みなさんこんにちは。
アクアライフWEB編集部です!
本日はいよいよ…………昨年末より募集させていただいた「第2回 アクアライフブログフォトコンテスト」の結果発表です!
入選(約)20作品、特選2作品、気合を入れて選ばせていただきました。
すごく素敵なお魚写真が見れますので、みなさまどうぞご覧ください!
写真って楽しいですよね。
おかげさまで第2回もすごいコンテストになりました! ありがとうございます!
アクアの雑談 アクアの雑談は、その名の通りアクアリウムに関する「雑談」をお届けする連載です。お題は回ごとにいろいろ! 雑談いたしますのは、株式会社エムピージェー出版部長で月刊アクアライフ前編集長の山口 正吾(やまぐち しょうご)と、アクアライフWEB編集部に社外からの協力スタッフとして参加している板近 代(いたちか しろ)。雑談ならではのお話を、どうぞお楽しみください。 |
※以下目次を開くと入選作品の魚種名が一覧で並びます。
たくさんのご投稿ありがとうございました!
山口:第2回 アクアライフブログフォトコンテスト。今回も、たくさんご投稿いただきましてありがとうございます。
板近:投稿いただいたみなさま、本当にありがとうございました。それとリツイートキャンペーンにご参加いただきましたみなさまも、ありがとうございました!
山口:リツイートもたくさんいただきました。重ねてありがたいことです。さて、今回は、第1回があったことで趣旨が伝わりやすかったのか、力作も多くあったと感じました。
板近:選考中にも、作品の力強さをひしひしと感じましたね。
山口:おそらくですが、このコンテストのために撮影していただいたと思われる作品もあって、こちらも武者震いしたというか。気合を入れて選考に臨まねばならないと気を引き締めた次第です。
板近:みなさまの力作に応えられるよう自分自身も成長していきたいと、そんな気持ちもありました。
山口:私は、編集としてのキャリアも長いですし日常的に写真を選ぶ作業を行なっていますが、やはりこのコンテストはちょっといつもの仕事とは異なる感じもありましたね。
板近:それはどんな「感じ」ですか?
山口:ウェブならではの距離感の近さというか、親しみを持って写真を見ていた気がしますよ。
板近:言われてみると私も、起きたらまず投稿を見て、食後に、休憩中に……と、かなり身近でしたね。
第2回 アクアライフブログフォトコンテスト入選作品発表!
山口:では、結果発表にいきましょうか!
板近:はい! では、ここでひとつ選考に関する説明を。私と山口さんは、それぞれ10作品づつ選んでいますが、別々で選んでおり、お互いが選んだ作品を現時点では知りません。なのでもしかすると「かぶり」などもあるやもしれず。
山口:かぶる可能性があるので、入選枠は「20作品」ではなく「約20作品」なんですよね。
板近:山口さんがどの作品を選ばれたのか、とても楽しみです。
山口:私も板近さんの選出が楽しみですね。そうそう、今日初めてこのコンテストを知ったという方はこちらの記事で募集詳細など確認していただくと、今日の発表をより楽しんでいただけるかと思います。
板近:そうですね。かいつまんでお話すると、このコンテストは「愛魚フォトコンテスト」で、飼育している魚が主役のコンテストとなっています。だからこその投稿ルールなどもいくつかありますのでぜひリンク先の記事でご確認いただければ。ではでは、結果発表は山口さんからお願いいたします!
魚種 コリドラス ジュリー(左) パレアートゥス(右)
山口:私の1作品めは、こちらであります!
板近:あ、タイトルやコメントつきで投稿してくれていた方ですね!
山口:「写真を見て」選ぶコンテストなので、タイトルやコメントは選考に関係しない要素ではありますが、そちらも楽しく拝見させていただきました。
板近:底床の色がまたいいですよね。
山口:実は私もそこからお話しようと(笑)。
板近:(笑)。
山口:これは五色砂かな、ファンタジー感がすごくよく。
板近:いいですねぇ。
山口:コリドラスは彩色の少ない魚ですが、その姿が淡くカラフルな世界の中でとても生かされていて、この写真の投稿者さんが見ている世界が上手に表現されているのではないかと想像しました。
板近:コリドラス同士の会話が聞こえてくるようです。
山口:板近さんはどうですか。何か注目要素など。
板近:2種のコリドラスがいる。これがまた大きな要素だと思いました。
山口:と、いいますと?
板近:違う種類が向き合っていることで、この世界はいろんな姿のコリドラスが暮らしている世界なのかなと、物語を思い描いてしまうような。そこにコリドラスの国があるような、そんな連想をしました。
山口:なるほど、想像が膨らみますよね。
板近:また、周囲のぼかし方がいいですよね。カラフルが溶けるように優しくボケている。だからこそ、よりファンタジーを感じるのかなぁと。後だけでなく、手前の砂利がぼかされてるのがまた素敵で。
山口:たしかに、このぼかし方が世界観を盛り上げている気がしますね。では板近さんの一作目どうぞ!
魚種 アジアアロワナ(紅尾金龍)
板近:私の1作品目は、こちらを紹介させていただきます!
山口:おお。もしかしてこれは星が気に入った?
