みなさんこんにちは。
アクアライフWEB編集部です。
「アクアの雑談」第4回、今回のテーマは水流です。
お話するのは、恒例のメンバー、月刊アクアライフ前編集長の山口 正吾(やまぐち しょうご)と、アクアライフWEB編集部の板近 代(いたちか しろ)。
そして今回は、新コーナーのお知らせもありますよ!
というわけで本日もアクアの雑談、どうぞよろしくお願いいたします。
水流、気にした方がいいですね。初心忘るべからず。
水流が魚にどんな影響をもたらすのか……。これからも、追求し続けたいポイントです!
水流に気持ちよさそうに泳ぐレッドテールヘミオダス
山口:本日のテーマは水流ですね。
板近:はい、水流です!
山口:水流って難しくないですか。ろ過とかは流速を気にしますが、水槽内の水流を測っている人って、どれくらいいるんですかね?
板近:どうなんでしょう、私も水流については感覚的に捉えていますね。
山口:ろ過の流速は、ポンプの流量などから導き出すことができそうですが。
板近:水槽全体の水流となると、セッティング次第で変わったり、測る位置によっても違ったりするでしょうから簡単に数値化できなそうですね。
山口:そうですね。板近さんはどんなことを気にされていますか? 水流について。
板近:「気にしている」とは違うかもしれませんが、水流で変わる魚はいるなぁと思っています。
山口:例えばどんな魚が?
板近:レッドテールヘミオダスとか、シュッとした泳ぎの速い魚とか特にわかりやすいなぁと。
山口:ああ、中大型カラシンはけっこう水流が好きかもしれない。
板近:うちでは外部式フィルターを2つつけて、そのうちひとつの出水口にはディフューザーもつけて飼育していたんですね。水流がつくように意識して。
山口:実体験のお話ですね。
板近:はい。それで、その水槽にさらに水流ポンプを追加したんですよ。フィルターのついてない、純粋に水流を生み出す専用のポンプを。
山口:外部式フィルター2つに水流ポンプ。合計3つのポンプが動いているわけですね。
板近:はい、その水流ポンプを追加したときに、水槽内での魚のポジション取りとか動き方が変わって。
山口:どんなふうに変わりました?
板近:明らかに気持ちよさそうなんですよ。まぁ、私が勝手に魚の気持ちを想像しているだけですが。
山口:「気持ちよさそう」アクアリストならではのフレーズかと。
板近:ならではかもしれませんね!
山口:魚の気持ちは想像するしかないですからね(笑)。
板近:ですね(笑)。もう、本当に気持ちよさそうで。水流に乗って移動することが増えたというか、スイーッと動くことが増えたというか……。
山口:あれは見ている方も気持ちいいもんです。
板近:はい。その姿を見たときに「いい水流を作れた!」と嬉しくて。
山口:その感覚、いいですね。「いい水流を作れた!」
板近:水流ポンプを購入する前に、すごく悩んだんですよ。一番弱いポンプにするか、もう1段パワーが上のポンプにするか。
山口:そういうのって悩むかもしれない。私なんかは釣竿で悩みますね。ランクを上げるか下げるか。けっこう値段が変わるので。
板近:ランクによって、値段が大きく変わるものってありますよね。
山口:それで、どちらを買ったんですか?
板近:弱い方を。
山口:え? 意外な展開ですね。この流れだと、強い方にいきそうな気がしましたが。
板近:確かに(笑)。今回は混泳魚の関係もあり、強すぎたらどうしようという不安もあったので小さい方を選びました。
山口:強すぎる方の心配もあるかもしれない。魚が疲れてしまうし。
板近:そうですね。それで、実際に使ってみた結果、弱い方にしてよかったなぁと。強化したとは言っても水槽全体を見ると、そこまで強い水流というわけではないのですよね。水槽に横幅があるので、緩急ついているというか。その中で魚がほどよいところを選んでくれているような感じです。
山口:大は小を兼ねる、ではなかった。
板近:はい。もう何ヵ月か使用しているのですが、魚たちの気持ちよさそうな様子がちゃんと継続されています。
山口:正解だったんですね。
板近:ですね、嬉しい正解でした。
水流と魚の優先順位と
板近:水流の向きとか変えると、一時的に魚の動きが変わることあるじゃないですか。
山口:ありますね。
板近:でもそのあとしばらくして、今まで通りに戻ることもあるじゃないですか。
山口:ちょっと変化して普通に戻ると。
板近:はい。その時は魚にとって、大した変化ではなかったのかなぁ……と。
山口:……もしかしたら魚にとっては水流以外の要素のほうが大切だったのかも。例えば、餌を独占できる場所だとか。水槽内の魚って、だいたい餌のことを考えていますし。だから「大した変化ではなかった」と、決めつけられないかもしれません。優先順位の問題といいいますか。
板近:優先順位ですか。
山口:ええ、餌を食べやすいとか隠れやすい、それらの条件の方が、その魚にとって大切ならば「水流も気持ちいいんだけれど、それに乗ってばかりもいられないぞ」と思ったのかもしれない。
板近:なるほどです。確かにそれもあるかもしれませんね。
山口:魚種によっても優先順位は変わりますよね。たとえばトランスルーセントグラスキャットなんかは、水流に逆らって泳ぐのが好きだから。水槽内のポジショニングはかなり流れに左右されています。
板近:ああ、そうですね!
