みなさんこんにちは。
アクアライフWEB編集部です。
ブログ連載「アクアの雑談」第7回。
テーマは「水槽の中の人工物」なのですが……今回は、脱線多めの回となりました。
それはそれで、雑談ということで……。
本日は、脱線ならではの話も含め、お楽しみいただけたら幸いです。
雑談いたしますのは、いつものメンバー、月刊アクアライフ前編集長の山口 正吾(やまぐち しょうご)と、アクアライフWEB編集部の板近 代(いたちか しろ)。
それではどうぞ、よろしくお願いいたします!
人工物というカテゴリ、その捉え方も人それぞれと思いました。
土管、いいですよね。土管。
アクアリウムの土管語り
山口:今日のお題は人工物でしたっけ。
板近:はい、水槽の中の人工物ですね。水槽の外にあるものまで入れてしまうと、多すぎると思いますし……まぁ、水槽内だけでもいろいろありますが。
山口:水槽内の人工物、つまりイミテーションということですか。もしくはオーナメント。
板近:そのあたりですね。でも、投げ込み式フィルターとかも含めて話しても、面白いような気もします。
山口:そうなるとだいぶ広いですね。どこらへんから手をつけましょうか?
板近:好きな人工物……なんてどうでしょう?
山口:好きな……ちょっとファジー過ぎませんか。
板近:(笑)
山口:では、板近さんの好きな人工物をお聞きしてもいいですか?
板近:私は、土管ですね。
山口:どういうところがお好きなんですか?
板近:土管の中でも、あの、昔からあるオレンジ色っぽい土管あるじゃないですか。
山口:ええ。
板近:あれが特に好きなんですね。魚が入ると妙に可愛くて。
山口:可愛いのはわかります。そのことでビギナーにも受けがよさそうだし、実用的であるからマニアも使っている。
板近:前回も土管の話をしましたね。アカンソドラスの話で。
山口:ああ、しました。板近さんは可愛いことが大切なんですね。
板近:言われてみると、前回から「可愛い」を主張していますね。
山口:ペットだし、「可愛い」が大切なのは、自然かと思いますよ。
板近:ですね。あと、山口さんの言う通り、土管ってほんと実用的なんですよね。
山口:私の家でも土管を使っています。ポリプテルスとザリガニの水槽で。
板近:いいですね! なんか土管って安心感あるんですよね。
山口:安心感、とは?
板近:人工物なだけあって、魚を傷つけにくい仕上がりになっていたりするじゃないですか。
山口:はいはい。
板近:あとサイズも形状もいろいろあって、魚の種類ごとに、いい感じに隠れられるものを探しやすい。ほどよく魚が落ち着けるスペースを、水槽内に作りやすいアイテムだと思うんですよ。
山口:なるほど「魚にとって安心感がある」という意味ですね。てっきり、私は「板近さんがほっこりするデザイン」であるのかなと思ったり。可愛いからのつながりで。深読みしすぎました。
板近:あ、でも土管はほっこり感ありますよね。さっき話したアカンソドラスが入った時なんかは特に。
山口:ああ、やっぱりそっちもあるんですね(笑)。
板近:はい(笑)。正面から顔が見えますし。
山口:実は私も好きなんです。土管は慣れ親しんだものですし、案外、好きなデザインかもしれません。
板近:そうなんですね! いいですよね土管。あと、たまに思うんですが、どのくらい落ち着くものなのでしょうね、土管の中って。
山口:そこらへんの実験はないんですかね。血中の成分などでわかりそうな気がしますが。
板近:どうなんでしょうね。土管って、前後開いてるじゃないですか。プレコの繁殖用とかは別ですが。だから、意外と「隠れているけど見えている状態」な気もするんですよね。でも、土管の中の魚は、すごく落ち着いているようにも見えるし。
山口:魚だけではなくて動物全般に「何かに触れていると安心する」そういう説があった気がします。
板近:確かに、魚をいろいろ見ていると、体が隠れ家にいい感じに触れているのが好きそうな種類とかいますよね。ヒレを突っ張れるくらいの場所を好むというか。
山口:「何かが触れている≒その方向からは敵に察知されにくい」じゃないですか。安心感があるとしたら、そんなところに由来するのかもしれません。
板近:確かにそれはあるかもですね。
山口:この「触れている説」うちにいただいた千石先生の原稿だったかな。それとも、もっと広く知られている話か。
板近:千石先生ですか!
