みなさんこんにちは。

アクアライフWEB編集部です。

 

本日は第2回、アクアライフ川柳の結果発表です。

第2回のお題は水換え

はたして……特選は誰の手に!

山口 正吾山口 正吾

ちょっと感傷に浸りもしました。

板近 代板近 代

今回も、投稿をリアルタイムで追いかけて楽しませていただきました!

アクアの雑談

アクアの雑談は、その名の通りアクアリウムに関する「雑談」をお届けする連載です。お題は回ごとにいろいろ! 雑談いたしますのは、月刊アクアライフ前編集長の山口 正吾(やまぐち しょうご)と、アクアライフWEB編集部の板近 代(いたちか しろ)。雑談ならではのお話を、どうぞお楽しみください。

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第2回 アクアライフ川柳 優秀作品10選!

水換え川柳
第2回のお題は水換え、第1回に引き続きTwitterにて募集させていただきました。投稿用ハッシュタグも水換え仕様に!

板近:本日は、アクアライフ川柳 第2回「水換え」の発表ですね。今回もたくさん投稿していただきました、ありがとうございます。

山口:ありがとうございます! 今回も力作揃いでしたね。力作というか、快作というか。

板近:ええ。よい作品揃いで、選考にめちゃくちゃ悩みましたよ。あまりに悩みすぎて、選考を中断して水換えしましたもん。

山口:(笑)。では早速優秀作品の発表にいきますか。

板近:私と山口さんで5作品づつ。合計10作品ですね。

山口:私から、いかせていただきますよ。

水こぼし
視線を感じ
床掃除
@XJoIqWDirvehV8Sさん(山口選)

板近:「視線を感じ」というのがいいですね。

山口:そこなんです! 失敗した……だけではないんですね。おそらく負い目を感じているから視線を察したわけで。今回「水をこぼした」という川柳は多くありましたが、これは三段落ちというのかな、流れがとてもよかった。

板近:今回の川柳を見ていて思ったんですけど、お題が「水換え」と限定されていただけあって、似たシチュエーションを詠んだ句が多かったですよね。だからこそ面白かった。その中でも「水こぼし系」は激戦区であったように思います。

山口:「水こぼし系」ですか……それも新しいですね(笑)。その中でもこの作品は、川柳特有の悲哀みたいなものもあって面白いなと。では、板近さんどうぞ。

水換えで
温度測るは
自分の手
@kane_fishさん(板近選)

山口:この作品ですか。

板近:このテーマも複数の投稿があり、どれも力作でしたね。「手で水温わかる系」とでもいいますか。

山口:手で水温わかる系……確かにありました(笑)。本当にアクアリストの手というのはいろいろわかる、なんなんですかねあれ。

板近:実際わかりますよね。この句も、まずそこへの共感がありました。

山口:共感というと。

板近:ちょうど水換え川柳の募集を開始する少し前に「あれ? 手の温度計の精度、鈍った? うーん……毎回さっさと水温計見ちゃうから、そう思うのかな?」なんてことを、ぼんやり考えていたのもありまして。

山口:なるほど。

板近:だからこそ、この川柳の「自分の手」という言葉に心を打たれましたよ。自分の手への信頼感を感じて、それがいいなぁと思いまして。

山口:けっこう板近さんは心打たれますよね、川柳に(笑)。私はもうちょっとライトに読んでいるのかもしれない。

板近:気がつくと打たれている感じがありますね(笑)。それでは、次の作品お願いします。

テレワーク
コケ取り水換え
自由自在
@haya2001eeさん(山口選)

板近:選考を中断して水換えした私には、タイムリーに刺さる句ですね。

山口:この作品を見て、満喫されているなと思いましたよ。コロナで巣篭もり、でも腐らないそのポジティブな心持ち、とても好きです。会社からしたら困りものでしょうけど(笑)。

板近:(笑)

山口:心が軽くなりましたよ、読んでいて。

板近:身近に水槽がある。その喜びがいいですよね。

山口:好きで水槽を置いているわけですからね。1日見ていられるのは楽しいと思います。

板近:テレワークは、稚魚の育成なんかにも有利なんじゃないですか。餌の回数を増やしやすくて。

山口:コロナは不幸な出来事ですが、巣篭もりでアクアリウムを始めた人も多いかもしれない。

板近:たしかに、家で楽しむ時間の長い趣味ですよね。

山口:ええ。ではお次行きますか。

板近:はい。次の作品は、今山口さんが紹介された方と同じ方の作品ですね。

山口:どうぞ!

