みなさんこんにちは。

アクアライフWEB編集部です。

 

「世界一綺麗な熱帯魚はなにか」

本日は、このなかなか答えが出なさそうな問題に、月刊アクアライフ前編集長と、月刊アクアライフWEB編集部員が挑みます!

果たして……答えは出るのか!?

みなさんも、どうぞ一緒に考えてみてください!

山口 正吾山口 正吾

芸術の秋らしいお題であったと思います。

板近 代板近 代

飼育してみると、初見のときとは違った「綺麗」を発見することもありますよね。

アクアの雑談

アクアの雑談は、その名の通りアクアリウムに関する「雑談」をお届けする連載です。お題は回ごとにいろいろ! 雑談いたしますのは、月刊アクアライフ前編集長の山口 正吾(やまぐち しょうご)と、アクアライフWEB編集部の板近 代(いたちか しろ)。雑談ならではのお話を、どうぞお楽しみください。

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月刊アクアライフ前編集長と考える、世界一綺麗な熱帯魚!

板近:今回は「世界一綺麗な熱帯魚」というお題でいきたいのですが、このお題を選んだのには2つほど理由がありまして。

山口:どんな理由でしょう。

板近:「世界一綺麗な熱帯魚は?」と尋ねられても、これは答えが出ないなぁって思ったんですね。人それぞれの感覚もありますし。だからこそ、アクアライフの編集長として長い間いろいろな魚を見てきた山口さんの意見を聞いてみたいと思いまして。

山口:なるほど。もうひとつの理由はなんでしょうか。

板近:魚の図鑑を見ているとこの魚綺麗だなぁ……とか、いいなぁ……とか思ったりするじゃないですか。

山口:たしかに思いますね。

板近:ええ。そんな気持ちになりそうなお題だなと思いまして。話すと楽しそうというか。もうすぐ、アクアライフの図鑑号が出ることですし(2021年1月号 2020年12月11日発売予定)。

山口:そういえば12月発売号の特集は800種図鑑です。このブログを読んでいただいた皆さんには、そちらも気にしてもらいたいですね。

板近:2年ぶりの図鑑特集号。前回(2019年1月号)は500種でしたね。

山口:それで、まず、先ほど板近さんの言っていた「答えが出ない」件ですけれど。

板近:はい。

山口:やっぱり答えは出ないですよね(笑)。

板近:(笑)

山口:美しいと思える心が準備されているか否かの問題であって。美しいの定義も曖昧ですし。

板近:たしかに、曖昧ですよね。

山口:派手さが基準であればプラティが一番とも言えるかもしれない。フォルムで言えばエンゼルフィッシュは群を抜いているしディスカスも円くて綺麗です。

板近:多くの人に知られていて、綺麗だと言われているという点ではネオンテトラはすごいですよね。実際綺麗ですし。

ネオンテオトラ
ネオンテトラ。この美しさで、今も昔も人を魅了し続けている Photo by N.Hashimoto

山口:ああ、あれは綺麗ですよね。本当に熱帯魚を知らない方が見たら、びっくりするくらい綺麗だと思います。

板近:群れているとなおさらですよね。

山口:とてもいい魚ですし、本当に多くのアクアリストが飼育したことある魚だと思うのですが、ポピュラーであるために通過点になっている人も多いのではないかと思います。

板近:たしかに。

山口:ネオンテトラの次、またその次を探す旅に出てしまう。これってなんなのかなと。

板近:たしかになんなのかなぁと思いますね。なかなか言葉にしづらい感覚。その旅の中でできていく「綺麗の基準」なんかもありますよね。

山口:そうそう、経験によっても変わっていく。経験は人によって様々だから、結局、好みも人それぞれになっていく。

板近:ええ。

山口:なんなんですかねホント。とはいえ突拍子もないことでもないと思うんですよね。お茶の世界でも、もう何百年も前から、わびさびといった感覚があって。派手なだけではない味わいみたいなものに、多くの人が魅了されていたと思うんです。

板近:味わい、ありますね。今回のお題を考えるにあたり、昔を振り返ってみたんですね。子どもの頃を。「綺麗だなぁ!」という印象で残っている魚ってなんだろうって。

山口:どの魚だったんですか?