板近:もちろん、そこにも目が行きました! この方も気泡を星型にされているのですよね。
山口:この方「も」……。ああ、今回のコンテストの作例として板近さんが撮影した写真、あちらにも星型のボケがありましたね。
板近:ええ。ひと目見ただで惹かれた作品ですが、自分の撮影経験と照らし合わせたことで、そのすごさがより具体的にわかり! まぁ、私の作例については、話すと長くなりそうなので……。
山口:では本編の後にでもおまけコーナーとしてどうですか。気になった人もいるかもしれないし。
板近:あ、ではそうさせていただきます。
山口:ところでこの星型、どうやって作っているんですかね。
板近:自作のフィルターを使われているようですね。
山口:そういえば(投稿ツイートに)書き添えてありますね。
板近:こうした手法って「ただ使えばいい」というものではないと思うんですね。どう使うかが、すごく問われるというか。
山口:たしかに。
板近:試しにこの方の作品の星を、手で覆って隠してもらえますか。
山口:ああ、全然印象が変わりますね。
板近:それから手をどけて星を出してみると、いかに星を効果的に使われているかがよくわかると思うんです。星無しでもいい作品なんですが、星が入るとさらによくなる。
山口:こうした撮影方法は「自作フィルター 星」でググると出てきますかね。
板近:そうですね、自作だからこそいろいろな形を作れたりして面白いんですよ! つまり、選択肢が無限とも言える中でこの方は「愛魚に似合う星」を作られたわけですね。そこもまた素晴らしい。
山口:なんだか板近さん、テンションが高いですね。
板近:フィルターも好きなので……と、私がフィルター談義に脱線する前に話を戻しますが、この方は、この特殊な技法を「どう使うか」という点において本当にすごくて。ほら、星に角度がついているじゃないですか。そのおかげで星が作品の一部として完璧にはまっていると思うんです。
山口:たしかに。これ、星が正面向きだったらまた違っただろうなぁ。
板近:「星を取り入れた」ではなく「星を操った」「星を作った」と言えるような作品ではないでしょうか。星に、必然性がしっかりとあるんですよね。
山口:細やかなテクニックであると。
板近:星の量や配置、濃さなども凄くバランスよく。また、大胆に存在するアロワナや、背景の濃いグレーがかっこよく、どこかストリートな感じのする雰囲気もあり……と、この作品について語ると落ちついていられません(笑)。
山口:ストリート……水の中ですが(笑)。でもわかる気がします。アンダーでちょっと硬いというか、そんな世界ですよね。
板近:アロワナの口元とかもめちゃくちゃかっこいいんです。巨大なサイズに印刷したらすごくいいと思う。それこそ壁一面とか。
山口:コンクリート打ちっぱなしの部屋に似合いそう。
板近:その雰囲気を作っている大きな要素が、この星使いのうまさだと思うんですよね。
山口:カメラが好きな板近さんならではの解説ですね。私が感心してしまいました(笑)。
板近:ありがとうございます。でも、作品が見事なだけで私の解説はそんなに……ただ興奮してるだけかと(笑)。では山口さんの選出をどうぞ。
魚種 イエロートーマン
山口:こちらです。
板近:あー、いいですよね。
山口:魚は横向きのカットが多いけれど、正面顔もひとつのジャンルになるのかな。これは魚の特性と写真がうまくマッチしているなと。
板近:たしかにマッチしています。
山口:への字口で、赤い眼の上側には吊り上がった眉毛に見える模様もあり。
板近:眉毛可愛いですよね。私もそこに目が行きました。
山口:おそらくこの魚はそこそこヤンチャで、それを表現した写真がこちらだと思うんですね。日常にある1シーンを切り取って雄弁に語っているというか。
板近:なるほどですね。
山口:いい写真だと思ったし、魚と飼育者のいい関係も伺えた。可愛がってるんだろうなぁと。
板近:色もいいですよね。魚種名のイエロートーマンが作品タイトルに感じるくらい見事なイエロー。この写真ではじめてイエロートーマンを知ったという人も「だからイエロートーマンなのか!」と思うのではないでしょうか。
山口:たしかに、色の良さも伝わる1枚ですね。
板近:あ、この方は前回も入選された方ですね。あのオセレイトスネークヘッドの写真で!
山口:あの魚もいい顔してたなぁ。
板近:2回連続スネークヘッドのアップで入選! 前回の作品は今回とはまたテイストが違うので、まだ見ていないという方は前回の結果発表を是非。
山口:このコンテストは「人」で選考することはありませんが、こうして再び投稿してくれたというのは嬉しい話ですね。しかし今回も見事な顔だなぁ。では、板近さんどうぞ!
板近:はい! 私のお次、行かせていただきますね!
魚種 グリーンジェットダータテトラ
板近:実は私も、正面顔の写真を選考させていただいていまして。
山口:なんか笑いました。微笑ましい。
板近:私は今回選考する際に、どこに惹かれたかなどのメモをとりながら進めたのですね。自分の過去のコメントを振り返って見て「落ち着きがないなぁ」と思って、メモを書いたら少しは落ち着けるのではないかという試みなのですが…………うん、すでにだいぶ落ち着きがないので、作戦は失敗なようです(笑)。
山口:(笑)
板近:だいたい数行のメモになるのですが、この魚のメモには……。
山口:なんと書いてあるのでしょう。
板近:「表情がよすぎる」と一言だけ書いてあるんです。
山口:わかる気がする。私も、遠くから目が合っているような、お互い目があって「え?」みたいな、そんな感覚がありましたよ。
板近:こう、会話できそうな感じ。ポーズとかもすごくよいので「表情だけがいい」というわけではないのですが、あまりにも表情がよすぎて、当時の私はそうメモをとるしかできなかったと思うんですよね。
山口:これアップだったらどうですかね? 魚の顔をドアップで。
板近:表情がよすぎるので、アップにしても間違いなくいい作品であると思うのですが、この背景があるからこそ絶妙な距離感が演出されているとも思うんですね。なのでどちらかと聞かれたら、私はアップではなく今の作品を推させていただくと思います。
山口:私もそう思います。漫画だったらこの画角のまま集中線を入れますよね、多分。画角と魚の大きさのバランスが絶妙なんだよなぁ。
板近:集中線は合いそうですね! 私は逆に何も入れないで、時間が一瞬停止したような感じかなと。
山口:そっちもあるか(笑)。なんにせよ、1枚の写真でこれだけ語れるのだからものすごいパワーがありますよね、この写真には。
板近:命のパワーですよね。
山口:命の……か。
板近:感じますね、命のパワーを。ではでは、山口さんお願いいたします!