山口:水槽真ん中あたりに水流をつけると、そこできれいな群れになっていますよ。
板近:観賞的にもよいですね。
山口:おそらく水槽の設置業者さんは水流と魚の関係をかなり研究していると思います。「お客さんに水槽を置いてもらった、でも魚が隠れっぱなし」ではまずいでしょうし。水草のレイアウターも同様に。
板近:鑑賞しやすい水流づくり。そのお話、すごく聞かせていただきたいですね。
山口:水流のつけ方や、それに反応しやすい魚の選択。その他水草の位置などで、魚の位置も変わるじゃないですか。
板近:きっと一言では表せない技があるのでしょうね。知識と経験に裏付けされた。
山口:鑑賞しやすい水流づくり……今度雑誌の記事にしてもいいかもなぁ。
板近:それ実現したら読みたいです!
山口:ええ、ネタのひとつとして温めます。
「強い水流が必須」は少数派?
山口:アクアリウムフィッシュで強い水流が必須という種類は少数派だと思うんですよね。
板近:「強い」水流となると、限られてくるイメージありますね。
山口:特に最近は小さな魚が流行りじゃないですか。小さな魚って、だいたいが被捕食者なんですよね、食べられちゃう方。
板近:なるほど。
山口:だから水草の影に隠れたり、枯れ葉の奥に巣ごもったりする。多くの小型種は元来あまり水流の強いところにはいないはずなんですよ。
板近:身を守るためにですね。
山口:逆に大型のナマズなどは、流れの強い本流にいることもありますよね。けっこう水流と魚の大きさって関係があるんじゃないかな。もちろん、これは傾向の話であって。捕食者がいなければ小型魚もオープンスペースに出てくるでしょうし。
板近:確かに少数派かもですね。多数派だったら、もっと強い水流をつける器具も一般化してるでしょうし。
山口:メダカなんかは水流に逆らって泳ぐことは教科書に出てくるくらい有名ですけれど、飼育においては必須ではないし。
板近:体長が大きくなってくると、水流好きは急に増える感じですかね。力も強くなりますし。
山口:あとは水槽の大きさに対してポンプが強すぎる場合もある。強い水流ばかりであると疲れてしまうだろうし。
板近:確かに私も水流ポンプを追加する時は、水流からの逃げ場がなくならないように、弱い方を選択しましたね。さっき例にださせてもらったレッドテールヘミオダスも、水流が弱いところに長いこといたりもするので。
山口:水草水槽なんかは魚にとっては遮蔽物ばかりになるので、いいんですけどね。
水流で汚れ、淀み対策
山口:私からすると水流といえば、汚れのほうが気になりますね。淀みがないような水流を作るとか。汚れがたまりにくい水流を作るとか。そっち方面です。
板近:あ、それはありますね。
山口:淀みがあると変なコケが出たりしますし。
板近:レイアウト次第でも変わりますよね、水の流れって。
山口:水の流れが悪くてフィルターが汚れが吸い込まれないと、いつもゴミが水槽中にあったりもする。私が飼っているのは小型魚が多いので。水流の強さというよりもそっちかなぁ。
板近:全体に水流が行き渡ることって大切ですよね。
山口:まあ、この雑談はレクチャーする場でもないのでアレですが、個人的にはそういうふうに思っています(笑)。
板近:大事なことだと思います。そういえば、少し前にレイアウトを変更した水槽があるのですね。
山口:はいはい。
板近:感覚的な話になっちゃうんですが、底面に対して横だった流木を、思い切って縦にもっていったというか……。
山口:イメージできますよ。
板近:ありがとうございます。それで、低層部分の通水がよくなったのか、コリドラスが以前より調子よさげにみえるんです。そういうのって、まさに今山口さんが話されていたことだなぁと。
山口:そういうのはありますね。淀みがなくなったのかもしれませんね。コリドラスは水流好きですし。
板近:コリドラスは水流好きですね! その水槽は上部式フィルターを使っているのですが、落水からの流れがいい感じに低層に行き渡るようになったのかなと思います。
山口:溶存酸素の多い水を求めるとか、流下する餌を待っているとか、いろいろな理由はあるでしょうけれど、とにかく、気持ちよさそうですよね、水流に遊ぶコリドラスは。
板近:ですね、見ているとなんだか嬉しくなります。
山口:うちは、最近作ったパルダリウムで困っていて。
板近:パルダリウムですか。
山口:ええ、パルダリウムに上から見て直角三角形の水場を作ったのですが、狭い方に水流が届かなくてゴミが溜まるんですよ。水場では金魚を飼っていてフンなども多いので。それが見苦しくて嫌だなぁと。
板近:金魚ということは、けっこう大きいパルダリウムですか。
山口:60cm水槽ですね。金魚の大きさは7-8cmかな。まあ、金魚も一匹のみですからね。
板近:あ、まだ金魚も小さいのですね。最大サイズで想像してしまいました(笑)。
山口:浅い水場でも楽しめるように、水泡眼を選びました。上から見るように。
板近:ああ、よさそうですねすごく。パルダリウムの水場を上から覗き込む。
山口:この写真が、そのパルダリウムですね。誌面(2020年7月号掲載)でも披露したものになります。
板近:あの水槽ですね! ゴミが溜まると言っていましたが、一箇所に集まる感じですか?
