みなさんこんにちは。

アクアライフWEB編集部です。

 

あなたは「かっこいい熱帯魚」と聞いて、どんな魚を思い浮かべますか?

迫力の大型魚? 

スタイリッシュな小型魚? 

はたまた、独特の存在感を見せる中型魚?

 

本日は、そんなかっこいい熱帯魚をアクア専門誌編集とブログ編集が本気で「20選」していきます!

かっこいい熱帯魚の姿を思い浮かべながら……どうぞご覧ください!

山口 正吾山口 正吾

今回は脱線が少なめですよ(安心してください)。

板近 代板近 代

やはり熱帯魚は熱いです!

アクアの雑談

アクアの雑談は、その名の通りアクアリウムに関する「雑談」をお届けする連載です。お題は回ごとにいろいろ! 雑談いたしますのは、月刊アクアライフ前編集長の山口 正吾(やまぐち しょうご)と、アクアライフWEB編集部の板近 代(いたちか しろ)。雑談ならではのお話を、どうぞお楽しみください。

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※以下目次を開くと今回登場の魚種名が一覧で並びます。

本気で選出! かっこいい熱帯魚!

板近:以前、この雑談で綺麗な熱帯魚を紹介した回があったじゃないですか。お互い5選で10選づつ。

山口:ありましたね。好評であったと記憶しています。

板近:ええ。そのときに「次はかっこいい熱帯魚というお題もやりたい」ということを話していて。

山口:していましたね。

板近:それを、本日のお題にしたいと思うんです。なかなかお待たせしてしまいましたし。

山口:それでいきましょう。楽しみに待っていてくれる方もいるかもしれませんし。

板近:はい! それで……「綺麗な熱帯魚の回、たくさん読んでいただきありがとうございます」という気持ちも込めて、選出する魚の数を倍にして20選なんてどうでしょう。

山口:いいですね、増量。そのアイデアに乗りますか。

板近:ありがとうございます。20でも「枠が少ない!」ってなりそうな気もしますが(笑)。

山口:では、今回は趣向を変えて、いつものような前置きはなしで、いきなり選出をはじめてしまいますか。

板近:今までとはちょっと違った感じですね。

山口:いつも前置きが長すぎて、忙しい人には面倒な奴らだと思われているかもしれず(笑)。

板近:(笑)

専門誌&専門ブログ編集が選ぶ“かっこいい熱帯魚”20選!

山口:ではでは、どちらからはじめましょうね。

板近:言い出しっぺなので私からいきますかね。

山口:ではでは、よろしくお願いいたします。

板近:大事な1種目…………アロワナ、どうでしょう。

山口:あちゃー取られたか。種類はどれにしますか? ブラックもシルバーもアジアもとなると、私も次の一手に困りますし(笑)。

板近:はい(笑)。みなかっこいいので悩みますが……。

1種目 シルバーアロワナ

シルバーアロワナ
シルバーアロワナ Photo by T.Ishiwata

板近:シルバーアロワナどうでしょう。

山口:いいですね~。では、具体的にはどんなところがかっこいいと思いますか。

板近:王道オブ王道なところですかね。多くの人が憧れて、また身近に感じてきたアロワナでもあると思うんです。

山口:魚自体のよさとしてはどんなところでしょう。

板近:まず、あのいかつい顔に大きな鱗。そしてあのジャンプした時の迫力としなやかさ。立ち昇る龍のようとでもいいますか。

山口:たしかに龍っぽいですよね。

板近:ええ。水平に泳ぐ魚ではあるけど、さっき話したジャンプという「縦」のかっこよさもあって、それがすごくすごくて……いや、開幕早々言葉がちゃんとしてないですね(笑)。

