みなさんこんにちは。

アクアライフWEB編集部です。

 

今回の金魚Q&Aは、グリーンウォーターとも呼ばれる「青水」について。

青水が金魚飼育にもたらすメリット、デメリットについてお答えします。

金魚Q&Aとは

金魚Q&Aは金魚に関する様々な疑問に理科教諭、生物部顧問であり金魚の研究なども行なっている川澄 太一(かわすみ たいち)さんにお答えいただく連載です。一回一回独立したQに答えていくので、まとめて読んでいただいても、気になるQだけ見ていただいても、どちらでも大丈夫! 金魚Q&Aの更新情報はアクアライフ編集部のTwitterでもお知らせしておりますので合わせてご覧ください。

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Q:金魚の青水(グリーンウォーター)飼育のメリット・デメリットは?

金魚青水飼育
青水で飼育する金魚のたたき Photo by N.Hashimoto

以下に掲載した写真は、同じ親から生まれたリュウキン稚魚たちです。実験区Aの方が稚魚の赤色が濃く、こちらは青水で飼育しました。実験区Bは透明な水で飼育したものです。

金魚青水飼育
実験区A(左)と実験区B(右)で育てた稚魚たち。※写真の洗面器は、飼育容器ではなく撮影のために一時的に使用したもの Photo by T.Kawasumi

青水のメリット

青水で飼育すると金魚のフンは緑色になります。

金魚は青水に含まれる植物プランクトンを食べているのです。この植物プランクトンに含まれる成分(βカロテンなど)を金魚は体の中で加工して赤い色素を作りだします。

鳥のフラミンゴが赤いのも、同じように植物プランクトンの成分を取り入れて赤い色素を作っているからです。動物園ではフラミンゴを赤くするために、餌に植物プランクトンの成分を混ぜています。金魚も同様に、餌のメーカーが赤い色素を保つために色揚げ用の餌にはそのような成分を混ぜています。

 

私は、以前室内で金魚を飼育していたときに、稚魚を育てる際、褪色(※1 文末の用語解説参照)して立派な赤をもってほしくて、特急の色揚げ成分を持つとされる餌のみを与えていました。ところが、金魚の稚魚はまったく赤が濃くならないのです。

今は、屋外で飼育できるようになり、青水の中で稚魚を飼育したところ、ようやく赤が濃いリュウキン稚魚を育て上げることができるようになりました。今のところ、青水の方が稚魚の褪色のときには有効なのかもしれませんね。

 

また、アンモニア濃度を市販のキットで調べてみたところ、水槽の透明な水よりも青水の方が濃度が低く、「さすがは植物プランクトン、うまく尿などの排泄物をキレイに分解してくれるすぐれものだな!」と思いました。金魚の稚魚も赤が濃くなりますし。

そのほかに、植物プランクトンが行なってくれることは光合成です。光合成といえば酸素ですよね。「酸素も与えてくれ、排泄物も分解し、稚魚を赤くしてくれる、最高の環境だな!」と思ったものです。

青水のデメリット

「酸素も与えてくれ、排泄物も分解し、稚魚を赤くしてくれる、最高の環境だな!」と思えた青水。

ところが、ある夏の暑い夜、屋外の飼育水槽をのぞいてみると、金魚が苦しそうに鼻上げをしているではありませんか。

「酸素がたっぷりの水のはずなのになぜ?」と思いました。

 

でも、その謎はすぐに解決しました。植物プランクトンといえども、私たち動物と同じく生き物です。酸素を生み出す光合成も行ないますが、しっかり呼吸もしているのです。そんなことをよく自分で生徒たちに授業で教えるのですが、この日の夜、そのことを思い出しました!

水槽いっぱいの青水はまるでそれが巨大な生き物のように呼吸し、酸素を消費していたのです。それで、金魚が苦しそうにしていたというわけです。また、水温が高くなると酸素は水に溶けにくくなりますし、そのことも関係していたと思います。

この日の夜以降、私は必ず屋外飼育でもしっかりエアレーションを行なうようにしました。

 

また、どれくらい効果があるかはわかりませんが、屋外水槽の半分の面はすだれをかけ、光があまり入らないようにしました。植物プランクトンは光が入ると増えるので、増えすぎるのを防ぐためです。

そうすると、夜に金魚が苦しそうにしていることはなくなりました。

 

ただ、神経質になりすぎて、エアを強烈にしたときがあったのですが、なんと! 稚魚の尾がめくれてしまったのです。

エアの強すぎなのも問題なのです。普段の水槽飼育と同じような勢いならば問題ないと思います。自分なりに工夫してみてください。

用語解説

※1「褪色」

金魚は孵化してしばらくはフナのような色だが、成長してある時期を境に赤色など鮮やかな色に変化する。その変化の様子を褪色(たいしょく)という。

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