山口:そうです。一箇所に集まるならいいじゃん、と思われるかもしれないけれど、本来ならフィルターが吸い取ってくれるわけだから、仕事が増えてしまうんですよね。週に一度フンや汚れをスポイトで取っていて。とても億劫です(笑)。
海水水槽に見る水流
山口:水流と言えば海水と淡水は一味違いますよ。私も海水は少しかじった程度ですが。
板近:私は海水は経験ないですね。
山口:サンゴなんかはランダムな水流を好むので専用のパワーヘッドやポンプの制御器が開発されていたりするんです。あの水流は淡水にはない感じなんですよね。潮流って太くて複雑じゃないですか。
板近:今日お話した水流ポンプを選ぶ時にも「海水を想定して造られた製品が多いな」と感じましたね。
山口:そうそう。首振りタイプやオンオフに耐えられるものなど、色々ありますよね。
板近:本当にすごく豊富でした。機能もいろいろあって。海水魚を扱ってるお店に行くと、水流ポンプが取りつけられている水槽が多いですよね。
山口:海水の方が条件がシビアなので。海水対応のポンプを選べば淡水に使えないということもまずないんだと思います。
板近:以前海水のお店でお話伺ったときにも、水流の話を聞かせてもらいました。海水のほうでは水流をつけることが本当に重要で、発達しているのでしょうね。
山口:ですね。……まぁ、私がお話できる海水の水流の話はこの程度ですが(笑)。
板近:(笑)
山口:手元に資料がない雑談はこんな感じです(笑)。そういえば、昔、ある生物の研究者とお話ししたのですが。
板近:研究者さんですか。
山口:あるテレビ番組で、お題が固まりきらないままスタジオに入ってコメントをしたそうで。研究者は何人かいたのだけれど、皆が事前に資料を読み込めていないから、事後が大変であったと。VTRを見ながら、「ここに補足のテロップを入れる」とか「ここはカット」という指定がいつにも増して多かったそうなんです。
板近:いきなりしっかりまとめたものって、本当に難しいですよね。
山口:どんな専門家でも、いきなりは大変ですよ、というお話です。ましてや私など市井の編集者であるので。言い訳がましいかな(笑)。
水流が「守れる」もの
板近:ちょっとまたヘミオダスの話に戻っていいですか? ヘミオダスというか、あの手のスイスイ泳ぐ魚というか。
山口:好きですね(笑)。
板近:はい(笑)。そう何種も飼育してきたわけではないので、私が知っているのはヘミオダスの仲間の「一部」ですが。なんというか、水流がもたらしてくれた大事なことをまだ話してなかったなと。
山口:まだ隠し玉があるんですか。ヘミオダスに関して。
板近:ああいう魚って、飼育していて怖いのは激突だと思うんですよね。水槽の壁に。
山口:ほうほう。
板近:勢いがありますから。
山口:大型の遊泳性のあるナマズなんかはそれを言いますよね。
板近:水流ってその激突防止に役立っている気がするんですね。
山口:といいますと?