板近:グローライトテトラです。

山口:いやあ、いいところを突きますね。確かに綺麗だと思います。

板近:多分、今思うと、グローライトテトラに、派手なだけではない味わいみたいなものを感じていたのかなと。

山口:……グローライトは結構派手じゃないですか? ともあれ板近さんはグローライトに味わいを感じたんですね。派手なだけじゃない何かを。

板近:ええ。なんというか、派手さはありつつもどこか抑えめな魅力を感じていた、そんな記憶がありまして。

グローライトテトラ
グローライトテトラ。輝いている部分以外にも目を向けてみると、また新しい魅力に気がつくこともある Photo by N.Hashimoto

山口:なるほど。でも、何にせよ、私と板近さんでも、雑談の初めからこうして違いが出てくるわけで。とても個人的なものですよね、綺麗だと思う基準は。

板近:はい。派手さのない、落ち着いた色合いの魚にも美しさを感じたりしますよね。フォルムだったり、淡く乗る色彩だったり。

山口:だからといって、派手な魚がダメなわけでもないんですよね。

板近:そうなんですよね。

山口:なんだろうなぁ、この感覚。

板近:個人的な感覚もあるから難しいですよね。人それぞれの一番綺麗な魚がいて。なんなら自分の中でも一番を決めれなかったりして。

山口:自分の中でも決められないなぁ。板近さんの言う通り、個人的でもあるし、割と刹那的というか、その時だけの感覚があったりもするんですよね。もちろん、飼って後悔することはないのですが、「綺麗なだなぁ」と盛り上がる瞬間はあって。

板近:盛り上がりというのはありますよね。綺麗だ、美しいというのは感情が動いているわけでもありますし。

挑戦! あえて選ぶ、世界一綺麗な熱帯魚

山口:あえて、と言われたらどう答えますか? 今、あえて一番を選んでくれと。

板近:あえてですか。まず、前置きしたくなりますよね。「あえてですよ? これはあくまで、あえてですよ?」と(笑)。

山口:そうなりますよね(笑)。前置きが必要です。

板近:ええ、必要です。でも、綺麗だと思う魚をあげていく行為自体は楽しそうですね。うーむ……。

山口:挙げられませんか?

板近:開始早々いきなり混乱してしまって。なんでかと言うと、ふと、改良品種を思い浮かべちゃったんですね。個体ごとの綺麗さがいろいろで頭が大忙し。

山口:いいじゃないですか。それこそ、改良品種は人の好みを集積した結晶ですよ。

板近:グッピーコンテストの結果発表(月刊アクアライフ2020年11月号)あったじゃないですか。それがふと思い浮かびまして。どのグッピーも綺麗だったなぁと。

山口:ああ、綺麗ですよね。繊細な美しさ。

板近:ほんとに繊細でしたね。掲載されていた写真は大きかったですが、実寸大で想像してみるとなおさらそう感じます。

山口:我々アクアリストはグッピーの大きさを知っているから繊細だと思うわけで。あれが1mの魚だったら、ちょっと違うかも。

板近:1mのグッピー想像しましたが、すごいですね(笑)。ヒレが大きい品種だと、水槽の深さがかなりないと維持できなそう。

山口:(笑)。美しさって、大きさも関係しているよなぁと。

板近:バランスもありますよね。色とフォルムのバランス。

山口:ですね。

板近:今回のお題は「この個体が綺麗!」とはちょっと違って「この種類が綺麗!」であるとは思うのですが、いろいろな姿を見せてくれるという点はグッピーの綺麗さを語る要素のひとつでもありますよね。そういう意味でも「あえて選ぶ世界一綺麗な熱帯魚」としては有力な候補なのかもしれない。

