みなさんこんにちは。
アクアライフWEB編集部です。
今回の金魚Q&Aは金魚すくいの金魚について。
身近だけれど、うまくいかなかった人も多いと想像します。
今後の金魚ライフにお役立てください。
金魚Q&Aとは 金魚Q&Aは金魚に関する様々な疑問に理科教諭、生物部顧問であり金魚の研究なども行なっている川澄 太一(かわすみ たいち)さんにお答えいただく連載です。一回一回独立したQに答えていくので、まとめて読んでいただいても、気になるQだけ見ていただいても、どちらでも大丈夫! 金魚Q&Aの更新情報はアクアライフ編集部のTwitterでもお知らせしておりますので合わせてご覧ください。 |
Q:金魚すくいの金魚はすぐ死ぬ?長生きさせる飼い方は?病気を持ち込ませない方法は?
死んでしまう原因は?
金魚すくいで持ち帰った金魚が死んでしまう原因は、次のようなことだと考えられます。
金魚すくいの桶のなかで追い回されて疲れしまっている。
金魚掬いの桶は、金魚がたくさん泳いでおり(高密度な環境)、そのためにいろいろな病気、寄生虫がとりついた。
また、持ち帰りの際に小さな袋に入れられて、しばらく過ごさなければならないのもよくありません。
特にお祭りでは長居することもあるでしょうし、ぶらぶらと揺れる袋の中の金魚は、ここでも疲れてしまいます。
あとは、持ち帰った後の家庭での飼育方法にも問題があるのかもしれません。
例えば、初心者の方がやりがちな少ない水量・餌の与えすぎなど……。
疲れていたり、体調不良の状態にある金魚が、しんどい環境に置かれたら、それはもう高い確率で死んでしまいます。
金魚に対するイメージもマイナスに?
こうした状況を生む背景についても、考えてみたいと思います。
私は映画が好きです。
映画を観ていると、ときどき金魚が画面に登場することがあるのですが、がっかりすることがあります。
それは、登場人物が夏祭りで金魚をすくい、家に持ち帰るまではよいのですが、飼育している環境が良くないときです。
金魚の体の大きさに合わない小さな容器(少ない水量)でエアを送る様子もないと、「ああ、このままでは金魚が危ないなあ」と思ってしまいます。
とくに金魚鉢については、映画のほかにもドラマ、漫画で間違った情報で扱われていることが多いです。
まあ、絵になるのはわかりますが、少ない水量で泳ぐ金魚の写真やイメージ画・絵葉書などを見ると……残念な気持ちになります。
間違った飼育方法を広めているような気がしてしまうのです。
※金魚鉢の飼育についてはこちらをご覧ください。
飼育のアドバイス
あまり嘆いても仕方がないので、ここで飼育のアドバイスをお伝えします。
たとえば、エアを送らないで飼育する場合、体長3〜4cmくらいの金魚であれば、1匹あたり1.5Lの水量を用意し、餌は1.7mmぐらいの粒状のものを毎日3粒与え、毎日水換えです。
しかし、この飼育方法では成長はせず、大きくなることはないと思います。
そこまで頻繁な水換えできない場合、ホームセンターで売っている水槽の飼育セットがおすすめです。
たとえば、30cm水槽でエアをしてろ過装置も入れるならば、上記の大きさの金魚が多くて5匹ぐらいですかね。
餌は1日1度、5分で食べきる量を与えるのであれば水換えは週に1度半分。
この餌の量であると金魚は成長します。
アレンジとして3日に1度、餌を5分で食べきる量を与えるような飼育ならば、1ヵ月に1度半分の水換えでよいでしょう。
ただし、3日に1度の給餌では、金魚は成長しません。
※金魚と水量については、こちらでも解説しているので、参考にしてください。
しばらくは様子を見て!
冒頭にも書いたように、金魚すくいの金魚は、疲れているし、高密度な環境にいたのでいろいろな病気・寄生虫を保有している可能性が高いです。
ですから、家に持ち帰ったら、まずは様子を見てみましょう。
それまで金魚を飼っていないのならよいのですが、すでに家に金魚がいる場合。
持ち帰った金魚は、元からいる金魚の水槽とは別の水槽でしばらく飼育します。
こうした飼育期間を、検疫などと言います。
検疫は、水量に対して0.5%の塩、寄生虫予防の魚病薬(たとえばアグテンやトロピカルN)を入れた水槽で飼育します。
このまま夏場なら1週間も様子を見るとよいです。
餌は最初の2日ほどは与えずに控えます。
このとき飛び出し防止用のフタもします。
問題がなければ病気を持っていないと考えて、他の金魚の泳いでいる水槽に混ぜても大丈夫。
金魚すくいの金魚は和金タイプの小赤といわれるものがほとんどなので、ヘルペスウィルスの心配はしなくてよいと思います。
というのも、私の経験からするとフナの形から離れている金魚ほどヘルペスウィルスが発症しやすいからで、フナに近い小赤は大丈夫ではないでしょうか。
金魚の様子がおかしかったら?
検疫水槽での1週間は、金魚の状態、特に背ビレを見てください。
金魚は元気がなくなると背ビレが立たなくなるんです。
背ビレがたたまれていたら、全部水換えして、また同じように塩・魚病薬を投入します。
魚病薬はけっこう値段がするので、購入をためらう方は塩だけでも入れてください。
一定の効果はあると思います。
とはいえ、たとえば金魚の尾に白い点がついていてる(白点病にかかっている)、ウオジラミがついている、皮膚が赤くなっている、エラ蓋がふくらんで寄生虫がついているようだ、と明らかに病気や異常があると判断すれば、それぞれ適応する薬を投入してください。
最初の1ヵ月が勝負
問題がなければ検疫水槽から、他の金魚がいる水槽に移す。
問題があれば、検疫水槽のままで治療を試みる。
こうして1ヵ月経っても金魚が死ぬことがなければ、飼育は軌道に乗ったと考えてください。
きっと長生きするはずです。
最初が少し難しいんです。