みなさんこんにちは。

アクアライフWEB編集部です。

連載「アクアの雑談」は、本日で第10回目を迎えます。

ご愛読ありがとうございます!

 

さて、記念すべき第10回は……なんと…………「お題」が決まらないまま始まってしまいました!

 

お話させていただきますのは、いつもの二人、月刊アクアライフ前編集長の山口 正吾(やまぐち しょうご)と、アクアライフWEB編集部の板近 代(いたちか しろ)。

本日はどんな話が飛び出すのか。

アクアの雑談、どうぞよろしくお願いいたします!

山口 正吾山口 正吾

自分語りが過ぎないように気をつけましたが。難しいですね。

板近 代板近 代

第10回ありがとうございます! この雑談連載、今では私の生活の中の欠かせない存在となっています。

お題なき……雑談!

板近:本日の雑談ですが、お題が決まってないですね!

山口:ええ。秘密兵器的なお題もあるのですが、それは時期的にもう少し先がよいかと。

板近:お、あれですね! たしかに、あれは今ではない気がしますね。というわけで……本日は私から山口さんに質問させてもらったりしてもよいでしょうか?

山口:よいですよ。老害にならないように、昔話は控えめの方向でお話させていただきますね。

板近:そんなそんな! 私としては昔話も聞きたいですが!

山口:そうですか。最近は、昔話をしているとなんだか気持ちよくなっている自分がいて。もしかしたら、老化が始まっているのではないかと危惧しているんです。

板近:大丈夫だと思いますよ。

山口:まあ、老化も自然な現象なので受け入れはしますが。周りに迷惑をかけたくないし、嫌味などを言っていたら、バシバシ編集でカットしてください。

板近:経験があるからこそのお話を聞かせていただいているとはよく思いますが、迷惑と思ったことはないです! むしろ、もっと私の知らない話を聞かせていただきたいなと。

山口:そうですか。……まあ、業界歴も長いし、少しは興味がわくお話もできるかもしれません。

板近:はい! そういえば「編集でカット」とは言っても、今までの雑談ほとんどノーカットですよね(笑)。読みにくいところをちょっと直すくらいはしていますが。

山口:そうなんですよね、板近さんの雑談記事の原稿を見ると、いつも「割とストレートだな」と思っています。

板近:ストレートですか。たしかに、この雑談は私が会話から記事に起こさせていただいていますが。

山口:ええ、最低限の訂正でまとめているというか。たとえば、先日、雑誌(月刊アクアライフ2020年11月号)に掲載される対談を板近さんとしましたが、ゲラを見てどう思われましたか?

板近:とても綺麗にまとめられて、すごく伝わりやすい記事になっていると感じましたね。私がうまく話せず、まどろっこしい言い回しになってしまった部分とかをうまく編集していただいているというか。

山口:板近さんが「とても綺麗にまとめられて」と感じられたように、雑誌ではだいたいの場合スペースに合わせて原稿を整えなくてはならない。一方で、最近ウェブを触り始めて思うのですが、スペースに制限がないよさはあると思います。

板近:雑誌のページのような明確なスペース制限は、アクアライフブログにはないですよね。

山口:雑誌は有料であるので、ゆるっとした部分はカットしなくてはならない。ただ、そういうゆるっとした部分も、本来的には雑誌の面白さではあったと思いますけれど。くだらないことを真剣にやるというか。

板近:アクアライフブログでも「この記事は簡潔にまとめよう」と思うことはありますが、それはあくまで記事の方向性の話で、雑誌の感覚とはまた違ったものなのかなと、今のお話を聞いて思いました。

山口:かもしれません。ともあれ、昔と比べれば今はわりとうちの雑誌もカチッとしていますから、ゆるさを織り交ぜた表現はウェブのほうが向いていると思っていまして。

板近:私はウェブ担当なので、雑誌を外側から見た意見となってしまいますが、雑誌とウェブでは違うところがいろいろあると思います。それぞれのよさがあるというか。

山口:おっしゃるようにそれぞれのよさはあります。例えばうちの場合では、雑誌のほうが緊張感が高いので、クオリティを維持しやすいです。

板近:緊張感と言いますと?