改良グッピー
改良グッピーはその美しさだけでなく、色彩、形状などのバリエーションの多さに驚かされる。まさに、“深い”世界! Photo by N.Hashimoto

山口:なるほど。

板近:2種になっちゃうんですが、あえて言うならネオンテトラ、グッピーは強い気がしますね。

山口:ネオンテトラは、世界でみても群を抜いて流通量が多い熱帯魚ですからね。「多く流通している=綺麗」とも限らないけれど、数は指標のひとつになりそうです。

板近:とてもメジャーな魚だからこそ、この2種に「ストレートな綺麗」を見せてもらったという記憶のある人も多い気がします。私もそうですし。

山口:ええ、ストレートですね。私も何も知らないのに、国産グッピーを買ったことも大昔にありました。

板近:あと、どこで見たんだったかな……美しい熱帯魚として、ラコビーが紹介されていたのがすごく記憶に残っていますね。

山口:あれも綺麗ですよね。

板近:もう少し範囲を絞ると、決めやすいかもしれませんね。世界一綺麗なテトラとか、世界一綺麗なレインボーフィッシュとか。いや、同じかな……決まらない気がする(笑)。

どこを綺麗だと思うのか、何を綺麗だと思うのか

山口:要素を話すのはどうですか。魚ではなく、どんな部分に惹かれるのかと。美を分解する作業とでもいいますか。

板近:要素ですか。魚のどこを綺麗だと思うのかということですね。

山口:ええ。たとえば、私なんかは複雑な模様が好きなんですね。ナポレオンフィッシュには細かいラビリンス模様みたいなものがあるのですが、そういうのにとても惹かれます。

板近:私はそういう要素で言うと、ふわっと乗る色が好きですね。ヒレとか体表とかに。

山口:淡水魚特有ですよね。ふわっと乗る色、たとえばどんな魚ですか?

板近:赤コリのふわっと乗るメタリックグリーンとかですね。

赤コリ
赤コリことコリドラス・アエネウス。落ち着いた色合いが、メタリックグリーンを引き立てる Photo by N.Hashimoto

山口:いやぁ、渋いですね。赤コリのメタリックグリーン、たしかに綺麗ではあります。

板近:ああいう色の乗り方って、綺麗だなぁと思うんですよ。

山口:粉を吹いたような色はありますよね、エアブラシのように。

板近:ええ。綺麗ですよね。思い浮かべるだけでうっとりします。

山口:あとはどんな要素があるかなぁ。事細かに挙げていくとキリがありませんが、魚の美しさを感じる要素として鱗があると思うんですよね。

板近:鱗ですね。

山口:ポリプテルスやガーパイクなどのガノイン鱗。ガノイン鱗は並びがとても綺麗で、それだけでも美しいと思えるし。

板近:鱗で魅せる魚っていますよね。アロワナとかも鱗に目が行きます。

山口:アロワナだってあの鱗が小さかったら、ちょっとここまでの人気があると思えないですよね。金魚などでも鱗並を見たりするし。錦鯉だって鱗の並びは重要です。

板近:コンゴテトラなんかも、鱗がいいですよね。

山口:鱗が何かの紋様のような美しさを出すことがあると思うんです。まあ、紋様も自然物のインスパイアが多いから紋様のように美しいというのもへんな話かもしませんが。

板近:ありますあります。ある列の鱗が際立っていたり。光の具合で変わるなども。

山口:変わりますね。

板近:あと、並びといえばヒレも重要なパーツだと思うんですよね。フォルムに大きく関わってきますし。

山口:シルエットですね。

板近:はい。魚って、その生態ゆえの形だったりするじゃないですか。見るからに泳ぎが速そうなシルエットだったり。

山口:基本はそうですよね。生き残りやすい形が生き残る。

板近:そういう美しさもあると思うんですね。泳いでいる姿が綺麗とか。

山口:それもわかります。ヒレだとプレコが思いつくなぁ。スカーレットトリムの尾ビレのフィラメント。めちゃくちゃかっこいいですよね。かっこいいという言葉が出ちゃいましたが。

板近:実は「かっこいい」は次回お題にしようかなと思っていたものでもありまして(笑)。

山口:(笑)。かっこいいはかっこいいで独立している感がある。綺麗とは違いますね。

板近:たしかに、かっこいいはかっこいいかもですね。ああ、でもかっこいいフォルムと綺麗は共存する所があるかもしれません。

山口:それはあるかもしれませんね。他に綺麗と感じる要素だと……清潔感は関係ないですか?

