みなさんこんにちは。

アクアライフWEB編集部です。

 

今回のお題は、赤い熱帯魚。

淡水の熱帯魚の中から選出した、魅力的な赤色をどうぞご覧ください!

山口 正吾山口 正吾

この色にこだわるひとは多い。


板近 代板近 代

魚の色について考えるのは楽しいですね。

アクアの雑談

アクアの雑談は、その名の通りアクアリウムに関する「雑談」をお届けする連載です。お題は回ごとにいろいろ! 雑談いたしますのは、株式会社エムピージェー出版部長で月刊アクアライフ前編集長の山口 正吾(やまぐち しょうご)と、アクアライフWEB編集部に社外からの協力スタッフとして参加している板近 代(いたちか しろ)。雑談ならではのお話を、どうぞお楽しみください。

※以下目次を開くと今回登場の魚種名が一覧で並びます。

 

今日のお題は赤い熱帯魚!

山口:今日のお題はどうしましょうか。

板近:そうですね……あ、以前「青い熱帯魚12選」というお題で雑談をやったじゃないですか。

山口:あの回も好評でしたね。

板近:ええ。今回は、それに続く形で赤い熱帯魚なんてどうでしょう。

山口:いいですね。

板近:本当は赤と青は、同じ回でやる予定だったんですよね。

山口:そうでしたね。ただ、赤も青もたくさんの魚がいるから、一回でまとめるのは無理とあきらめた(笑)。

板近:(笑)

山口:ではでは今回も、青い熱帯魚同様のやり方で行きますか。

板近:ええ。山口さんと私で順番に赤い熱帯魚を挙げていき、その魅力について掘り下げていく形ですね。

赤い熱帯魚12選

山口:赤い熱帯魚の選出は、板近さんからお願いできますか。

板近:承知いたしました。

山口:どんな魚が出てくるのか、楽しみです。

チェリーバルブ

チェリーバルブ Photo by N.Hashimoto

板近:チェリーバルブはどうでしょうか。

山口:あ、いきなりとられた。

板近:(笑)

山口:赤いですよねー。

板近:赤いですねー。

山口:何かエピソードありますか。

板近:しっかり発色した個体を見て「赤っ!」って驚いた覚えがあるんですよね。

山口:たしかに驚くほど赤い。赤が飽和しているというか、あれ以上赤くするのは無理なんじゃないかと思うほど。印刷で表現する赤さの限界のラインかもしれない(笑)。

板近:(笑)

山口:チェリーバルブには私も思い出があって。昔、水草屋さんで真っ赤なチェリーバルブが泳いでいて、水草の緑との対比が鮮やかだったのをよく覚えているんだよなぁ。

板近:緑の中だとさらに目立ちますよね。

山口:補色の関係になりますよね。ただ、その水槽は各色が鮮やかに見えるライトを使っていたので、持ち帰ったら案外赤くなかったという(笑)。

板近:魚の色の見え方はライトの影響もありますもんね。

山口:とはいえ、チェリーバルブは普通に飼っていれば、ライトの種類に関わらず赤みを増していきますから。ライトは補足程度のもので。

板近:ぜひ生で見てほしい赤ですね。

プラティ

レッドプラティ
ハイフィンレッドバルーンプラティ Photo by T.Ishiwata

山口:お次は、プラティどうでしょうか。

板近:いいですね!

