みなさんこんにちは。
アクアライフWEB編集部です。
金魚という魚にはいろいろな品種がいて、それぞれに個性があります。
それらを一緒に飼っても良いのでしょうか?
金魚Q&Aとは 金魚Q&Aは金魚に関する様々な疑問に理科教諭、生物部顧問であり金魚の研究なども行なっている川澄 太一(かわすみ たいち)さんにお答えいただく連載です。一回一回独立したQに答えていくので、まとめて読んでいただいても、気になるQだけ見ていただいても、どちらでも大丈夫! 金魚Q&Aの更新情報はアクアライフ編集部のTwitterでもお知らせしておりますので合わせてご覧ください。 |
Q:金魚同士の混泳! 品種ごとに相性がある? らんちゅうの混泳は難しい?
体型の異なる金魚は要注意
混泳が難しい品種はいます。
以前にも書きましたが、和金やコメットタイプの体型のものは、リュウキンなどの尾ビレがヒラヒラしている丸い体型のものの混泳は避けた方が無難です。
ヒラヒラしている尾ビレが食べられてしまうことがあるからです。
ヘルペスウイルスの観点から.1
ヘルペスウイルスについては、以前の記事でまとめています(関連記事)。
混泳を考える上では、ヘルペスは避けて通れないと思いますから、ここでは以前と視点を変え、混泳にまつわるお話をしたいと思います。
私の経験上、系統内でずっと飼育されているような、らんちゅう、地金、ナンキン、土佐錦はヘルペス耐性があまりないと考えています。
地金、ナンキン、土佐錦は県の天然金物にも指定されています。
そのような系統内でずっと飼育されている金魚は、他の品種との混泳は避けた方が無難です。
たとえば、私の経験では、我が家の水槽に入れたときに、他の金魚は元気なのに、それらの品種が突然死亡してしまったことがあります。
死亡した金魚がヘルペスにかかっていたか、今とはっては確実に証明することはできませんが、マツカサ病などの症状もなく、いきなり死んでしまうことがヘルペスではあります。
他に、こんなこともありました。
琉金などが泳いでいる水槽に土佐錦を入れると、トラブルもなく元気そのものでした。
ですが、一年以上飼育した時、その水槽に新しい金魚を入れたわけでもなく、ずっと同じメンバーで暮らしていたにもかかわらず、土佐錦だけが突然死んでしまったのです。
他の金魚は元気でした。
水槽内にいた金魚は、おそらく一度ヘルペスを克服したキャリアで、何らかの原因でヘルペスウイルスを体外に排出し、それはキャリアには無害であったものの、土佐錦に大きなダメージを与えたのかもしれません。
ヘルペスウイルスの観点から.2
では、ヘルペスがまったくない状態で、ウィルスをもたない金魚ばかりならば混泳も可能ではないか、と思われる方もいるかもしれません。
しかし、おそらく世の中に流通している金魚の何割かは、このウィルスに感染してキャリアになっているものと思われます。
とくに、幼い時から、いろいろな品種や、いろいろな養魚場の金魚たちと触れ合ってきた金魚は、キャリアになっている可能性があります。
キャリア個体は免疫があり、発症していなくても、ちょっと疲れたときなどにウィルスを体外に出す可能性があります。
そのような個体と、先に述べたような、その品種だけで系統飼育されてきた金魚を混ぜれば、ヘルペス感染のリスクが生じます。
同じ意味で、愛好家が卵から育ててきた金魚にも、育ってきた環境によっては、ひょっとしたら一度もヘルペスに触れることなく生きてきた金魚がいるかもしれません。
この場合、品種は特に関係はなく、多くの品種が該当することになります。
そのような金魚も先に述べた品種と同じく混泳が難しいのかもしれません。
もし、混泳させるならば注意して様子を見ましょう。
そして、1匹だけぼーっとしているような症状が出たらヘルペスが発症したものと考えて、昇温処理することがのぞましいでしょう。
遺伝的な要因もあるかもしれない
なぜ、こんなことが起こるのでしょうか。
埼玉県の水産研究所の報告がありますが、ヘルペス耐性には遺伝的な要因があるからかもしれません。
この報告によると、ヘルペス耐性がある金魚の子は、親と同じく耐性をもつ傾向があったということです。