みなさんこんにちは。
アクアライフWEB編集部です。
2021年4月20日〜2021年5月9日の間、Twitterにて募集させていただいた第1回 アクアライフブログフォトコンテスト。
素晴らしい作品、そしてたくさんの投稿をいただき、本当にありがとうございました。
本日は投稿いただいた作品の中から、入選、特選作品を紹介させていただきます!
一人のアクアリストとして楽しませてもらいました
おかげさまで素晴らしいフォトコンテストになりました! ありがとうございます!
アクアの雑談 アクアの雑談は、その名の通りアクアリウムに関する「雑談」をお届けする連載です。お題は回ごとにいろいろ! 雑談いたしますのは、月刊アクアライフ前編集長の山口 正吾(やまぐち しょうご)と、アクアライフWEB編集部の板近 代(いたちか しろ)。雑談ならではのお話を、どうぞお楽しみください。 |
※以下目次を開くと入選作品の魚種名が一覧で並びます。
結果発表……の前に、ちょっとお知らせを!
板近:第1回 アクアライフブログフォトコンテスト、たくさんの投稿ありがとうございました!
山口:ありがとうございました。
板近:第1回は「私の好きなアクアリウムの魚たち(募集詳細はこちら)」として募集させていただいたわけですが、本当にすごい投稿数で!
山口:ええ。選考する側としてはみなさんの熱意に身が引き締まる思いでした。
板近:はい! それで、今回結果発表をさせていただくわけですが……その前に読者さんに、少し説明をさせていただきたいことがありまして。
山口:どうぞ。
板近:告知の際には「私と山口さんでそれぞれ5作品づつ、合計10作品を選ばせていただく」とお話させていただきましたが、その枠を広げて、それぞれ10作品づつ選ばせていただくことにしました。
山口:ええ、ガッチリと10点選びました。
板近:よい作品が多すぎて、一人5選づつではあまりにも少ないとなりまして。まぁ、10選でも「もっと選びたい! 枠が足りない!」となりましたが…………。
山口:(笑)
板近:それで、もう一点お知らせですが、現時点で私と山口さんは、お互いがどの作品を選んだかを全く知りません。
山口:ええ。完全に別々に選んでいるので。つまり、かぶることもありうるということですね。
板近:はい。なので、それぞれ10作品づつの選出ではありますが、合計20選とはならないかもしれません。その他、発表に関する詳細や、投稿作品に関するお願い事は以下にまとめさせていただきますので、ご一読お願いいたします!
第1回 アクアライフブログフォトコンテスト結果発表について |
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第1回 アクアライフブログフォトコンテスト入選作品発表!
山口:ではでは、選考方法についてお知らせしたところで、結果発表いってみましょうか。
板近:はい! まずはお互いの選んだ10枚の入選作品からですね。その後、特選の発表と。
山口:ええ。では今回は私から……いきなりすごいのを発表しますよ。
板近:どれだろう。実際すごい写真多かったですから……。
魚種 ペーシュ・カショーロ
山口:どうでしょう?
板近:私も見た時「すごい!」って思いました。たしかにこの作品は「すごい」ですもんね。
山口:すごい連呼ですね。
板近:ええ。なんというか「凄みを感じる」ところがすごく…………と、いきなりちょっと落ち着きをなくしてしまいましたね。
山口:その気持はわかる気がします。これ、カショーロのいいところを思いっきり引き出しているというか……金属感、牙などですね。飼育者がこの魚に惚れ込んでいるのがよくわかるなぁと。
板近:ええ。まさにその通りだと思います。カショーロの恐ろしさすら感じるかっこよさが見事に。
山口:目線も来ていて。ぐっと引き込まれます。
板近:口の開き具合もいいですよね。あと牙の透明感もいい。ゾクリとするなぁ……。
山口:いいですよね。ではでは、板近さんの選んだ一枚目をどうぞ!
板近:はい!
魚種 スカーレットジェム(Dario dario)
山口:ほう、どんなところが気に入りました?
板近:こちら魚の表情とか角度もいいんですが、また写真全体の質感もいいんですよ。
山口:質感というと?
