不明な点が多い魚でもあります。
つまり、掛け合わせは「ただやればよい」というものではないということです。
掛け合わせを突き詰めていくと、難しい話になっていくのですが、初心者さんは、まず「どんな親同士を掛け合わせたか」を明確にすることからはじめてみましょう。
オス親とメス親それぞれの写真や、入手経路など、できるだけ詳細に記録しておくとよいかと思います。
また、掛け合わせの結果、どんなメダカが生まれたとしても責任をもって飼育することが大切です。
屋外に逃したりなどは、絶対に行なってはいけません。
メダカの交配は、悩むこともありますが、学べば学ぶほど面白いものです。
よりよい交配を目指す場合は、専門店で相談するなど、情報を集めることも意識してみましょう。
また、月刊アクアライフ合本「メダカ解体新書2」では、有名品種の交配レシピなども掲載していますので、興味ある方はぜひご覧ください。
体型やヒレによる「泳ぐ能力」の違いに配慮しよう
メダカが改良されているのは、その色彩や輝きだけではありません。
体型やヒレなど、その形状に特徴をもつ品種も多数存在するのです。
そしてこの姿形というものは、そのままメダカの「泳ぐ能力」につながります。
例えば丸い体型をもつダルマメダカは、通常の体型をもつメダカより泳ぎが上手くありません。そのため、通常の体型の個体と混泳させてしまうと、餌をうまくとれなかったりする場合があるのです。
要するに、混泳水槽では、体型の特徴が、そのメダカにとって不利になる可能性があるということです。
こうした現象は、改良品種の世界ではよく知られているものです。金魚も、フナのような体型を持つものと、丸い体型を持つものでは泳ぎ方が全然違いますよね。
メダカは金魚に比べ体が小さいので、体型の差を見落としがちですが、しっかり観察して混泳のバランスを考えてあげましょう。
また、体型は同じでも、アルビノのメダカは視力が弱く、餌を見つけるのが苦手だったりしますので、注意が必要です。
品種の特徴を意識しよう
掛け合わせとは逆に、メダカの品種ごとの特徴をキープしたければ、異品種交配はさせず、一品種のみで飼育することとなります。
そうすることで、特徴が混ざることを防ぐというわけです。
ただ、メダカの品種によっては「固定率(親の特徴を子が引き継ぐ確率)」が100%ではない場合があり、親と違った見た目の子どもが生まれてくる場合もあります。
そうした場合、品種の特徴を子に伝えていきたいのであれば、ただ繁殖させ続けるのではなく、その品種の特徴がよく出た個体を親にするといった工夫が必要になるでしょう。
親から子へ、子から孫へ……特徴を引き継ぐことを意識しながらメダカを飼育していくと、その深さをより一層楽しめるのではないでしょうか。
野生のメダカの混泳は危険? 自然界でも気をつけよう!
ここまで、改良されたメダカたちについてお話ししてきましたが、今度は野生のメダカに注目してみましょう。
みなさんもご存じの通り、日本にはメダカが生息しています。
ただ、その野生のメダカは今……いえ、ずいぶんと前から大きな問題を抱えているのです。
それは「自然界での“混泳”」問題。
ペットとしてメダカが普及した結果、メダカを自然界に逃がす人が増え、野生種との交雑がおき「本来野生ではありえない特徴をもったメダカ」が現れてしまっているのです。
「改良品種でも野生種でも、メダカはメダカなのになんで問題なの?」
と、思われるかもしれませんが、それは大きな間違いです。
野生ではありえないメダカが生まれているということは、野生種がもともと持っていた特徴が失われてしまうということ。
飼育できなくなった……増えすぎてしまった……メダカを手放さざるを得ない事情は、人それぞれあるかもしれませんが、野外放流は絶対にやめてください。
また自然界で採集して飼育したメダカを、再び自然界に戻すのも推奨できることではありません。
逃がす場所が少しでも違えば特徴が違う可能性もありますし、水槽内で発生した病気などを自然界に持ち込んでしまう可能性があるからです。
一度飼育したメダカは、最後まで責任を持って。
自分のメダカだけでなく、メダカ全体のことを考えていきましょう。
自然界のメダカのことを知れば、改良メダカのことももっと楽しめるようになると思いますよ!
メダカは日本の魚。
ルーツが身近にあるって、本当に幸せなことですね。
月刊アクアライフ2020年11月号(2020年10月11日発売予定)は、メダカ特集! これからも、ブログでも雑誌でも、いろいろとメダカ情報を配信していきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、本日もアクアライフブログをお読みいただき、ありがとうございました!
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