みなさんこんにちは。
熱帯魚Q&A編集部の板近 代です。
本日は熱帯魚について調べていると見かけることも多い『pH』についてお話させていただきます。
難しそう……と思われるかもしれませんが、熱帯魚の飼育のために覚えるだけなら案外そんなこともないですよ!
それでは、本日も熱帯魚Q&Aよろしくお願いいたします。
熱帯魚Q&Aとは 熱帯魚Q&Aは“熱帯魚専門編集部”が、熱帯魚の飼育などに関する質問にお答えしていく連載です。熱帯魚Q&Aの更新情報はアクアライフ編集部のX(旧Twitter)でもお知らせしておりますので、あわせてご覧ください。 |
pHって何?熱帯魚の飼育に必要なの?
pHは「ペーハー」あるいは「ピーエイチ」と読みます。
pHは水素イオン指数(potential of hydrogen)の略称で……と言うと、難しく聞こえてしまうかもしれません。
実際、深掘りしてお話すると少しややこしいので、本日は淡水での熱帯魚飼育におけるpHの基礎に焦点を絞って解説させていただきたいと思います。
熱帯魚の世界では、魚が好む水質の一要素を弱酸性・中性・弱アルカリ性などと表すことがあります。
図鑑などでそうした表記を見たことがある方も、多いのではないでしょうか。
pHはそれらを、数値で表すことができるもの。
中性(pH7.0)を中心に、それより低ければ酸性、それより高ければアルカリ性と分けられます。
7.0から数字が離れれば離れるほど、酸性(あるいはアルカリ性)の度合いが高くなっていくというわけですね。
たとえば「〇〇は弱酸性で飼育したほうが良い」というような話を聞いたことがある方も、いるかと思います。
これを言い換えると「〇〇はやや低めのpHで飼育したほうが良い」となるわけです。
他にも、pHが落ち着かず変化が激しい水槽を「pHが安定しない」などと言ったりもしますね。
熱帯魚に適正なpHの数値は?
熱帯魚に適したpHの数値は「種類によって違う」としか言いようがありません。
ただ、流通する多くの種が中性付近、pHで言うならば7.0あた
ある程度のpHの範囲内であれば慣れてくれる魚種も、少なくありません。
ただ、中には限定的なpHを好む魚もいます。
また、適したpHにしたほうが調子が上がる種類もいます。
有名な例としては、タンガニーカ湖やマラウィ湖などのアフリカの湖産シクリッドでしょうか。
多くの熱帯魚が中性~弱酸性を好む中、これらの魚は弱アルカリ性を好みます。
pHの測定は簡単?
pHは魚に適した水づくりの参考情報となるので、古くから計測されてきました。
そのため、様々なアクアリウム用の測定用品が発売されています。
紙タイプであったり、液体タイプであったり、デジタル式であったり。
使い方や価格の違いもいろいろとありますので、自分に合ったものを選んでください。
アクアリウム向けの商品の中から選べば“説明書の解説も魚の飼育向け”なので、使いやすいですよ!
pHについてよくわからないという方は、安価な物でも良いので測定用品を購入してみることをおすすめいたします。
実際に測って実感を得てから各種説明を読むほうが、わかりやすいからです(私もそうでした)。
また、測定用品があると魚の不調の原因がpHである可能性をすぐに確かめられますので、安心のためにも持っておくと良いですね。
補足:注意したい“弱”の感覚
最後に補足として、世間一般の“弱”と、熱帯魚の世界で言われる“弱”の違いについてお話させていただきます。
熱帯魚の世界における弱酸性は、法律などで厳密に定められているわけではなく、概ね6.5くらいから6.0くらいまでを示すことが多いです(人による感覚の違いもありますが)。
対して、『家庭用品品質表示法』で定められた『住宅用又は家具用の洗浄剤』における弱酸性は、6.0未満3.0以上となります。
弱アルカリ性も同じようなパターンです。
洗浄剤は11.0以下8.0を超えるものを弱アルカリ性としていますが、熱帯魚の飼育では7.5くらいから8.0くらいまでを弱アルカリ性と呼ぶことが多いです。
「熱帯魚は世間一般ではない」と言うつもりはありませんが、もっと広く普及している洗浄剤における“弱”と、熱帯魚の世界における“弱”の間には、これだけの開きがあるということは覚えておきましょう。
このような感覚の違いによる混乱を避けるためにも、pHに関する知識をつけておくのは良いことかもしれませんね。
そうそう、熱帯魚の飼育では中性も7.0ぴったりではなく、少し幅を持たせて6.5~7.5に収まる範囲くらいを指すこともありますよ。
Written by 板近 代