板近:ちょっとサラッとしていると言うか、黒が真っ黒ではなく仕上がっているというか。
山口:作者の意図なんですかね。
板近:かもしれないなぁと思って、撮影機材を見てみたんです。
山口:はい。
板近:多分、私が勘違いしてなければ、このタムロンのレンズって、フィルム時代のレンズじゃないですかね。
山口:なるほど。
板近:マウント交換式でいろんな会社のカメラに対応したシリーズの一つで、知らない方は「アダプトール」って検索してもらうと……すいません、ちょっと趣味の話に走りました(笑)。
山口:(笑)。フィルム時代、それもマニュアル式のズームレンズですね。
板近:ええ。もしかしてこの写真は、このレンズの醸し出す質感を活かした作品なのかなぁって思ったんですね。撮影者さんと同じ(カメラとレンズの)組み合わせでは試したことがないので、あくまで想像でしかないのですが。
山口:そう言われて背景を見てみると、暗がりに引き込まれそうな深みを感じますね。
板近:そうなんです! アダプトールのレンズっていい味出してくれるものが多く、私も好きで何本か……と、ここは脱線するので割愛です(笑)。
山口:そうしましょう(笑)。
板近:あ、補足しますと機材で選んだわけではありません。本当にこの全体の質感が、魚の魅力というか、表情やポーズをさらに引き立てているなと。そんな風に思いました。
山口:写真そのもので選んで、機材は話の種というか、そういう感覚ですよね、お互いに。
板近:そうですね。では、山口さんお次どうぞ!
魚種 メガロドラス
山口:どうですか。
板近:これはかぶりました。
山口:かぶると思っていました(笑)。ではせっかくなので、お互いによいと思ったところを述べましょう。
板近:ええ。では山口さんからどうぞ。
山口:私は魚が好きなので……なんというか腹から写してここまでかっこいいんだと。腹の模様、体の角度、大きな胸ビレ、体側のトゲ……。
板近:メガロドラスをお腹側からってのがいいですよね。
山口:ええ。この作品を見てまず思ったのが「うわっ、かっこいい!」と。それがズドンときて。
板近:ズドン!
山口:腹から写してかっこいいって、とても新鮮であって。どうですか、板近さんは。
板近:メガロドラスに関することは、山口さんに同意するところだらけなので……私は別のポイントを語らせてもらいますね。
山口:はい。
板近:メガロドラスがすごく上に向かってる感じするじゃないですか。
山口:ええ。
板近:そう見えるのって、背景もあるのかなって思って。
山口:背景ですか。
板近:立ち上る泡……それが、頭のところで幅が広いVの字にわかれていくじゃないですか。これは水槽の角かな。
山口:たしかに泡と水槽の角が集中線を作っていて、それがメガロドラスの頭辺りにある。
板近:そうですそうです。あとこのキラキラ感というか。そういう要素が、重厚なメガロドラスが上に向かっている感じを強調して見せるのかなって。
山口:素晴らしい視点ですね。今、板近さんに感心していますよ、先の質感の話といい、この写真の集中線といい。
板近:ありがとうございます。この背景に気がついた時、びっくりしましたよ。
山口:うーん、私も編集であるし、もうちょっと含蓄のあるコメント言わないとなぁ。
魚種 アピストグラマ ビタエニアータ
板近:次に紹介させていただくのはこちらです。この作品も「気がついてびっくり!」した系でもありますね。
山口:どんなところに気がついたのですか?
板近:この作品はまず、このアピストの持つ雰囲気をよく写し出している一枚だと思ったんですね。
山口:うん、そうですね。
板近:重なる背ビレの表情もいい感じだし、魚と手前の流木のクロスもかっこいいし。
山口:ええ。
板近:で……「素晴らしいアピスト写真だ!」と、しばらく眺めていたら……。
山口:眺めていたら。
板近:この写真、魚が一匹じゃないんですよ。
山口:?
板近:この写真を入選作品に選ばせてもらった時は、その“もう一匹”に気がつく前だったんですけど。
山口:なにか写ってます?
板近:魚とクロスしている流木の、右上というか、写真が切れるところというか。
山口:あ、オトシン。
板近:ええ!
山口:いやあ、気づかなかった。アピストばかりに目が行って。気がつけばもう見落とすことはないですが、オトシン好きの板近さんとしてこれはたまらないものがありそうです。
板近:はい。すごく楽しませてもらいました。
山口:いやあ、これは面白い。それにオトシンの顔がいいですね。「なにか?」みたいな……しれっと写っていて。
板近:です! です! また、アピストの写真として見ても素晴らしいから、余計にオトシンに気が付かないんでしょうね。
山口:ですよね。
板近:ではでは、山口さんどうぞ!