山口:……記憶が曖昧なのですが。今度、会社の資料を探してみます。ともあれ、多くの動物はシェルターにいると落ち着いて見えます。回遊魚や空を飛ぶ鳥でもなければ。
板近:そうですね。ペットの世界にもシェルターがいろいろありますよね。魚用に限らず。魚用ではないシェルターを見て、水槽で使えないかなと思った記憶があります。
山口:ほかに小魚の多くは上からの影に敏感じゃないですか。つまり、鳥の影ですね。オープン過ぎると落ち着かないというのは、特に小さな魚にはあるんじゃないかな。
板近:上から見られないというのは、大きな要素なのかもしれませんね。水上から襲われるかもしれない状況なわけですし。
山口:休んでいる時も無防備だから夜になると砂に潜ったりする魚もいる。
板近:隠れ家を置くと、砂に潜るのが好きな魚が中に入ることもありますよね。
山口:ええ。
板近:水槽内に、何箇所か隠れ家を作って、魚に選んでもらうようにするといろいろ見えてきたりもしますよね。まぁこれは、感覚的な話ですし、混泳の場合は場所の取り合いとかもあるので「好き嫌い」だけではないかと思いますが。
水車クルクル、カバボコン! ノスタルジックなアイテムたち
山口:私はカバや水車のオーナメントが好きでした。
板近:ああ、カバとか水車とか! なんか落ち着く感じありますよね。
山口:土管と違ってシェルターになるわけでもないので、最近はあまり使わないですが、金魚を趣味で飼うなら入れたいなあと今でも思います。
板近:確かに、金魚によく似合うイメージありますね。私は、水車を見て「水車なのにエアーで回ってるのがおもしろい」と思っていた記憶がありますね。
山口:水車やカバはノスタルジックでいいですよね。
板近:そう、ノスタルジックですよね。まさにさっきの記憶の話も、幼い頃を思い出してですから。
山口:もう15年以上前ですが、水車やカバを特集(月刊アクアライフ2003年12月号)したこともあります。
板近:それ見てみたいですね。
山口:あの記事は面白かったよなぁ。私の先輩の田形さんが組んだ記事で。ああいう記事ができるのが、アクアライフのよさだと思ってはいるんです。
板近:アクアライフにはいろいろな記事がありますよね。
山口:ええ。魚だけではなく周辺を取り込むことで、文化としてのアクアリウムをお伝えできるんじゃないかなと。そんなふうにも思っていまして。
板近:周辺といえば、周辺機器の特集(第1回月刊アクアライフ2017年4月号/第2回月刊アクアライフ2019年4月号)もありましたよね。
山口:あれはガチな取り組みでした。先ほどお話したカバの記事はもうちょっとラフでして。気軽に読める類のものですね。田形さんはそういう記事が本当に上手なので。
板近:気楽に楽しめる記事、いいですね。
山口:雑誌ですからね。「面白いなぁ」で終わってもいい記事こそが本懐というか。保存性も大切だけれど。
板近:はい。アクアリウム自体も「面白いなあ」「楽しいなぁ」という要素があるものですもんね。
山口:重すぎると誰も手をつけない。気になってパッと手を出して、そこからハマっていく。趣味なんてそういうものじゃないですかね。
板近:気軽な雰囲気だからこそ、伝えられるものがある気もします。
山口:アクアリウムは生き物を対象にするから、あまり軽々しくてもよくありませんが。
板近:確かに、押さえるところは押さえないといけませんよね。
山口:しかしながら、飼わないとわからないこともあるし。
板近:それはよく思います。しっかり勉強してから飼育したつもりでも、実際飼育すると新しい発見があったりもしますし。
山口:ケースバイケースですよね。それこそ、アリゲーターガーを気軽に買えた時代があった結果として、特定外来の指定に結びついたかもしれないし。一方で、お子さんが金魚をねだるのに、「面倒見れるの!?」と親御さんが詰問するのもどうかと思ったり。犬猫ならまだしも小さな魚ですからね。
投げ込み式フィルターとザリガニ
山口:オーナメント以外ではどうですか? 水槽の中の人工物。
板近:オーナメント以外だと……私はけっこう投げ込み式フィルターが好きですね。
山口:投げ込み式フィルターが好き。土管と一緒で好き嫌いなんですね(笑)。どういうふうに好きですか?
