みなさんこんにちは。

アクアライフWEB編集部です。

 

本日のお題は「初心者さんにおすすめの熱帯魚」です。

初心者さんにおすすめできる熱帯魚はどんな熱帯魚なのかということを、月刊アクアライフ編集部の山口と、WEB編集部の板近が雑談で掘り下げていきます!

それぞれ5選づつ、合計10選の魚たちの話と合わせてご覧ください!

山口 正吾山口 正吾

実は難解なテーマです。

板近 代板近 代

どの魚を選ぶか、かなり悩みました。

アクアの雑談

アクアの雑談は、その名の通りアクアリウムに関する「雑談」をお届けする連載です。お題は回ごとにいろいろ! 雑談いたしますのは、月刊アクアライフ前編集長の山口 正吾(やまぐち しょうご)と、アクアライフWEB編集部の板近 代(いたちか しろ)。雑談ならではのお話を、どうぞお楽しみください。

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初心者さんにおすすめの熱帯魚を考える

板近:今回のお題は「初心者さんにおすすめの熱帯魚」で行きたいのですが。

山口:なるほど。いいですよ。

板近:そもそも「初心者さんにおすすめの熱帯魚とは?」という話ですよね。

山口:うーん、そこなんですよね。定義というか「こういう魚が飼いやすい」という条件がいくつかあって、それがたくさん合致する魚であれば飼いやすいということになるのでしょうが。

板近:はい。例えば丈夫な種であるとか入手しやすい種であると、飼育のハードルは下がると思います。

山口:でも、それだけでは同じような魚ばかりの選出にもなるし。例えば「小さい」というのは勧めやすい条件ですけれど、大きい魚にだって飼いやすい魚はいますから。

板近:ええ。初心者向けとして広く知られている魚以外にも、たくさんの飼いやすい魚たちがいると思うんです。そういう部分も、本日お話できたらなと。

山口:まさに十人十色というか、個別の相談で初めて答えが導き出せる……そんな気もしますが、それを言ってしまうと本日の雑談が成立しないですし(笑)。

板近:(笑)。なにかしらアクアの雑談として提示できたらいいんですけどね。

山口:テーマに不安を感じている理由は他にもあって。たとえば大昔はやっぱり飼いにくい魚はいたんですね。情報がなかったり、輸送がうまくいかなかったりで。でも、今はだいぶその状況も変わっていますから。

板近:飼いやすいという枠に入る魚が増えた印象はあります。

山口:そんなこんなで、難しい魚をいきなり飼うことが少なくなったのもあるし、いきなり飼ってもなんとかなっちゃうことも多くなったんだと思うんです。

板近:たしかに。

山口:まあでも、ここでぐだぐだ言っていても話が進まないので。世界一綺麗な熱帯魚の回のように、私と板近さんで順番に魚を挙げていって、最後にそれを振り返る形はどうでしょう。

板近:お互い5選づつ、合計10選ですね。それでいきましょう! 

初心者におすすめの熱帯魚10選!(1~7種類め)

山口:では、私から。やっぱりネオンテトラかな、入手性もいいし、何でもよく食べるし争わない。

ネオンテオトラ
ネオンテトラが飼いたくてアクアリウムを始める人も多いのではないだろうか Photo by N.Hashimoto

板近:似たような理由でカージナルテトラを選ぼうと思っていました(笑)。

山口:(笑)。ただネオンテトラほかテトラ類は餌をあげすぎると太ったり、体型の維持がけっこう難しい。初心者向けだけれど「飼育者の腕によって育ち方が違うんだ」そんな気づきを与えてくれるかもしれない魚なんですよね。

板近:いろんなネオンテトラを見て、体型と餌やりについて考えるのもいいかもしれないですね。ネットなどでも写真がたくさん見れるし。

山口:しかも綺麗ですし。難点を挙げるとしたら、小さいので、のちに追加する魚に食べられないようにしなくてはならない。案外、金魚なども小魚を食べたりしますし。

板近:そうですね。小型魚を飼育する際に、そこはとても大事なところだと思います。

山口:ええ。では、板近さんどうぞ。

板近:そうですね、カージナルを挙げるつもりだったんですが話に重複が多くなっちゃうので、どうしようかなという感じです(笑)。

山口:(笑)。カージナルテトラは養殖ものの流通が多くなって、入手性もよくなりましたよね。

板近:はい。うーん、一匹目何にしようかな。あ、インドグリーンスパイニーイールはどうでしょう?

インドグリーンスパイニーイール
インドグリーンスパイニーイールは、一部の人に“刺さる”魚ではないだろうか Photo by N.Hashimoto

山口:そこですか!? 「板近さんの好きな魚」になっていませんか(笑)。かなりこのブログで露出が多いような……。

板近:このブログのインドグリーンスパイニーイール回で「その特異な見た目の影響か、初心者向けの魚として挙げられることは滅多にありませんが、初心者さんでも十分に飼育可能と言える魚なのではないでしょうか」と書かせていただいたのですが、まさにそこからの選択です(笑)。

山口:たしかに書いてありますね。

板近:こういう「飼いやすいけど、注目されることが少ない魚」って意外といると思うんですね。

山口:ええ。

板近:私も最初見た時、飼いやすいのかどうかがわからなかったんです。すごく不思議な見た目をしていますから。でも、お店でいろいろ話を聞かせてもらったり、調べたりして、ああ、飼いやすいんだなぁって。

山口:そうかもしれませんね。ただ、入手性をすっ飛ばしているのが潔いというか、これから先の選出に大きな影響を与えそうな気がしますが(笑)。

板近:話の流れを無視した選出になってしまいましたね(笑)。すいません。ただ、そういう「よくわからないと思った魚でも、意外と飼いやすい場合がある」ということを、伝えたいなと思いまして。

山口:今回の雑談は「とりあえず種類を挙げていこう」でスタートしたので、まずは流れに身を委ねてみましょうか。一味違った10選になるかもしれません。

板近:ありがとうございます。では、山口さんどうぞ!