魚種 ジャパンブルーラミレジィ
山口:どうでしょう。
板近:鮮烈ですね。
山口:魚って綺麗だなと、この写真を見て改めて思いました。
板近:はい。本当に綺麗です。
山口:特に青みが綺麗で……醒めたような青、それに体表や背ビレの粒子感がとても繊細に表現されていて……。
板近:赤もいいですね。
山口:ええ。それで機材を見たら、スマホなんですね。
板近:スマホにマクロレンズをとりつけて撮影されているのですよね。
山口:機材では選んでない、と何度も言うのもしつこいですが「スマホでここまで」と驚いたりもしました。被写体の美しさもあってのことでしょうが、びっくりしたなぁと。
板近:たしかに今回のコンテンストはスマホのすごさを感じる作品が、たくさんありました。
山口:ええ。時代の進歩を感じました。では、お次をどうぞ。
魚種 エンツュイ グリーンスパイニーイール ブラックラインパイプフィッシュ
板近:このスリーショットはもうなんというか、うまい言葉がでてこないんですが。
山口:面白いですね。
板近:特に用事のないおだやかな休日の午後(晴天)みたいな。そんな気分になりました。
山口:(笑)。「気がいい魚たち」という気がします。
板近:ええ。
山口:この3匹で、小さいコメディドラマが始まりそうな。そんな楽しさがあるというか。
板近:また、顔メインできているのが素敵ですよね。
山口:そうですね。一枚の写真ですが、いろいろな想像が働きますね。
板近:この、スパイニーイールのどっち見てるの感とか。
山口:そこは板近さんが気に入っていると思いました。
板近:いやもう、萌えるというのはこういうことかもですね。ほんと、いいスリーショットを見せてもらいました。
山口:こういう路線もありだよなぁ。刺激を受けました。
板近:こういうタイプの「言葉が出ない」ってのもあるんだなぁって。魚たちの言葉は聞こえてきそうな一枚なのに。
山口:ええ、聞こえてきそうです。
板近:ではでは、山口さんどうぞ!
魚種 ファイヤーテールホタルテトラⅡ
山口:魚の写真もいろいろありましたが、背景が美しいことの大切さを感じたというか。赤、黄色、緑、オレンジと、上手くボケている水草たちの色彩が淡く。
板近:そしてそこにこの魚。とても映えています。
山口:魚もまたいいんですよね。パステルのように淡い背景にシックな体色がよく映えて。
板近:体格もよく。こう、ビッとピントが合ってるのもまたいいですね。詳細が見れて。
山口:しかもこれもスマホのようだから、すごいですね。
板近:スマホのカメラをすごく使いこなされている感じがしますね。
山口:そうですね。私はなんだか頑張ってミラーレスを買ったのを後悔したり……というのは冗談ですが、いかにも熱帯魚的な写真で気に入りました。
板近:今回は、スマホ、一眼レフ、コンデジ……といろいろな機材での投稿をしていただきましたが、みなさんそれぞれの機材のよさを引き出されているのでしょうね。
山口:そこも今回のコンテンストの見どころであったように思います。では、板近さんどうぞ。
魚種 アノマロクロミス トーマシー
板近:次は、こちらの作品を。
山口:ほう……。
板近:こちらは一眼レフとマクロレンズの組み合わせのようですね。
山口:みたいですね。
板近:水槽の魚撮影の回でもマクロレンズは話題になりましたね。それで、私がこの写真のなにに惹かれたかというと……。
山口:はい。
板近:優しい綺麗さがあるというか。
山口:上手いこと言いますね。
板近:ありがとうございます。あと、魚と、上の水草の関係もとてもよくて。
山口:雨宿りしてるみたいな、ほのぼの感がありますよね。水の中で雨宿りはしないですが。
板近:ええ。また水草の色もきれいなんですね。それが魚の色と綺麗に呼応しているようで。
山口:ベージュ系の色が、とても柔らかく出ていますね。
板近:ボケかたもなめらかで、いい質感ですよね。
山口:これは水槽のライトで撮っているんですかね。水草の影でもう少し魚が暗くなるかもしれないと思いましたが……でも、水草もだいぶハイキーだし、魚に露出を合わせているのかな?
板近:なるほどですね。
山口:それと、このレンズ、昔持っていたような気がします。タムロンの90マクロ。
板近:あ、持っていましたか。
山口:タムロン人気ありますよね。
板近:そうですね。タムロンの90はとても愛されているシリーズだという認識があります。また、モデルを遡るとアダプ……と、ここは脱線防止で(笑)。
山口:私が持っていたレンズは、いつのモデルだったかな……まぁ、私も脱線防止で(笑)。
板近:(笑)。ではでは、山口さんどうぞ!