魚種 アジアアロワナ 過背金龍
山口:まず、めちゃくちゃすごいアクアリストだというのが「がつん」と入ってきて。
板近:簡単に想像できる混泳ではありませんよね。
山口:アロワナとディスカス、エンゼルの混泳は、取材先で見ることはあるのですがかなり稀で。魚が多いのでコケが出やすい環境ではあるのでしょうが、水草もきれいに育っている。魚もひねていたりしてないし。
板近:ええ、水草も魚も綺麗です。
山口:まずはアクアリストとしての畏敬の思いが湧き、また絵としても鮮やかであるし。
板近:要素が多いのに見やすいんですよね。
山口:見やすいですね。
板近:もしかすると、その見やすさは青が効いているからかもしれませんね。魚の青、背景の暗い青、水草に落ちている影の青……。
山口:なるほど。照明に青が入っているのかな? なんにせよ、ディスカスの青も綺麗だし、アジアアロワナの藍底もきちんと伝わってくる。
板近:また、魚がくっきり写し出されているのがいいですよね。
山口:これがスマホで撮った写真だというのだから、すごいですよね。いろいろな意味で驚いた作品です。
板近:スマホのカメラもカメラである。これを再認識させられますよね。サッと気軽に撮るためだけのツールではない、作品作りもできるツールだと。
山口:応募条件に「撮影機材を記載してください」と加えたことが嬉しくなる一作です。ではお次どうぞ。
魚種 ペルビアングラスダーターテトラ
板近:「コンテストは終わるまでわからない」と思わされた作品です。こんな素晴らしい作品が募集期間最終日に投稿されるわけですから。
山口:見事ですよね。ギリギリまで粘って撮ってくれたのかな。
板近:下の葉脈と暗い背景が半々くらいで。魚の顔は暗い背景のところに持ってきてあり……。とにかく、バランスがすごいですよね。
山口:ええ、息を飲むようなバランスです。
板近:また、魚がここに来ていないと撮れない1枚じゃないですか。このコンテストに共通する条件でもありますが、生き物が相手だからこそシャッターチャンスが限られやすい。それでこのバランス! 魚の位置や角度も完璧すぎるんです。
山口:板近さんも以前葉脈の上のエビを撮っていましたね。その経験と照らし合わせると、撮影の難しさなどどうですか。
板近:あの写真は、エビが動くのもあって、なかなか「よし!」と思えるまでのバランスで撮れなくて何度も撮ったんですよね。しかも、エビが去ったら終わり。エビが葉脈の上にいるタイミングに立ち会えなければ、撮ることすらできないんです。
山口:そうですよね。
板近:そういう経験もあってか、この作品の完成度の高さには体の底から震えあがるような感覚がありましたよ。
山口:おっしゃる通り、とても完成度の高い作品で。この葉脈だけ残した葉っぱ。これが魚の舞台になって、透明感のある魚をとてもよく引き立てている。
板近:葉脈の透けと魚の透けの違いがまたよく、やはり「完璧」という言葉が思い浮かんでしまうんですよね。またピントの合わせ方のクオリティがすごいんです。
山口:絵で描いたような作り込みで。力作です。
板近:背景の緑も絵で描いたような。でも作為的ではなく、自然で。それがまた魅力なんですよね。それが真四角に収まっているのが本当にいい感じで。では、山口さん次の作品お願いします!
魚種 シュードトロフェウス・アセイ
山口:大野麥風という画家がいて、以前、東京で個展があった際に足を運んだのですが。とても気に入って。
板近:以前山口さんが(オフで)とても好きだとお話しされていた方ですね。
山口:はい。その方の絵では描かれている魚たちがとても生き生きとしているんですね。飄々としていて、どこかコミカルなところもあるし、軽やかで水の流れを感じさせる。
板近:ええ。
山口:この写真を見たときにまさに大野麥風が思い浮かびまして。魚の連なり方、目線……爽やかな体色、それらが本当に良いバランスでグッときた次第です。
板近:同じ魚が何匹もいて、さらに水槽の底に映っていたりと、この魚種をいろいろな角度から堪能できる1枚ですよね。
山口:また、魚が普段なかなか見ない種類だから、「いい魚だな」「飼いたいな」などと、アクアリスト的な欲望が芽生えたりして(笑)。
板近:私もこの写真を見て、水槽で魚を飼えることの素晴らしさを改めて感じました。
山口:写真的にはどうでしょう。スマホでの作品ですが、こちらもとても良く撮れていると思うんですね。
板近:底への魚の映り込みはしっかり写っているけど、表のガラスへの映り込みはいっさいない。綺麗に管理された水槽だからこそのすっきり感もあり、魚、環境、そして写真づくりとしても、見ていて気持ち良さがあります。
山口:気持ち良いですよね。
板近:また、一匹がカメラ目線でほぼ真横から全身がはっきりと分かる形で写されているのも、アクアリスト的に嬉しいですね。顎から頬への輝きがひときわ綺麗で。
山口:魚の特徴も観察しやすいし、群れの様子も観察しやすい。
板近:あ、もしかするとこの作品に感じるのは、水の気持ちよさなのかもしれない。山口さんの言う「水の流れを感じる」というのは、こういう感覚なのかも……と思います。とてもクリアで目には見えないのに、水がそこにある感じというか。
山口:水を切って泳いでいる、そんな動きが伝わる作品です。ではお次どうぞ!
魚種 ストリソマティクティス・タマナエ
板近:お次に紹介させていただくのは、こちらの作品です!
山口:渋いなぁ。ちょっと私の選考にはない作風です。
板近:油絵などにある感情的な荒々しさを感じて、すごくいいなぁと。
山口:油絵かぁ。重厚ですよね。
板近:あとは後のオレンジ、なんだろうなこれは……これがとても気に入っていて。
山口:このオレンジが、作品に深みをもたせている気がしますね。
板近:そうなんです! この暖かい色が入ることで、作品がより情熱的になっている気がするんですよね。
山口:熱帯魚を知らない人がこの写真を見たら、熱帯魚と連想できないかもしれませんね。これは決して否定しているわけではなく、それもこの作品の魅力として。
板近:ああ、連想できないかもしれませんね。そういう意味では、熱帯魚の幅広さを知れる作品でもあるのかもしれない。
山口:作者の強い意図が感じられます。
板近:生命力を感じますよね。力強い。私はこれを見た時「お……」と、言葉が出ない感じになりました。そのくらい強さがある。
山口:これもあまり見かけない魚だし、写真とあいまって投稿者さんはかなりのこだわり派であるとお見受けしました。
板近:その魚にしかない良さがあることを、存分に伝えてくれていますよね。それはやはりこの筆使い! いや、写真なんで筆使いではないんですが、このこだわりの見せる気配は、ただならぬものがあります。
魚種 アウストロレビアス アレキサンドリー
山口:お次はこちらであります!