山口:先ほどからお伝えしているようにスペースに制限がありますし、締め切りもはっきりしているし、印刷後の訂正はできないし、印刷費や用紙代などウェブにはない費用もかかる。それに取材や校正など共同作業も多いため、相互のチェックも効いています。つまり適当なものを作りにくいシステムなんですよね。

板近:月刊アクアライフ11月号に掲載していただく対談も、ウェブにはないスケジュール感で進んでいきましたよね。いつもの雑談との違いを感じられて、とても勉強になりました。そういえば、私が山口さんに質問したかったこともウェブに関することでして。

山口:へぇ。

板近:この雑談についてですね。今回で、この雑談も10回を迎えることができましたし!

山口:そうですね、記念すべき回です。

アクアの雑談と暇つぶし

板近:この雑談は山口さんの発案から始まったわけですが、どんな思いがあって開始されたのかなということを、改めてお聞きしたいなと思っていまして。

山口:……思いですか。やはりウェブはスペースの制限がないという魅力はありますし、先ほどもお話ししたようにゆるいお話をしたいときに今はウェブの方が向いていると思うこともあって。もちろんカチッとしたウェブサイトがたくさんあることも知っていますが、今、私がウェブを触っているのはそんな理由で。

板近:今だからこそウェブなところがあったんですね。

山口:昔から紙であると週刊誌のエッセイなど、あまり緊張感のないものをなんとなく読むのが好きで。そういうものが好きだから、そういうスタイルで記事を作る方が私にとっても自然であって。

板近:それで「なんとなく読める」雑談連載を。

山口:先の外来生物法の記事とか、自然保護、飼育の記事などは気が抜けませんが。それとは違った記事もやりたい時に、今はウェブにも喜んでくれる人がいるのかなと。

板近:雑誌をずっとやられてきた、山口さんならではの視点ですね。

山口:「暇つぶし」って大事だと思うんですよ。生活の中で大切なのは、いかに楽しく時間を過ごすかであって。そういうお手伝いをしたいと思ったときに、スペースの制限のないウェブはよいと思っていたんです。合わなければブラウザを閉じればいいのだし。

板近:スマホやPCって、暇つぶしのツールでもありますよね。暇だからなんとなくウェブ記事を見てるって、結構あります。

山口:昔、会社の飲みの席で「人生は暇つぶしだから楽しそうな編集の仕事を選んだ」と言ったことがあって、そのときは先輩にとても怒られましたが、たしかに振り返ると中二病っぽいですよね(笑)。

板近:なんだか熱いエピソードですね。

山口:もちろん、今はそれだけじゃない重みを仕事に感じていますよ。

板近:はい、それもとても伝わっております。雑談シリーズの相方をやらせてもらっていて思うのですが、このシリーズは山口さんがとても真摯に考えられたものなのだなと思うんですね。真剣に考えられた気楽さがあるというか。

山口:真面目に不真面目考えた、は私のモットーの一つでもあります(笑)。

板近:この雑談はブログの中の「息抜きシリーズ」なのかなぁって。

山口:話すと笑われるかもしれませんが――――趣味に夢中な時間が増えれば増えるほど、誰かと争うことなんて忘れてしまうじゃないですか。魚に夢中な人が増えれば、皆が心穏やかに過ごせるんじゃないかと。それを雑誌作りではぼんやりと考えてきたんです。

板近:私は結構不安というものに弱いのですが、趣味の時間はそうしたものから開放してくれるところがありますよね。

山口:そうなんです。楽しい時間をいかに増やすかが大切で。それは先ほどの「暇つぶし」と根っこが同じ話なのですが……。

板近:私は、過去に思いつめていたときに、趣味を楽しむ余裕をもてなかった時期がありまして。「ああ、これはとてもよくない状況だな」と、結果趣味が自分の状態を教えてくれたという経験がありますね。

山口:趣味に接しているときの気持ちで状態を測ると、板近さんはよく言いますよね。

板近:はい。それでその後、余裕を取り戻すのに趣味が大きな力をくれて。趣味っていいなぁと、改めて思ったんです。すごい力があるんだなぁって。楽しむ余裕をなくしていたはずなのに、元気をもらっちゃったわけですから。

山口:趣味だけではなく、好きな人と一緒に過ごす時間なども、同じようなことが言えますよね。それで話を戻すと世界中の人がアクアリウムに夢中になって楽しい時間を過ごせれば、そのお手伝いができれば、それで本望だと。

板近:素敵な話ですね。

山口:あれ、板近さんは笑わないですか。この話をすると、だいたい皆が冗談を言っていると受けとるんですが。もちろん、しょっちゅうこんな話をするわけでもないんですが。

板近:本当に素敵だと思いました。私は、このブログの開始前から運営に携わらせていただいておりますが、ブログって「思い」が大事だと思ってるんですね。

山口:と、いいますと?