山口:たしかに熱くなる話題です(笑)。まあ、理屈をあまり述べる魚でもないのかもしれませんね。アクアリストならグッとくる要素が詰まっている

板近:ええ。以前アクアライフの表紙にジャンプしているアロワナが掲載されていたじゃないですか。

山口:2018年の水族館特集ですかね。

板近:はい。あれもまさに、理屈抜きの迫力でしたもんね。見た時言葉を失いましたよ。

山口:うーん、アロワナをとられるときついなぁ。

板近:かっこいい魚と来たら、やっぱり一発目はアロワナだろうみたいな感がありまして(笑)。

山口:(笑)。では私も同じ路線で……。

2種目 ポリプテルス・エンドリケリー

ポリプテルス・エンドリケリー
ポリプテルス・エンドリケリー Photo by T.Ishiwata

山口:ポリプテルス。なかでもエンドリケリーどうですか。

板近:古代魚つながりですね。

山口:他のポリプもいいんですが、あのカエル顔というのかな。くすぐられますよね。

板近:はい。

山口:愛嬌もあるけれど造形的なかっこよさがある。ヒレの数とかはまあもちろんこだわる要素ですが、まずは顔。

板近:私の勝手なイメージですが、エンドリケリーって恐竜を見たことありそうな顔してますよね。

山口:たしかに。それと鱗というか体表の質感が、ネイチャーアクアリウムにおけるコケではないけれど、時間を感じさせるというか、テクスチャーが複雑で古美術的というか……そんなかっこよさがあります。

板近:生命の歴史を感じるかっこよさですね。では、古代魚古代魚ときたので路線を変えまして……。

3種目 チェッカーボードシクリッド

チェッカーボードシクリッド
チェッカーボードシクリッド Photo by N.hashimoto

板近:チェッカーボードシクリッドどうでしょう。

山口:ああ、やばいところを突きましたね。うん、いいところ突くなぁ。

板近:ありがとうごさいます。

山口:シクリッドって愛嬌があるし、それでもなんとも言えないかっこよさがあるんだけど。チェッカーボードはそれを体現しているというか。

板近:こう、“かっこいい要素”のバランスがいいですよね。

山口:ヒレかなポイントは。

板近:ええ。しゅっと伸びたヒレもスタイリッシュだし、その色味というか、体の模様と合わさっておしゃれなんですよね。名前も洒落てますし。

山口:上品ですよね。鋭利的なかっこよさというか。

板近:また、シクリッドらしい泳ぎ方が合うんですよね、あのビジュアルに。イカスって言葉が似合う感じで。

山口:たしかに。ではお次は……。

4種目 ロングノーズブロキス

ロングノーズブロキス
ロングノーズブロキス Photo by T.Ishiwata

山口:ロングノーズブロキスはいかがですかね。

板近:ああ、重戦車的なかっこよさがありますよね。

山口:まさに今それを言おうかと。

板近:まさにそこでしたか! ドドドドドドって擬音をつけたくなりますよね。

山口:小さいからチョロQの戦車のような。かっこいいんだけどかわいい。

板近:かわかっこいい。

山口:塊感がいいのかな。

板近:色味もシンプルで渋くて、そこを引き立てますよね。ではお次は……。

5種目 ブラックテトラ

ブラックテトラ
ブラックテトラ、ちなみにこの個体はワイルドものである Photo by MPJ

板近:ブラックテトラを推させていいただきます!

山口:あれ? これはちょっと意外です。私では理解できないところがあり。説明してもらえますか?

板近:まずはあのいかつさですかね。顔だけでなく体型込みで。

山口:四角いですよね。

板近:ええ。がしっとしてますよね。小型のテトラのなかでは、かなり上位に入る迫力だと思うんです。

山口:ああ、なるほど。成長した個体の話ですね。私は今若いブラックテトラを想像してしまっていて。あれ、シジミ(蝶々)みたいなヒラヒラとしたかわいらしさがあるから。

板近:たしかに若い個体はかわいいですね。以前見た大きく育ったワイルドものは、いい感じに威圧感をまとってましたよ。

山口:うーん、そう言われるとわかります。色合いもシックですし。では、次は卵胎生メダカから……。

6種目 クシフォフォルス・モンテズマエ

クシフォフォルス・モンテズマエ
クシフォフォルス・モンテズマエ Photo by MPJ

山口:モンテズマエはどうでしょう。

板近:あ、それかぶりました(笑)。

山口:ここでかぶるんですね(笑)。けっこうマニアックなのですが。

板近:800種図鑑で見てかっこいいなぁと思った記憶が新しく。

山口:なるほど。なんにせよ、あの尾ビレの長さが素晴らしく。体長くらいはあるから。

板近:長いですよね。

山口:ええ。ソードテールはいろいろいるけれど、やはりモンテズマエは特別というかそんな気がします。さて、お次どうぞ。

板近:はい。これはSF的なかっこよさを感じている魚なんですが……。

7種目 スレッドフィンパラダイスフィッシュ

スレッドフィンパラダイスフィッシュ Photo by N.hashimoto

板近:スレッドフィンパラダイスフィッシュはどうですか。

山口:SFという前置きでパッと思い浮かんだのがこの魚でした。

板近:今日一致率高いですね。

山口:ですね。でもあれ、「かっこいい」というか「変わった」魚という気も……でも、SF的と言われればかっこいいとも思えますし。物は言いようといいますか(笑)。

板近:たしかに変わり種の熱帯魚回に出てきても不思議ではない魚でしたね。

山口:あれはなぁ……実物を見るとさらにびっくりしませんか?

