みなさんこんにちは。
アクアライフWEB編集部です。
アクアリストの夏――――。
これは、水温上昇との戦いでもあります。
魚たちを健康に飼育するために、アクアリストがやるべき夏対策とは……?
なぜ、“熱帯”魚の水温を下げることを考えないといけないのか……?
渓流魚、シュリンプの飼育でも意識したい水温の上限の話…………などなど!
暑くて暑くて暑い夏本番が来る前に、水温維持の大切さについてもう一度見直してみましょう!
熱帯という言葉が惑わせたりします。
いつからか、水槽のある部屋には室温計も置くようになりました。
アクアの雑談 アクアの雑談は、その名の通りアクアリウムに関する「雑談」をお届けする連載です。お題は回ごとにいろいろ! 雑談いたしますのは、月刊アクアライフ前編集長の山口 正吾(やまぐち しょうご)と、アクアライフWEB編集部の板近 代(いたちか しろ)。雑談ならではのお話を、どうぞお楽しみください。 |
暑さを乗り越えるための、水槽夏対策!
板近:梅雨があけたら夏ですね。
山口:もうそんな季節ですね。
板近:はい。そんなわけで、本日は「水槽の夏対策」というお題でどうでしょう。
山口:おお、教科書的! まあ、最近は日本の夏も暑くなってきていますし、意義のある話題だと思います。
板近:暑い日増えましたよね。
山口:昔と比べれば、特に都市部は温度が上がっていると言われるし、地球温暖化みたいなレベルで語ることはできませんが、ともあれ平気で35℃を超える日も増えてきた。
板近:そうですね。
山口:水槽の水温は気温に連動するから、必然的に対策が必要な場面も増えているのではないでしょうか。
板近:ええ。今日はそんな、水槽の夏対策をいろいろとお話できたらと思います。
熱帯魚の水温管理は夏よりも冬のほうが楽?
板近:熱帯魚に対して寒さに弱いというイメージを持っている人は多いと思うのですが、意外と暑さにも注意が必要だったりするじゃないですか。
山口:熱帯なんだから暑いだろうと思うのは早急で。
板近:熱帯にもいろんな環境がありますもんね。
山口:ええ。生息地や魚種による違いなどがありますが、熱帯魚であっても高水温になりすぎると調子を崩すことはあります。
板近:そうですね。
山口:飼育経験のない方などからすると意外に思われるかもしれませんが、熱帯魚の飼育は冬のほうが安全というか、乗り切りやすい面がありますよね。水槽用ヒーターを使えばいいだけだから、設備的なコストもそう高くないし。
板近:ですね。夏よりも冬のほうが管理が楽であるし、また、対策も「ヒーターを使う」とシンプルでわかりやすいかと思います。あ、ここでちょっと読者さんに宣伝というか、お知らせいいですか。
山口:はい、なんでしょう。
板近:ヒーター選びに関しては当ブログの別記事にてまとめてありますので、よかったらどうぞ! 今日の雑談を読み終わった後にでも読んでいただけたら、嬉しいです(笑)。
山口:(笑)。
置き場所や部屋で考える高水温対策
板近:山口さんは今、どんな高水温対策をされていますか?
山口:私の場合「二階をあきめる」ということが主になりますね。
板近:山口さんの家の二階は高温になりやすいですか。
山口:ええ。自宅の二階は夏場、40℃近くまで上がるのでほとんどの魚が飼えないんです。なので飼育は、基本的に一階ですね。一階はわりと涼しく、一般に高水温に弱いと言われるレッドビーの飼育でも(水槽冷却用の)ファンすらいれていませんでした。
板近:私の水槽の設置場所も、室温が上がりにくい部屋ですね。
山口:そうそう。私にしても板近さんにしても自然とそういう風にしている。それくらい夏の高温は深刻だし、その対策も必須ということで。
板近:温度の上がりにくい場所で管理しておけば、対策もより簡単になりますし。
山口:はい。少し細かい話をすると、私の自宅は一階にはだいたい誰かいるので、異常に暑い日は窓を開けたり、エアコンをつけたりすればしのげてしまうんですね。
板近:私も異常に暑い日の対策は似たような感じですね。エアコンをつけないときは、部屋に熱がこもらないように扉を開けてサーキュレーターを回しておいたりもしています。
高水温による酸欠防止のためのエアレーション
板近:水槽ごとの工夫とかはされていますか?
