みなさんこんにちは。
熱帯魚Q&A編集部の山口正吾です。
本日は熱帯魚の「同名異魚」について解説します。
学名や流通名の回答でも同じようなことを述べましたが、熱帯魚の名前には、ちょっとややこしい面があるんですよね。
熱帯魚Q&Aとは 熱帯魚Q&Aは“熱帯魚専門編集部”が、熱帯魚の飼育などに関する質問にお答えしていく連載です。熱帯魚Q&Aの更新情報はアクアライフ編集部のX(旧Twitter)でもお知らせしておりますので、あわせてご覧ください。 |
名前は同じですがグループが違います
エンゼルフィッシュという名前の魚が海水と淡水にいる……。
よくよく考えてみれば不思議なことなのかもしれません。
では、それぞれ解説します。
淡水のエンゼルフィッシュは、カワスズメ科(シクリッド)の仲間です。
分類を示すと以下のようになります。
スズキ目 Perciformes
ベラ亜目 Labroidei
カワスズメ科 Cichlidae
プテロフィルム属 Pterophyllum ←淡水のエンゼルフィッシュ
淡水では、プテロフィルム属に含まれる複数の種とその改良品種が、エンゼルフィッシュと呼ばれます。
ちなみに、カワスズメ科(シクリッド)には他にディスカスやアピストなどがいます。
さて。
同じように、海水のエンゼルフィッシュの分類を示すと以下のようになります。
スズキ目 Perciformes
キンチャクダイ科 Pomacanthidae ←海水のエンゼルフィッシュ
海水では、キンチャクダイ科に含まれる複数の属、それらの属に含まれる複数の種が、エンゼルフィッシュと呼ばれます。
ちなみに、海水のエンゼルフィッシュは、〇〇エンゼルフィッシュという名前の他に、〇〇ヤッコや〇〇キンチャクダイという名前でも呼ばれます。
外見的な違いについては、淡水のエンゼルフィッシュを含むカワスズメ科(シクリッド)の魚は、側線が途切れている(2本ある)というのは、わかりやすいかもしれません。
……わかりにくいか。
わかりやすいのは、やはり生息環境ですよね。
淡水と海水なので。
熱帯魚ショップでも淡水魚コーナーと海水魚コーナーとに分けられて販売されていることが多いでしょう。
以上、ざっくりとまとめると、違うグループの魚に同じ名前が使われている、ということです。
このような例はエンゼルフィッシュ以外にもいくつかあって、たとえばナイフフィッシュという名前は、南米の電気ウナギの仲間と、東南アジアやアフリカのアロワナの仲間に使われています。
ややこしい話ですが、アクアリウムを楽しんでいれば、自然となじんていくものと思います。
Written by 山口 正吾