山口:いろいろな色のプラティがいますが、今日は真っ赤なプラティを。

板近:赤いプラティは、プラティの中でもよく知られた存在ですよね。

山口:ええ、プラティと聞いて赤い魚をイメージする人も多いのではないかな。

板近:ですね。

山口:あれの赤も濁りがなくてきれいなんですよね。ソードテールにも真っ赤なものはいますが。

ソードテール
ソードテール(タンジェリンソード) Photo by T.Ishiwata

板近:私がアクアリウムを始めて、最初に生で見た赤い熱帯魚がプラティかもしれません。

山口:卵胎生メダカの赤はバルブやカラシンの赤とはちょっと違うんですよね。

板近:たしかに感じが違いますね。

山口:滲み出る感じではなくて、初めから色がのっているというか、環境に左右されにくい赤ですね。

レッドジュエルシクリッド

レッドジュエルシクリッド
レッドジュエルシクリッド Photo by N.Hashimoto

板近:レッドジュエルシクリッドどうでしょうか。

山口:おー! いいですね。いいセンス。

板近:ありがとうございます。

山口:あれも赤いよなぁ

板近:まず名前からして赤いですもんね。

山口:そうそう。

板近:名付けの雰囲気的には、スカーレットジェムに近いですよね。

スカーレットジェム
スカーレットジェム Photo by N.Hashimoto

山口:ですね。古典的な熱帯魚であり、昔はよく見かけましたが、最近は少ないかなぁ。

板近:そうなんですね。

山口:かつてはペルマト、トーマシイに続くようなメジャー種であったと記憶していますよ。アフリカ河川産のシクリッドとしては。

板近:それほどに知られた立ち位置にいたのですね。

山口:ただ、ご存知のようにレッドジュエルシクリッドはすこし気が荒いから……。ともあれ、今でもアフリカ河川産シクリッドを代表する魚の一つと言ってもいいと思いますよ。

板近:ほんとに、綺麗な魚ですよね。

パロットファイヤー

パロットファイヤー
パロットファイヤー Photo by N.Hashimoto

山口:次はシクリッドつながりでパロットファイヤーはどうでしょう。

板近:私も考えていました(笑)。

山口:今日はかぶりますね(笑)。

板近:(笑)。

山口:この魚は、ちょっと紫がかったというか、深い赤い体色が印象的でショップの水槽でも目立つ魚ですよね。

板近:あの体型も目立ちますよね。そこそこ大きさのある魚ですし。

山口:それと、あそこまでデフォルメされると、どうしても金魚との比較になりがちですよね。

板近:たしかに、私もパロットファイヤーを見て金魚を思い浮かべたことがありますね。

山口:色の質は異なるにせよ、赤いという印象では負けていないと思います。もちろん、どちらが上とかではないですが。

板近:どちらも良い魚ですもんね。

山口:ですね。赤の感じはわりと違いますよね。金魚はどちらかというと朱色がベース、パロットファイヤーはもう少し暗い色調の赤で。

板近:共通点でいえば、どちらも可愛いですよね。

山口:ええ、可愛い魚です。

ブラックルビー

ブラックルビー
ブラックルビー Photo by N.Hashimoto

板近:次はブラックルビーどうでしょうか。

山口:今日はワイルド系で攻めますね。あれは赤いよなぁ。

板近:この魚は個人的な思い入れがあって。

山口:どんな思い入れでしょう。

板近:まずは、過去の雑談「世界一綺麗な熱帯魚」の回で山口さんがこの魚を挙げていて。それがとても記憶に残っていて。

山口:挙げてましたね。

板近:その記憶から、私の中でブラックルビーは、私の大好きなシリーズである「○○な熱帯魚シリーズ」を象徴する魚ひとつなんです。

山口:○○な熱帯魚シリーズは、楽しいですもんね。

板近:ええ。今日も楽しいです。

山口:さきほど「まずは」とおっしゃっていましたが、他にもなにかエピソードがあるんですか?

板近:はい。以前山口さんに書評を書いていただいた小説あるじゃないですか。

山口:板近さんが書かれたアクアリウムを舞台にした小説ですね。たしかにブラックルビーの名前が出ていました。

板近:ええ! 主人公の着ている服を見た人が「ブラックルビーみたい」と言うシーンですね。

山口:そんなシーンだったかな。

板近:ちょっとそのシーンを抜き出して持ってきますね。少々お待ちください(以下画像)。

アクアリウムライライラ
小説「そこに沈む魔女 アクアリウムライライラ」より。ブラックルビーについて話すシーン ©猫と鯰舎

山口:ああ、こんな感じだったか。

板近:はい。そのシーンを書きながら、ブラックルビーって美しいなぁと改めて思ったんですね。そんな感じで、ブラックルビーの色は、個人的に深く向き合った色でもあるんです。

山口:それでより、思い入れが深まったというわけですね。

板近:はい!