山口:どの水槽も、エアレーション、もしくはエアで動くフィルターを使用しているのですが、これが夏場の高水温対策を兼ねていますね。
板近:エアレーション、大事ですね。私も意識しています。
山口:これは酸素ですよね。どこかの科学系サイトを見ればきちんとした資料を見られると思いますが……簡単に言うならば、水温が高いと水中に酸素が溶け込みにくくなるから。
板近:はい。必然的に酸欠のリスクも上がります。
山口:それもあって魚が弱ってしまう。また、ろ過をしてくれる好気性バクテリアの活動が鈍るので、水質が悪化しやすくなるという話もあります。
板近:先程話した「熱帯魚飼育は冬のほうが乗り越えやすい」と言われる理由の一つでもありますね。
山口:そうですね。私は基本的に、水槽には魚をそんなにたくさん入れないんですね。魚に対しての水量にゆとりのある飼育というか。なので、ろ過バクテリア云々まではさほど意識しなくとも大丈夫ではあるのですが。
板近:飼育数などによっても、注意のレベルが変わってきますよね。
山口:ええ。水量に対して魚の重量が大きくなりがちな大型魚の愛好家やプロは、ろ過槽にエアレーションしたりとその意識も高いですよね。ともあれ、魚やエビなどを飼育している人は夏場の酸欠には注意しておいたほうがよいかと思います。
板近:高水温により、水中の酸素が減る。そしてその酸素は魚やエビの呼吸に使われるもの。この流れを覚えておくことが大切ですね。
渓流、止水、成長中……高水温のリスクは魚によって違う!?
山口:ここで一つお話しておかなければならないのは、どの魚も暑さに弱いのかといえば、そうでもないということですね。
板近:そこは大切ですね。
山口:はい。低温も高温も強いものもいれば、弱いものもいたりして。
板近:ええ。
山口:一般的に高温に弱い生物といえば、魚ではないですが……シュリンプが挙げられますよね。まあ、暑さに気を遣えばそれで死んでしまうことは少ないにせよ、夏場には殖えにくくなるというのは半ば常識で。
板近:魚でいうと渓流魚などが挙げられますよね。
山口:ええ。マス・サケ類とか。他にもいろいろいますが、渓流魚は総じて高水温には弱いです。高地であれば水温が低いですし、また流れが複雑で水面が激しく揺れていることが多い。水面が揺れれば酸素をよく巻き込むわけですから、そこに棲む魚は酸欠にも弱いことが多いですよね。
板近:その手の魚は、飼育の解説などを見ても「この魚は高水温に注意」と書かれているイメージがありますね。
山口:あとは高緯度に分布する魚も弱いですよね。もともと冷水に棲んでいるのだから当たり前といえば当たり前ですが。それらの魚と熱帯魚の飼育では、だいぶ感覚が異なるかと思います。
板近:私は熱帯魚に該当する魚でも、流れの速いところに生息していそうな魚などは、高水温に注意した飼育をしたりすることがあります。酸欠になりにくいような環境を用意したり。
山口:熱帯魚でも渓流性の魚がいますもんね。たしかにその手の魚は「酸素不足に注意」などと述べられることが多いです。バタフライプレコあたりとか。
板近:そうですね。また、そうした魚に限らず、はじめて飼育する種類のはじめての夏越しは緊張感を持って臨むようにしています。
山口:保険として高水温にしない、または酸素をしっかり確保するというのは大切ですよね。
板近:ですね。保険をかけておくと、何かと安心です。
山口:さきほど渓流性の魚の話をしましたが、逆に止水に棲む魚は酸欠に強いことがありますよね。
板近:止水は酸素不足になりやすいから。
山口:ええ。そういう環境では、ベタのラビリンス器官(空気中から酸素を取り込む器官)のような、補助呼吸器官が発達した魚が優位になったりします。かといって、そういう魚でも無限に高水温に耐えられるわけではないので、注意は必要です。
板近:そうですね。限界を探るよりかは適温を維持するほうが、安全であると思います。
山口:それはいい考え方ですね。
板近:ありがとうございます。また生き物に適した対策を考えることも大切ですよね。わかりやすい例でいうと「酸欠防止のために水流をつける」という手法は、水流が苦手な魚には使えないとか。