板近:ええ。子どもの頃、前知識ゼロで出会っちゃって。お店の水槽にいて……もう、事件でしたねあれは。

山口:泳ぎ方がまさにSF的というか。

板近:頭の中で再生される……。

山口:スーッと水を切って行く様子が、浮遊感があるというか。

板近:脳内にスレッドフィンパラダイスフィッシュが…………。

山口:いいですね、スレッドフィン。こういう方向もあると気付かされました。

板近:ではでは、山口さん8種目をお願いします。

8種目 プラチナバラムンディ

プラチナバラムンディ
プラチナバラムンディ Photo by T.Ishiwata

山口:プラチナバラムンディはいかがでしょうか。これは文句なしという気もしますが。

板近:ええ。文句なしですね。

山口:みっしりとした金属の塊のようで、男心をくすぐるというか。

板近:プラチナをセレクトしたのはどうしてでしょう?

山口:ゴールデンもよいのですが、プラチナのクールな印象はかっこいいとしか言いようがなくて。

板近:たしかにクールです。

山口:元々、バラムンディ自体がかっこいい魚ですから。

板近:プラチナがさらにそれを引き立てるというわけですね。もしかすると、金属感というのはかっこよさに影響する要素の一つなのかもしれませんね。金属かっこいい。

山口:ええ。それはあるかもしれません。金属かっこいい。

板近:では私も、これは文句なし! という感じの魚を……。

9種目 アルマートゥス・ペーシュカショーロ

アルマートゥスペーシュカショーロ
アルマートゥス・ペーシュカショーロ Photo by T.Ishiwata

板近:アルマートゥス・ペーシュカショーロはどうでしょう。

山口:あ……私、完全にそっち方面が抜けてました。文句ないですね。

板近:怖かっこいいみたいな。

山口:サーベルタイガーを彷彿とさせるというか、子どもが絵に描いたようなわかりやすさがある。

板近:なんだこの牙は! って。

山口:剣というか、まあ牙なんだけど、全体に鋭利な刃物をイメージさせますよね。

板近:「鋭」とはこの魚のためにある漢字だって気すらします。

山口:それは言い過ぎかと(笑)。

板近:(笑)

山口:うーん、ここで大型カラシンに引きずられるのもありですが一旦、仕切り直しで……。

10種目 グアテマランプラティ

グアテマランプラティ
グアテマランプラティ Photo by MPJ

山口:グアテマランプラティはどうでしょう。

板近:これはきますね。

山口:プラティといえばかわいい魚というイメージがあると思うんですが、この原種(野生種)はちょっと違うというか、ブルーのラメが散りばめられたような美しい体表をしていて、まるで工芸品のようで。

板近:これ「山口さんと話してたら飼いたくなっちゃたシリーズ」追加ですね……。

山口:あ、それはシリーズ化しているんですか(笑)。

板近:(笑)。かっこいい美しさとはこういうことですね。

山口:以前飼育していたことがあったのですが、先日、問屋さんで久々に見かけて「やっぱりいい魚だなぁ」と、そういうタイミングでした。

板近:おお。生で見てきたばかりなのですね。

山口:白地にブルーが清楚でもあるし、高級感があるといえばいいのかな。そんな魅力があります。

板近:ではお次は私も趣向を変えて……。

11種目 オレンジフィンアーマード

オレンジフィンアーマードトリム
オレンジフィンアーマード Photo by N.hashimoto

板近:オレンジフィンアーマードで!