魚種 ロライマ産オレンジフィンレオパードトリムプレコ
山口:いいですよね、このカット。なんというか、ゴロンという感じがこの魚の存在感をとても上手く表現しているというか。
板近:いいですね。こう、強そうだけど顔の丸みが可愛くて。撫でたくなる感もありますよね。
山口:……撫でたくはならないかなトゲトゲだし(笑)。
板近:たしかに(笑)。実は、初めて見たときに、この顔にぬいぐるみ的な可愛さを感じたんですね。でも同時にすごい迫力もあって。二重のインパクトがあった作品ですね。
山口:いい意味でモンスター的です。ベルセルクに出てきそうな……存在感というか重量感というか……。
板近:ええ。
山口:目線も来ていて、訴えかけるものがある。
板近:下の影がまた濃いのがいいですよね。
山口:はい、明暗のコントラストが、この魚の大きさみたいなものを感じさせますね。
板近:ヒレにも厚みを感じるのがいいなぁと……あ、この写真にももう一匹魚がいますよね。後ろの流木のところ。
山口:他の魚探すの好きですね(笑)。ではでは、板近さんどうぞ。
魚種 アフィオセミオン オーストラレ ワイルドタイプ
板近:この、思い切りのいい仕上げがかっこよく。
山口:うーん、渋い一枚ですね。
板近:これはかなりアンダーにしている作品ですよね。
山口:ええ。(Twitter投稿時の)コメントにも書いてありますね、アンダーにすることでフォルムを強調したと。
板近:はい。その意図がはっきりと伝わってくる作品だと思います。仮にコメントがなかったとしても、確実に伝わりますよね。
山口:ですね。そういえば、板近さんもアンダー目に仕上げるのお好きですよね。
板近:好きですね。でもこう、アンダーにした意図がバチッと伝わってくるのはすごいですよね。ほんと、狙い通りの作品なのだろうなぁというのが、すごく伝わってくる。
山口:シルエットを立たせるために、少し後方から光を当てていますかね?
板近:どうなんでしょう? 間違いなく言えることは、ただ単に、アンダーにしただけの作品ではないということですよね。完成度がすごい。
山口:ええ。
板近:またこの作品、2匹写しているところが素晴らしいですよね。顔の角度も違って、ヒレの見え方も違って、すごくソリッドに、でも確実にこの魚の魅力を伝える共演であって。
山口:胸ビレがとても効いています。
板近:ええ、効いています。
山口:魚のかっこよさにはいろいろありますが、板近さんの言う通り、これは作者の見せたいかっこよさがとてもよく伝わるというか……かっこいい熱帯魚の回で卵生メダカを出さなかったのが悔やまれます。
板近:たしかに、あの回に掲載させてもらいたくなる一枚です。余談ですが、この方はPENTAXの一眼レフなんですね。K10D!
山口:あれ、板近さんの愛用機と同じメーカーですか。
板近:はい。もちろんPENTAXだから選んでいるというわけではないですが、PENTAX好きとして嬉しくなっちゃいました。
山口:そういうのありますよね。私はキヤノンなので、多数派だからあまりその手の共感を感じる場面は少ないのですが、おっしゃることもわかります。
板近:私は選考が終わった後に、別視点で「PENTAXで撮影された作品はどれかな……」と、見ちゃいましたよ。あ、何度も言いますが機材は選考には関係ありませんので!
山口:(笑)
板近:ではでは、山口さんどうぞ。
魚種 AP.ビタエニアータ
山口:どうですか。
板近:いいですね。すごくいいですね。
山口:ぐっと寄っていて、ビタエニの特長でもある背ビレが一部トリミングされています。もちろんそれは、撮りたいシーンのイメージが投稿者にあって、それを狙った感じがとてもよく出ていて。
板近:はい。
山口:今回のコンテストでは特にアピストはたくさんの投稿をいただきましたが、個体のよさが伝わる写真が多かった中で、こういう情緒あふれる写真がとても印象に残りました。
板近:またこの写真、水草と魚の色がいいですね。
山口:そうですね。水草はややピンク色もあって、背景としてうるさくない色の強さだし。
板近:臨場感もすごいです。あえて顔にピントをもってきていないからこそ、かもしれませんね。それでいて背ビレのシャープさはしっかり写し出されていて。
山口:魚の体のひねり、これは写真だととてもかっこよい場面であって、私もそういうところを狙ったりするんですが、どうしても職業柄か図鑑的な写真を撮ることを優先してしまうんですね。
板近:なるほどですね。
山口:だからこそ、というわけではないかもしれませんが、思い切りのあるカットに見入りましたよ。写真コンテスト的であるなと。ではでは、板近さんどうぞ。
魚種 コリドラス スーパーシュワルツィ
板近:こちらです!
山口:ほう。コリドラス では珍しいカットというか。
板近:はい。まずこの作品は、背景から語らせていただきたいのですが……背景めちゃくちゃ賑やかじゃないですか。
山口:賑やかです。
板近:それぞれがそれぞれの時間を過ごしていて……そこで主役のスーパーシュワルツィのこのポージング!
