みなさんこんにちは。アクアライフWEB編集部です。
本日のお題は、熱帯魚情報の調べ方。
WEB編集部の板近が、普段どんな感じで熱帯魚について調べているのかをゆるく雑談していきます!
情報の集め方も個性が出ますよね。
調べたかったこととは違う情報が出てきたりして、それがまた参考になったりもするんですよね。
アクアの雑談 アクアの雑談は、その名の通りアクアリウムに関する「雑談」をお届けする連載です。お題は回ごとにいろいろ! 雑談いたしますのは、株式会社エムピージェー出版部長で月刊アクアライフ前編集長の山口 正吾(やまぐち しょうご)と、アクアライフWEB編集部に社外からの協力スタッフとして参加している板近 代(いたちか しろ)。雑談ならではのお話を、どうぞお楽しみください。 |
「衝撃」の理由
板近:時々、この連載(アクアの雑談)を読み直したりしているのですが、自分の発言にツッコミを入れたくなる時があるんですよね。
山口:この連載は雑談、つまりは、私と板近さんの「会話発」の記事ということもあり、文字に起こすと現場でのニュアンスとは違って見えてしまうこともありますよね。
板近:ありますね。でも、雑談であることを大事にしたいので、あからさまにわかりにくいところ以外は手を加えないルールなんですよね。
山口:ええ。かといって手を抜いているわけではなく。公開前に私と板近さんで何度かチェックするのですが、ちょっとそれが足りなかったのか、つい最近も、よくわからない会話を公開してしまった。
板近:前々回の「板近:おお、それはまた衝撃発言ですね!」という発言……あれだけ見ると超オーバーリアクションで。ちょっと意味分かんないんですよね。
山口:文脈的にもつながっていないというか、おかしく見えますよね。
板近:ですね。戸惑った方、すいません。それで、あの発言について真面目に考えてみたんですね。なんで私は、あの時あんなにびっくりしていたんだろうと。
山口:たしかに、実際にびっくりはされていました。
板近:今見直しても私の「衝撃発言」という言葉選びは変だなぁ……とは思うのですが、あの時びっくりしていたことは事実なんです。
山口:考えてみて、なにかつかめましたか。
板近:ええ。びっくりしたのは、相手が山口さんだったからなんですね。
山口:どういうことでしょう。
板近:私は普段から山口さんにいろいろと教わっているので、頭の中で山口さんと「だから新着にはあまり目を通さなかった」という山口さんの発言が、とっさには結びつかなかったんだと思うんですよね。
山口:うーん、教えているつもりもないのですが。
板近:普段お聞きしている知識量などから「入社前から新着情報をチェックしていた人」というようなイメージがあったのかなと思います。
山口:そういうことですか。私もアクアメディアの編集者として歴が長いですし、普段の私と板近さんの関係であると、そういう発想になることもあるかもしれません。
板近:また、山口さんからは「その魚は○年頃日本に入ってきて――」と、その魚が新着魚であった頃の話を聞かせてもらうことも多いので、よりびっくりしたのかなと。
山口:私は立場的にも「古くからのガチマニア」だと思われることが多いんです。もちろん入社前から魚は好きでしたが、入社時の知識量はそれほどでもなかったですよ。郊外にいる普通の学生アクアリスト。それに、今話題としている衝撃云々については入社前の話ですから。
板近:すいませんほんと。
山口:いえいえ。謝るようなことでもないですし(笑)。
板近:これからも、いろいろな話を聞かせてください。
山口:私でよければ。
熱帯魚情報と私
山口:しかし、随分と掘り下げたものですねあの発言から。こういう始まり方は、アクアの雑談初ではないかな(笑)。
板近:(笑)。
山口:何か他に発見はありましたか?