みなさんこんにちは。 アクアライフWEB編集部です。 「アクアの雑談」第4回、今回のテーマは水流です。 お話するのは、恒例のメンバー、月刊アクアライフ前編集長の山口 正吾(やまぐち しょうご)と、アクアライフWEB編集部 …
山口:対策を考える際に、それぞれの生態を把握しておくことは大事ですね。そうそう、魚の状態によっても水温の受け止め方が違いますよね。
板近:状態というと、魚の調子や成長具合などなどですかね。
山口:はい。私などが思い浮かべるのは、成長期にある魚は高めの水温のほうがいいという話ですね。代謝が高いからそれで成長を促せる。
板近:よく聞く話ですね。
山口:ブリーダーさんなんかはけっこう意識しているのではないですかね。昔、ディスカスのブリードに関する記事などけっこうありましたが、総じて高水温で。
板近:たしかに、そう書かれていたイメージがあります。
山口:高水温のほうがブリードのペースもあがりますし。ですからこの手の魚のブリードは、東南アジアなど熱帯地域が有利ですよね。光熱費などの面で。
板近:加温しなくても水温が保たれると。
山口:もともと暑い地域だと、そうなりますよね。
板近:ええ。
山口:逆に、高水温でなければダメという魚はいるかな…………まあ、高水温でなければダメということはないにせよ、ディスカスやアロワナは高水温飼育が説かれることも多いですよね。高い方が代謝も高まるし、健康に飼いやすいんだと思います。
板近:魚種や状態により変わってくるとは思いますが、山口さんは、だいたい何℃くらいを「高温」と認識されていますか。いくつか例を挙げていただければ。
山口:一つの目安で言うと、多くの熱帯魚は30℃あたりが高水温と言われたりしますね。もちろんそこに当てはまらない熱帯魚もいます。
板近:もう少し低い温度で飼育するほうがよいと言われる種などもいますよね。
山口:はい。熱帯魚以外では、たとえばシュリンプなんかは、上限28℃くらいに見ておいたほうがいいですし、冷たい水に住む魚であればもっと低い温度が「その魚にとっての高水温」になる。
板近:一つの数字だけをあてにせず、種類ごとの上限を意識する。これは本当に重要ですね。
山口:ええ。そう思います。
継続? 一時的? 高水温の様々なあり方
板近:一言に高水温といってもいろんなパターンがありますよね。水温は周囲の環境などで変化するわけですし。
山口:そうですね。高水温が継続するのか、それとも一時的、つまり急に上がるのかなどなど。
板近:ええ。
山口:急な上下は魚にとってストレスであるし。水温変化がゆっくりなら対応できるとしても、つらい高温が継続されるとそれはそれでよくない。
板近:適温での安定は大切です。
山口:大切ですね。自然界の中にも急激な変化があるところとないところがあるけれど、その自然界での変化を水槽内の魚に与える必要はない場合もある。
板近:自然界と水槽内は違うことも多い。これはアクアリウムをやる上でけっこう重要になる考え方ですよね。もちろん自然から学ぶこともありますが、全てが水槽に適用できるわけではない。
山口:はい。雨季、乾季、大雨に渇水などなど。無理にその急激な変化を水槽で体験させることもないですよね。水槽は小さいし、そこに棲む魚は変化に対する許容が低いと考えておく方が安全です。たとえば夏眠する肺魚だって、わざわざ夏眠させる必要はないでしょう。
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板近:水槽だからこそ安定を重視したい場合もある……ということですね。
山口:安定を重視して管理する方が、間違いがないと思います。
板近:繁殖を促すために水質に変化を与える方法なども知られていますが、そうした方法を導入する際も、安定させる方法を知った上で行なうほうが安心感がありますよね。
山口:そういうことです。まあ、繁殖はまた別カテゴリーというか、個々の話になってしまうので、そうした各論はまた月刊アクアライフの記事などを参照していただくとして。一度に話しても複雑になりすぎてしまいますし。