サイフォンの 
仕組みを知った 
水換え時
@haya2001eeさん(板近選)

山口:どんなところがよかったですか。

板近:これ見た時に「アクアリウムをやってなかったら、サイフォンの原理なんて頭の中になかったかも」って思ったんですよ。どうふりかえっても、私がサイフォンの原理を覚えたのって水換えであった気がしますし。

山口:なるほど。アクアリストならではの知識というか。

板近:また、サイフォンの原理っていうのがいいですよね。アクアリストが恩恵を受けている原理のなかでも、かなり上位に入るんじゃないですか。

山口:ホースを吸ったら自動で水が流れるというアクアリストならではの技。私は父親に見せてもらってびっくりしましたね。

板近:ああ、最初見た時は感動したような覚えがあります。

山口:鮮明に覚えているんですよ、理科の実験のような面白さ。まだ10歳くらいだったかな。

板近:素敵な思い出ですね。私は今、水換えでちょっと透き通ったホースを使ってるんですが、その中の水の動きを見るのが好きだったりしますね。

山口:また、いろいろなものが好きなんですね(笑)。

板近:あれ、嬉しいんですよ。流れてきてくれる感じが(笑)。

山口:なんとなくわかる気がするかな(?)。では、次いきましょうか。

板近:どうぞ!

今日もまた 
オーバーフローで 
床きれい
@cana_JBさん(山口選)

板近:「床きれい」で締めている感じが、なんともいいですよね。

山口:ポジティブが過ぎるのではないかと(笑)。開き直った感じが面白いと思いました。まぁそうでもしないと、やっていられないのかもしれませんが。

板近:これも水こぼし系ですね。

山口:ええ、水こぼし系です。

板近:まぁ、結果水拭きまでしているわけですから「床きれい」ですよね。

山口:「今日もまた」というのが、やりきれない感もあり、それでもただじゃ起きない感もあり、たくましいと思いました(笑)。

板近:(笑)

山口:では、お次どうぞ!

待て待てぇ~ 
綺麗にするだけ 
なんだよぉ~
@haruamiami55さん(板近選)

山口:……板近さんにしては意外な作品という気がしますが。

板近:あ、意外でしたか?

山口:ええ。どんなところがよかったですか?

板近:また、私の勝手な想像シリーズなのですが……これは水換えをしているときに、「ごはんか? ごはんなのか?」と集まってくる魚のことを詠んでいるのかなと。

山口:そっちですか。馴れている方。

板近:うちのグッピー水槽が、まさにそんな感じになるんですよね。

山口:それは思いつかなかったなぁ。私は逃げる魚を想像しました。

板近:勝手な想像なので合っているかわかんないんですけどね(笑)。この句の「てぇ~」「よぉ~」という表現に、そうした情景が浮かんだのかもしれません。

山口:寄ってくる魚を飼っているのもいいですね。うちのはけっこう逃げがちで(笑)。ワイルドのポリプとか気を揉みますよほんと。

板近:逃げる魚もそれはそれで、野性味あっていいですよね。うちにも全く寄ってこない魚ばっかりいる水槽があります。あ、スパイニーイールだけは寄ってくるか。

山口:そういう句であるのならペットとの一コマといった感じで和みもします。

板近:この魚に話しかける感じもいいですよね。では、山口さんどうぞ!

底砂が
だんだん減って
いくんだなぁ
@ka_show_roさん(山口選)

板近:あー、これ見た時も「わかる」って思いましたね。細かい砂だと吸い上げちゃうんですよね。

山口:ツイートには写真が添えられていて。四角いバケツなのかな、そのなかに少しの砂があって。その光景から悲哀を感じたり。末尾の「だなぁ」がまた染みる。相田みつをさんライクで。

板近:私も写真見ました。残るんですよね、ああいう感じでちょろっと。

山口:だんだん水槽の砂が減っていく。でも、取り立ててその対策もしない。なすがままというか、そういう虚無感みたいなものも感じたりして。味わい深いと思いましたよ。

板近:たしかに。味わい深い。

山口:では、お次どうぞ!

