みなさんこんにちは。
アクアライフWEB編集部です。
本日は、月刊アクアライフの編集長を20年(2000〜2020)務め、それ以上の期間をアクアリストとして過ごしている山口 正吾が「熱帯魚の飼育」についてお話します。
熱帯魚の飼育に悩む初心者さん、そして飼いたいけど尻込みしている未経験者さんはどうぞご覧ください!
あまり難しく考えてほしくないと思いまして。
情報として見るのと、実際にやってみるのでは、感じる難しさが違ったりもしますよね。
アクアの雑談 アクアの雑談は、その名の通りアクアリウムに関する「雑談」をお届けする連載です。お題は回ごとにいろいろ! 雑談いたしますのは、月刊アクアライフ前編集長の山口 正吾(やまぐち しょうご)と、アクアライフWEB編集部の板近 代(いたちか しろ)。雑談ならではのお話を、どうぞお楽しみください。 |
初心者さん、未経験者さんに伝えたい熱帯魚飼育の話
板近:本日は、山口さんが話したいお題があるのですよね。
山口:ええ。思えば、この雑談では「熱帯魚の飼育」という根本的なところを取り上げたことがないなと思いまして。
板近:それはまた、かなり基本的なお題ですね。そのお題を話したいと思った理由などあるのでしょうか。
山口:情報量が多すぎることが挙げられますね。どれを信じていいかわからないし、どれが自身にフィットするかもわからない、そんな初心者さんも多いかと思うんですよ。
板近:最近はネットの普及で触れられる情報量が多いですし。
山口:そんな中、迷いが生じている人がいるかもしれないから。
板近:迷うと余計に、何を信じていいかわからなくなっちゃったりもしますよね。
山口:そういう人の背中を押してあげたい……は言いすぎかもしれませんが、初心者さんや未経験者さんなど、熱帯魚の飼育に尻込みしている方がいれば、少し気持ちが軽くなるようなことをお伝えしたいなと。
板近:なるほどですね。
山口:最初に結論を言ってしまうのもなんですが、熱帯魚飼育って、基本は意外とシンプルなんですね。その基本からの応用があるけれど、それは段階を踏んでいけばいいだけの話だから。
板近:たしかに、初心者さんや未経験者の方は、実際の飼育よりも難しいイメージを持っている方は多そうです。
山口:本日お話するのは、あくまで私の考えなので、異論反論あるかもしれませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
板近:私個人としても、聞いてみたいお話です。
熱帯魚飼育の基本話
山口:まず基本として、魚は水の中にいるじゃないですか。
板近:そうですね。マッドスキッパーのような例外を除けば……と、今日のお題でいきなりマッドスキッパーは脱線しちゃいますかね。
山口:例外を出すとわかりづらくなるので、とりあえずやめておきましょうか(笑)。その辺りは、またのちに少し触れますね。
板近:はい、お願いします(笑)。
山口:話は戻りますが、基本的に「魚は水の中の生き物」これは間違いないことで。
板近:ええ、そうですね。
山口:とまぁ、この部分は基本中の基本ですし、つまづく人はいないと思います。
板近:魚は水の中ということは、あたりまえの認識として頭の中にありますね。「いつ知ったんだっけ?」って掘り下げようとしても、わからないくらい。
山口:次に、熱帯魚は熱帯というだけあって、水温に気をつかってあげたい。でもこれも、ヒーターを使えば簡単に解決できます。特に冬場の話ですが。
板近:ヒーターは構造もシンプルですし、使いやすいですもんね。
山口:次に、水の汚れ。水槽は、自然と比べて小さいし閉鎖的だから、餌を与えればどうしても汚れが溜まる。
板近:ここはちょっと、水温維持よりも難易度が上がりますかね。
山口:そうですね。ただここも、水を浄化するフィルターと水換えで対処できる。実際、熱帯魚飼育の基本ってこれくらいだと思うんです。
板近:熱帯魚を飼育するにはあれをこうしてどうして……みたいな技術的な話も要約すると、今山口さんがお話されていたことになりますね。
山口:ええ。事細かに語れる部分はあるにせよ、まずはシンプルという視点を持っていただければなと思いまして。
板近:たしかに、それはとても大切な考え方かもしれません。
熱帯魚飼育の応用話
山口:基本の後にあるのは、応用ですね。
板近:魚による違いだとか、水槽のサイズによる違いだとか。
山口:そうそう。魚が大きければ大きい水槽を用意する、隠れたがる魚には隠れ家を用意する……そういう魚に合わせた環境づくりですね。そして、こうした応用をしようと思ったら、その魚のことを知るしかななくて。
板近:サイズが同じでもよく泳ぐ魚とそうでない魚などいますし、その魚の特徴や性質を知らないと、うまく対応できないこともありますよね。
山口:ええ。対して、世間で初心者向けといわれている魚は「その魚の特徴や性質をあまり知らなくても飼えてしまう」ものがほとんどですよね。
板近:初心者向けというと、主に、熱帯魚飼育の基礎知識があれば飼育できる魚が挙げられるイメージがありますね。
山口:ただ、初心者向けの枠から外れる魚の勉強が大変かというと、そうでもないんですよね。好きな魚のことであれば、苦もないでしょうし、楽しみながら学べるはずで。