板近:この方は、前回アンダーにふった作品で入選された方ですね。
山口:ええ。この作品は一転して、白いバックで明るくうまく上手く間(ま)を活かしていますよね。
板近:前回の入選作品でも思ったのですが、この方は間のとり方が本当にうまいですよね。入選作以外の投稿作品を見ても、そう思います。いろいろな間を作り出して、魚それぞれの個性を輝かせている感じで。
山口:先の作品(ストリソマティクティス・タマナエ)が洋画だとしたら、こちらは日本画というか。
板近:なるほどですね。
山口:魚は卵生メダカですが、種としては渋いところをついているというか。私も時折魚の撮影で白バックは使いますが、この手の卵生メダカで白バックという発想が起きないし、そういう写真も見た記憶がないかな。だいたい黒。
板近:お仕事で白バックを使う山口さんだからこそ。
山口:白いバックと微妙なブルーの発色を見せる卵生メダカがとてもマッチしていて。シンプルでモダンなイメージです。
板近:この尾ビレなど「綺麗だなぁ」と見惚れてしまう、気がつくと時間が経っている1枚だと思います。白背景で、各ヒレの点々模様がより際立っているんですかね。
山口:たしかに。
板近:また魚の下にある柔らかい影が、魚が浮いていることを教えてくれて、空間性を感じるのもいいですね。これも、間のひとつですよね。
山口:シンプルな中に奥行きがありますね。
板近:魚のポーズも立体感を生み出していますよね。そうそう、前回の作品でも、この方はそうした複数匹の関係性をうまく捉えられていましたよね。なんというか、魚と魚のあいだにも絶妙な間(ま)があるんですよね。
山口:正面顔アップの作品があると思えば、こうした間を生かした作品もある。本当に多様性のあるコンテストです。ではお次を!
魚種 アピストグラマ・オルテガイの親子
板近:こちらの作品です。
山口:この方は(ひとつのツイート、同じ魚種で)四枚投稿していただきましたが、その中でこちらを選んだということですね。
板近:はい。こちらの1枚「ポストカードにしたい」なんて、思いまして。
山口:水槽の枠まで入った面白い構図ですが。ポストカードとは言い得て妙ですね。
板近:まさに枠を上手く使われた表現だなと。個人的にはネームプレートが見切れているのが好きです。見切れてるけど、名前はちゃんと読める。
山口:うんうん。木枠の色合いと流木の色合いと。
板近:魚の鮮やかさと。
山口:とても良い対比です。
板近:そこに稚魚!
山口:稚魚がポイントですよねー。
板近:ええ! このシーンをこの構図でとらえたからこその作品ですよね。ネームプレートの雰囲気や色合いも、いい感じで。
山口:水槽の中の世界であることが一目でわかり、その水槽でのドラマが切り取られ、アクアリストと魚の距離感と言えばいいのかな……共感できるものがありますね。
板近:まさにアクアリストならではですよね。
山口:このコンテストらしい作品でもあると思います。
板近:枠を写すことで、飼育魚、つまり愛魚であることを表現しているともとれますね。それではお次お願いします!
魚種 パープルレインボーホーリー
山口:こちらですが。
板近:いいですよね!
山口:これは見た瞬間に「いい魚だ!」と。こちらもまた「飼いたくなった系」の写真で(笑)。
板近:この作品も顔がめちゃくちゃいいですよね。
山口:プレデターの目つき、そして牙。太い体も迫力があり、ヤバい魚だと一発で伝わってくる。
板近:私は、ダンクルオステウスなんかを思い出しました。
山口:そうそう、ダンクル、まさにその感じ。甲冑魚のような無骨な感触。
板近:その迫力でこの色。べったりのった青のメタリック。
山口:この写真は、撮ったままの画角ではなく、トリミングしてこの魚の良さを引き出しているのかもしれないな……とも思いました。まぁ憶測ですが。
板近:そうしたテクニックを使って作品を仕上げてくれた方もいるのでしょうね。
山口:ええ。
板近:またこの魚、背ビレがかっこいいですね。飼いたくなるという気持ちもわかります。動画とかも見たくなってしまう。この1枚は、最強の魚紹介ですね。
山口:魚の良さがダイレクトに伝わってくる、そんな作品であると思います。
板近:伝わりますね。あとこの胸ビレめっちゃ可愛いですよね。前後にふって。
山口:それではお次をどうぞ。
魚種 グッピー リオタキノ
板近:こちらです。
山口:おお、これはまた。どんなところがお気に入りで。
板近:シャープだけどラグジュアリー。洗練された豪華さといいますか。
山口:わかるようなわからないような……もう少し噛み砕いてもらえますか。
板近:とても鋭い形のヒレを持っていて、色も多いのだけどまとまっていて、とても洗練された豪華さを持つ魚だと思ったんですね……と、これ同じこと繰り返しただけですかね(笑)。
山口:なんとなく伝わりました(笑)。
板近:グッピーの後にある、グッピーとほぼ同じ角度の赤あるじゃないですか。深い赤。これが格調高い絨毯にも感じられるような、背景からなにからなにまで、このグッピーのためにあるような、そんな感覚を覚えまして。
山口:これは水草かな。いろいろと、うまく表現できていますね。
板近:ええ。細かい話ですが、魚の周りに粒子のようなものが飛んでいるんですね。これがグッピーの顔より先にほとんどなく、顔より後には点在するということなども、この作品のクオリティに繋がっているのだと思います。少ない要素で見事にまとめあげられている作品だと感じました。
山口:魚にも注目しました。リオタキノといえば筒井良樹さんが発表されたグッピーですね。こんなところで出会えるとは。天国にいる筒井さんもこの写真を見たら喜ぶんじゃないかな。
板近:本当に素晴らしいグッピーですもんね。とても綺麗に育て上げられていますし。
山口:ええ。それにしても、板近さんはアンダーな写真がお好きですね。
板近:意識して選んでいるわけではないのですが、あとから見るとアンダーな写真が多いですよね。そうそう、この方はアンダーな感じの作品を他にも投稿してくれていますよね。統一感あって、続けて見ているとすごくよくて。コンセプトをバシッと決めた写真集のようで。
山口:写真集。うん、そうかもしれない。
板近:このコンテストはそういう楽しみ方もできてしまうので、本当にヤバいです。では山口さんどうぞ!