板近:今日の話は水温管理の「基礎編」でもあるということですね。
水槽用クーラーに水槽用ファン! 専用品の利点
板近:やはりこういう話をしていると、水温を確実に下げる方法がほしくなりますよね。
山口:だと思います。
板近:そうなるとやはり、水槽用クーラーが筆頭にあがるでしょうか。
山口:そうですね。ちょっとややこしくならないようにここでの用語を統一しておきましょうか。
板近:そうしましょうか。
山口:水槽の水を直接冷やすための専用クーラーは「水槽用クーラー」、風を送ることで冷やす水槽用器具を「水槽用ファン」、部屋を冷やす設備をエアコンとしておきましょう。
板近:はい。
山口:それで、今話にあがった水槽用クーラーですが、やはりこれは安心感が違いますよね。
板近:そうですね。私は今まではエアコンを使い室温ごと下げていたのですが、今年から水槽用クーラーを使用しようかなと考えていまして。
山口:そうでしたか。
板近:というのも、今までとは違った部屋に水槽を置くことになりまして。その部屋には当分水槽一つしか置かない予定なので、部屋ごと冷やすより水槽単体で冷やそうかなと。
山口:なるほど。水槽用クーラーはそれなりのお値段がしますし、購入に思い切りが必要なものでもありますよね。
板近:お値段するだけあると思えるものでもありますよね。保険としての安心感がすごいというか。でも、私の家にある水槽用クーラーは、ゆずってもらったものだったりするので、思い切りのことは語れないのですが。
山口:それはよかったですね。
板近:ええ、とてもありがたかったです。大切に使いたいですね。
山口:その水槽ではなにを飼育するつもりですか?
板近:それは、まだ悩んでいるところでもあって…………ただ、その部屋は今水槽がある部屋よりも室温が高くなる可能性もあるので、冷却設備は最初から視野に入れておこうと。
山口:水槽用クーラーは温度設定ができるタイプですか? それとも「2〜3℃下げます」というタイプ?
板近:設定できるタイプです。この、「これがあれば暑さに制限されることなく魚を選べるぞ」感は素晴らしいですね。
山口:それはかなり幅が広がりますね。実は私も長いこと使っていたんです。そういうタイプを。先にもお話したように、うちの一階はわりと涼しいのですが、海水魚を飼っていたことがあって。
板近:そうなんですね。
山口:特にサンゴやイソギンチャクを入れたいとなったときに水槽用クーラーがあったほうがいいだろうと導入しました。
板近:一階の室温よりも水温を下げる必要があったわけですね。
山口:ええ。あれ、めちゃくちゃいいですよ。本当に温度がぶれない。私の設定は夏も冬も25℃でしたが、それでしっかり安定します。もちろん冬はヒーターが稼働するのですが。なんというか、板近さんも重視されている安心感は、ものすごいものがありますよ。
板近:それなりに温度の上がる部屋で水槽用クーラーを使っている例を見せてもらったことがあるのですが、そこでもバチッと安定していましたね。さすが専用品だなと思いました。
山口:夏の暑い日なんかは結露したことがあるくらい。それくらい効きますね。私も、予算に余裕がある人はぜひとも水槽用クーラーを使ってほしいなどとも思います。
板近:山口さんもそう思うんですね。
山口:熱帯魚や水草は、サンゴほどシビアではないからなかなか踏み切れないと思いますが、いいですよ。
板近:いざ「暑くなりそうだな……」となったときに、手元にあればすぐ対応できるというのは、心の平穏に繋がりますね。
山口:ですね。あと川魚を飼育する人は使わざるを得ない場合が多いですよね。20℃あたりが上限である魚もたくさんいるから。このくらいになると、水槽用ファンなどでは実現が難しく、水槽用クーラーの力が必要になると思います。
板近:それぞれの器具が何℃まで下げられるかを把握するのは、大事なことですよね。どのくらいパワーがあるかというか。
山口:ヒーターと比べれば水槽用クーラーは選定の条件設定が複雑だから、難しいと思った人はショップに相談するといいかもしれません。そういえば板近さんは水槽用ファンを使いますか?
