みなさんこんにちは。

アクアライフWEB編集部です。

今回は金魚の成り立ちについて。

どんな経緯で今のような金魚になったのでしょうか。

金魚Q&Aとは

金魚Q&Aは金魚に関する様々な疑問に理科教諭、生物部顧問であり金魚の研究なども行なっている川澄 太一(かわすみ たいち)さんにお答えいただく連載です。一回一回独立したQに答えていくので、まとめて読んでいただいても、気になるQだけ見ていただいても、どちらでも大丈夫! 金魚Q&Aの更新情報はアクアライフ編集部のTwitterでもお知らせしておりますので合わせてご覧ください。

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Q:金魚とは? その特徴、歴史などを解説

古い時代に中国で生まれた

金魚は中国にいる鯽(ジィ)という名のフナから、1700年ほど前に枝分かれ(突然変異)して生まれてきた生き物とされています。

今ではフナからかけ離れて様々な特徴を持つようになりました。

赤と白の模様を持つようになったり、腸が長くなって丸い体形になったり、眼が出たり、眼の下に体液のつまった袋ができたり、背ビレがなくなったり、ものすごく多くの変化・多様性があり、私たちを楽しませてくれます。

近年では、メダカもかなり多様な外見をもつようなになりましたが、四つ尾のように、尾ビレが左右対称になる形質は金魚だけのものです。

野生の魚からはずいぶん変化したので、人の手助けなしで生きていくのは難しく、人とともに生きていく生き物です。

金魚は中国のフナから突然変異で生まれた(写真は日本のナガブナ)。Photo MPJ
四尾の地金を後ろから見たところ。2枚の尾ビレが左右対称についている。Photo N.Hashimoto

日本に来たのは500年ほど前

金魚が中国から日本に渡ってきたのは1502年とされています。

長い時間をかけて船で運ばれてきたそうで、気温の低い季節に輸入されてきたようです。

昔は天井をガラス張りにして水を貯めて、そこに金魚を泳がせ下から眺める、そんな飼育もされていたようです。

文献上に残っている、最も古い金魚屋さんの記録は1660年で、現在の上野公園のあたりにあったようです。

どんな金魚が販売されていたんでしょうかね。

戦中の本を見つけて…

私が神保町で金魚について書かれた昔の本を探したところ、昭和18年に出版された本を見つけました。

本を書いたのは松井佳一先生です。

驚いたのは、よく見かける松井佳一先生による金魚の系統図が、なんとその本にもうすでに記載されていたことでした。

金魚は昭和18年にはすでに、ワキン、リュウキン、ランチュウのほかに、オランダシシガシラ、アズマニシキ、シュブンキンなどのバリエーションができていたのです。

品種改良は現在でも盛んで、ドラゴンスケールやキラキラなど様々な品種が作出されています。

さて、その本には、昭和初期の夜店での金魚販売の様子や、品評会の審査風景が載っているのですが、面白いことに今の私たちが金魚を眺めて楽しんでいる様子と同じなのです。

ずらーっと並んだ容器に金魚を泳がせ、一つ一つの容器に泳いでいる金魚を眺めて楽しそうにしています。

これから何百年たっても、人は金魚の世話をし、金魚は人の世話によって少しずつ外見を変え、より魅力的なものになっていく、見る人を楽しませるという、共に楽しく生きていく関係は続いていくのだろうと思います。

神保町で見つけた古い本
最近の品種。ドラゴンスケール。大きな鱗がランダムに並ぶ。Photo N.Hashimoto
最近の品種。キラキラ。鱗が乱れてきらきらと輝く。Photo T.Ishiwata

金魚Q&A