板近:今まさに、pH維持でサンゴ砂を水槽に入れるのに使ってるんですが、便利ですよね。
山口:実用性ですね。
板近:そうですね、あと見た目も割と好きで。
山口:他のフィルターとは違う何かがありますか、見た目的には。
板近:シンプルというか、お手軽と言うか…………。
山口:お手軽感はすごいですよね。
板近:それこそ山口さんの言っていたノスタルジックな雰囲気もありますよね。
山口:実は昨日、ザリガニの水槽のフィルターを投げ込み式に変えたばかりで。
板近:おお、タイムリーですね。
山口:それまでは水中ポンプのフィルターだったのですが。他の水槽と比べてちょっと水温が高く。それでいて曝気されないせいか、ザリガニがぐったりしていたんです。
板近:確かに、投げ込み式フィルターなら、曝気されますよね。
山口:フィルターを変えたら、途端にザリガニが元気になりまして。
板近:すぐ効果出たんですね! 元気になってよかったです。
山口:それで面白いと思ったのは、ザリガニがぐったりしているとか、元気になったとか、そんなことがわかるって不思議だなって。
板近:確かに不思議ですね。話ができるわけでもないのに。でも、生き物って、見ていると明らかに「今、調子いいぞ」って時とかありますもんね。
山口:私自身は魚や生き物好きですが、家族も以前から「ザリガニの様子がおかしい」と言っていたので。ザリガニくらいまでは皆が調子を診られるものなんだなと(笑)。
生き物が「弱っている」という感覚
山口:実際、どこまでそういう感覚があるんでしょうね。巻貝なんて、よくわからないじゃないですか。
板近:巻き貝は確かに難しいかもしれません。
山口:石巻貝くらい「わざわざ水槽に入れている」貝なら気にして見ていますが。湧いてきた貝なんて、それこそよくわからない。一方で、小さなシュリンプも調子の良し悪しはわかる。こういう線引きってどこでされるんだろうと時々不思議に思います。
板近:種類によって変わってくるところもありますよね。環境の変化に強い弱いとかあると思いますし。
山口:クワガタなんかも弱っているとわかる。
板近:あ。クワガタわかりますね。悲しくなりますよね……弱々しくなった感じが。
山口:今はダンゴムシやワラジムシを飼っているのですが。透明ではないケースで飼っているせいか、いまいち調子がわからない。いや、ダンゴムシはわかるかな。あまり殖えないし……ポツポツ死んだりして。
板近:ダンゴムシは個体ではなく全体で見る感じですか?
山口:個体識別できないので、そうなります。ただ、ワラジムシは本当によくわからない。冬は殖えない、春から殖える、くらいの印象しかない。ただ、ワラジムシの調子も好きな人が見たらわかるんだろうと思うんです。
板近:生き物によっては「殖える殖えない」ということが、調子の良し悪しをはかる基準になったりしますよね。
山口:ええ。すみません、脱線しました。
板近:いえいえ。ダンゴムシ好きだったなぁ……と、思い出していました。
山口:そもそも魚や両生類の餌用に殖やしているので興味が薄いのかもしれません。ただ、今けっこうカッコいいダンゴムシが売ってるじゃないですか、ペット用に。ああいうのも、いいですよね。
板近:実はペットにダンゴムシ、ほしいんですよ。ただ、ダンゴムシに手を出すといろいろ集めたくなってしまう気がして、誘惑を耐えている感じですね。何種も飼うとなると、それなりに考えないといけないぞ……と。
山口:集めればいいんじゃないですかね(笑)。板近さんのお好きな底物だし。そうそう、次号のアクアライフ(2020年10月号 9月11日発売予定)にもちょっとダンゴムシが載りますよ。
板近:ここにきてアクアライフで…………誘惑が……。
山口:パルダリウムの新提案として載ります。ダンゴムシリウム。
みなさんこんにちは。 アクアライフWEB編集部です。 水槽の中で陸上植物などをレイアウトし景色を作る、パルダリウム。 なんだか難しそうに見えるかもしれませんが、実は意外と“手を出しやすい”ものだったりします …
板近:ダンゴムシリウム……楽しそう。なんていうか、ダンゴムシは明らかに私が好きなタイプの生き物なんですよね。
山口:そうなんですか。
板近:山口さんの言う通り、底物ですし(笑)。
山口:攻撃的ではないところが? 王蟲的なかっこよさ?