板近:清潔感ですか。ネオンドワーフレインボーの清涼感とか、綺麗だなぁと思います。

山口:やっぱりそれもあるのか。テトラオーロなんかも清潔感あると思いますが、色合い的に。それにしても、全然話がまとまらないですね。

板近:ほんとに今日はまとまらないですね。

山口:清潔感まで含めると、ややこしいですね。

板近:そうなると水の流れなんかも関係しそうですね。キラキラ流れる水の中を泳ぐ魚って実に綺麗ですし……と、ここまでいれるとさらにややこしいですね。

コンテストと基準

山口:うーん、だから、やっぱり「綺麗」は個人に帰するというか……。

板近:結局「あえて」も決まりませんでした。

山口:綺麗という言葉の捉え方が人それぞれですからね。

板近:綺麗な熱帯魚を挙げろと言われれば、めちゃくちゃ出てくるのですが。

山口:一番となると、順番をつけるわけで、それであれば基準が欲しい。けれど、それは個人的なものだから 、示すことはできない。パラドクスですよね。

板近:ですね。まさに今のように、自分の中で一番が決められない時もあれば、衝撃を受けて「これは一番だ!」ってなる瞬間とかもあったりしませんか。

山口:それはあります。誰が決めるかというのもポイントかもですね。

板近:それは重要かもですね。こうやっていろいろ考えてみると、コンテストって本当にすごいですね。

山口:個人的な一番であれば何だっていいけれど、他に対して説得力を持たせるとなると難しい。だから、コンテストは基準をしっかりと示しますよね。

板近:たしかに、コンテストの結果発表には説得力がある気がします。

山口:らんちゅうの連載を担当していたこともあったのですが、示されている審査基準はなるほどと思ったことを覚えていますよ。グッピーも然り。

板近:審査基準自体にも説得力があるわけですね。

山口:コンテストに関連して言えば、審査基準はクリアするものとして、それとは別に人を惹きつける何かを持っていることが大切だと思うんですよね。これについては錦鯉で強く思ったことがあります。背中のキャンバスにどんな模様を描くか。

板近:なるほどです。確かに、魚種に関係なく、大会の入賞個体を見ると有無を言わさず惹きつける魅力を感じます。

山口:模様にも基準や好まれる傾向はあるけれど、それこそ芸術の世界だから。人の気持ちがどれだけ動いたかという話だと思うんですよね。

板近:気持ちが動く。それは大きいかもしれませんね。

山口:ええ、でも、それは美とか芸術の領域であって。綺麗はもう少しカジュアルかもしれない。

板近:そうかもしれないですね。

山口:そこの差異もよくわかりませんが。綺麗かぁ。ややとっ散らかり気味の今回のお話をうまくまとめるとするならば…………。

綺麗な熱帯魚10選……?

板近:結論が出ないというのをひとつの結論として、綺麗だなぁと思う魚を思いつくままに挙げてみるのはどうでしょう。

山口:誰もが納得する綺麗な魚を提示したいですね。

板近:そうですね。少なからず、今回のタイトルを見て「綺麗な熱帯魚が見たい!」と思ってくれている人もいると思いますし。

山口:とはいえ綺麗と思える魚を挙げていけば、それこそ1時間くらいお話しできそうで。キリがないですから一人10ずつとか限定にしませんか。

板近:はい。ほどよく切り上げないと、過去最長の雑談になりそうです。

山口:前置きとして、「この雑談の時点で綺麗」というワードで思い浮かんだ魚にしましょう。

板近:今の時点ですね。

山口:ええ。一応お伝えすると、この前置きは、誰かに配慮しているからではなくて、単純に綺麗だと思う魚が変わっていくからです。私にしても板近さんにしても時間が経てば違う魚を挙げる可能性は高い。では、ひとつづつ挙げていきますか。板近さんからどうぞ。

