みなさんこんにちは。
アクアライフWEB編集部です。
金魚には品評会があります。
どんな金魚が賞を獲るのでしょうか?
金魚Q&Aとは 金魚Q&Aは金魚に関する様々な疑問に理科教諭、生物部顧問であり金魚の研究なども行なっている川澄 太一(かわすみ たいち)さんにお答えいただく連載です。一回一回独立したQに答えていくので、まとめて読んでいただいても、気になるQだけ見ていただいても、どちらでも大丈夫! 金魚Q&Aの更新情報はアクアライフ編集部のTwitterでもお知らせしておりますので合わせてご覧ください。 |
Q:品評会で受賞、優勝できるのはどんな金魚? 審査基準は? 育て方のコツはある?
心に響く金魚が受賞します
受賞するのは、審査する方の心にひびく、素晴らしい金魚です。
試しにインターネットで「埼玉県観賞魚品評会」と画像検索してください。
どうですか、なかなか迫力のある、優雅な金魚がズラッと載っていますね。
また、神畑養魚のホームページでも素晴らしい金魚の写真を見ることができます。
審査基準は品種によって異なりますが、
・金魚の体型・尾の形
・動きや泳ぎかた
・体の色とその模様
が共通したところになります。
これらに欠点が一つもなく、さらにその個体にしかない、独特な魅力があれば高い確率で受賞できるでしょう。
そして、うまくいけば優勝します。
逆に受賞しづらい金魚は、丸い体型の品種が細かったり(その品種の特徴を表していない)、尾が外側に折れて曲がっていたり、尾の開きが左右どちらかに偏っていたりするものです。
また、体の模様も、片方は赤と白の混ざり具合が抜群でも、もう片方が赤一色ならば賞には入りにくいです。
左右両側とも魅力的でなければいけません。
加えてその品種ならではの色がはっきりと出ていると高い評価となります。
大きく厚みのある体型の金魚が良い
育て方のコツは、適度に餌を多めに与えて、金魚の健康は維持しながら体格に迫力を出すことと思っています。
以前の記事でも書いた、毎日、30分で食べきる量の餌を、1日2回与えるという方法です。
そして、私の飼育しているような密度では2週間に1度の水換えとpH低下防止のための牡蠣(かき)殻を投入しておきます。
このような飼育方法のヒントは、大学時代の後輩から教わったものです。
私はずっと金魚が好きで飼育しており、1998年には上京して2週間足らず観賞魚フェアに足を運びました。
その後も毎年顔を出しています。
主に出品魚を眺めるためと、一部購入できる金魚がいるので、それを探しに行くのが楽しみでした。
そして、2005年頃から自分でも観賞魚フェアに出品するようになりました。
しかし、入賞には至りませんでした。
品評会に自分の金魚を出品してわかったことなのですが、我が家の金魚は他の金魚に比べてやせていたんです。
自分が気に入った模様の桜コメットを出品していましたが、他の方が出品していていたコメット体型の金魚は、もっと体型に厚みがあり迫力があったのです。
そのとき、私の大学の後輩の水槽を思い出しました。
彼は部屋中に水槽を置き、金魚を飼育していました。
彼の部屋の金魚を見ると、特に当歳魚ですが、ものすごく長いフンをしているんです。
品種は津軽錦でしたが、お腹はかなり膨らんでいました。
「どうしたのこの金魚!? 」
と聞くと
「かなり多くの餌を与えるんですよ」
とのことでした。
日当たりもよかったせいか、部屋中の水槽の水は緑色になっており、水槽の中の金魚ははっきり見えませんが、どれも迫力がありました。
自分の餌を与える量は少ないのかもしれない……と思い、それから餌の量を増やすことにしました。
例の1日2回30分で食べ切る量というやつです。
すると、自分の家の金魚も後輩の部屋のものと同じぐらい長いフンをしたり、体型に厚みが出てきました。
そして、数年後、2008年の観賞魚フェアでは当歳魚の部で1位になりました。
自分でもビックリしました。
あのとき、いつもお世話になっていた金魚屋さんから、
「おめでとう、川澄くん」
と言われ握手をしてもらったことや、養魚場の方からお祝いの言葉をいわれたときは、とてもう嬉しかった。
みなさんも、体型や尾の形、動き、泳ぎかた、体の色とその模様に魅力を感じてきれいだな、見事だなと思うような金魚を育てあげてください。
そして品評会に出品し、世の中の人たちに金魚の魅力を広めていってもらえたらな、と思います。
私も自分なりに頑張ってみます。
自分の美意識を大切に
人の好みはそれぞれです。
自分の自慢の金魚が入賞できないこともあるかもしれません。
こんな話を聞いたことがあります。
とある品評会で、養魚場の方が、審査から漏れてしまった金魚を見ながら、
「この金魚も入賞してもいいと思うんですけどねぇ」
と言っていたそうです。
もし、品評会に出品して受賞できなくても、自分の美意識を大切にしながら金魚の飼育を楽しんでもらえたらなと思います。
きっと、面白いことがたくさんありますよ!