山口:いい魚ですよね、赤いというか赤黒いというか、あの黒さが赤に深みを与えています。あれもまた、飼い込み系ですよね。飼育者が引き出す色。

板近:飼い込むって言葉、いいですよね。

レッドアロワナ

レッドアロワナ
レッドアロワナ Photo by N.Hashimoto

山口:ではでは、ちょっと早い登場ですがレッドアロワナはどうでしょう。

板近:今日のお題だと絶対外せない魚ですよね。

山口:古代魚で大型魚で赤い。ちょっと文句のつけようがない気がします。

板近:レッドアロワナは、山口さんから絶対に出るだろうと思っていました。

山口:ですよね(笑)。いつ出そうか迷っていたのですが、今まで何度かラストにレッドアロワナを挙げるという流れであったので……今回もそれでは芸がないなと。

板近:もしかすると、山口さんがアクアの雑談の中で一番挙げている魚かもですね。

山口:たしかに、登場回数多いですよね。なので、魅力を語ると過去回と重複してしまうかもしれず……。

板近:ぜひ、お聞かせ下さい。

山口:では……レッドアロワナは赤みに個体差があり、また飼育者の技量も反映されるので赤くすること自体が目標になるというか。ここまでに挙げた赤い魚とは、また少し違う意味合いが赤に込められている気がするんです。

板近:なるほどです。

山口:ブラックルビーなどの飼い込み系と同様ではありますが、個体差の部分が面白さでもあり。

板近:今の山口さんの話を聞いて惹かれた人は、ぜひ、アクアの雑談のアロワナライブ回も読んでほしいですね。

山口:ぜひぜひ。そうそう、この10月に発売となるアロワナライブの最新号の表紙のアロワナはかなり赤いですよ。

板近:おお、それは楽しみです。

山口:せっかくなので、この雑談が公開される時に表紙画像も掲載させていただきますね。

アロワナライブ最新号(vol.009)表紙

レッドテールヘミオダス

レッドテールヘミオダス
レッドテールヘミオダス  Photo by S.Itachika

板近:次の魚ですが、ちょっと悩んでいるところがあるので、相談いいですか。

山口:ええ。

板近:ワンポイント系はありですかね。ヒレだけが赤いとか。それだと今日のお題と外れすぎですかね。

山口:うーん、赤が印象的であればいいんじゃいですか。

板近:ありがとうございます! 正直、赤い熱帯魚とは言えないなぁとも思うのですが、熱帯魚の赤のあり方の一つとして挙げさせていただきたい魚がいまして。

山口:どの魚でしょう。

板近:レッドテールヘミオダスです。

山口:渋いなぁ、そうきましたか。

板近:どう……でしょうか?

山口:うーん、なしよりのアリかな(笑)。

板近:よかったです(笑)。

山口:どうぞ、思いの丈を。

板近:はい! レッドテールヘミオダスは今まで挙げた魚に比べると赤の割合がかなり少なく、本当にワンポイント的な赤であると思うんです。

山口:たしかにそうですね。

板近:「赤い魚」ではなく「尾ビレに赤が乗る魚」と言うべきというか。

山口:ええ。

板近:ただ、その赤はとても印象的で味わい深い! そんな感じで、ちょっとお題とあっていないかもしれませんが、熱帯魚の“いい感じの赤”の一例としてレッドテールヘミオダスを挙げさせていただきました。

山口:なるほど。いろいろお聞かせいただきましたが、理屈抜きに好きなのだろうなという受け止めです(笑)。たしかに、熱帯魚における赤のあり方のひとつでもありますし。

板近:ありがとうございます(笑)。こうした、部分的に乗る赤を楽しむのも、熱帯魚の色の楽しみ方のひとつだと思うんですよね。

ベタ

ベタ(ピュアレッド・ハーフムーン) Photo by T.Ishiwata

山口:お次は赤いベタどうでしょう。プラカットなどの改良品種のベタ。

板近:ベタも、赤を語る上で外せない魚ですよね。

山口:純粋に赤を追求したベタがいるじゃないですか。ピュアレッドなどとも呼ばれるのかな。

板近:もう、真っ赤っ赤なベタですね。

山口:そうそう。往年のトラディショナルなど改良ベタには昔から赤い個体がいますが、あの系統とはまた別で、とにかく赤を追求したベタですね。ウォッシュ(黒ずみ、雑色)やイリデ(輝点)が入らないものがよしとされるのですが。