板近:マイナーすぎて情報が少ない種類もいますが、そうした魚の情報を得たと時の喜びは大きいし……結局、楽しいんですよね。
山口:夢中になっているときには、そうした作業も苦労とは思わないだろうから。
板近:興味ない人からすれば難しく見えることも、趣味だから楽しく覚えられてしまいますもんね。むしろ、ちょっとくらい手間がかかったほうが楽しかったり(笑)。
山口:あるある(笑)。
板近:趣味の「応用」や「勉強」を語る時は、それが好きなことの話であるという前提を忘れないようにしないといけませんね。興味のないことを学ぶのとは、勝手が違う。
山口:そうですね。「魚について勉強する」というより「好きな魚のことを知る」。であれば苦痛もないでしょう。
熱帯魚はディープな趣味?
板近:こうして振り返ると、熱帯魚の飼育ってわりとシンプルだなぁと思いますね。餌をあげて、水換えして、観察して、たまにろ過のメンテをして、消耗品のストックを補充して……とシンプルな作業を繰り返していく。日々の世話を箇条書きにしてみると、シンプルさがよくわかるかもしれない。
山口:そうなんです。それに、先ほど話していた通り、好きなことだから調べることも楽しいはずで。でもこれ、魚に限った話ではないんですよね。
板近:他の趣味でも言えますね。
山口:はい。どの趣味でも、好きな対象について調べることは普通だし、特別なことでもないじゃないですか。
板近:私も、アクア以外の趣味であるカメラや園芸についても、同じように楽しみながら調べていますね。
山口:魚は3万種くらいいますし、その全てについて知ろうと思うと大変であるとは思いますが。淡水魚だけでも1万種超えなのかな。
板近:それも多くのジャンルで共通することですね。全体を詳細に知ろうとするとすごく大変。
山口:熱帯魚の正確な数はわからないけれど、観賞魚として流通している数で言えば数千はいると思いますし。
板近:ただ、熱帯魚を飼育する人全員が、その数千種全てを把握しているわけではないですよね。
山口:私もそこをお話したく。より広く、より深く、という楽しみ方もありますが、熱帯魚の飼育を楽しむということでいえば、そんなにたくさんの種類を知らなくとも可能なんです。
板近:そうですね。むしろ、これだけ多種多様な魚がいる世界だと、知っている種類よりも知らない種類のほうが多いなんてのは普通のことで。
山口:ただ、経験がない人は、「熱帯魚って、たくさん勉強しないと飼えないのかな?」と不安になることがあるだろうと。
板近:人間からすると、水の中で生きるということがどういうことか、想像しづらいという点もあるかもしれませんね。
山口:それもあるかもしれませんね。
板近:でも実際は、先に話した初心者向けの魚のように、熱帯魚飼育の基礎としてピックアップされている情報を押さえていれば、問題なく飼育を楽しめる種類も多いと。
山口:そうなんです。ディープに楽しむことだけが、熱帯魚ではないですからね。水槽を一つだけ置いて、飼いやすいと言われる種類だけを飼育することも、素晴らしい楽しみ方だと思います。
板近:誰もがマニアである必要はないですし、逆に、思いっきりマニアックになってもいい。そういういろいろな楽しみ方ができる世界ですよね。
山口:そしてそのスタート地点に立つためのノウハウは、みなさんが思っているほど難しいものではないかもしれませんよ……というお話です。「基礎>応用」というか、基礎が身につけば、今思っている以上にいろいろなことができるかもしれません。
熱帯魚を知るためのヒント
板近:Aを知ればBのこともある程度わかる、みたいなパターンもありますよね。意識的に学ばなくとも、自然と知識が増えていくような感じといいますか。
山口:そうそう。魚の飼育にはある程度の傾向というものがあって、一種知ればそこを軸にしていろいろな種類が飼育できたりもする。
板近:ですね。
山口:いろいろなヒントから飼育法を考えたり。
板近:ヒントといいますと、どのあたりの話でしょう。
山口:生物学的な分類はわかりやすいかな。たとえば、ラスボラ・ヘテロモルファを飼って、その後にラスボラ・エスペイを飼育したいとなった時は、ヘテロモルファの飼育経験が生きてくる。
板近:その2種は分類が近いから。
山口:ええ。分類が近いというヒントから「この2種は、わりと近い飼育方法でいけるのではないか?」というあたりをつけることができるんです。
板近:たしかに、そうした推測は熱帯魚あるあるですね。
山口:今話したような分類からの推測はちょっと慣れないと難しいかもしれないけど、流通名だってヒントになることもありますよね。アロワナと名につく魚であれば、大きな水槽が必要であることはピンとくる。
板近:他に何か、山口さんおすすめのヒントはありますか。
山口:魚の見た目からのヒントですかね。コリドラスのように口が下を向いていれば、水底に沈んだ餌を食べるかな? とか、カショーロのように鋭い牙が見えればこの魚は他の魚を食べるのではないか? とか。
板近:その想像はわかりやすいし、楽しめますよね。他にも……行動からの推測で、ハチェットフィッシュのように上の方をよく泳いでるから浮くタイプの餌がいいかなとか、どうでしょう?