魚種 カムルチー
山口:こちらです。カムルチーのゴールデンかな。
板近:この作品、水がめちゃくちゃ気持ちよさそうですよね。
山口:「投稿」の醍醐味を見たというか、「こんなモンスター飼っていますが?」という自信みたいなものを感じました。
板近:なるほどです。これは太陽光ですかね。魚に映る波紋がすごくいい。
山口:太陽光だと思いますよ。池飼いしているのかな。
板近:本当にすごい色で……言葉を失うとはこういうことですね。
山口:うーん、もう説得力しかないですね。
板近:説得力ですね。
山口:個体を見せられて負けましたと。
板近:また、すごくきれいな眼をしていますよね。宝石みたい。
山口:ブドウ眼かな。
板近:ぜひ、読者さんたちには、拡大して目をみてもらいたいですね。それから、全身を見るとまたよくて。
山口:近所から「あそこの家には龍が棲んでいる!」と言われていそうな神々しさです。
板近:龍、棲んでますね。
山口:うん、やっぱり説得力がすごいなぁ。
魚種 バトラクスキャット
板近:お次はこちらです! 最初見た時、映画のセットかと思いましたよ。
山口:この写真は私も引っかかるものがありました。光の使い方が上手いですよね。空間の広がりを感じさせる。
板近:感じますね。
山口:また板近さんはバトラクス好きだから。
板近:バトラクスの怪魚っぷりが見事に表された1枚で「ずわっ……!」ときましたよ。
山口:廃墟をねぐらとするモンスター的な。
板近:後の塩ビ管が効いてるんですよね。
山口:そうそう。まさに廃墟はそこからの発想で。
板近:私が映画のセットと感じたのも、そこが大きいと思います。なんていうか人智を超えていますよねこの写真は。
山口:人智……ですか。毎度のことながらコンテストでの板近さんのワードセンスには驚かされます。
板近:多分、いつもにまして冷静さを欠いているからかと思います。作品がいいから、感情的になってしまうし、壮大な言葉も出やすいのかな。
山口:前回は「涅槃」も出ましたよね。あ、あれは私のコメントか(笑)。板近さんは「宇宙」でしたね。
板近:涅槃、宇宙、ありましたね。
山口:まあ、私も冷静さを保てない。そんなイベントなのだと思います
板近:魚から背景まで色々語りたくなってしまいますし、喋れば喋るほど落ち着かない。ただでさえこの雑談はお題が毎回「アクア」ということでテンションが上がりやすいのに、フォトコン結果発表回はもう、やばい。
山口:(笑)。ではでは、テンションはそのままでコメントを続けてください。
板近:はい! 投稿者さんも深海感と書かれているように、人の手がそうそう及ばない世界という感じがする作品だと思うんですよね。このまわりの粒が、マリンスノーのようにも感じられ。
山口:バトラクスもフウセンウナギのようであるし、たしかに深海感は強い。
板近:「じゃあこの魚に当たっている光は何の光だ?」ともなり。それがまた、未知なる空気感を作っていると思うんですよね。深海探査艇の光かな?
山口:深海系の映画のポスターでもこんな光の使い方をしていたような気がしますね。
板近:あ。言われてみるとそんな記憶も。つまりは、おさえるところをしっかりおさえた表現でもあるのですね。
山口:この控えめな光が、うまく水底を表しています。
板近:ええ。本当に水の底ですね。では山口さんお願いします!
魚種 シルバーダラー
山口:こちらの方はいろいろな作品を投稿されていて、どれもが印象に残るんですが。
板近:これもまた印象的な作品ですね。
山口:シルバーダラーを題材にここまでスタイリッシュな作品が撮れるのかと。まずは感服です。
板近:ええ、感服です。
山口:シルバーダラーは古典的な熱帯魚で、最近はあまり見かけないかな? ともかく、この後からの角度にしても、魚との距離感と言えばいいのかな、そういう個性があるし。
板近:ええ。
山口:多分、真珠のように輝くこの鱗に、投稿者さんは美しさを感じたのではないかと。それでこの角度なのだろうと。
板近:鱗すごいですよね! こう、シンプルでありながら、部分部分で違う雰囲気を見せてくれるのがまた。
山口:よいですねぇ。
板近:写真全体の仕上がりも都会の夜というか、窓に映る街明かりみたいなかっこよさ、クールさみたいなものも感じるような。
山口:感じますねぇ。
板近:魚が主役でありながら、主張しすぎず、でもその持ち前の良さはしっかり伝わる。主役の魚以外は全てぼかされていて輪郭が隠されているのも良い演出になっているのかな。
山口:魚に引き込まれます。
板近:都会的と言いましたが、同時に水中感もすごく感じますよね。現地の水中写真みたいな。本当に独特の空気感があります。
山口:ちょっと、今までに見たことのない感じの魚写真です。次、板近さんですよ。
魚種 ミクロラスボラ エリスロミクロン
板近:こちらです!
山口:これはまた板近さんらしからぬというか。
板近:あ、たしかにアンダーめの写真ではないですね(笑)。
山口:そうそう(笑)。どんなところが気に入りましたか? 板近さん的なポイントをぜひ。
板近:すごく優しい風合いで。目が疲れているときに見たら、すっごく癒やされそうな。
山口:優しいですね。
板近:あとこれ、真四角かなと思ったらちょっと縦長なんですよね。
山口:ええ。
板近:真四角のものを少し斜めに見上げたような、たとえば30キューブ水槽をちょっと角度つけて見上げたような、そんなバランス感だなと思うんです。真四角の水槽って、ちょっと角度つけて見ると、真四角じゃなく見えるじゃないですか。
山口:うんうん。
板近:そんな、視覚的に自然な感じがする縦横比なのかなぁなんて。それがまたこの優しい風合いとよくマッチして、目に優しい仕上がりになっているのかなと。
山口:そういう写真の見方もできるんだなぁ。
板近:私も「なんだろうこの見ていて落ち着く感じ……」と思って見とれる中で、偶然発見したので。
山口:他にポイントはありますか。
板近:そうですね。右上のピンクの差し色とか……個人的にすごく好きなのはボケている魚たち! ピントがきている魚と同じ魚であることがちゃんとわかるけど、いい風にボケていてこの優しい絵を作っていると思うんです。
山口:平和な感じですよね。ボケ味が効いている。
板近:どちらもすごく甘いボケ方で。マクロレンズを上手く活用されているのかな。
山口:スマホにマクロ、私も試してみたくなりました。
板近:私も持っているので、今度魚を撮ってみたいと思いました。山口さんどうぞ!