板近:発見とは違うかもしれませんが、あの発言を掘り下げたおかげで「アクアの情報の調べ方」というか、自分と情報の付き合い方について掘り下げるきっかけになりましたね。実際に、山口さんからもたくさん情報をいただいていますから。
山口:では、今日はそれをお題にするなんてどうでしょう。そうですね……アクア全体の情報とすると範囲が広すぎるかもしれないので「板近流! 熱帯魚情報の調べ方」とでも題して。
板近:板近流ですか(笑)。さすがにそこまで濃い話はできないと思いますが。
山口:(笑)。まぁ、気楽に語っていただければ。
熱帯魚の名前は日本語以外も検索
板近:情報といえばまず魚の名前がありますよね。
山口:名前を起点に調べることは多いでしょうね。板近さんはどんな感じで魚の名前を使っていますか。
板近:私は「最初に知った名前」以外でも調べたりしますね。
山口:最初に知った名前以外……ネオンテトラを、学名の「Paracheirodon innesi」と調べたりとかですかね。
板近:そうですそうです! 多くの方が実践されている、定番の方法であるとは思いますが。
山口:なにか具体的なエピソードなどありますか。
板近:学名ではないですが、ジムナーカスを調べていたときに「Aba Aba」と呼ぶと知って。早速、Aba AbaとGoogleで検索したんですけど、ジムナーカスがあまり出てこなくて。画像検索で上の方にいくつか並ぶなど、全く引っかからないというわけではないのですが。
山口:そうでしたか。
板近:どうも、ジムナーカスとは別のAba Abaがいろいろと出ているような感じなのですね。
山口:ABAというバンドもあったし、検索結果が混在しそうです。
板近:それで「Aba Aba fish」と検索したんです。そしたらジムナーカスの数が増えまして。
山口:そうした絞り込みは、みなさんが使うテクニックだと思いますが、マイナー分野では特に有効かもしれませんね。
板近:ええ。しかし、Aba Abaって印象に残りやすい言葉ですよね。
山口:覚えやすいですね。また、板近さんが好きそうな響きでもある。
板近:好きだと思います。ジムナーカスを見ていると「アバアバジムナ-ちゃん」という歌が脳内で流れる時があるくらいには(笑)。
山口:久しぶりですねジムナ-ちゃん。板近さんの想像上のキャラクター、可愛い熱帯魚の回以来の登場かな? まさか歌まであったとは(笑)。
単語の組み合わせで変わる検索結果
板近:検索する際の絞り込みって面白いですよね。単語の組み合わせ次第で結果が変わってきたりもするので。
山口:何か面白かった組み合わせ例などありますか?
板近:そうですね……たしか、オリノコ川だったかな? ちょっとどの川を調べていた時の話かは忘れてしまったのですが、仮にオリノコ川として話を進めていいですか。南米の川の動画が見たくて、調べていた時の話で間違いはないので。
山口:いいですよ。
板近:最初に私がやった組み合わせは「Orinoco river」であったんですね。その後「Rio Orinoco」という組み合わせをして。それから「Rio Negro」など別の川の動画を探す際にも使ったり。Rioという言葉を使うようになったおかげで、組み合わせのバリエーションが増えたことをよく覚えています。
山口:Rioも川を意味しますからね。
板近:ええ。
山口:こういう「覚えておくと世界が広がる言葉」は意外と多いですよね。
板近:気になる言葉があったらとりあえず検索というのもいい手段ですよね。
山口:そうしているうちに覚えていきますからね。
板近:言葉が蓄積されていきますよね。また、そういう時に自動翻訳が役立つんですよね。
山口:自動翻訳は便利だよなぁ。とくに魚のことになると、多少読みづらい部分があったり、誤訳があっても補完しやすいから。
板近:好きなジャンルだからこそってありますよね。また、翻訳があるおかげで、情報サイトだけでなく、掲示板みたいなところでの海外のアクアリストのやり取りが見れたり。
山口:海外だとフォーラムかな? そういうところを見ていると、案外、海外の人も日本の人とあまり変わらないというか、悩んだりするところはけっこう同じかもしれないと思いますね。
板近:そういう視点で見たことはなかったですが、言われてみると。
山口:日本の熱帯魚文化は海外や洋書を追っかけていた時期も長いし、感性が近いところもありそうです。
板近:実際に私も同じ悩みを持っている方の書き込みを見つけて、参考にさせてもらったことがありますね。
山口:例えば、pHを大きな指標にするところ。あれなんかはドイツほかヨーロッパ由来じゃないかな。ヨーロッパは硬度が高いらしくて多くの熱帯魚が好む弱酸性の軟水を得にくい。そんなこともあってpHや硬度を気にする文化ができて。
板近:それが日本にも入ってきたと。
山口:日本の水は、大体の地域において中性付近であるし硬度も低いので、気にする場面はヨーロッパより少ないはずです。ですが、熱帯魚の飼育はそういう水質にシビアな国から入ってきた文化だから、pHなどを指標にする感覚も一緒に輸入されたのかもしれないと。