板近:たとえばなのですが、飼育法を書くときは…………あれ、うまく言葉が出てきませんね(笑)。

山口:ごゆっくり。

板近:なんというか、書き手の思いって、記事やブログ越しにも伝わると思うんですね。

山口:本当にそう思います。

板近:超ざっくりしていますが「よいブログにしたい」という思いがあるからこそ、よいブログになるというか。

山口:もう少しそこを具体的に。なんか見えてきそうです。

板近:たとえば、飼育法について解説するとして、ただ情報を読みやすくまとめていくだけでも記事は成立すると思うんです。

山口:そうですよね。

板近:読者さんが必要とする情報をお届けするという点では、とても重要なことですし。

山口:はい。

板近:でも、その作業をする時に「しっかり参考にできる記事を書くぞ!」とか「この魚の魅力を伝えたい!」とか、そういう思いがあると、書くものも変わってくる気がしているんですね。たとえ、記事の中に自分の思いを書き連ねなくても、どこかに現れるのかなって。

山口:ああ、それは私も思っていることです。行間から滲み出ます。

板近:そういう気持ちを思うと、山口さんの「世界中の人がアクアリウムに夢中になって」って話って、とても素敵だなと思ったんです。

山口:少し私の話をしてもいいですか。

板近:はい、どうぞ!

山口:私は20年くらい編集長をしてきたじゃないですか。

板近:2000年から2020年の間、月刊アクアライフの編集長をされていたのですよね。

山口:ええ。それで途中まではライバル誌に勝つためには……などと、戦略的なことばかりを考えていたのですが、途中でライバル誌(書店で売られている月刊誌)もなくなって。残念なことですが。

板近:はい。

山口:次第と誌面の質みたいなものの考え方が変わってきて。毎月雑誌を作っている、記事ごとにテーマはある、そのために取材や調べ物をする……でも、核となる部分はなんというか、編集長自身にあると実感するようになってきたんですね。

板近:雑誌の核ですか。

山口:言い方を変えると、雑誌を作ることで、頭のてっぺんから爪先まで、読者の皆さんにきちんと見られているという気になってきて。たとえば、編集長自身が裏表のある人間であると、それが誌面に現れてしまうというか。

板近:なるほどですね。

山口:私自身、他の紙媒体を読んでいると、そういう読み方をすることもあるんです。つまり、編集長自身が雑誌に映し出されるというか。それは部員が作った記事でも同じことで。……なんだか、ふわっとした話になってきましたが(笑)。

板近:いえいえ。

山口:お金のことはもちろん大切だけれど、編集者として誠実に仕事にあたらないといけないと思うようになったんです。

板近:私は雑誌ではなく、ウェブのほうで山口さんといろいろやりとりさせていただいていますが、今話されていたようなことは、とても感じます。

山口:それはありがたいことで。こういうことを書けるのも、このブログのよさですね。

板近:そうですね、この雰囲気は山口さんが「雑談」という形でブログに持ち込んでくれたものだと思います。私は以前から――山口さんにはお話したと思うんですけど、某月某日(月刊アクアライフの1コーナー)みたいな「人」が近いシリーズが、ブログにあったらなぁと思っていまして。

某月某日
某月某日は回により担当が違う。こちらは、山口正吾が担当(月刊アクアライフ2020年8月より)

山口:いいですよね。

板近:この雑談の提案をしていただいた時に「まさにこれだ!」と。私がレギュラーで、めちゃくちゃびっくりしたという裏話もありますが(笑)。

山口:板近さんはうちの雑誌のことをよくご存じであるし、ウェブでのライター歴もあるので、私としては特にサプライズだというつもりもありませんでしたよ。

板近:ありがとうございます。私は今まで名前の出ない裏方としてウェブのお仕事をさせてもらってきたので、自分自身を前面に出して語らせていただくこの雑談シリーズは、新しい体験でした。