山口:ああ、そういう感じですか!
板近:「イカス」ってなりました。
山口:イカス、好きですね板近さん。
板近:多分、魚に似合う言葉だと思っているのだと思います(笑)。
山口:私は手前のスーパーシュワルツィばかりに目がいってしまって、背景の賑やかさを少しうるさく思っていたかもしれない。
板近:なるほどですね。
山口:でも、板近さんの選出理由をお聞きすれば、その対比こそが面白いんだと。そういうことをおっしゃっている気がして。
板近:この、魚それぞれの魚模様の中で、スーパーシュワルツィのイカスポーズがめちゃくちゃよくて……あれ、さっきと同じこと言ってますね私。
山口:(笑)。なんだか巨大な魚も見えますが、なんだろう。ホプロかな? うん、そういうところも含めて物語性がある、ということですかね。
板近:「水槽を見ていると楽しい」という気持ちも伝わってくる気がします。
山口:ええ。ここまで来て思うのですが、私と板近さんで写真の見方が異なるので、二人での選出にも意味があるなと思いました。
板近:そうですね。ではでは、山口さんお願いします。
魚種 ベタ ハーフムーン
山口:ベタは花のようである、という文章を書くことがけっこうあるのですが、まさに花のようであると思いました。
板近:たしかに、花のようです。
山口:緑色の水草の中心に赤と青。一枚の絵として美しいし、背景も白で全体に光が多い感じでとても華やかです。
板近:背景の白、私もいいなぁと思いました。右上にかぶる白もいいですよね。
山口:ええ。板近さんはアンダー気味の写真がお好きなようですが、私はどちらかと言うとハイキーが好きなんですね、多分。華やかに見えるから。
板近:そうなんですね。
山口:この写真は、ベタを上から撮影したものだけれど、各ヒレが見える面積が大きくとてもカラフルですし。
板近:そして優雅です。
山口:青と赤がカスリのように入っているのが素晴らしく。そういうベタのよいところもきちんと表現されていて、ただ単純に上から撮ったのではなく、きちんと綺麗に見えるように撮っている。そんな印象を受けましたよ。
板近:ヒレと水草が段になっているところもいいですね。
山口:ええ。見事です。では、お次お願いします。
魚種 オセレイトスネークヘッド
板近:こう、宇宙だなって。
山口:宇宙とはまたずいぶんと壮大ですが……。
板近:宇宙の写真を連想させるというか、美しくも迫力があって、吸い込まれそうな雰囲気もあって。
山口:うーん、私にはその連想がなくて。魚の模様ですか? もう少し詳しくお聞かせください。
板近:すいません、思いついたままに喋って。
山口:雑談コーナー内のフォトコンですし、思いついたままでいいんじゃないですか。
板近:ありがとうございます。山口さんの言う通り、どこに宇宙を感じるかといえばまず魚の模様、あと色合いですね。
山口:はい。
板近:それと、背景が真っ黒じゃないんですよ。
山口:あ、出ましたね、真っ黒ではない背景。
板近:ええ。先に挙げさせていただいたアフィオセミオンを撮った作品は黒く引き締めた背景により、主役の魅力が際立っていた。そしてこちらの作品は、背景に青を含んでいたり、星空のような粒を感じたりと、そういうところが主役を引き立てていると思ったんです。
山口:階調があるというか……そう言われると宇宙という気もしてきました。
板近:ええ。そこにドンとスネークヘッド。堂々たるというか、荘厳な美しさを感じました。
山口:たしかに。しかし宇宙を出されると、もうその上がないという気がして……次のコメントに困ります(笑)。
板近:(笑)。またこの写真、顔の解像感がすごくいいなって。
山口:そこは私も目を引きました。目の下にある鱗の質感が、とてもいいですよね。
板近:はい。体の後ろの方はボケてて、顔はしっかりと写し出されている。それで静かな迫力を感じるのではないかなと。大画面で見たくなる一枚です。
山口:なんにせよ、一枚の写真でいろいろと感じることができるものです。
板近:ですね。ではでは、山口さんどうぞ!