板近:なるほどですね。
山口:特に資料を読み込んだわけでもないし、多分に憶測の入る話ですが……ただ、まあ、大きく外してはいないんじゃないですかね。
実際に飼育したか、していないか
板近:私にとって欠かせない情報といえば、やはりお店の方からの情報ですね。私はショップさんとの仕事はしていないので、プライベートで通わせていただいている中での話なのですが。
山口:そうなんですよね。机上の論理じゃないというか、上手に管理できているお店では特に説得力を感じますし。
板近:ものすごい数の魚たちを見て、世話をしてきているわけですからね。しかもずーっと。
山口:ああいうプロの立場の人たちにもう少しリスペクトというか、もっと個人に光が当たってもいいと思うんですよね。
板近:本当にすごいですよね。そもそもそういう人たちがいなければ、私は熱帯魚を飼うことができないわけですし。
山口:個人の体験から言っても、飼育したことがある、ないの差はとても大きくて。ショップの人の場合は販売であるから「飼っている」感覚とはまた違うのかもしれないけれど、なんにせよ体験しているから説得力がある。
板近:説得力ありますよね。またマニアックな魚であったりすると、お店の人からしか飼育情報が聞けなかったりもしますし。
山口:今はネットでいろいろと情報が手に入るから、それなりに知られた種などでは、事前に「飼育の疑似体験」みたいなとこまで行ける場合もあるかもしれない。けれど、それだけでは埋めれない部分があると思うんですよね。
板近:自分自身でも、実際に世話をした魚について語るときは、リアリティを持って語ることが出来ているなと感じます。
山口:もちろん、事前に知識をつけることは良いことなのでそれを否定するわけではありませんが、やっぱり飼ったことのあるなしは大きいんだよなぁ。
板近:さらにお店は実際に世話をしていた人から、実際に世話をしていた個体を売ってもらえるわけじゃないですか。これ、相当すごいことですよね。そこで教わるということは、魚だけでなく情報も一緒に譲ってもらっているようなもので。
ネットと一口に言っても……
山口:先程少しネットの話が出ましたが、板近さんから見てどうですか。今のネット、特にアクアリウム関連は。
板近:どんどん、幅広くなっているなと思います。たとえば、ブログ、SNS、You Tubeなどに新しい情報、濃い情報などがどんどん増えている。その分どれを見たらいいかわからなくなるということもあるかもですが、同時に質の良い情報も増え続けているわけですし。
山口:多種多様な情報がありますね。
板近:ええ。本当にいろいろな情報を見ることができます。
山口:板近さんはどんな感じでそれらの情報を探されていますか?
板近:そんな特別なことはしていないのですが、以前と比べると「Twitterでも探してみようかな。You Tubeはどうだろう」と、探す場所を切り替えることも増えたなと思います。
山口:内容については自分で判断されている感じでしょうか。
板近:そうですね。特に、実用的な話などは「良い情報だなぁ」と思っても、取り入れるかどうかは別で考えています。その情報をどう扱うかは自分次第的な感じで。
山口:それは大切かもしれません。
板近:正しくても、自分の環境に合わない情報であった場合や、自分の実力的に上手く再現できないことであった場合、つらい思いをするのは魚たちですからね。
トリコッティの動画が見れる時代
板近:山口さんは、なにかネット上で最近見た中で「よかったなぁ」という熱帯魚情報はありますか。
山口:You Tubeかな。海外の映像なのですが、トリコッティの泳ぐ水槽を見て。
板近:私にも伝えてくれた話ですね! たしかにあの時の山口さんは嬉しそうでした。
山口:(笑)。その時もお話しましたが、トリコッティは私が入社してしばらくは、国内には写真すらあまりない魚であったと記憶しています。そんな魚の泳ぐ姿が動画で見れるわけですから「飼いたい!」と切に思いましたよ。
板近:動画いいですよね。真剣に見るだけでなく、ぼんやり見るのもいいんですよね。
山口:動画、画像、文章と選択できるのもまたすごいですよね。
板近:画像といえば、先日結果発表となったフォトコンもネット上で見れる「アクアの情報」の一つですよね。
山口:魚の撮影を考えたり、魚の魅力を知る上で非常に重要な情報の一つとなっていると思います。
板近:私達だけではなし得ない、多くの人の力が集まった結晶ですよね。改めまして、参加してくれたみなさんありがとうございます。
山口:ありがとうございます。そんなコンテストを開催できたこと、本当に嬉しく思っています。
月刊アクアライフと板近
山口:さてさて、いろいろと話してきましたが、他に何かありますかね。
板近:ありますね! 熱帯魚情報を語る上で欠かせない存在と言えば、月刊アクアライフがありますから。
山口:ありがとうございます。板近さんは、月刊アクアライフからはどんな風に情報を得ていますか。
板近:実は私は長いこと、一年くらいかな? 月刊アクアライフの読み方で混乱していたんですよね。どう読んだらいいかわからなくなっちゃったというか。