板近:過去に使用していましたね。エアコンを使うようになってからは使用することがなくなりましたが、あれも意外と下がるんですよね。
山口:あなどれないですよね。見た目もコンパクトで水槽用クーラーに比べると安価なので導入しやすさもありますし。ただ、水位に影響するので、その辺りの管理は必要になりますが。
板近:けっこう蒸発しますもんね。
山口:ですね。ただ水槽用ファンも環境や使いようによっては下がりすぎることがあるから、ヒーターと併用したり、冷却用のサーモスタット(注:ヒーター用サーモスタットとは違います)と繋げたりした方が安心ですね。
板近:また、専用品なだけあって、よくできていますよね。
山口:そうですね。狭い隙間から風を送ることもできますし。
板近:私はそれに合わせて、夏場用のフタ(魚の飛び出し防止用として)を自作したりしました。プラのネットで通気性のいいフタを。水槽用ファン自体が水槽にフィットする形だから、フタの自作作業も楽だった覚えがありますね。
山口:そういう作業もやりやすいでしょうね。水槽用ファンは、売り場に行けばいろいろあるから、見比べて自分にあったものを選ぶとよいと思います。
自分にあった水温管理を見つけよう!
板近:水温を下げる身近な存在といえば、氷がありますが、これについて山口さんはどう思われますか? 私は他の方法で事足りているので、水槽には使っていないのですが。
山口:私もやったことないですね。下げても一時的ではあるし。
板近:氷は溶けたら終わりですもんね。
山口:そうそう。うまく使えば悪くはないんでしょうけど、それこそ水槽を断熱材で覆ったりすれば効果も続くのかな。うーん、人のやっていることを頭ごなしに否定してもいけないので、何かコメントしたいところですが……板近さんと同じで、他の方法で事足りて氷の必要性を感じておらず。
板近:調べてみると、使用されている方は氷の弱点や性質を知った上でうまく工夫されている印象があります。
山口:よく言う話ですが、魚も人なりというか、その人の管理にあった魚になって行きますよね、自然と。
板近:人なりですか。
山口:私なんかは仕事の波が激しいところがあるので、飼育するのはわりと丈夫な魚がメインになっていて。
板近:ああ、そういうことですね。
山口:世の中の多くの人がそうなんじゃないかな。だから、熱帯魚においても、比較的丈夫な種類が市民権を得ている。管理方法もしかりで、私の場合、氷を使った水温管理に適した魚を、現状飼っていないと。
板近:たしかに、管理方法も合う合わないがありますね。このブログでもひとつの物事に対し複数の方法を提案することがありますが、それはやはり、自分に、そして環境に合う方法を選択してほしいという思いがあります。
山口:それは大切なことだと思います。
板近:少し話は戻りますが、先程「わりと丈夫な魚がメイン」と言っていましたが、山口さんは月刊アクアライフの編集という仕事上、水温にシビアな魚と接することなどもありませんか?
山口:おっしゃるとおりで。もちろん仕事とはいっても大切に育てますから、その性質にあった設備を使用して飼育することになります。
板近:そんな山口さんから見て、現実的に選択しやすい……というか、使いやすい高水温対策というとどのあたりになるでしょう。
山口:水槽であれば、水槽用クーラーと水槽用ファン。ここらへんが現実的な選択と言えそうですね。水槽が複数であればエアコンなどもありだと思います。
板近:それらに共通するポイントと言えば「長時間、長期間の水温安定」を実現させやすいということですかね。
山口:そうそう。やはり、それは強みだと思います。そんな風にそれぞれの特徴を考えながら、自分に合った水温管理を見つけられるといいと思います。
夏でもヒーターはつけておくべき?
板近:先程のファンの話でも出ましたが、私も夏でもヒーターはつけっぱなしですね。
山口:いいと思います。盛夏であればほぼ稼働しないですが、初夏、晩夏は気温が不安定で急に下がったりもするから、ヒーターを外しておくと思わぬ低水温に魚を晒してしまうことになったりもしますし。
板近:ほとんど稼働しない季節でも、ヒーターがついているおかげで、安心して暑さ対策ができるというか。転ばぬ先の杖みたいな感じですね。
山口:「下がりすぎ」を防止できますからね。
板近:はい。外出先で「今日思ったより寒いけど大丈夫かな……」とか思うのはつらいですし。
山口:そうですね、気候は完全に読めるわけではないし。なので、水温安定は少し長い目で見て考える方が安全であると思います。
板近:ええ。今からであれば夏本番には間に合いますから、まだ対策されていない方は、できるだけ早く準備ができるといいですね。
山口:はい。暑くなってからではなく、暑くなる前に対策していただけると安心です。