魚種 メダカ(砂海)
山口:とても考えられているというか、魚の選択、位置、ポーズなど……美しくも躍動感がありますよね。
板近:そうですね。
山口:ヒレの長いメダカがちょうど胸ビレを上に持ち上げていて。
板近:ええ、ええ。その他のヒレの流れ具合も素晴らしいです。
山口:左にスペースがあるから、そこに向かって泳いでいきそうなスピード感もある。
板近:ちょうど水草の濃いグリーンに差し掛かった位置にいるのもいいですね。
山口:少し私の話になってしまいますが、横位置の図鑑的な写真であっても、わりと頭の方のスペースを開けてデザインすることが多いんです。つまり頭の方に余白があるように写真をトリミングする。するとスチールでも動きを感じられるというか。
板近:私も、山口さんのレベルには達していないかと思いますが、似たような感覚を意識することがあります。
山口:いえいえ、私もそんなにたいそうな人間ではないので。なんというか、この投稿作品は大きく使いたい写真ですよね。雑誌編集者的な視点で言うと。
板近:つまり、誌面で大きなカットとして使うのに向いているということですかね。
山口:そういうことです。これをたとえばノートリで5cm幅で掲載しても、よさが伝わりにくい。でも20cmくらいの幅で見ると、よいと思う。そういう写真であって。
板近:たしかに!
山口:ええ、そんなところです。ではお次どうぞ。
魚種 アピストグラマ ヴィエジタ 稚魚
板近:こちらです。
山口:ほー。
板近:あ、今気がつきましたが、この方さっき挙げさせてもらったオトシンが隠れてた一枚を撮影された方なんですね。
山口:それはそれは。2枚入選ですね。
板近:ええ。2枚ともアピストで。すごいです。
山口:それで、この作品のどんなところが気に入りました?
板近:これを見た時思ったんですね、尊いなって。
山口:尊い……その心は。
板近:ええ。宇宙に引き続き、なんだか壮大な感想になってしまいそうですが、生命の尊さというか。この魚のこれからを見守っていたいような。
山口:そのままの意味での尊いですね。
板近:ええ。
山口:稚魚であるというのも、命の尊さを感じさせるポイントかも。
板近:そうですね。
山口:アマゾンフロッグビットかな? そのふわふわした根毛も、どこか涅槃を連想させるというか。まあ、宇宙だ涅槃だと先ほどから私たちのコメントもずいぶん大仰ではありますが(笑)。
板近:でも、それが生命というものなのかも…………と、自分が何を言ってるのか、ちょっとわからなくなってきましたが……このわからなくなってしまう部分も、写真の力によるものなのかもしれませんね。
山口:たしかに、言葉にするのが難しい部分もたくさんあります。それに、涅槃や宇宙のように、思わず出てきてしまう言葉もありますね。
板近:はい。その反面、具体的なコメントが出てきたりするのも面白いですね。
山口:ええ。具体的な点をひとつあげるならば、この作品は、上から魚を包むような繊細な水草の根が尊さを強調している気もします。
板近:ですね。とても優しい写真だと思います。
魚種 グリーンネオンテトラ
山口:ネオンカラーが美しくその名に恥じないなと。
板近:まさにネオンです。
山口:ええ。飼育している人が美しいと思った瞬間が、そのまま切り出されているというか。全体にトーンは暗めですがネオンカラーがとても映えていて。
板近:暗めだからこそ。また、背景がいい感じですね。
山口:これはなんだろう、水草の根だと思うのですが。その隙間を体をきらめかせながら泳いでいる、そんな場面だと思います。
板近:水中写真という言葉が似合う一枚な気がします。
山口:おっしゃる通りで。また、この水草が作る垂直の線が、水平に走ったネオンカラーをとてもよく引き立てていて、いい写真だなと思いましたよ。ではではお次をどうぞ! 板近さんは次で最後の作品ですかね。
魚種 グリーンドワーフシクリッド
板近:はい。私が選出させていただいた、最後の一枚はこちらです。
山口:なるほど、シンプルですね。
板近:ええ、とてもシンプルです。これは山口さんも先程おっしゃっていた「魚の前の空間」のとり方が、素晴らしい一枚だなと思ったんですね。
山口:たしかに。
板近:こう、魚の、シクリッドらしい角度もよく。
山口:多分これは、フィンスプしていて止まっているところですよね。
板近:この「前に進む」感じとはまた違った感じがいいですね。シクリッドらしい場面と言うか。
山口:「間」というのかな、それが凛とした空気感をもたらせている気もします。
板近:緊張感の中に、グリーンドワーフシクリッドの清涼感。また、その体が、背景の黒い部分に綺麗におさまってるんですよ。なんというか、とても整った写真で。
山口:実はこの一枚は、私も目を止めた一枚でした。
板近:そうでしたか。
山口:ただ、板近さんの分析あるいは評を聞いて、目を止めた理由に改めて気付かされたというか。私は人に流されやすいというか、感化されやすいので(笑)。
板近:(笑)。私もけっこういろいろと山口さんの影響受けてると思います。
山口:まあ、それは冗談にせよ、いい佇まいであると思いますよ。
板近:ええ。佇まい。まさに佇まいですね。
山口:グリーンドワーフというチョイスがまた。これがカラフルな魚であるとまた違った印象かもしれない
板近:ええ。それに下の砂の色合いもよい感じで。
山口:全体に赤みがかかっている気もしますね、背景は流木なのかな?