山口:ああ……え? あれ、かっこいいですかね。すみませんちょっとイメージが違って。お話お聞かせください。

板近:はい。もう「アーマード」なかっこよさですよね。先に挙げたカショーロが攻めのかっこよさなら、こちらは堅牢な防御のかっこよさというか。

山口:ああ、なるほど。なんかわかります。鎧は鎧でもピカピカの鎧ではないですよね。

板近:ええ、そうですね。

山口:なんというかボトムズのような味わいというか。ご存知です? ボトムズ。板近さんは世代じゃないかな。

板近:ボトムズは名作だと聞いたことはあるのですがまだ見たことがなく、ビジュアルくらいしか。でも、なんとなく山口さんが伝えようとしていることはわかる気がします。

山口:(笑)。なんにせよ、機能重視の鎧という感じがして……そのかっこよさはたしかにありますね。装飾性はないけれど無骨で。

板近:ええ。またこのオレンジが、夕日に佇む戦士のようで。

山口:わかります。では、次は定番というところで……。

12種目 ゼブラキャット

ゼブラキャット
ゼブラキャット Photo by N.hashimoto

山口:ゼブラキャットはいかがでしょう。

板近:あーかっこいい!

山口:フォルムもいいし模様もいいのだけれど、私が気に入っているのは顔の青みというか。あれがあってのゼブラキャットという気がします。

板近:なるほどです。

山口:金属光沢があるというか。

板近:金属感はやはり重要な要素なんでしょうね。

山口:ですね、ただの反射というよりは金属を彷彿させる質感が大切なのかも。

板近:同じ反射でも質感で見え方が全然違いますもんね。

山口:そうそう。ゼブラキャットはそんな質感もいいなと。つぶらな瞳はご愛嬌ということで。

板近:愛嬌とかっこよさのあわせ技はいいですよね。では次は、最近私の中でめちゃくちゃかっこいいなという魚を……。

13種目 キャスイットダニオ

キャスイットダニオ
キャスイットダニオ Photo by T.Ishiwata

板近:キャスイットダニオです。

山口:ほう……ダニオは意外な線です。あえて外していたりします?(笑)。

板近:いえ、外してないです(笑)。綺麗な熱帯魚の回でこのお題の案が出てからわりとすぐに「ダニオはかっこいいなぁ」と思っていたくらいで。でもたしかに、外しっぽいかんじはありますよね。

山口:ではでは、板近さんのダニオ・プレゼンをどうぞ。

板近:はい! かっこいい小型魚を考えている中で、ダニオに行き着いて。それで、どのダニオを選出するか悩んでいたんですけど……。

山口:ええ。

板近:キャスイットダニオは、その悩みとは全く関係ないところで目について。

山口:そうなんですね(笑)。

板近:ええ。つい先日、水草レイアウト制作ノート2を見ていたんです。魚探しとはまた別の目的で。そしたらキャスイットダニオの姿が目に入り。81ページですね。

山口:なるほどです。どんなところがかっこいいと思いましたか?

板近:このラインとヒョウ柄の組み合わさったような模様。それにオレンジのヒレ……。

山口:ああ、模様なんですね。

板近:ええ。そこにダニオの「泳ぐぞ!」という雰囲気が加わり。

山口:「泳ぐぞ!」新しいですその表現。たしかにダニオは泳ぐからなぁ。

板近:ええ。あの泳ぎとあの見た目が合わさるとすごくかっこいいなぁと。

山口:なんとなくわかった気がします。ダニオ方面は思いもよらず。ありがとうございました、新たな感覚を身につけましたよ。

板近:ありがとうございます。

山口:20数年も編集をしてきましたが、新しい価値観でした。

板近:なんだか緊張しますね、そこまで言っていただけると。

山口:いえいえ、こういうのが雑談のよさであって。これで私は、ダニオを見るときにかっこいいという視点も意識できるわけですから。

板近:私こそ山口さんからいろいろ教わっております。しかし、このタイミングでこんなに盛り上がるとは思いもよらず、気がつけばダニオ枠が一番コメント数多くなってる気が(笑)。

山口:(笑)。

板近:ではでは、お次をお願いいたします!

山口:うーん。ダニオに面くらったこともあり、なかなか次のよい一手が。

板近:ダニオの影響大きいですね(笑)。

山口:(笑)。うーん……あ、思いついた!

14種目 ウルトラスカーレットトリム

ウルトラスカーレットトリム
ウルトラスカーレットトリム Photo by T.Ishiwata

山口:ウルスカはどうでしょう。ウルトラスカーレットトリム。これも定番でしょう。

板近:かっこいいプレコと聞いて、ウルスカを思い浮かべる人多いですよね絶対。

山口:強面プレコというか、トゲトゲの体がオレンジ色に染まるわけですから。ヒレも大きいし。

板近:ええ。プレコの中でもアグレッシブなビジュアルしていますよね。

山口:その激しい性格を表しているような見た目は「強い=かっこいい」という線での選出になるかな。いかがでしょう?