板近:なんでしょう。あの動きというか、大人しさと言うか、形のよさというか……。園芸やっていて出てくると嬉しくなっちゃいます。
山口:人畜無害ですよね。むしろ益虫になるのかな。
板近:昔、飼育していたこともありまして。それこそ子どもの時から好きなんですよ。だからこそ手を出さないように我慢しています(笑)。いや、どうしよう。やっぱり飼おうかなダンゴムシ。
山口:好きなんですね。そこまでなら飼ったほうがいいですよ。人生は一度きりですから。
人工水草いろいろ
山口:ところで人工物の話に戻りますが、土管に近いものとして、人工の水草もテーマになるんじゃないかと。
板近:人工水草ありますね。
山口:あまり使いませんか?
板近:使ったことがないわけではありませんが、というくらいですね。
山口:そうですか。私はちょくちょく使うんですが、底砂を敷いていない水槽やライトの弱い水槽には便利ですよ。魚の隠れ家にもなるし、見た目にもきれい。
板近:水草が植えにくい環境で使うというわけですね。人工水草って、けっこうきれいなのありますよね。
山口:そうそう。かなりリアルなのもあるし。金属が芯に入っていて、形を変えられるものもある。
板近:カラフルなやつもありますよね。
山口:あれも水槽に入れると意外と馴染むんですよ。
板近:さすが、人工水草として考えられているのですね。
山口:ただ、細かい造形だけに、コケがつくと大変で。
板近:それは大変そうです。
天然素材縛りと人工物とそれぞれの配置と
山口:他の人工物についてはどうでしょうか。今回のお題についてあまり話題を思いつかず。ついダンゴムシの話などをしてしまって。
板近:いえいえ。ダンゴムシの誘惑高まりました(笑)。
山口:それは何よりです(笑)。
板近:人工物で言えば、私は今回、ヒーターやフィルターのパーツなんかもお題にしていいかなって思ってるんですね。
山口:なるほど。
板近:人工物として水中に存在する。だから視覚的にだったり、いろいろ意識することがあると思うんです。
山口:具体的に、どんなふうに意識しますか?
板近:私はヒーターなんかは、あとで取り出しやすいようにと考えて配置したりしますね。一応消耗品じゃないですか、長持ちしますけど。
山口:逆に取り出しにくい設置の仕方が想像できないのですが……。
板近:うまいこと見えないように隠そうとすると、ちょっと難しくなりますよね。
山口:流木の陰とか。そういうことですか。
板近:そうですそうです。そういうところを狙う時は、ある程度取り出しやすさを犠牲にしつつ、でも後々取り出すことを考えて……みたいな、微妙なせめぎあいが私の中にありまして。
山口:一度、気になると、ちゃんとしたくなることってありますよね。
板近:はい。まぁ、わりと私はヒーターが見えてたりするのも好きなんで、そこまで悩むことはないんですが……と思いましたが、一時は水槽内を「天然素材」だけが極力見えるようにしたくて、がんばっていたことがありました。
山口:そういうこだわりがあるんですか。話の筋が見えてきました。
板近:すいません相変わらず話の流れが悪く。
山口:いえいえ。私の理解力の問題もありますし。
板近:いえいえ。
山口:天然素材しばりは大変……というか無理ですね。
板近:ええ、そうなんです。これはここまでの話とはちょっと逆向きでもありますよね。人工物を見せないという方向は。
山口:どんな水槽でもそうですか? 魚の飼育の水槽でも。
板近:いえ、「そういう時期があったなぁ」という感じです。水槽も全部ではなく、ひとつだけでやってましたね。人工物が見えている水槽も好きだけど、天然素材しか見えない水槽にもチャレンジしてみたかったんです。
山口:たとえばレイアウトの写真コンテストでは、フィルターやヒーターは写っていませんよね。そういうこだわりも確かにあると思うんです。
板近:逆に普段の飼育では、人工物をかっこよく配置する方もいますよね。素材にこだわったりとか。
山口:かっこよく配置……つまりそれは配管などがピシッとしている状態ですか。
板近:はい、すごくきれいにまとめられている方とかいるじゃないですか。
山口:あれは性分じゃないですか。私も近いところがあるかもしれず、理解はできます。たとえば、水温計がちょっと傾いていたりするのは許せますか?