板近:私からですか。ではまず、今日名前をあげた魚ですがネオンテトラ。これは外せないかなと。

山口:次は私ですかね。私はシルバーグーラミィかなぁ。あの鱗のきめ細やかさ。体表のぬめっとした輝きはかなりのものだと思います。

板近:ああ、あのなめらかさはすごいですね。では、次は私ですね。ゲオファーガス。

山口:ゲオですか、意外です。どちらかというとゲオは愛嬌に振っている魚かと思いまして。

板近:意外でしたか。実はまさに「今」な魚でして。この前ショップに行った時にすごく発色した綺麗な個体を見ちゃったんですよ。

山口:(笑)。でも、たしかに綺麗ですよね。レッドヘッドなど美麗と呼べる種もいます。

ゲオファーガス レッドヘッド
レッドヘッドと呼ばれるゲオファーガス。赤く染まる頭部はもちろんのこと、その他の色彩も鮮やかで美しい Photo by N.Hashimoto

板近:はい。いや、おもしろいですねこの順番に挙げてくの。こんど別のお題でもやりませんか。

山口:やりましょう。では……ペルビカクロミス・タエニアートゥスはどうでしょうかね。まあ、タエニアートゥスに限った話ではないのですが、アフリカ河川産シクリッドの多くは特にメスの発色が独特で、あれは他にないんじゃないかなと。

板近:ああ……美しいですね……すごい発色ですよね。

山口:では、お次どうぞ。

板近:では、コリドラス・シクリ。

山口:これも意外だなぁ。コリドラスも愛嬌が前面にくる魚だと思っていたので。本当に個人的な感覚ですね、綺麗というものは。

板近:そうですね。シクリは綺麗という印象がすごく残ってるんですよ。模様と色のバランスも、フォルムもいいですし。山口さんの言っていた清潔感もあるかもしれません。

山口:シクリ、名前も可愛いですよね。

板近:可愛いですね。では、山口さんどうぞ!

山口:ブルーフィンプレコはどうですか、レモンフィンでもいいけれど。あの類のプレコは好きだなぁ。

ブルーフィンプレコ
ブルーフィンプレコ。グラデーション、同系統の色の移り変わりが見るものの心を奪う Photo by N.Hashimoto

板近:綺麗ですね。私も好きで、レモンフィン飼ってますよ。

山口:まぁ、結局好き嫌いですが(笑)。あのグラデーションはたまらないですよね。ではお次どうぞ。

板近:次の魚は、はじめて見た時に「びっくりした!」って魚なんですけど、スファエリクティス・バイランティですね。

スファエリクティス・バイランティ
スファエリクティス・バイランティ。このビジュアルに衝撃を受けた人は多いのではないだろうか Photo by N.Hashimoto