板近:そうした個体を作出するのは難しいんですよね。

山口:それだけに深紅と呼べるようなベタを見たときは、心が動きますね。あれも赤が飽和している。

板近:なかなか見れないですよね、そんなベタは。

山口:少ないんじゃないかなぁ。特に今はキャンディやギャラクシーなどの柄物が流行りであるし。

板近:また、ベタにはいろいろな赤があるところも面白いですよね。

山口:ええ。先に挙げたピュアレッドとも呼べるような真紅もあるし、赤系ではラベンダーと呼ばれるピンク色っぽい魚もいます。その他にオレンジもある。

板近:色味だけでなく、赤の乗り方もいろいろで。

山口:鯉ベタなどのファンシーの派生系はポイントで赤が入ったり、ベースが赤であったりと模様としての赤がありますからね。なので、自分好みの赤を探してみるというのも面白いと思いますよ。

ジャイアントプラカット・キャンディギャラクシー
ベタ(ジャイアントプラカット・キャンディギャラクシー) N.Hashimoto

レッドファントムテトラ

レッドファントムテトラ
レッドファントムテトラ Photo by N.Hashimoto

板近:次は、レッドファントムテトラどうでしょうか。

山口:それ、私も悩んだんだよなぁ。

板近:今日は本当によくかぶりますね(笑)。

山口:レッドと名前につくテトラの代表種。でも……という気もしませんか? あれ赤いんだけれどちょっと透明感が強くて。これまでにあげた魚とは毛色が異なりますよね。

板近:まさに、私はあの透明感がいいなと思って挙げさせていただきました。クリスタル感のある赤というか

山口:なるほど、ならば納得です。私はその同じ理由から、今日のお題にはちょっと違うかなという戸惑いもあったから。

板近:山口さんの言う通り、毛色の違う赤ではありますよね。

山口:はい。しかし、熱帯魚らしい赤というか、味わいがありますよね。

板近:ですね。また、あの体型がいいですよね。

山口:いいですね。昔、300リットルくらいの水槽でテトラ類他を飼っていたことがあるんですが、レッドファントムはヒレが長く伸びてきれいだったなあ。老成になりかけの個体で、見どころギリギリというか。

板近:ヒレが伸びた姿ってめちゃくちゃいいですよね。

山口:ええ。あれもまた飼い込む良さを味わえる魚です。

板近:「発色!」って言葉が似合う感じがします。

山口:「発色!」は新しいですね(笑)。いろいろなテトラがいますが、存在感は抜群です。養殖魚が出回っていて買いやすいですし、いい魚ですよ。

板近:数を揃えやすいのも嬉しいところですね。

山口:ですねぇ。と……ここまで、赤い魚をいろいろと挙げてきましたが、あと何種くらい続けますか? 

板近:うーん、青い熱帯魚の回が12種類だったので、今日も同じでどうでしょう。あと3種ですね。

山口:いいですね。とはいえここまで、各カテゴリーを網羅してきた感もありますね。コイもテトラもベタも出たし、シクリッドも出た。

板近:卵胎生メダカに古代魚も出ましたね。

山口:まだまだ魚はいますし、触れていないカテゴリーもありますから全然挙げられるのですが、これ以上出すと重箱の隅を突くような展開になりませんかね(笑)。

板近:それはそれで、アクアの雑談らしい気はします(笑)。

ボララス・マクラートゥス

ボララス・マクラートゥス Photo by N.Hashimoto

山口:ではでは、ちょっと重箱的ですが、ボララス・マクラートゥスはどうでしょう。

板近:ああ、いいですね。この小ささは今日初ですよね。

山口:小型魚の中でも小さい方ですもんね。ボララス・マクラートゥスは先に挙げたチェリーバルブと同じコイの仲間ですが、こちらの赤はまた雰囲気が違う。

板近:ええ。

山口:真っ赤、という表現は間違いではないのだけれど、なんか熱そう。熾火(おきび)のような熱を感じる赤ですね。

板近:あー! 熱そうです!