魚種 キラセリナ・アレニー
山口:これはもう、単純に図鑑的な楽しみ方をしてしまって。「うわ、飼いたい!」と(笑)。
板近:(笑)。でもこれは、そうなるのわかります。
山口:これもまた投稿写真の醍醐味で、他の人が仕上げた魚を見られるわけだから。アクアリスト的には感じるものがありますよ、やっぱり。
板近:そうですね。この作品もとても優しい風合いですね。色鉛筆で描いたような。綺麗だなぁと思った色だけを使って描いた絵のような。
山口:ええ。それに背景がまた明るくて。
板近:「明るい水槽でこの魚を飼いたい」となりますね。
山口:魚の魅力をとてもよく引き出している。これを仕事として狙って撮ろうとなると、魚探しから始めて飼育、それに水草の維持もあるし、かなりの仕事量になるけれど、こうして投稿で見せてもらえるわけだから……。
板近:はい。
山口:このコンテストをやってよかったなぁと(笑)。
板近:ですね(笑)。この魚を見ていると、昔の人はこういう自然の美しさに憧れて、美しい布とかを生み出していったのかなぁなんて思いますね。
山口:なるほどねぇ。たしかにそうかもしれません。またまた素晴らしい想像力です。
板近:ちょっと今回、私褒められ過ぎなのでカットしていいですか(笑)。
山口:(笑)
板近:しかし、このコンテストはこうした「図鑑的写真」も、非常に良いものばかりでしたね。
山口:魚を見て楽しむという基本的な部分でも、すごく楽しませていただきました。
板近:そうですね。しかし、この作品は優しい清涼感がありますね。その泳ぎが見えるようです。
山口:お次、板近さんですよ。
魚種 レインボースネークヘッド
板近:はい! 次はこちらの作品です!
山口:これは私も注目していた写真です。X(エックス)ですね。
板近:Xですね。
山口:改めて見ても、いいXだなぁ。
板近:この景色の中に魚一匹でもいい写真になったと思うのですが、さらにXですからね。
山口:スネークヘッドにおいて混泳の効くレインボーならではの写真であって。落ち葉もまたいい雰囲気。センスがあるなと思うし、このカットを撮るまでに時間かかったろうなとも思う。力作ですね。
板近:力作ですね。そういえば、この方はストロボを使われているのですよね。
山口:撮影機材にサンパックのストロボと書いてありますね。
板近:実は私は、魚の撮影ではストロボを使ったことがなく、その点は詳細にコメントができないんですよね。
山口:私は魚の撮影にストロボを使うことがありますね。
板近:ぜひ、その視点からコメントしていただければ。
山口:この作品は上手く光が回っていますよね。やや後ろの上からと前から炊いているのかな。ディフューザーや傘の使い方で影の出方も変わるのでなんとも言えないのですが。
板近:背景も真っ白ではないんですよね。この風合いもストロボでうまく出しているのかな。
山口:なんにせよ、魚がぐっと引き立っていますよね。その時点でもストロボを効果的に使われているのがわかります。
板近:この方は他の作品でも、光を見事に操ったと思われる作品がありましたね。
山口:今どきのカメラはISOがいいから水槽の照明でも綺麗に撮れますが、あえてストロボを使ったところにこの方のこだわりが感じられます。きっと普段から使い慣れているのではないかと。
板近:光と魚、双方のことをわかってないと撮れない作品なのだろうなぁ……なんて思いました。いろいろな意味での理解を求められるのかなと。
山口:ええ。
板近:この作品を初めて見たときに「自分には撮れない風合い」を強く感じたのですが、それは投稿者さんの、光に対する実力がしっかりと現れた作品であったからかもしれませんね。
魚種 アジアアロワナ 紅龍
山口:私の最後のエントリーはこちらです。
板近:この作品、すごかったですね!
山口:写真に貫禄があると言えばいいのか……。いいアジアアロワナを飼っているなとか、水槽は広いんだろうなとか、混泳しているのにあまり傷がないのは見事な腕前だなとか、色々と思うところがありました。
板近:たくさんのアジアアロワナを見てきた山口さんだからこそ。
山口:水槽の照明で撮っているのだろうけれど、過度に赤いライトではないと思うんですよね。
板近:つまりは個体の赤さ。
山口:ええ。そこに飼育している方の自信がちらりと見える。板近さんは、何かありますか?
板近:私はこの写真を見て、すごく不思議な感覚に陥ったんですね。
山口:不思議な感覚とは。
板近:見事に赤いアロワナが3匹、そして後はガーかな。背景黒でまとめて、魚だけで立体感を感じる作品だと思うんですが。
山口:ええ。
板近:個体の大きさの違いから、遠近感がつかめないというか。
山口:そうそう! 特に手前の個体は光が当たっていないし小さいしで、メインの魚の後ろにいるのかな、と思いきや手前にいるんですよね。
板近:また、そのアロワナが3匹とも画面の中に収まってるから。余計に目が狂うんですよね。そこがすごく好きで。
山口:写真作品として見てもすごく面白い。そういえば、今回の大会はアジアアロワナの投稿が多かったのも特徴のひとつですよね。
板近:どれも見ごたえありましたね。
山口:うん、どれもいい写真だったなぁ。
魚種 ブルックトラウト&レインボートラウト
板近:私が推薦させていただく最後の作品は、こちらです。
山口:いい写真ですね。
板近:こちらの作品ですが、募集開始早々に投稿してくれた作品で。最初見たときから「これは10選として挙げさせてもらうことになりそうだ!」と思っていたら、やはりそうなって。
山口:そうでしたか。どんなところが気に入ったのでしょう。
板近:こう、火を食べているみたいじゃないですか。
山口:火を?
板近:ええ。手前の魚の口のところ、オレンジ色の火のように見えません?
山口:……そういう見方はしなかったなぁ。言われてみれば、そう思えてくるというか。本当に人それぞれです、受け止め方は。
板近:もうそれがすごく印象的で。2匹の魚が火を食べようとしている……それが民話というのかな、伝説を聞いているかのようで。
山口:伝説が出ましたか(笑)。
板近:なんかそういう伝承ありそうじゃないですか。
山口:ありそうですね。魚の躍動感や魚が巨大に見えるサイズ感などが、いろいろな想像の起点になるのかもしれない。
板近:躍動感すごいですよね。まさに「火を食う」という感じ。
山口:私は釣りが好きで、特にマスの釣りをするんですね。
板近:そうお話されていましたね。
山口:それもあり、水上からの写真はよく見るのですが、餌を競うように食べている写真は見たことがないかもしれない。ひと目で、ああ、この水は冷たそうだなと思ったりして、個人的にも入り込めた写真です。
板近:実際にフィールドに出かけることのある山口さんだと、なおさらでしょうね。
第2回フォトコンテストの特選はこの2作品!
山口:それでは特選の発表ですね。一度ここで、板近さんより特選の選び方について説明していただけますでしょうか。その後に、私から景品を紹介させていただくということで。
板近:はい。特選は、山口さんは私の挙げた10選から、私は山口さんの挙げた10選から、それぞれ1作品づつ、合計2作品を選ばせていただきます。
山口:自画自賛になってしまいますが、私はこの特選の選出方法はなかなかいいなと思っていて。実は、そこまで深く考えたものでもないのですが、板近さんに委ねる部分もあり自分で決める部分もありと、面白い選出方法ではないかと思います。
板近:私もこの選出方法は好きですね。
山口:では、景品を紹介させていただきますね!