板近:あ、今気がついたんですが。砂にはいっさいピントがきてないんですね。これもすっきり見える理由のひとつなのかもしれない。
山口:砂にピンが来てないというのは、少し上から撮っているからなのかな。ちょっとよくわかりませんが、魚が浮き出すような感じがありますね。
板近:ええ、浮き出しています。それでは、最後の一枚お願いいたします!
魚種 巨大化したサイアミーズフライングフォックスとアヌビアスの花
山口:こちらです。とても楽しそうな一枚だと思いませんか。
板近:たしかに、すごく楽しげです。
山口:いろいろな写真を選びましたが「楽しそう!」というのが前面に来ている作品は一つ選びたかった。
板近:繰り返しになってしまいますが、本当にすごく楽しそうですよね。
山口:私にしても、水槽でのドラマに期待して魚を飼っているので。これから物語が始まりそうなこの写真はとても気に入って。
板近:これからみんなでどこへ行くのか。
山口:魚や写真のことをときに難しく考えすぎてしまうこともある……でも、原点はこんなところにあるんじゃないかと。そういうものを示したかったんですね。
板近:なるほどです。
山口:私の勝手なあれですけれど、写真を気に入ったこともあるし、この写真をみなさんに見てもらいたい、そんな気持ちもありました。
板近:ええ。素晴らしい一枚だと思います。
山口:魚の写真にはいろいろなよさがあるということを、今回のコンテストを通して改めて感じました。
板近:ええ。本当に多種多様なよさを見せてもらいましたね。
山口:そうですね。写真一枚から深読みするのも楽しいし、シンプルな写真もいいと。
第1回フォトコンテストの特選はこの2作品!
山口:では、特選の選考に行きましょうか。
板近:ええ。お互いが選んだ作品の中から1作品づつ。合計2作品ですね。
山口:はい。私の選出の中から板近さんが一枚、そして私は板近さんの選出の中から一枚選ばせていただきます。では、少々お待ち下さい。
板近:私もお時間いただきます!
山口:…………。
板近:…………。
山口:…………。
板近:…………。
山口:…………。
板近:…………。
山口:よし、決まりました。こちらの作品です。
板近:おお! この作品ですか!
山口:ええ。どの写真もいい写真であると思いましたが、まずアクアライフブログ初のフォトコンであるから、フォトコンらしいというか、ちょっとドラマが感じられる、情緒のある写真がいいと思って。
板近:なるほどです。
山口:横位置のバッチリ決まった図鑑写真もいいのですが、一枚からいろいろ連想させてくれる写真を選びたいと思った。それに加えて、板近さんが教えてくれたオトシン。
板近:隠れオトシン。
山口:これがおまけ的で嬉しかった。
板近:またオトシンがいい顔してるんですよね。
山口:ええ。どれも僅差というか……板近さんのコメントを聞けば、どれも素晴らしいと思ったなかで、おまけがそれを分けたという気もします(笑)。
板近:オトシン強しですね。でもたしかに、素晴らしい作品だと思います。
山口:では、板近さんどうぞ。
板近:はい。私はこちら一枚を特選に選ばせていただきます。
山口:この作品ですか。その心は。
板近:楽しそうであったこと。そしてなにより、みんなが同じ方向を向いているこの瞬間というのが、素晴らしいと思いまして。
山口:どの魚も弾むように泳いでいていい瞬間ですよね。
板近:はい。また背景というか、この空間もとても楽しそうで。
山口:アヌビアスが花をつけていたり。赤い水草があったり。
板近:美しいだけじゃない、どこか探検したくなるような雰囲気で。
山口:フライングフォックスの大きさも写真にユーモアをプラスしている感もありますね。
板近:そうですね。この並び順もいいですよね。
山口:ちょっと左が寂しい気もしますが、かえってそれがフライングフォックスを目立たせている気もするし。全体に楽しい感じがうまく表現されている。
板近:ええ。すごく楽しい気分になりました。みんなが同じ方向を向いていて、この位置に来た瞬間……と、同じ話を繰り返してしまいそうになりますね(笑)。
山口:(笑)。そうそう。特選に選ばれた方には記念品がありますので、近々アクアライフ編集部のTwitterよりDMを送らせていただきます。よろしくお願いいたします。
板近:はい! お願いいたします!
フォトコン後記
山口:ではでは、最後に少し今回のフォトコンを振り返ってみましょうか。
板近:はい。山口さんからどうぞ!