雑誌とウェブ

山口:雑誌とウェブの捉え方、みたいなこともお話ししますか。

板近:あ、それは聞いてみたいです ウェブ担当としては、雑誌とウェブ両方触られている山口さんの視点はとても気になります。

山口:板近さんにはお話したと思うのですが、以前アクアライフの公式サイトをiモードでやっていて。そこそこ評判よかったんですね、だいぶ昔の話で恐縮ですが。

板近:このブログは影も形もなかった頃の話ですね。

山口:ええ。iモードはそこそこ利益も出ていたし、それなりの展望もあった。ただ、ほどなくしてスマホが普及して。アプリに移行したんですが、それがいまいち不調で。

板近:アプリはダメだったんですか。

山口:アプリもやめてしまったけれど、ともかくそんな経緯もあって、昔からウェブには抵抗がなかったんです。といいますか、ウェブと雑誌は相性がよいとすら思っていて。ウェブの記事を雑誌に持ち込めるし、逆もまた然り。

板近:このブログに関する話し合いの中でも、雑誌とウェブを連携して……というお話はいくつも出ていますよね。

山口:そうですね。今も、Twitterであるあるネタを募集したりしていますが、当時のiモードでは川柳を募集していたり。

板近:川柳ですか!

山口:川柳は人気でしたよ。毎月100通以上届きました。たとえば「今月はコリドラス」などと、お題を設定して募集するのですが、それで100通以上の投稿があるわけだから、趣味の雑誌としてはなかなかのものでした。

板近:川柳、ブログでもやりたいなぁ……。なんか今話を聞いて、iモードからつながるものが、このブログにあるというのもいいなぁと思いました。このブログの先輩にあたるわけですし、受け継がせていただけたらなと。

山口:川柳はいいと思いますよ。世の中には川柳好き多いから。

板近:この雑談で紹介させてもらいたいですね。

山口:いいですね。それで、iモードがなくなりアプリもなくなって、一時アクアライフのウェブコンテンツは自社サイトとTwitterだけとなったのですが、その後、板近さんと知り合って、猿子(月刊アクアライフ編集部員、ウェブ担当でもある)も入社して、ウェブをやれる環境が整ったと思ったんです

板近:そう言っていただけてなによりです。猿子さんとはいつも一緒に記事作りなどをやらせていただいておりますが、とてもやりやすい状況を作っていただいていると感じます。

山口:今はまだ手探りだけど少しずつ充実させて、メディアミックスですか、だいぶ昔に流行った用語ですけど、雑誌とウェブどちらも面白いと思ってもらえるものにしたい。

板近:はい、ブログができる前にもお話させていただきましたが、私はアクアライフならきっと素敵なブログが作れると思ってるんですね。

山口:おっしゃっていましたね。雑誌とウェブのいいところを活用して。シナジーですよね。

板近:それで、実際にやらせてもらって……まず、私がとても楽しくて。

山口:いいですね、楽しいのが一番。雑誌も部員に楽しいと思ってもらわないとよい誌面にならないし。仕事だから辛いこともあるけれど。

板近:はい。悩むこともあるけれど、なんというか熱くなれるんです。まだまだ、構想段階なことだらけですが、そんな未来も含めて楽しませていただいています。

山口:いっぺんには無理なことも多いですし、少しずつやっていきましょう。私の能力的にも予算的にも急にはキツい(笑)。

板近:私もがんばります! こういう日々の中から「アクアライフブログならでは」みたいなところが、形になっていくといいなぁと思います。

山口:ですね。

板近:やっていて感情が動くというのは、嬉しいことですね。

山口:夢想段階ですが動画も作って……などと考えると夢が広がりますよね。ゆくゆくはアクアリストのプラットフォームにしたいなぁと。

板近:ですね! 私はウェブ担当ということもあり、記事ごとのアクセス数とかも見るじゃないですか。

山口:はい。

板近:あれ、嬉しいんですよね。

山口:どういうときに?

板近:公開した記事が読んでもらえてる。とてもシンプルなことですが、それがとても嬉しいんです。

山口:なるほど。板近さんは以前からウェブ関連のお仕事をされていますが、アクアライフブログはどうですか?

板近:立ち上げからがっつり関わらせていただいているというのもあり、いろいろなことの体感が強いですね。愛着という言葉に収まらない思いを感じさせていただいています。

山口:それはよいことです。

月刊アクアライフというプレッシャー

板近:あと、これは「嫌だ」とかそういう意味では全くないのですが――このブログに関わらせていただく上で、月刊アクアライフというプレッシャーをすごく感じています。

山口:自然体でやっているように思えますが。

板近:実は、毎度結構緊張しています。

山口:私にとって月刊アクアライフの仕事は常態ですが、板近さんにとっては違うかもしれませんね。板近さんは元読者さんだったわけですし、であれば重さを感じるのかもしれません。