板近:お願いします!
山口:アクアライフオリジナル根付は両名! さらに私が特選に選ばせていただいた方には「ジェックス メガパワー6090」、板近さんが特選に選んだ方には「テトラ パワーLEDライト60」がそれぞれ贈られます!
板近:メーカーさん提供により実現した景品ですね! ご協力いただいたメーカーさん、ありがとうございます!
山口:ありがとうございます!
板近:この雑談を公開する際には、以下に景品の画像を貼らせていただきますね!
山口:ではではお互い、特選を決めた後に再集合ということで。
板近:はい!
山口特選
山口:お待たせしました。悩みに悩みましたが、なんとか決めることができました。
板近:特選決め、難しいんですよね。
山口:難しいです。
板近:では、発表お願いいたします!
山口:それでは…………私が特選に選ばせていただいた作品はこちらになります!
板近:素晴らしい作品です。
山口:魚もいいし写真もいい。
板近:背景もいいし色合いもいい。
山口:一眼であるので、この画角はトリミングしているのかな?
板近:どうなんでしょうね。撮影時に真四角を選択できたりする製品があったりもするので。
山口:なるほど。手法はともかく、この真四角も素晴らしい。
板近:真四角がとても生きていますよね。
山口:手の込んだ作品でありながら、アクアリウムならではの自然観もあり。とても目を引いた作品でした。
板近特選
板近:私が特選に選ばせていただいた作品はこちらになります!
山口:いい作品です。どんなところがよかったですか。
板近:赤の魅力といいますか。
山口:赤の魅力とはまた。
板近:本日お話した、この写真の遠近感がわからなくなる感じ。そのなんとも不思議な感覚が「ああ、古代魚なんだなぁ」と思わせたり、幻想的であったり、強烈であったり。
山口:うんうん。
板近:個体全てが魅力的で、被写体、いやこの場合はモデルさんといったほうがいいかな。魚たちがモデルとして素晴らしい役をこなしていて。そこからも、投稿者さんがこの魚たちのことをよく理解されている事が伝わってきました。
山口:伝わってきますね。
板近:また、写真として魅力的な仕上がりになっているのは、投稿者さんが魚たちを1枚に、見切れないように収めたからであるとも思ったんですね。動く被写体を複数、これだけ綺麗に収まるように撮るのって簡単ではないと思いますし、また、一番後ろのガーもなんか嬉しくて。
山口:そういう隠れキャラ、板近さんは好きですよね(笑)
板近:はい(笑)。ガ-にも赤い光が当たってるのかな? その赤の統一感もいいし……なんか、この写真は長いこと見ちゃうんですよね。
山口:赤いアロワナ用のライトを使っているんじゃないでしょうか。
板近:なるほどです。そんな感じで、いろいろな理由から「愛魚を写した作品」として素晴らしいなと思いました。
フォトコン後記(第2回編)
山口:さて、特選発表を終えた今、選考からこれまでを振り返ってどうですかね。
板近:正直に話をすると、選考は非常に充実した時間であると同時に、非常にきつい時間でもありました。
山口:どんなところがきつかったですか?
板近:やはり作品の絞り込みですよね。1人あたりの枠は10選しかないですし、絞れば絞るほど「いいなぁ」と思っている作品を外していくことになる。
山口:それはありますね。
板近:でも裏を返せば、それだけ気持ちのこもった写真であったということで。
山口:さすがは「愛魚」コンテスト。
板近:すべての写真から愛情を感じるのは、このコンテストの本当に素敵なところですよね。だからこそ、選考に悩んだ事も含め「よい時間だったなぁ」と思えるのでしょうね。
山口:私としては、飼育している魚全般が対象なので作品の多様性が高く、見ていて楽しかったのがまずひとつ。
板近:いろいろな魚の、いろいろな姿が見れる。これは本当に最高ですよね。
山口:コンテストなのでどうしても選考はあるわけですが、選考に漏れた作品も含め全てにアクアリストとして共感できる部分があり、とても楽しめました。
板近:「このコンテストのおかげで(魚の写真を)たくさん見れる」というようなことを、Twitterで言ってくれた方がいたのも嬉しかったです。
山口:ハッシュタグ検索をすればこんなにもたくさんの熱帯魚が見られるわけだから、投稿してくれた方や、また投稿はしなかったけれど興味を持ってくれた方は、楽しんでくれたのではないかなと思います。
板近:みなさんのおかげで「#アクアライフ写真コンテスト」は、かなり見ごたえのあるタグになっているのでぜひ検索を。
山口:ぜひ、お願いいたします。そうそう、それなりに期間はあくとは思いますが、また「次回」も開催したいと思っていますので、我こそはと思う人はそれまでに写真を撮っておくのもいいと思いますよ。
板近:次回のために今から撮り始める……そういう人がいたら、とても嬉しいですね。
山口:「水槽の状態も魚の状態もいい」のは期間限定であるので、意外と直前だと難しいと思うんですよね。掃除をしなければコケも生えるし、婚姻色などは時期が限られていたりする。ですから「今いい!」と思ったその時にシャッターを押していただくのがいいと思います。
板近:すでに、次回開催が楽しみになってしまいますね。
山口:ですね。
板近:いや、なんか「終わった-!」というこの感覚。特別ですね。
山口:格別です。雑誌の締切とはまた違った爽快感がある。
板近:今から、投稿作品をもう一度振り返りたくなります。
山口:私もハッシュタグ検索で楽しむことにします。それでは、最後になりましたが、参加してくれたみなさま、リツイートなどで応援してくれたみなさま、ありがとうございました!
板近:ありがとうございました! そして、入選の方、特選の方おめでとうございます!
山口:おめでとうございます! 次回参加も、お待ちしております!
板近:そうそう、本日特選に選ばれた2名様、そしてリツイートキャンペーンに当選した3名様にはTwitterアクアライフ編集部アカウントよりDMを送らせていただきますので今しばらくお待ち下さい!
山口:フォローを解除してしまうとDMが送れなくなってしまいますので、外さないようお願いいたします。なお、リツイートキャンペーンの当選者様の発表は、景品の発送をもってかえさせていただきます!
おまけ! 板近による作例写真の解説!