山口:私と板近さんの選出で、一点しかかぶらなかったところも面白かったですね。たくさん投稿いただいたので、かぶる確率は低かったにせよ。
板近:たしかに、一枚だけでしたもんね。
山口:ええ。それで板近さんのコメントを聞いてみると、やはり私の見ていないところを見ているわけで。写真の捉え方は人それぞれであるし、板近さんの感覚も学ぶことができた。そんな気がします。板近さんはどうですか。
板近:そうですね、もうなんというか、今こうして発表を終えるまで……。
山口:はい。
板近:頭が魚だらけで。選考にすごく悩んだことを含め、とても楽しかったのですが、それは写真という形で、飼育者のみなさんが愛魚の魅力を伝えてくれた結果であったのだと思います。
山口:まさにそうですね。
板近:今回は「飼育している魚のみ」という縛りで募集させていただきましたが、だからこその写真であったのではないかなと。アクアリストだから撮れる写真とでもいいますか。
山口:それはごもっともです。その縛りはとてもよかったのだろうし、このコンテストを特徴づけたと思います。
板近:そうですね。あともうひとついいですか?
山口:どうぞ。
板近:すごく貴重な資料になったとも思うんです。
山口:というと?
板近:今回は、投稿時に魚種名に加えて、機材の名前も書いてもらったじゃないですか。
山口:ええ。
板近:その情報込みで投稿作品を振り返ったとき、これは、魚の撮影にとても役立つ資料になっているのではないかなと思ったんです。
山口:それはたしかに。一点、動画からの切り出しという作品があって。ちょうど私は動画からの切り出しに興味があったので、ああ、ここまで綺麗に撮れるんだなと思ったりもしました。
板近:ぜひ、サムネイルではなく写真をひとつひとつひらいて見てほしいですね。
山口:そうですね。スマホでとても綺麗に撮影されている方がいたと思えば、被写界深度合成まで用いた写真があったりで。
板近:すごく解像感の高い画像があったり、ボケ方がとても美しかったり……そんな部分をじっくり鑑賞しながら機材情報を見るとすごく面白かったです。スマホやカメラの機種ごとの情報を調べてみたり。撮影時の設定なども記載してくれた方もいましたね。
山口:ええ。機材による遊び方というのかな、いろいろなアプローチがあるというのもわかるし。
板近:そうですね。投稿者のみなさんが作り上げてくれた、貴重な資料です。ありがとうございます。
山口:ありがとうございます。あとひとついいですかね。
板近:はい、どうぞ。
山口:お互いが特選に選んだ作品が、全然違うテイストの作品であったのがとてもよいなと思いまして。
板近:たしかに違うテイストでした。
山口:方やフォトコンらしい写真であり、方や日常を切り取ったような写真で。特選で2点に絞ることで、このコンテストの方向性がカチッとしたものになる可能性もあったけれど、そうはならなかった。
板近:はい。
山口:なんというのかな、少し遊び、幅の広さのある結果になって。今後、フォトコンを開くとしたら、もっといろいろなテイストの写真を送ってもらえるかもしれないと。
板近:なるほどですね。
山口:この結果は、私と板近さんが申し合わせたわけではないので、偶然の産物でしたがとてもよかった。
板近:はい。いろいろな形の「素敵な写真」がありましたね。私はこうして写真を選ばせてもらうこと自体、初めてであったのですが……すごく悩んだんです。
山口:ええ、本日以前に会話した時でも、悩まれているなというのは感じました。
板近:そうでしたか。でも悩みに悩んで、最終的には、すごく感情的に選ばせていただいたように思います。
山口:それはいいことではないですか。このコンテストは「愛魚の写真コンテスト」であって、アクアリストが撮った作品を、アクアリストである我々が選出した。であればそこに感情が動くのは必然ですし。
板近:たしかに、だからこその楽しさがありましたね。
山口:ええ、それは間違いなく。
板近:そしてこう、終わってみると、魚も、写真もやっぱりすごくいいなぁ、って……すごく好きだなぁって。本当に楽しかったです。
山口:私も楽しめました。感謝しかありません。
板近:ええ。みなさんありがとうございました!
山口:ありがとうございました! 今回投稿いただいた作品は、Twitterハッシュタグ「#アクアライフ写真コンテスト」で全て見ることができますので、まだ見ていないという方はぜひご覧ください。
板近:ぜひぜひ! すごい見応えで、あっという間に時間がすぎるかと思います。
みなさんこんにちは。 アクアライフWEB編集部の板近 代(いたちか しろ)です。 本日は、PENTAXのコンパクトデジタルカメラOptioSを使って、水槽を泳ぐ魚を撮影をしてみようと思います。 発売は200 …