板近:私は一回気になりだすと、触りたくてしかたなくなるのですが、どちらかいうとそのへん甘いかもしれません。外部式の配管とか特にきれいではないですし。
山口:私はだいぶ神経質なんですよ。たとえばうちでは3本水槽が並んでいるんですけれど、基本的には、その水面の高さがあっていないと気持ち悪いし、水温計も同じ位置についていないと落ち着かない。
板近:まさにピシッとですね。
山口:スポンジフィルターが傾いていたらすぐに直すし、投げ込み式フィルターでも同じ。ヒーターも垂直か水平。斜めにはつけません。
板近:かなり気を使っていると。
山口:水槽に関しては単に神経質なのかな。もちろん、ズボラな面も多いので、それは一面的な話で。Tシャツは襟口が破けている程度なら気にならないし洗車もあまりしない。
板近:水槽周りだと気になってしまうのですね。
山口:リビングに置いてあるので、目に入るとつい。
板近:あ、それは前話していたことに通じますね。
山口:ええ。ピシッとしていたほうが気持ちいいし。以前お話ししたようにうちは来客が多いので、あまりみっともなくはできない。
板近:私は自室なので……というのは言い訳になってしまうかもですね。自室でもピシッと揃える方はいますし。
山口:たとえば、今日の夜、自宅に友人が集まって会食する、として。
板近:はい。
山口:私がまっさきにするのは水槽の掃除。というか、他のことはしない。
板近:なるほどです。私の場合、「ここ微妙だなぁ」と思っても、魚とか水草さえ元気ならいいかぁ……と、先延ばしにしてしまうところがありますね。
山口:それでもいいと思いますけどね。人それぞれで。
板近:水温計のキスゴムがはずれて落下した時とかは、すぐに対応するんですが。水温を見れないのは嫌なので。
山口:あー。ゴムは劣化しますからね。
板近:ゴムの劣化は仕方ないですよね。
買い置き、してますか?
山口:ゴムの劣化で思い出しましたが、板近さんは消耗品の買い置きはしていますか?