山口:バーベキューをしていると思い出します(笑)。

板近:(笑)

山口:産地によっても色合いが違うらしく、また、環境が合えば発色しやすい魚で、これも自分なりのこだわりを持って飼う魚だと思います。

板近:たしかに、こだわりを感じる魚ですね。

山口:水草水槽にも似合うし……今流行りの小型の水草水槽にもいいと思いますよ。

板近:ちょっと暗めの照明で見てもかっこよさそうです。可愛いだけでなく、そんな雰囲気がある。

山口:どことなく影があるというか、カラッとした明るさはないかもしれない。もちろん、それはいい意味で。ではでは、本日の板近さんの分のラストどうぞ!

レッドテトラ

レッドテトラ
レッドテトラ Photo by N.Hashimoto

板近:本当にすごく悩んだんですが、この魚を言わないと後悔するかなと思った魚でいかせていただきます。

山口:ほう、なんでしょう。

板近:レッドテトラで!

山口:あーなるほど。テトラ続きですね。

板近:それも悩んだ理由のひとつですね。

山口:すごくシンプルな名前ですよね。

板近:そうなんです! なんせ、レッドテトラですからね。

山口:先のレッドファントムと同じく、透明感のある赤で。でもこの魚の色は赤ではなくてオレンジですよね、どちらかというと。レッドファントムよりオレンジ寄りだと思う。

板近:実は、そこも悩んだ理由だったんですよね……。

山口:ええ、悩むと思いますよ。ただ、推しの理由があるでしょうから、そこをお聞かせください。

板近:はい。選出の決め手になったのは、やはりレッドテトラと呼ばれている点ですね。

山口:名前ありきで。私なんぞはレッドテトラを見るたびに「赤いかな?」と思ってしまうたちで。

板近:山口さんが言った通り、オレンジ寄りと思う人もたくさんいると思うんです。現に私もそこで選出するか悩みましたし。

山口:まあ、このブログを見てくれたかたが、レッドテトラがないとちょっと違和感があるかもしれないとは思います。

板近:そう言っていただけると。熱帯魚の色って原色というか、はっきりとした色ばかりではないじゃないですか。

山口:そうですね。特に海水魚との比較だとそれをよく思います。海水魚の色彩はストレート。対して淡水魚はちょっと違うんだよな。もちろん、全てに当てはまるわけではないですが、傾向として。

板近:淡い色であったり、何かと何かの間のような色であったりも多いですよね。だからこそ、この色の魚を「レッドテトラ」と呼ぶところに、なんとも熱帯魚的というか、淡水魚的な趣を感じたんです。

山口:ああなるほど、名前をつけた人の思いみたいなものがあると、そういうあれですか。

板近:名づけた人の思いまで想像できているかは不明ですが。

山口:(笑)。英名はなんでしたっけ?

板近:Ember tetraでしたっけ?

山口:そうそう、それが海外のサイトなどでは使われていると思う。Emberは残り火という意味ですか。先のマクラートゥスとも近いですね。しかし、名前からの選出というのは板近さんらしいなぁ。

