アカメアマガエルの遊ぶパルダリウム
月刊アクアライフ2020年7月号より、アカメアマガエルの棲むパルダリウム   Photo by T.Ishiwata

みなさんこんにちは。

アクアライフWEB編集部です。

 

水槽の中で陸上植物などをレイアウトし景色を作る、パルダリウム。

なんだか難しそうに見えるかもしれませんが、実は意外と“手を出しやすい”ものだったりします。

もちろん、極めようと思えば知識も経験も積み上げていかなければなりませんが……思っているより、第一歩は踏み出しやすいものですよ!

 

素敵な癒やし空間、パルダリウム。

みなさんもぜひ、チャレンジしてみてください!

パルダリウムって何?

パルダリウムとはなにか。

それを厳密に語ろうとすると、「パルダリウムとは」的な話がいろいろと出てきたりもするのですが……まずはそう難しく考えなくともよいかと思います。

水槽内に、陸上の植物をメインにレイアウトして作った空間。それがパルダリウム。

そんな感じで捉えておけば、概ね間違いはないのではないでしょうか。

 

スタイルも以下のように様々ありますので、どこからどこまでがパルダリウムかという定義は、ちょっと決めづらいものだったりもします。

小さなレイアウト
月刊アクアライフ2019年7月号より、電球型ケースの小さなレイアウト Photo by T.Ishiwata
山奥風コケリウム
月刊アクアライフ2019年7月号より、高さ25cmの山奥風コケリウム Photo by T.Ishiwata
大きなレイアウト
月刊アクアライフ2019年7月号より、高さ120cmの巨大なレイアウト Photo by N.Hashimoto

小さなものからダイナミックなものまで、いろいろなパルダリウムがあるのですね。

 

一見すると、とても難しそうに見えるパルダリウム。

でも実は、そんなに手を出しにくいものでもなかったりするのです。

パルダリウムを「ポン! ポン!」で簡単制作しよう!

極端な話、パルダリウムは超簡単に作れます。

まず、小さな水槽を用意して、そこに赤玉土を盛ってしっかり湿らせて、湿度を好むコケを置いて直射日光の当たらない明るい窓辺に置くだけ。

ホソバオキナゴケ
幅広い環境に適応してくれるホソバオキナゴケはポピュラーな存在 Photo by T.Ishiwata
コツボゴケ
比較的水分の多い場所できれいに育つコツボゴケ(明るいグリーンのコケ) Photo by T.Ishiwata

ソイルをポン! コケをポン! これだけで、超シンプルなパルダリウムの完成です。

こういうスタイルのものは、コケリウムとか呼ばれていたりもしますね。

 

日常管理はフタと霧吹きで湿度管理だけ。

「そんな単純なことやって楽しいの?」

そう思われるかもしれませんが、これがすっごく楽しいんですよ。

 

コケが徐々に広がり定着していく様子。

湿度管理に試行錯誤する過程。

 

限られた空間の中で植物を育てるという面白さが、その小さな水槽の中にはたっぷり詰まっているんです。

そして上手く育て上げ、赤玉土がコケに覆われた時。まるで緑の丘のような美しさとみずみずしさが、そこにできあがるのです。

 

いろいろな植物を使い、複雑なレイアウトを作ろうと思うと、それなりの技術が必要になります。

でも、こんなシンプルなパルダリウムでも、植物を育成する喜びは感じられるのです。

パルダリウムを楽しむためのABC

イモリのパルダリウム
月刊アクアライフ2019年7月号より、イモリが遊ぶパルダリウム。こんなふうに植物も動物も生き生きとしたパルダリウムを作りたい!  Photo by N.Hashimoto

パルダリウムを作る時は、パルダリウムならではの意識が必要です。

その意識があるかないかで、パルダリウムの成功率はかなり変わってくるものです。

 

そのために覚えておきたい、パルダリウムのABC。

素敵な空間を作り上げるためにも、植物たちのことをイメージしながらお読みください!