板近:ええ。素晴らしいと思います。ほんとにウルスカかっこいいもんなぁ……。

山口:つよかっこいい。

板近:つよかっこいい。ではでは、ダニオに引き続き、お次も「泳ぐぞ!」な魚をいかせていただきます。

山口:それなぁ(笑)。「泳ぐぞ!」を私が体得できるか否か。

板近:(笑)。ではそんな「泳ぐぞ!」な一匹……。

15種目 レッドライントーピードバルブ

レッドライントーピードバルブ
レッドライントーピードバルブ Photo by N.hashimoto

板近:レッドライントーピードバルブどうでしょう。あの体型はかっこいいと思うんです。

山口:あー、その線ですね。微妙に綺麗な方が優っている魚とも思いますが、詳しくお聞かせください。

板近:なんか顔がとんがってるじゃないですか。こう、すごく単純な意見なんで申し訳ないんですが……速そう。みたいな(笑)。

山口:いやあ、そうきましたか。新幹線とかそういうフォルムのよさですか。

板近:あ、新幹線近いかもしれませんね。

山口:先程も触れましたが、レッドライントーピードバルブは「かっこいい」よりも「綺麗」が勝ったりしませんか? 

板近:どうでしょう。たしかにフォルム的な美しさという点で、そのあたりの境界線が難しくなっているのかもしれません。

山口:ま、綺麗でかっこいいもありですよね。

板近:きれいかっこいい。

山口:ええ。フォルムだけ見たらムギツクのようではありますが、レッドライントーピードバルブは、あの模様がかっこよさを引き出しているのかもしれない。まあ、ムギツクもいい魚なのですが。

板近:あのラインが華を添えますよね。

山口:華を添えるというのもちょっと違うかな……シャープな印象を与えています。

板近:華ではなく速度感を添えるですね。

山口:速度感(笑)。

板近:いや、なにを言ってるのでしょうね私は。今回のお題は、ほんとに脳の落ち着きを奪っていきますね。

山口:今いくつ挙げましたっけ?

板近:えっと、私が8で、山口さんが7ですかね。

山口:興が乗ってきて忘れてしまいました。あと3か……うーん。

板近:正直「10選追加!」「10選追加!」と増していきたい勢いです。

山口:あと3……。じゃあこれしかないかなぁ……。

16種目 レッドアロワナ

レッドアロワナ
レッドアロワナ Photo by T.Ishiwata

山口:アジアアロワナ。それもレッドに絞りましょう。

板近:あの赤!

山口:多分、私はめちゃくちゃアジアアロワナの写真を見ている人間なんですね。というのは、アロワナライブという雑誌を担当していたし、1990年代からアクアライフでは特集を担当していたりしたから。

板近:はい。

山口:カメラマンから上がってきた写真は、その魚のかっこいいところをきちんと引き出そうという工夫もあるし。カメラマン自体が被写体に入り込んでいることもわかる。もちろん、取材では現物も見るのですが。

板近:写真も現物もたくさん見ているわけですね。

山口:見ていると思います。そうした私の仕事柄、アジアアロワナのかっこよさが刷り込まれているというか。「かっこいいものはかっこいい、理屈じゃねえんだ」とそんなふうに言いたい魚です。

板近:たしかに……。息を呑むかっこよさがありますよね。

山口:ええ。アジアアロワナを堪能したい方は弊社刊「アロワナライブ」をどうぞ(笑)。ということで、板近さんお次を。

板近:はい。今度はもしかすると「あえて外す」枠に入ってしまうかもしれません。私自身もけっこう悩んでいるので。

山口:躊躇なくダニオを出した板近さんが、「あえて外す」というのなら、また新たな価値観をもらえそうですが。

板近:ですかね(笑)。いや、かわいいし変わっている魚でもあるしで……。

17種目 バトラクスキャット

バトラクスキャット 
バトラクスキャット Photo by N.hashimoto

板近:バトラクスキャット。どうですかね?

山口:ああ、うーん……かっこいいかな?

板近:もう名前を出した勢いでそのまま押し切ってしまいますが、あの深海すら感じさせる顔はもう、なんていうか!

山口:どうなんだろう?

