みなさんこんにちは。

熱帯魚Q&A編集部の山口正吾です。

本日は「水槽用ヒーターのワット数」について解説します。

寒さも本格的になり、気になる人も多いのではないでしょうか。

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熱帯魚Q&Aは“熱帯魚専門編集部”が、熱帯魚の飼育などに関する質問にお答えしていく連載です。熱帯魚Q&Aの更新情報はアクアライフ編集部のX(旧Twitter)でもお知らせしておりますので、あわせてご覧ください。

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水槽の水量によってワット数も変わります

水槽用ヒーターのワット数、悩みますよね。

水量が大きい水槽には、大きいワット数の水槽用ヒーター(以下ヒーター)を使うのが基本です。

メーカーにより推奨値には多少のばらつきはありますが、25〜26℃に保つ熱帯魚水槽では、だいたい以下のような組み合わせになります。

・30L程度(30cmキューブ水槽)…100w程度

・60L程度(60cmレギュラー水槽)…150w程度

・160L程度(90×45×45cm水槽)…300w程度

これは水槽を置く環境にも左右され、冷え込む環境であれば、もう少し大きなワット数のヒーターを選んでもよいでしょう(ワット数が足りないと目標の水温に達しない)。

逆に暖かい部屋では多少ワット数が小さくても問題ないこともあります。

ヒーターのパッケージには適合水量が示してありますから、購入の際にはそちらを参考にしてください。

水量に合ったワット数のヒーターを設置しよう。Photo N.Hashimoto

適合しないワット数で起きる問題点

先ほど「ワット数が足りない場合には目標とする水温に達しない」と書きましたが、やみくもにワット数を大きくすればよいかといえば、そんなこともありません。

特に小さい水槽では、極端にヒーターのワット数が大きいと、目標の水温に達しサーモスタットが通電を止めた後も、ヒーターのもつ予熱で水温が上がることもあります。

その他、ヒーターのワット数が小さいと、目標とする水温は維持できるものの通電時間が長くなり、ヒーターの寿命が短くなることもあります。

ヒーターのワット数に関しては、小さすぎても大きすぎても良いことはありません。

通電を知らせる赤いランプがついている。Photo MPJ

水量に比例してワット数を大きくすればよい?

冒頭には「水量が大きくなればヒーターのワット数も大きくなる」と書きました。

それは誤りではないのですが、単純に水量に比例してワット数を上げればよいかといえば、そうではありません。

それは主に以下の理由によるものです。

・大きいものの方が体積に対しての表面積が小さく放熱されにくい(寒い地方の動物は体が大きい)

・大きい水槽はアクリルやガラスなどの素材が厚く保温性が高い
 

以下はトンクラスの超大型水槽の話です。

たとえば1tの水量がある水槽の場合。

水量が60cm水槽(約60L)の約17倍だからヒーターも17倍か……150w×17は……2,550wのヒーターが必要なのか! などということはありません。 

条件にもよりますが、1tの熱帯魚水槽でも、500wのヒーターで保温がまかなえる例もあります。

この例は、

・オーバーフローシステムで、水槽下にあるろ過槽に入れたヒーターの熱が水槽に伝わりやすい(特にろ過槽が収まるアングル台が囲われている場合)

・サーモスタットの故障により、ヒーターが通電しっぱなしになったときの急激な水温上昇を防ぐ

などの理由もあって大きなワット数のヒーターを使わないのですが、なんにせよ500wで1tの水槽を保温できるわけです。

これくらいの規模の水槽を設置する方であれば相応の経験を積んでおり勘所も掴んでいるのでしょうが、初めてであれば大型水槽に詳しいショップや水槽メーカーから購入し相談するとよいと思います。

(取材協力/株式会社カンテツ)

 
巨大な水槽では小さい水槽と異なるヒーターの選び方がある。Photo N.Hashimoto

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