山口:私も挙げようと思ってました(笑)。あの魚には驚きましたね。新着当時の興奮を思い出すなぁ。

板近:すごいですよね。

山口:今度は私ですね。アピストのパンドゥロ。ナイスニィでもいいんですが。

アピストグラマ・パンドゥロ。何時間でも眺めていられる青が実に素晴らしい Photo by MPJ

板近:アピストも美種の宝庫ですよね。それこそどのアピストが綺麗かということで、いろいろな意見がありそうなくらい。

山口:あの系統のアピストのブルーが好きなんですよね。

板近:この魚のこの色が好きってありますね。

山口:ブルドッグみたいな体型も可愛いし。これは体型と合わせ技になるのかな。

板近:そういう合わせ技はあると思います。

山口:いろいろな要素がありますからね。では、どうぞ。

板近:では、オデッサバルブ。この魚も体型が色を生かしてる気がします、あと鱗が。

山口:オデッサバルブいいですよね。私もその系統で考えていたものがあるのですが。

板近:バルブ系ですか。

山口:今回はやめておきます、被るとつまらないので(笑)。

板近:気になるので教えて下さい(笑)。

山口:ブラックルビーですね。あの魚の複雑な色合いはちょっとくるものがあります。

板近:これはくる……。

山口:黒と赤だけじゃないんですよね。グリーンがかって見えたり。

板近:魚って見え方が変わること多いですよね。角度とか光とかで。

山口:ええ。では、どうぞ。

板近:はい。少し戻って私もプレコから。ブルーフィンパナクエのあの色合いは綺麗だなって思うんですね。

山口:ブルーフィンパナクエ、私が挙げたプレコに近いですかね、感覚的に。

板近:近いところはあると思います。夜を連想させるような、暗い美しさがあると思うんですよ。静けさのある綺麗さとでも言いますか。

山口:なるほど、いい魚ですよね。

板近:こうやってどんどん「いい魚」が思いついちゃうから、難しいんでしょうねこのお題は。

山口:記憶を探ると無限に出てきますからね。

板近:そうですね、はじめてヘッケルディスカスを見た時……とか、いろんな衝撃がありますね、記憶の中に。

山口:ヘッケルの色も独特ですよね。

板近:そうですね、あの体の中央に走る黒く太いラインがさらにそれを際立てて……。

山口:しかし、自分で提案しておきながらなんですが、1人10ずつはなかなか終わらないですね。

板近:ついついその魚について話しちゃったりしますもんね。

山口:ええ、そうなんですよね。今回はそろそろ終わりにしますか。

板近:では、山口さんの1種で締めてください。私からはじめさせてもらいましたし。

山口:うーん、思いついていたんだけど忘れてしまったなぁ……さっきから、だいぶ引っ張られていますよね、お互いの挙げる魚に。

板近:そうですね、連想しちゃうんでしょうね。

山口:では、本日最後の魚として……外角低めの渋いところで、ピーコックガジョン。いかがでしょうか。

ドワーフピーコックガジョン
ピーコックガジョン。5cmほどの小さな体に極彩色が宿る Photo by MPJ

板近:綺麗ですね。実は、今回の雑談の前に改めて、前回の図鑑号(月刊アクアライフ2019年1月号)を見ていたんですね。

山口:ええ。

板近:その時に気になった魚のひとつが、ピーコックガジョンでした。パラパラとページをめくっていたのですが、思わず目が止まって。

山口:ほんとに綺麗なんですけど、いまいち認知度が低いんですよね。性格も大人しくていいんですけどね。

板近:たしかに、あまり知られていない印象がありますね。

山口:押し出しが弱いのかもしれない。大昔からいるんですけどね、アクアリウムには。

板近:ある意味、あまり知られていない綺麗な魚が世の中にはたくさんいるという、証明でもありますよね。

山口:意外と印象に残らないタイプなのかも。まあ、雑誌としては取り上げる機会の少ない魚とはいえます。多分、グループ的なまとまりで紹介しにくいので。近縁種もあまり知られていないし、特集を組めたりしない。

板近:たしかに、熱帯魚としてハゼの仲間が紹介される機会は少なめな気がします。

山口:ハゼのなかでもガジョンの仲間はまた別枠なところがありますし。いかがですかね、本日振り返ってみて。

板近:綺麗な魚っていっぱいいるなぁと改めて思ったのと、綺麗を感じる要素っていろいろあるなぁと思ったのと……でも、一番は、すごく楽しかったということでしょうか。

山口:楽しかったですね。アクアリウムはかなり個人的な趣味で、綺麗だと思える魚は自分だけの宝物みたいなものですから。思い入れがありますよね。

アクアの雑談

アクアライフ

月刊アクアライフ2021年1月号、特集は800種類図鑑!

発売は2020年12月11日予定、どうぞお楽しみに!

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