板近:水流が水槽内にそこそこついていると、ビックリしたときに、その水流に乗ってうまいこと泳いでくれるというか。
山口:いつも乗っている水流にということですか。
板近:そうですね。
山口:いつもの水流だから瞬時に位置関係がつかみやすくぶつからないと。
板近:ああ、だからかもしれませんね。全身で水流を見ているというか、そんな感じで。
山口:魚には側線がありますからね。その他体表に伝わる情報など、まさしく全身で感じていると思いますよ。
板近:水の流れがあることで、進むべき方向がわかりやすくなっているのかなぁ……と思っていたのですが。壁とかを、よりうまく把握できるようになるという面もあるのかもですね。
山口:ただ、まあ、あの手の魚はあまりぶつからない気もしますが、どうなんでしょうかね。俊敏だし、身体バランスに優れているというか。とはいえ、ぶつかることもあるか。絶対はないし。
板近:おっしゃるとおりめったにあることではないのですが、過去に経験したことがあり怖かったですね。
山口:なるほど、飼育者ならではですね。
板近:そうした事故からは飼育者が守ってあげないといけないですよね。できれば経験する前に防いであげたかったですが……ぶつかると痛そうですし……。
山口:気になりますよね。傷がついても嫌だし。特に大型ナマズなんかは吻が曲がったりして痛々しいんですよね。
板近:それは痛々しいですね……。我が家のヘミオダスたちに関して言えば、「また激突してしまうのではないか」という不安を、今の水流にしてから、あまり感じなくなったのですね。以前より水槽内をうまく泳いでいるというか、いい感じに予防になっている気がするのですよね。
山口:ある種の成功体験であったと。
板近:驚かさないように飼育するとか、泳ぎやすいレイアウトとか、水流が全てではないと思うのですが、大きな要素だなぁと思います。
山口:水流も使い方次第ですね。
新コーナーはじまります!
板近:では最後に、新コーナーのお知らせですね!
山口:ええ、そうですね。前回の雑談中にちらっと出てきたお話ですね。
板近:簡単に説明させてもらいますと、お題にそったツイートを募集、この「アクアの雑談」で紹介させてもらう……ですよね! 採用された方には、プレゼントもあります!
山口:1回目のお題は「玄関と水槽の思い出」ですね。私も個人アカウントで投稿しようかなぁ。
板近:山口さんも投稿されるんですか(笑)。
山口:まあ、語りたがりですからね、私も。でも、それはズルになっちゃいますね、やめておきます(笑)。
板近:(笑)
山口:玄関と水槽……楽しい思い出、切ない思い出、いろいろあると思うんですよね。
板近:そうですね、私も玄関にはいろいろな思い出があります。
山口:私は親父が日曜日になると「水道水で丸洗い」していて。夏の暑い日なんか、そのまま水浴びしたりして。
板近:当時ならではの思い出ですよね。
山口:楽しかったよなぁ。いや、ちゃんと水道水から塩素を抜く方が正しいに決まっているんですよ。でも、そんな時代だったということで。
板近:玄関にアクアリウムの歴史ありですね。
山口:板近さんも思い出ありませんか。
板近:私は前回と重複しちゃうんですが、新しい魚を買ってきたばかりの頃は、一人玄関で食べていたのがすごく思い出に残っていて。
山口:思い浮かぶようです。
板近:なんかカレーを食べている記憶がすごくあるんですね(笑)。他のものも食べているはずなのですが、思い出すとなぜかカレー。
山口:カレーか。玄関、水槽、カレーって、やばい組み合わせですね。なんだか郷愁が強すぎる(笑)。
板近:もしかしたら水槽見ながら食べやすいように、おかずとごはんを、1つのお皿に盛りつけてもらっていたのかもですね。そのイメージが、カレーとして記憶されているみたいな。
山口:いい親御さんじゃないですか。
板近:はい、本当にいい思い出ですね。
山口:ここら辺にしておきましょうか。郷愁に浸りすぎてしまうので。
板近:そうですね。あ、投稿してもらう時は、ハッシュタグをつけてもらったほうがいいですよね。大事なことを決めておりませんでした。
山口:そうですね。
板近:では、それらも含めて、当記事末に詳細を掲載ということで!
山口:そうしましょうか。たくさんのご応募お待ちしておりますよ。ノスタルジックじゃないのも、オッケーですよ。
板近:お待ちしております! みなさんの玄関の思い出、聞かせてください!
募集要項
お題『玄関と水槽の思い出』
募集期間:2020年8月18日~8月31日
投稿方法:Twitterにて「月刊アクアライフ編集部」をフォローののち、ハッシュタグ「#ALブログ投稿・玄関の水槽の思い出」をつけて、期間内に投稿してください。投稿していただいた内容は、アクアライフブログ連載「アクアの雑談」内にて、紹介させて頂く場合がございます。
プレゼントについて:採用された方には、プレゼントをお送りするため、TwitterのDMにて連絡させていただきます。フォローを解除してしまいますとDMが送れませんのでご注意ください。