板近(笑)。人知を超えた存在感と言うか、このあたりうまく言葉にできなくて、めちゃくちゃ悩んだんですけど。

山口:フウセンウナギ的なあれですかね。いや、おたがい主観なので、もうちょっと話をお聞きしてその感覚を体得したいです。

板近:言うなれば「得体のしれないかっこよさ」ですかね。UMAへの憧れみたいな。

山口:ああ、妖怪的な。異形というか、それはかっこよさにつながるのかもしれない。

板近:ええ、ええ。そこですそこです。

山口:ロボダッチって知ってます?

板近:ロボダッチ。ちょっと検索しますね。

山口:昔のプラモというかフィギュアというか……。

板近:かわいい!

山口:なんかバトラクスキャットを見ていると、ロボダッチが思い浮かぶんです。デフォルメされたフォルムというのかな。

板近:デフォルメ感、私がバトラクスをセレクトするかどうか悩んだのも、ここにある気がしますね。うん、ロボダッチ。バトラクスが混ざっていても違和感ないですね。

山口:ええ。そうなんです。SDガンダムじゃないんだよなぁ。

板近:あー、かもしれません。そうそうバトラクスは、個人的には横からよりも正面に近い角度から見た時がかっこいい気がしますね。斜め前からとか。

山口:角度で見え方が大きく変わる魚でもありますね。

板近:ええ。

山口:そろそろラストが近づいてきましたね。ああ、しかしそういう焦燥感もあり思い浮かばないな。というか、たくさんあって選べない。

板近:やはり20選でも少なかったですね。でも枠が広すぎると記事が延々と続いてしまいますし、困ったものです。まぁ、またいつか続編でも(笑)。

山口:(笑)。ではお次は、今は飼えない魚でもいいですか?

板近:ええ。

山口:……やっぱり、それはなしかなぁ。

板近:私はありだと思います。かつては飼育できたわけですし、飼育できないこととかっこよさは関係ないですし。

山口:わかりました。もうここまで話してしまうと答えているようなものですが……。

18種目 アリゲーターガー

アリゲーターガー 
アリゲーターガー Photo by N.hashimoto

山口:アリゲーターガーです。

板近:伝わっていました。

山口:ええ。振りが答えになっていましたね。

板近:そうですね。

山口:ワニのようとかいろいろ言われますが、ワニもかかっこいいですし。するどい牙に鎧のような鱗……大きく育った個体は太さもあって、存在感がすごい。

板近:ええ。すごく「ここにいる」って感じがします。

山口:小さい個体もかっこいから、安く売られているのを見て、お子さんやよくその魚を知らない方が買ってしまったのも仕方がないと思います。

板近:小さくてもかっこいい。本当にそうでしたよね。

山口:でもそれが放流につながって、特定外来の指定につながった。皮肉なもんです。

板近:はい。なんだかここでその話に触れるというのは、とても大切なことであるように思えます。

山口:1000〜2000円のアリゲーターガーであっても生涯買おうと思ったら数10〜数100万の予算が必要で……あ、話が脱線してしまいましたね。

板近:いえ、とても大事なところではないでしょうか。かっこいいは無条件では飼育できない。

山口:たしかに大事なことですね。再びガーも流通するようになればいいんですけれど。アリゲーターガーに限らずガーパイク類は他に代わりがないから。

板近:いつかそういう日がきたら、もう特定外来の悲劇を繰り返さないような未来になるといいですね。

山口:はい。アリゲーターガーが残してくれた教訓は、忘れてはならないものだと思います。ではでは、板近さんのラストどうぞ。

板近:とうとう私のラストとなってしまいました。やっぱり20では枠が足りない。

山口:(笑)。

板近:がんばってしぼりますね。1種に。

山口:がんばってください。

板近:………………。

19種目 タライロン

タライロン
タライロン Photo by T.Ishiwata

板近:……タライロン。タライロンで!