板近:いろいろ想像が膨らんで(笑)。見た目がシンプルだから名前もシンプルになったのかなぁ……とか。

山口:面白い視点だと思います。さて……次は私のラストですね。

板近:ええ。本日のラストでもありますね。

レッドライントーピードバルブ

レッドライントーピードバルブ
レッドライントーピードバルブ Photo by N.hashimoto

山口:何にしようかな、赤にこだわる熱帯魚は多いから……うん、レッドライントーピードバルブはいかがでしょうか。

板近:実は私も悩みました。部分的な赤について語るときに、レッドテールヘミオダスかレッドライントーピードバルブどっちにしようかなと。

山口:(笑)。レッドライントーピードバルブは、2000年前後からよく流通するようになったと記憶しています。

板近:かっこいいですよねぇ、ほんと。

山口:ええ、若かりし私も、かっこいい魚だなぁと思った次第であり。ああいうカラーリングの魚ってあまりいないから。

板近:たしかに。

山口:頭部から体側にかけてラインが入ったその姿は、人の想像で描いたような、デザイン的な美しさを感じますね。ルアーにもありそうなデザイン。

板近:また大きさもそこそこあるから、より鮮烈というか。

山口:わりと最近……と言ってももう20年ほど経ちますが、古典的ではない普及種の中では、けっこう大きい部類ですね。水槽でも存在感があります。90cm以上の水槽に合いますね、シュッとしたフォルムが……と、どうですかレッドライントーピードバルブ。

板近:痺れる選出でした、最後にトーピードはテンション上がります。なんというか「これぞ赤!」って赤色ですよね。

山口:それはよかった。

赤い熱帯魚への憧れ

板近:ではでは、今日の雑談振り返ってどうでしょうか。

山口:熱帯魚は赤を求めることが多いと思うんですね。それが故に、あまり赤くない魚も赤いと評したり、「すごい、赤があがっている」と興奮したり。

“赤があがっている”プンティウス・ヘキサゾナ Photo by T.Ishiwata
オデッサバルブ
“赤があがっている”オデッサバルブ Photo by N.hashimoto

板近:一般的な赤の感覚と、熱帯魚好きの赤に対する感覚は違うところがありますよね。

山口:アクアリストにとって特別な色なんだと思う。憧れがある。

板近:魂が震える色ですよね。

山口:改良品種に赤が多いのもわかるし、ワイルドに赤を求めるのもわかる。今回はそうしたラインナップができたかどうか……たくさんの熱帯魚がいる中で12種だから、納得のいかない点もあるかもしれませんが。

板近:まだまだ挙げたい魚はいますもんね。

山口:ええ。最後の選出も、レッドライントーピードバルブかベタ・ルブラで悩んだりしましたね。

板近:ああ、ルブラですか! あの赤もいいなぁ。

学名
ベタ・ルブラ Photo by N.Hashimoto

山口:ええ。でも、ルブラの赤もちょっと説明が必要だし、よりメジャーな種をここでは挙げておこうということで、レッドライントーピードバルブを推しておきました。

板近:なるほどですね。

山口:ああ、グッピーのフルレッドも出すのを忘れていた。あれも真っ赤な魚です。

RRE.A フルレッド
グッピー(RRE.A フルレッド) Photo by N.Hashimoto

板近:赤いですよねぇ。

山口:言い訳がましいですが、グッピーはかなりのカラーバリエーションがあるから、赤や青など、ある一色と結びつきにくいのかもしれない、私の中で。

板近:私もいろいろ悩みましたが、絞っていかないと雑談が終わらないんですよね(笑)。

山口:終わらないですね(笑)。そんな本日の雑談、板近さんはどうでしたか。

板近:面白いなと思ったのは、同じ色シリーズである青い熱帯魚回との違いで。

山口:違いですか。

板近:ええ。青い熱帯魚と、赤い熱帯魚では、選ぶときの感覚が違ったような気がしたんです。

山口:全く違う感じでした? それとも少し違う感じ?

板近:どちらか言うと少しになるのかな? 美しいだとか、素晴らしいだとか、魚に感動するという大きな要素は共通してありましたので。

山口:具体的にはどんな違いが?

板近:実は、まだそこまで思考が追いついていなくて……これから向き合って掘り下げたいなぁなんて、思っているところです(笑)。

山口:(笑)。しかし、色シリーズはまたやりたいですね。

板近:個人的には、茶色、グレー、銀色あたりをやりたいですね。

山口:いいですね、やりましょう。

これまでの「○○な熱帯魚シリーズ」一覧

アクアの雑談