山口:それはそれは。どうしたのでしょうか。
板近:私は、社外からのスタッフとして「アクアライフWEB」を手伝わせてもらっているじゃないですか。それで「もっとしっかりアクアの情報を扱えるようになりたい」と……要するに空回りしたんです。
山口:それまで読者として接していたのが、プロ意識も芽生えて戸惑ったと。
板近:ええ。割と早い段階で「アクアライフWEB編集部の一員」というポジションをいただいて、さらにアクアの雑談の話者にも抜擢してもらった。そういった、光栄に思えることが続き……。
山口:力が入りすぎてしまったのかもしれませんね。それで、解決はしましたか。
板近:現段階での結論ですが、月刊アクアライフはプロとして見る時と、プライベートで見る時を分ければいいんじゃないかなと思い立ったんですね。気持ち的には自分はまだまだプロではないと思うところもたくさんあるのですが、やはり自覚することを放棄してはいけないと思いまして。
山口:シンプルですね。具体的にはどんな感じでしょう。
板近:たとえばプロとして見るときは、このブログの記事を書く時などですね。そういうときは、参考資料として月刊アクアライフと向き合う。逆にプライベートで見る時は「この魚好き!」というような自分の気持ちで見るというか。
山口:それでいいのかもしれない。私もそんな感じですよ。
板近:あれ、そうなんですね。なんだかそれは嬉しいです。
山口:板近さんの場合は、雑誌の方は関わった記事以外はノータッチですから、よけいにいろいろプレッシャーに感じられたのかもしれませんね。
板近:かもしれません。
山口:そうそう、板近さん発案といえば、今このブログで公開している連載テーマ一覧がありますが、あれは読者時代の思いがかなり反映されているのですよね。
板近:そうですね。月刊アクアライフは飼育情報など実用書的な面も大きいので、発売当初だけでなく後々に見たりする機会も多いと思うんですよね。
山口:必要性が高まったときに見直すわけですね。
板近:ええ。そんな時に、一覧があったら欲しい情報が載っている号を探しやすいだろうなぁ……と。つまりは私が欲しくて「一覧、いいかも」と思いついたんです。
山口:実はあの一覧、私も助かっていますよ。
板近:あれ! そうなんですか!
山口:会社にはコーナーごとにファイリングしたものがありますが、重たいしかさばるしで持ち運ぶわけにはいかない。
板近:月刊アクアライフには40年以上の歴史がありますもんね。
山口:ええ。そんな時、あの一覧があるとスマホでチェックできますから。取材先などでとても役に立つ。実際多くの読者さんにも活用してもらっているようですし。
板近:ほんとに嬉しいですね。ありがとうございます。
バックナンバーから感じる歴史
山口:最近見た、月刊アクアライフのバックナンバーなどありますか。
板近:最近だと、1987年6月号を見ましたね。
山口:それはまた、ずいぶんと前の号ですね。
板近:少し前に、急にアフリカのカラシンの写真が見たくなって。特集であると、まとめて何種も見ることができますし。
山口:約35年前の号か。そうした古い号ならではの、板近さん的な楽しみ方などありますか。
板近:ただ読むだけでなく、当時の空気なども一緒に感じているというか……たとえば、今話に出した1987年6月号も、私はリアルタイムではないですし、知らない時代に触れることのできる特別な時間であったような気がします。
山口:バックナンバーが、熱帯魚飼育の歴史を知るための資料にもなっているわけですね。
板近:ですね! 他にバックナンバー関連の話だと、図鑑特集号は見る機会が多いので、すぐ手に取れるところに置いてありますね。メインの本棚とは別に、小さな本棚が置いてあって。
山口:それは便利そうです。最新の図鑑号(2022年1月号)もそこに仲間入りですか。
板近:ええ。あと、バックナンバーではないですが、月刊アクアライフの最新号もその棚に置いています。
今日の話を振り返って……
山口:さて、今日の話振り返ってみてどうでしょう。
板近:今日は「熱帯魚情報の調べ方」でしたが、他の調べ物にも通づる話がいろいろ出た気がしますね。例えば私は、植物やカメラの情報を同じような感じで調べているなぁと。
山口:調べることの基本は、共通であったりしますからね。
板近:あと、調べる上で「意識せず自然とやっている小技」が多いんだなぁとも思いました。今日、改めて振り返ったからこそ、具体的な言葉にできたというか。
山口:好きなことってそうですよね。いろいろ知りたいから「どうすれば情報が手に入るのか」という問答の繰り返しで自然とスキルアップしていく。
板近:たしかにそうですね。好きなことがなかったら、今のような検索ができるようになっていなかったかもしれない。
山口:好きなことを調べるのは楽しいですからね。
板近:ええ。調べることも趣味の一部ですよね。
みなさんこんにちは。 アクアライフWEB編集部です。 本日のアクアの雑談のお題は、月刊アクアライフ過去編。 1996年に編集部入りし、2000年から2020年まで編集長を務めた山口が、90年代を軸にいろいろ …