熱帯魚
水換えのコツ
それぞれに
@0n54hmxkiNAz90Xさん(板近選)

山口:なんか、ふふっとなりました。板近さんらしい選考というか、真摯な感じがしますよね。

板近:私らしいですか。

山口:私なんかは笑いを求めがちですが、板近さんは川柳にも学びを求めている感があります。

板近:これってほんと大切なことだなと思いまして。私は、以前このブログで水換えの記事の作成に携わらせていただいていますが、そこでもすごく悩んだんですよ。いろいろと存在する水換えの方法、やり方をどう表現するか……。

山口:結局はその人なりになっていくものだけれど。

板近:ええ。この川柳は、水換えのそうした部分を見事に表現されているなぁと。いろいろ語らない川柳だからこそいいのかもしれない。

山口:見事、ですか。

板近:すごくまっすぐというか、ストレートというか。でも、とても大事なことを捉えていて。

山口:やはり、真摯な感じがします。

板近:この句は本当に真摯でしたね。

山口:川柳だけではなく、板近さんの選考も真摯だなと。

板近:ありがとうございます。

山口:もちろん私もふざけているわけではないのですが(笑)。

板近:わかっております(笑)。

山口:さて、次で私は最後ですかね。

板近:そうですね。あと1作品づつです。

山口:迷うなぁ、あと2つあるんですが……ここは断腸の思いで。

板近:1人5選って少ないですよね。

いつまでも
あると思うな
カルキ抜き
@Reiji_Kazeさん(山口選)

板近:ああ、これ、私もめちゃくちゃ好きです。

山口:「あると思うな」と戒めていますが、用意していないのは自分なわけで。

板近:たしかに。

山口:「いつまでも あると思うな 親と金」。この有名なことわざには含蓄を感じますが……この川柳はただ自分に原因がある。

板近:(笑)

山口:とはいえ、この川柳には私も共感を覚えて。たしかに、カルキ抜きっていつの間にかなくなっているんですよね。

板近:カルキ抜きは早めに買い足しましょうということで。

山口:(笑)。では、最後行きますか。

飼育水
ぬるくて気持ちいい
冬メンテ
@Nekono_Sakana_さん(板近選)

山口:「冬メンテ」は造語ですね。しかも五七五をだいぶ崩しているというか。

板近:ぬるくてきもちいい……で9文字ありますもんね。でも意外とすんなり読めるところもいいなと思います。

山口:他にどんなところがお気に入りですか。

板近:これはもう「わかる」でしたね。

山口:……わかる、とは?

板近:これ、私の「水換えの好きなポイント」のひとつなんです。以前……この雑談の第1回ですね、「暑い季節になってきたということもあり、熱帯魚用の水も涼しく感じて気持ちがいい」という話をさせていただきましたが、冬はその逆、温かく感じるじゃないですか。

山口:ええ、温かいです。

板近:それもすごく好きで。それで、この川柳を選ばせてもらって……しばらくしてから「あ、加温してるなこの水槽」って思いまして。熱帯魚かぁと。

山口:「あ、加温してるな」も面白いですね。

板近:いや、まぁ、部屋に置いているのなら無加温水槽の水換えでも、ぬるく感じる場合もあるかもしれませんが……。

山口:なるほど。

板近:でも、この句を見た時に改めて「熱帯魚の水槽って加温してるんだなぁ」なんて……この句はなんかふわぁっと……そんなかんじでそこに考えが至り……。個人的には、日本の季節とは別の温度を刻んでいる加温水槽の水換えに、季節を感じるというのもいいなぁと思うんです。

山口:えらくお気に入りの様子で。

板近:ええ。ちょっと違う味わいであったというか。

山口:いろいろですね、味わいも。

板近:はい。ほんと、よく思うんですよ。冬の水換えは温いなぁって。27℃くらいって、そんな高温でもないのに。逆に暑い季節は、同じ温度を冷たく感じるのも面白いですよね。

「水換え」川柳、特選に輝いた作品は……!?