山口:結果発表の中でも少し話に出ましたが、今回は作品募集期間中にこちらから「作例」を2つ出させていただきましたね。
板近:ええ。
山口:作例をツイートするたびに反応があり、投稿いただいたのも嬉しかったですね。
板近:はい! 作例を見てくれたみなさま、ありがとうございます。
山口:そんなライブ感もこのコンテストの魅力かもしれません。あの作例は2枚とも板近先生によるもので……。
板近:いきなり先生付けはびっくりするんですが(笑)。
山口:(笑)。ではでは、先生に作例について解説していただきましょう。
板近:あ、私のことをあまりご存知ではない読者さん向けに補足しておくと、私はプロカメラマンではないですからね!
山口:早く解説を(笑)。
板近:はい(笑)。では、お言葉に甘えて1枚目の写真からですね。こちらは機材の個性がわかりやすい写真を撮りたいなと思っていたんですね。
山口:板近さんらしいですね。
板近:それで選択したのがこのレンズで。
山口:ちょっと難しい名前のレンズでしたよね。
板近:旧ソ連で設計されたレンズで、レンズそのものにもキリル文字でレンズ名が書かれていたので、それをそのまま「ИНДУСТАР-61 Л/З-МС 2.8/50」と記載させていただいたのですが……わかりづらかったですよね。Twitterでも「このレンズなんだろ?」と悩ませてしまったりして。すいません。
山口:そのレンズ名だと、検索しても日本語のサイトがなかなか出てこない時があるんですよね。
板近:機材名を書いているときは「このレンズはキリル文字個体だから、それをそのまま書かねば!」と、検索結果まで気が回らず……。というのも、ソ連系のレンズは英語表記の個体とキリル文字表記の個体があったりしますので……それを正確にと。
山口:なるほど、そんなこだわりが(笑)。
板近:今回使用したレンズについては、英語表記で「INDUSTAR-61 L/Z-MC 2.8/50」と調べていただければ、レンズの情報が拾いやすいかと思います。詳しく解説してくれているサイトさんなどもありますので。改めまして、レンズを気にしてくださった方ありがとうございます。カメラ好きとして、嬉しかったです。
山口:あの反応は、板近さんの立場であると嬉しいと思います。
板近:実はかなり嬉しかったですね! それで、解説の続きなのですが、あのレンズは「星ボケレンズ」なんて呼ばれていたりするもので、ある程度絞ったときに絞りの形が六芒星のような形になるんですね。
山口:本当にその形になっていました。
板近:条件を揃えて写真を撮ると、その絞りの形が反映されて、点光源、つまりはイルミネーションの光なんかが六芒星の形になったりもするんです。
山口:それを取り入れた写真であると。
板近:はい。イルミネーションでできるなら、エアレーションの気泡でもできるのではないかと試してみたらうまくいき。なので、写真の上の方に、白い半透明の六芒星が散らばっていると思うんです。
山口:意図的にやっていると聞いたときは驚きました。星が気に入る位置にくるまで何枚も撮られたんですよね。
板近:ええ。それともうひとつ語らせていただくと、レンズだけでなく、カメラ側の設定で「里び」という設定を選び、この風合いを作っています。里びについては「カスタムイメージ 里び」で検索してもらえれば、どういうものかわかるかと思いますので興味のある方はぜひ。
山口:カメラとレンズ双方で画作りをしていったのですね。
板近:ですね! カメラ、レンズ、双方の力を借りました。感覚的な話ですが、このディテールの出方は「ああ、K-1! 私の愛機!」という感じで、見ていて安心感があります。
山口:2枚目の作例は、一転して身近なスマホでの撮影でしたね。
板近:このコンテストではスマホで参加してくれる方も多いので、私もスマホでの作品作りにチャレンジしてみたいなと。そこに、山口さんおすすめの技法である、トリミングも取り入れて仕上げてみました。
山口:技法というのも大袈裟ですが。しかし、こんな写真がスマホで撮れるとはなぁ。
板近:すごいですよね。この作例でも、水槽壁面のコケがふわっとボケてくれて。
山口:写真の右側にいくつかある、緑色のふわっとした丸ですね。
板近:それですね! これは少し前にコケ掃除したときに、底物が近くで休んでいたから「今度にしよう」と取り残していたコケなんですが、撮影の邪魔になるどころか、スマホがいい感じに仕上げてくれて。
山口:ありますね、瓢箪から駒。
板近:とても楽しい作例づくりでした。また2枚とも、モデルを努めてくれたレモンフィンプレコがいい位置にきてくれたんですよね。
山口:板近さんの楽しそうな空気も伝わったのか、今回も良い投稿作品に恵まれましたね。
板近:もし私の作例が投稿のきっかけになるなどしていたら、そんな光栄なことはないですね。
山口:ではでは、ここまで読んでくれた方へメッセージなどいかがですか。板近さんから始めてもらえれば私も続きますよ。
板近:私からですか! では、えっと……このコンテストは、ちょっと独特なコンテストだと思うんです。写真としてクオリティを突き詰めた1枚で勝負するのもいいし、愛魚のいいところを気軽に写した「アクアな日常写真」をいろいろと出していくのもいいし、一瞬見せた魚のイカス場面を捉えた写真でもいい。
山口:アクアリストとしての共感も大きな要素であるコンテストですから、写真の技巧だけで決まるわけではないんですよね。もちろん、技巧が光り入選することもありますが、やはりそこにも魚への愛情があるというか。
板近:そうですね。なので、次回もみなさんの思い思いの形で参加していただけたらと思います。
山口:次回もお待ちしております。
板近:お待ちしております。おお、綺麗にまとまりましたね。
山口:素晴らしいコンテスト、その締めですからね。よかったよかった。
第2回 アクアライフブログフォトコンテスト結果発表について
- 投稿作品の著作権等は投稿者様に帰属いたします。作品の無断転載、無断使用等はご遠慮ください。
- 当記事掲載の作品は、全てブログ用に縮小・圧縮をかけたものとなりますので投稿時の画質とは異なる部分があります。投稿時の作品は「#アクアライフ写真コンテスト」にてご確認ください。
- 魚種、撮影機材についてはTwitterにて投稿していただいた内容をそのまま掲載しています。
みなさんこんにちは。 アクアライフWEB編集部です。 2021年4月20日〜2021年5月9日の間、Twitterにて募集させていただいた第1回 アクアライフブログフォトコンテスト。 素晴らしい作品、そして …