パルダリウムのA「空間を意識する」

鉢植えとパルダリウムの決定的な違いは、そのスタイルにあります。

水槽という空間で“限られて”いること。

パルダリウムとは、空間を維持するものなのです。

 

空間が限られていると、室内に置いてある鉢植えに比べ「通気性」が悪くなります。

それを逆手に取り、湿度を維持し、湿潤な環境に育つ植物を維持するというテクニックが、パルダリウムではあたりまえのように使われていますね。

フタの密閉度などを変えたり、霧吹きの回数を変えたりすれば、湿度は変化していきますので、同じ水槽でも湿度が一定ではないという点にも注目してみましょう。

水槽の形状やサイズによっても、湿度の具合が変化していきます。

 

このような感じで、空間の状態を見極め、いろいろと試行錯誤していくことがパルダリウムの維持につながるのです。

パルダリウムのB「根を意識する」

パルダリウムでおきがちなミスに、植物の腐敗があります。

高湿度を好む植物を選んだはずなのに、なぜか上手くいかない。

そういう場合は、植物の根が不適切な状態にある場合があります。

 

自然界における“高湿度環境”は、実はかなりバリエーションがあります。

湿地や川沿いなどの水辺はもちろんのこと、近くに水場がなく露や霧で湿度が維持される環境まで。

そしてそれぞれ、根の置かれている状況も違います。

ある植物は、根を水中におろし常に水とふれあい、ある植物は根を木の表面に貼りつけ空中の湿度を吸収し……。

 

つまり、パルダリウムでも、そうした根本来の状態を意識して、植物を配置しなければならないというわけですね。

空中の湿度を吸収するために発達した根を、水にひたひたに浸かった土の中に埋めてしまう……そのような感じで、根本来の役目を発揮できないような状況を作ってしまうと、調子を崩してしまうことがあるというわけです。

パルダリウムのC「植物の成長を意識する」

植物が育っていく過程は見ていて楽しいものですが、ただ見ているだけではだめな場合があります。

例えば大きくなりすぎた植物。

パルダリウムという限られた空間内で、ひとつの植物が大きくなりすぎると、下にある植物に光が届かず枯れてしまうことがあります。

他にも、根が育ちすぎて、水槽内で詰まってしまう場合も。

 

また、複数の植物を育てている場合は、生存競争が起き、弱い植物が淘汰されていくこともあります。

それをうまく管理していくのが、私たち人間の「手入れ」です。

 

伸びすぎた植物をトリミング、時には分厚くなりすぎたコケを剥がしたり……そうやって植物の密度を調整したりして、水槽内の状態を良好に保っていきましょう。

 

鉢植えも、ある程度育ったら植え替えをしたり、鉢を大きくしたりするもの。

パルダリウムの植物も育つことを意識して、その時その時に合わせた対応をしてあげましょう。

 

もちろん、植物の種類によっては、トリミングしすぎると調子を崩したり……「触りすぎ」がマイナスに働く場合もありますのでご注意を。

もっとパルダリウムを学びたいあなたへ

植物の種類を少なめにしたり、管理のしやすいレイアウトにすることで、扱いやすさが変化するパルダリウム。

自分のレベルに合った環境作りができれば、長期維持も決して難しいことではありません。

 

しかし、それで終われないのが趣味人というもの。

パルダリウムの面白さにハマると、極めていきたくなってしまうものです!

 

少し前までは、まだ日本でパルダリウムが普及しておらず、追求することが少し難しい状態にありました。

ただ最近では、パルダリウム用のグッズも多数発売されていますので、ちょっと調べるだけで、ぐっとレベルアップさせることが可能になっていたりするのです。

これからもパルダリウムはどんどん進化していくと思いますので、アクアライフブログでもまた特集させていただきたいと思います!

 

また、毎月発売の月刊アクアライフでも、過去数度に渡り、パルダリウムを特集しています。

グッズだけでなく、作例や具体的な作り方なども解説していますので、興味ある方はぜひお読みください!

それでは、本日もアクアライフブログをお読みいただき、ありがとうございました!

2020年のパルダリウム特集
アクアライフ2020年7月号
雑誌:月刊アクアライフ2020年7月号
巻頭特集の「パルダリウムとアクアテラリウム3」では、数多くの緑あふれるレイアウト作例を紹介! 見ているうちにきっと、おうちにパルダリウムを置いてみたくなるはずです。パルダリウムでの育成に向いた植物のカタログや、育成のコツなども掲載しています。パルダリウム専用グッズの紹介も。

 

月刊アクアライフ パルダリウム特集号
2020年7月号 おうちでGreen! パルダリウムとアクアテラリウム3
2020年3月号 アクアとパルダの植物図鑑
2019年7月号 水槽でガーデニング! パルダリウムとアクアテラリウム2
2018年7月号 パルダリウムとアクアテラリウム