山口:それきましたか。カラシンでも独特という。

板近:ええ。

山口:ブルドッグとかピットブルとか、ああいうかっこよさですよね。

板近:ああ、たしかにそうかも。私がまず推したいポイントはあの顎で。めっちゃくちゃ強そうじゃないですか。開いていても閉じていても。

山口:他にはない風貌ですよね。板近さんの選出を私がまとめてしまうのもあれですが、危ないかっこよさがある。

板近:ええ。危険なオーラです。今日何度か「泳ぐぞ!」の魅力を主張してきましたが、タライロンは佇む……構える的なかっこよさですよね。

山口:どっしりとしているけど、キレると怖いみたいな。

板近:ええ、ええ。またあの体格がいいんですよね。ずん! としているというか。

山口:尾柄が太いんですよね。

板近:それであの色ですから。

山口:力強さがあります。いやー、今日は全然板近さんの方がいい線を突いているな。説得力がありますよ。

板近:そうですか? ありがとうございます。では山口さん最後の1種をお願いいたします。

山口:ええ。いよいよ最後ですね。どうしようかな、いまいちまとまらないな。

板近:今までも悩みましたが、最後の最後はさらに悩みそうですね。

山口:うーん、ここは恥を忍んで……。

20種目 ゴリアテタイガーフィッシュ

ゴリアテタイガー
ゴリアテタイガーフィッシュ(写真上の個体) Photo by N.Hashimoto

山口:ゴリアテタイガーフィッシュはどうですか。

板近:締めにふさわしい魚だと思います。

山口:ええ。カショーロ、タライロンと板近さんに挙げられて、そこでさらに大型カラシンを持ってくる行為はそれに引きずられている感も強く。まあ、恥と思うことでもないんですが……負けですね、恥というより負け。

板近:なんだか競技みたいになっていますね。

山口:なんですかね争うこともないのに。今日のところは板近さんの勝ちで(笑)。

板近:ありがとうございます(笑)。

山口:正直、ゴリアテタイガーにするか、ラインノーズピラニアにするか迷ったんです。

板近:あー。

山口:でも、ピラニアもたくさんいるから、その中の一種がラインノーズでいいのかという葛藤もあり。他にもかっこいいピラニアはたくさんいるし。

板近:今日はお互い、牙の中でかなり悩んでいる感ありますよね。

山口:ゴリアテタイガーは説明いらないですかね。誰もが納得するんじゃないかと思いますが。

板近:百聞は一見にしかずみたいな。

山口:ゴリアテタイガーがアクアリストというよりもアングラーに人気あったりするのは、この見た目もあると思うんですね。多分に。

板近:さっきも言いましたが、本当にいい感じで今日の選出を締めてくれる魚ですよね。最後の1種として堂々たるというか。

山口:まあ、クローザーとしてはベストという気もします。大魔神佐々木のようなもので、これでまとまらなかったら仕方ないと。

かっこいい熱帯魚を振り返り

山口:いかがですか。かっこいい熱帯魚20選を振り返り。

板近:雑談の話者として、こんな感想もなんですが……。

山口:はい、続けてください。

板近:かっこよかったなぁ……。

山口:(笑)。脳内で堪能しましたか。

板近:よく考えたら、以前10選であれだけ白熱したんですから、20選にしたらもう脳がパンクしますよね。

山口:まあ、今回は前置きも早々に切り上げて選出に入り、テンポよく進めていこうとしたわけですが、これはこれで面白かったですね。

板近:ハイスピードバトル感で。あとからドッと疲れがきそうですね。

山口:そうかもしれませんね。この20選、なにか浮き彫りになったものはありましたか? 魚のかっこいいってなんなんだと。

板近:前も似たようなこと言ったような気もしますが、かっこいいにもいろいろあるなぁというところですね。「◯◯かっこいい」もあれば、シンプルな「かっこいい」もあって。

山口:後者は「理屈じゃない系」ですよね。

板近:ええ。説明できたり、できなかったり。でもつまるところ、心にくるかどうかなのかな、なんて思ったり。

山口:そうでしょうね。結局、人の心が動くことであって。

板近:綺麗な魚を選出したときとは、また違う感覚であったのも面白かったです。今日は背中に力入ってました(笑)。山口さんはどうでしたか?

山口:私なんかは、要素的な部分で、とんがっているというのは結構重要かもしれないと思ったり。

板近:たしかに。

山口:あとは重厚感。ずっしりとしている感じ。他には流麗なフォルムなどもあるかな、無駄のない機能美的な。

板近:そういうかっこよさもありますよね。硬質感なんてどうでしょう。これは重量感に含まれるかな。

山口:硬そうか。そうですね、重厚感に近いかもしれませんが、鎧魚系がかっこよく見えるのは硬さもあるかもしれません。

板近:またやりたいですね、かっこいい魚選出回。

山口:ええ。今度は負けませんよ。

板近:競技化決定ですね(笑)。

アクアの雑談