山口:そうそう。もちろん、その推測が正解ではない場合もあるけれど、繰り返していけば経験も蓄積されて魚の名前や見た目で、飼育法のあたりをつけやすくなっていく。経験値が上がれば、より楽しめるようにもなっていく。
板近:観察と考察の繰り返しは大事ですよね。またそこも楽しいところですし。
山口:それでいて、熱帯魚というのは、流通している魚の種類がすごく多いから、今までの経験と知識からでは飼育法が想像もつかない魚と出会う機会もあって。それはそれで喜びになる。
板近:ああ、ありますねそういう出会い。「この魚って何食べるんですか?」と、お店でいろいろ教わったりして。
熱帯魚の飼育は難しくない?
山口:そんな感じで今日のところはどうでしょう。なんだか単純な話ばかりで、拍子抜けしてしまったかもしれないけれど。
板近:私は、山口さんの話を聞きながら初心者であった頃を思い出しましたね。あの頃は、いろいろ難しく考えすぎていたなぁとか。
山口:熱帯魚の飼育自体は、そんなに複雑に考えることもないと私は思うんです。もちろん、難しい場面、たとえばその都度対処しないといけない病気などもありますが。
板近:飼育の難しい種類もいますが、飼いやすい魚も多いし。また、飼いやすい魚はお店で出会う機会が多かったり、情報も得やすいことも多いから。
山口:板近さんが先に挙げていたマッドスキッパーのような例外は何にでもあるものですから、それも一つの前提として。
板近:「もしかして例外にあてはまるかも?」という視点があると、発見もありますよね。
山口:なんでもかんでも疑う必要はないけれど「もしかして」という考えがあると、失敗を予防できたり、情報をさばきやすくはなりますね。特に今の時代は、情報が多いから。
板近:そういう意味でも、今日山口さんがお話されていたようなシンプルな考えから始めるのは、とてもよい方法だと思いました。
山口:ありがとうございます。
板近:ここで、今日のお話をまとめるとしたらどんな感じでしょうか。
山口:魚に合った大きさの水槽を用意して、温度を保って、水を綺麗にする。その中に入れる魚については、初めは勉強することも多いだろうけれど、経験を積むことである程度のあたりがつくようになる。そうしていくうちに、できることの幅が広がって、深いところで楽しめるようになる……という感じでしょうか。
板近:ありがとうございます。
山口:アクアリウムは、ビギナー向けのノウハウであってもわりとややこしく感じるところがあるかもしれないけれど、どんなことでも初めはわからないことがあるのは当たり前で。難しく考えすぎず、その過程を楽しんでもらえたらと思います。
板近:そうですね。あ! せっかくなのでこのブログから、初心者さん、未経験者さんに読んでいただきたい記事を、以下にリンクさせていただきますね。「熱帯魚飼育のキホン」というシリーズと、初心者さん向けの熱帯魚をピックアップした回のリンクです。
山口:どちらも参考になると思うので、どうぞご覧ください。
アクアライフブログの「熱帯魚飼育のキホン」の記事一覧です。月刊アクアライフ編集部の運営するブログサイトです。アクアリウムや水辺の生き物に関する様々な情報を配信していきます。
みなさんこんにちは。 アクアライフWEB編集部です。 本日のお題は「初心者さんにおすすめの熱帯魚」です。 初心者さんにおすすめできる熱帯魚はどんな熱帯魚なのかということを、月刊アクアライフ編集部の山口と、W …