山口:さて、特選発表ですね。

板近:特選は、前回に引き続き、お互いの発表の中から1つ選ぶスタイルですね。

山口:ええ。では私から選びましょうか。しばらくお待ち下さい。

板近:はい、お願いします。

サイフォンの
仕組みを知った
水換え時
@haya2001eeさん(山口特選)

板近:よい作品ですよね。

山口:はい。もちろん作品もよいのですが、正直なところ個人的な思い出が……。サイフォンを父親に教えてもらった夏の日が脳裏に浮かび。あれから40年っ! ですから。

板近:大切な思い出につながる川柳だったのですね。

山口:個人の勝手な事情ではありますが……なんにせよ感じ入るものがあった。

板近:私もここまで2回選考をやらせてもらって、川柳は本当に感情を動かすものだなぁと思っています。

山口:ええ。板近さんはどうでしょうか。

板近:あ! その前に!

山口:どうしましたか?

板近:今の句を投稿してくれた@haya2001eeさん、前回の特選の方ですよ。

山口:そうでしたか。気がついていませんでした。選考の時はあまり人を見ていないので。そこを見たらフェアではないし。

板近:はい。私も「誰が」というところは加味しないように選考していますが、こうして続けて参加してもらえるのはとても嬉しいことですね。

山口:そうですね。

板近:そして@haya2001eeさん、連続特選、おめでとうございます!

山口:おめでとうございます! では、板近さんどうぞ。

底砂が
だんだん減って
いくんだなぁ
@ka_show_roさん(板近特選)

山口:改めて、どんなところが。

板近:この雰囲気ですかね。「だなぁ」が特によかったですよ。

山口:アクアリウムと相田みつをさん的な表現のコンビネーションは、面白く思いました。

板近:力の入りすぎていない感じがいいですよね。また、吸い出してしまった底砂をどうしたかということには、全く触れていない感じ。ただ、減ることだけを詠んだ。

山口:ええ。

板近:また、この川柳単体を見て「水換え川柳だ!」とわかるのは、アクアリストだと思うんですよ。底砂という言葉もいかにもアクアですし、水換えとはひとことも言っていない。

山口:なるほど。

板近:あと、粒の大きい砂利だとこうはならないじゃないですか。重いから吸い出さない、つまり減らない。

山口:ですね。

板近:この川柳、「底床」ではなく「底砂」って書かれているんですよね。そんなところも、自分自身の水槽の物語を表しているというか、マイ水換えなかんじがして。

山口:マイ水換え、か。また新しい言葉ですね(笑)。

板近:(笑)。そのマイ水換え感と「いくんだなぁ」というテンションが妙にマッチしていて、そこが素敵だなと思いましたよ。

選考後記

山口:さて、どうですか、第2回を振り返って。

板近:第1回はアクアリウムに関する川柳ならなんでもありでしたが、今回はお題が限定されていたじゃないですか。水換えに。

山口:はい。限定されましたね。

板近:それゆえに、接戦が繰り広げられたなと思いますね。

山口:接戦ですか。

板近:はい。まず全ての句に水換えという共通点がある。さらにその中で、細かいシチュエーションが同じであったり近い句も多かった。

山口:たしかに。水こぼし系などは特に多かった。

板近:はい。だからこそ、前回とは違った選考の難しさを感じましたね。

山口:となると言葉選びとか。そういう僅かな差異が効いてくるのかもしれない。

板近:ええ。そこも見どころの1つであったと思います。投稿作品はTwitterハッシュタグ「#アクアライフ川柳_水換え」でごらんいただけますので、読者のみなさんはぜひごらんください!

山口:ぜひ! 私は、今回もただただ楽しかったというところで。頭をひねってツイートしてくれる読者さんには感謝しかありません。

板近:はい、この選考はほんと楽しいですよね。みなさんありがとうございます。

山口:選考しながら笑ってしまった。ちょうど、締め切りを抱えていた時期で、頭が普通じゃない状態であったので、ふと気が抜けたりしましたよ。ありがとうございました。

板近:よい癒やしと言うか、息抜きになったわけですね。

山口:ですね。

板近:今回もたくさんの方が参加してくれたのはとても嬉しかったですね。

山口:ええ、もっと多くの方に投稿してもらいたいですね。また次の川柳もありますので、みなさんアクアライフ編集部のTwitterを要チェックで。

板近:はい。お題と募集期間が決まりましたら、このブログでも告知しますのでよろしくお願いいたします!

アクアの雑談