板近:そうですね。正直、自分には重すぎるというか、身に余る光栄というか……とにかくプレッシャーがあるわけなんですが、それは苦しいだけのものとは違うなって思うんですね。

山口:嬉しい面もあると。

板近:今まで月刊アクアライフに携わってきた人たち、読者さんたち、そして魚たち。それは私一人では絶対に把握しきれないくらい大きな存在だと思うのですが、少しでもそのみなさんが喜んでくれるようなものが作りたい。そう思えることって、すごいことだなと思うんです。

山口:そこですよね。編集も基本はそこだと思います。読者さんや関わる人に喜んでほしいんです。

板近:はい、その気持ちをプレッシャーがさらに強くしてくれる気がするんですね。支えてもらっているというか。

山口:先ほどお話したように「暇つぶし」なんて言ってしまうと、斜に構えていると思われるかもしれませんが、私も皆に喜んでほしいからこういう仕事を選んだわけで。板近さんもそういう気持ちかなと。

板近:私のようなひよっこが、山口さんと同じ気持ちと言っていいかわかりませんが、本当にそう思います。アクセス数を見るときって、いろいろ想像するんです。「この記事を見てくれた人は本当に喜んでくれたのかな」とか。「アクセス数=喜んでくれた人の数」というわけではないと思いますし。

山口:私には無理に感動を誘うスタイルは馴染まないので「感動してほしい」などと大それたことはあまり考えないのですが、「日常で起きた嫌なことを5分だけ忘れられた」そんな体験をしてもらえれば、それだけでも嬉しいですよ。

板近:嬉しいですね。ブログの感想をTwitterにあげてくれる人もいたりするじゃないですか。そういうことも本当に嬉しいです。

山口:ああ、感想いただけると嬉しいですね。

板近:はい!

山口:イケイケのマニアにも楽しんでもらえるような誌面づくりを考えていた一方で、グレーな心が少しだけ明るくなる、そういうものを作りたいとも思っていたんですよね。誰だってモヤモヤすることはあるし。

板近:はい。私もよくモヤモヤして、なにかしらに救ってもらっていますから、そういう存在に自分もなれたとしたら……というのが目標でもありますね。

山口:それ大切ですよね。私も実はアクアリウムに救われたと思う人間の一人でしたから。救いなんて言うと大袈裟ですが。

板近:でも本当に、救いになってくれることってありますよね。

アクアリウム
アクアリウムが力をくれる。そんな経験をした人は意外と多いのかもしれない Photo by N.Hashimoto

山口:昔、ちょっと辛いことがあったときに家にアクアリウムがあることでとても気持ちが楽になった。そんな経験もあり、もし落ち込んでいる人がいれば、アクアリウムに触れて欲しいし、アクアリウムを楽しむお手伝いをしたいと思っています。

板近:私もアクアリウムのおかげで、楽になったことたくさんあります。あと、月刊アクアライフが私にキラキラした時間をくれたというのも大きいですね。誌面で初めて見た魚に憧れたり。

山口:そういえば私も読者の頃は本当に発売日が待ち遠しかったなぁ……。今は発売というか、締め切りに苦しめられていますけれど(笑)。

板近:だから、さっきお話したとおり月刊アクアライフという存在はプレッシャーであり、そのプレッシャーが大切なものになっていると思うんです。

山口:もちろん、アクアリウムだけが救いとなるわけでもないし、自分に合うものを選んでほしいと思うのですが、アクアリウムに癒やしの力があることは、多くのアクアリストが実感しているのではないかと。

板近:たしかにそうですね。

山口:アクアリウムを楽しむお手伝い……この点は雑誌でも意識しているし、このブログでも意識していて、それが私の使命というか「俺はそういう人間だ」と思うことが最近は多いんです。ビッグダディからの引用ですが。

板近:「お手伝いしたい」というのは私もあります。

山口:お手伝い程度ですよ、できることは。でも、それは意味があると思っていて。すいません、今日は観念的な話ばかりで。

板近:いえいえ、私もです。お手伝い程度という話は、本当に同感です。アクアリウムって人それぞれなところがありますし、飼育法にも完璧なものというものはなかったりする。相手が生き物なだけにいろいろな揺らぎがありますから。だからこそ、お手伝いという言葉がとても大切なものに思えます。

山口:最後に。今回の話、振り返ると老害感はありましたか?

板近:全然なかったですよ。むしろ私が妙な発言していないか心配です。でも、今回の雑談もノーカットで(笑)。

アクアの雑談