板近:買い置きはいろいろありますね。ろ過マットとか、Oリングとか……ヒーターも買い置きしていますね。あとエアーポンプなんかも予備があります。
山口:けっこうな大物を買い置きしていますね。私の場合、大物については余っているのをとっておく感じかな。
板近:余っているものをとってあるのもありますね。エアーポンプなんかは新品以外に、過去に使用したものがいくつか。
山口:私の場合、買い置きというとキスゴム関連ですね、水温計の。気がついた時に買っておかないと困る。あとは投げ込み式フィルターのエアーストーン。あれもいざという時にないと困るものです。
板近:細かいものもいろいろありますよね。エアーチューブなんかも、予備があると便利だなと思います。
山口:チューブも確かに優先順位が高い。
板近:逆に買い置きしないのは餌ですかね。できるだけ新しいのをあげたいので。冷凍アカムシなんかも、そんなに多く買い込まないです。
山口:私は餌はいろいろと試したい性分で。買い置きという動機ではなくて、面白い餌があったら買ったりはしています。
板近:面白い餌、試したくなりますね。同じ魚に与える餌を切り替える時なんかも、ある程度残ってる段階で買ったりしますね。魚があんまり好まなかった時に、前の餌がないと困るなぁと。
山口:うちにはあまり神経質な魚はいないのですが、それでも餌によっては本当に食いつきが違います。
新しいもののよさと、古いもののよさと
板近:あと「いつ使うんだろうなぁ」なんて買い置きもあります。だいぶ前に、中古ですごくきれいな外部フィルターのバケツ部分があったんですよ。それでなんとなく買っちゃって。もう長いこと物入れになっています。
山口:中古品は一期一会ですし。つい買ってしまう気持ちもなんとなくわかります。
板近:ほんと、一期一会ですよね。使ってるエアーポンプの旧モデルがあった時は、思わず買ってしまいました。
山口:旧モデルもロマンあるよなぁ。新しいもののほうが性能はいいのだろうけれど。それと趣味嗜好は別といいますか。
板近:ありますねそれ。特に趣味ってそういうところがある気がします。古いものだと、新品はもう流通してなかったりしますし。
山口:車はそういう分野もあります。
板近:カメラもですよね。
山口:アクアリウムではさすがに「古いものが好き」でジャンルを作るまでの裾野はないのかもしれないけれど一定数はいそうです。
板近:アクアリウムだと「ノスタルジック」な雰囲気があるレイアウトとか、今日話題に出た水車やカバとかですかね。
山口:以前、記事でステンレス枠の水槽を、昔風のレイアウトに仕立てて紹介したことはありますが。なかなか味わいがありましたよ。
板近:それはよさそうです。世代ごとのレイアウトをいろいろ並べると、面白いかもしれませんね。それこそ、水槽の中の人工物も「あった! これ覚えてる!」みたいな、思い出に浸れたり。
山口:水槽の枠だけに注目しても面白いと思います。今は枠なしが主流といっていいくらい普及しているけれど昔はステンレス枠もあった。プラ枠はいまでも健在だけれど木目調もあった。
板近:プラ枠にも色がありますよね。黒とか、青とか。あと、オールインワン水槽みたいなのもいいですよね。照明からろ過まで一体型の水槽の歴史……。そういえば、枠なし水槽をはじめて使った時はなんかドキドキしたなぁ。
山口:枠なしは大きな変革でした。コロンブスの卵的な。世の中のデザインがどんどん進歩していって、水槽も今時のインテリアに合うデザインが模索されています。
板近:そうですね、水槽はけっこう変わっていってますよね。また、アクアリウムの世界って「変わらないよさ」をもつものも多いから面白いですよね。
山口:ろ過の仕組みなんかは基本的には同じだから昔の器具でも飼えたりはします。
板近:はい。でも、細かい部分が進化している製品とかもあって。そういう中にある追求って、よいものですよね。変わらないよさと新しいよさ、両方に楽しみどころがあるというか。
山口:市場原理などで商品が新しくなる。基本的に性能はよくなっていくはずですが、その中にあってもロングセラー、名品はあります。
板近:はい。あと、枠なし水槽を使ったからこそわかる「枠の恩恵」みたいなのもありますよね。新しいものが生まれたからこそ「特化分野」となったというか。
山口:特化というよりも差別化でしょうか。プラ枠水槽はまだまだ大きなシェアを持っていると思いますよ。「初めてセット」は今でもプラ枠が多いですし。
板近:そうですね、差別化ですね。枠ありはフタがきっちり締めやすいし、いろんな利点がありますよね。
山口:プラ枠は、角をぶつけても(ちょっとは)安心というのは大きい。
板近:ですね、オールガラスの枠無しは設置の時に神経を使いますよね。でも気を使ったからこそ手に入る「すっきり感」はよいものです。
山口:シンプルな枠なしもいい。それぞれに個性があります。
板近:はい、まさにそれぞれの個性だと思います。どっちが上とか、下とかではない、それぞれの魅力となる違いがあるのが、こうした製品の面白いところですよね。