山口:ポリプテルスはどうですか? デルヘジィあたりの小型種。

デルヘジィ
ポリプテルス・デルヘジィ。「古代魚」であるという点にも注目したい。写真はとりわけバンドが多く整っている個体 Photo by N.Hashimoto

板近:ポリプテルスですか! いいですね。

山口:養殖ものなら人馴れしやすいし、デルへジィは模様に個体差があるので選ぶ楽しさもある。東南アジアで殖やしているから入手性もいい。

板近:ええ。

山口:熱帯魚という括りであれば、エキゾチックアニマル(フィッシュ)という要素は外せない。それが存分に味わえる魚だと思うんです。60cm水槽でも飼えるし。

板近:設置しやすいサイズですよね、60cm水槽。

山口:ポリプテルス特有の飛び出しさえ気をつければ……といいますか、「飛び出すからフタをしっかり閉める」みたいな生体に合わせた飼育を意識できる時点で尊いというか。

板近:ええ、尊いです。

山口:そういうのが熱帯魚飼育の面白さじゃないですか。レイアウトをその魚に合わせたり。

板近:餌を選んだり。

山口:ええ。生体に合わせて水槽をカスタマイズする、そういう楽しさですね。さて、お次はどうでしょうか。なんだか開始早々に収集がつかなくなっている気もしますが、それも本ブログの個性とご理解いただいて。

板近:はい。では、今度は入手性も重視して。赤コリ、白コリ……コリドラス・アエネウスはどうですか。

赤コリ
コリドラス・アエネウス、通称赤コリ。白コリと呼ばれているのは、アエネウスのアルビノ個体である Photo by N.Hashimoto

山口:それも好きな魚じゃないですか? たしかに入手性もよいですけれど(笑)。丈夫で飼いやすいし。

板近:たしかに好きな魚でもありますが「初心者さんが飼う確率も高いかな」と思った上での選択なのでお許しを(笑)。私も、子どものころにアエネウスに惹かれた記憶がすごく残っていて。

山口:たしかにスパイニィよりはわかりやすいですよね。ストレート。

板近:ちょっと種類が増えちゃいますが、赤コリ、白コリ、青コリ(コリドラス・パレアトゥス)という愛称を知っている人ってかなり多いじゃないですか。それって、すごく身近な熱帯魚である証拠だとも思うんですね。実際、かなり入手しやすい魚だと思いますし。

山口:ええ。

板近:しかも、コリドラスって独特じゃないですか。動きもそうですし、底の方で暮らすというのも。そういう部分から「上には何を泳がせようかなぁ」とか「コリドラスだけの水槽作ってみたいなぁ」とか、いろいろ想像もできると思うんです。

山口:その想像のよさはどこにありますか。

板近:そこから魚の生態に気づいていくというか。

山口:はいはい。

板近:「魚っていろいろなタイプがいるんだなぁ」っていうきっかけにも、なりやすいんじゃないかなと思いまして。

山口:それはいいですね。熱帯魚の世界の深淵をのぞけるとでもいいましょうか。その先にある世界の入り口になる。

板近:ええ。混泳しやすいというのもいいですよね。いろいろな魚をひとつの水槽で飼いたい初心者さんも多いでしょうし、低層の魚の候補として…………語りすぎてしまいそうなので、そろそろ山口さんお願いします(笑)。

山口:では、エンドラーズはどうでしょう。

板近:卵胎生メダカ! 私も卵胎生から何を選ぶかですごく悩んでいました。

山口:私も卵胎生メダカは外せないぞと思っていて。その中でも何がいいかなと。

板近:それでエンドラーズを。どんなポイントがよかったのでしょうか。

山口:まず、小さい。それに、ぼちぼち殖える。めちゃくちゃ殖えるわけではないのだけれど、いい感じの数が増るんです。隠れ家となる水草を入れておけば親魚と同じ水槽でも仔が育つので、別水槽を用意するなどの手間がない。

板近:ぼちぼちっていいですよね。慣れていなくても管理しやすい。

山口:ええ。稚魚は人工飼料でも育てられますし、1番のポイントとしてめちゃくちゃ綺麗ですから。

板近:綺麗です。

山口:たとえば、30cmキューブに1ペアを泳がせる。それを1〜2m先くらいから見る。

板近:それも綺麗でしょうね。

山口:ちょっと離れていても、小さな魚なのに存在感がある。美しさが伝わるんですよね。

板近:あの輝きはなんというか、綺麗ですね。さっきから私、綺麗しか言ってませんね。

山口:(笑)。それで、エンドラーズにはたくさんのタイプがあるのですが、あまり多くのタイプを挙げるとわかりづらくなってしまうので、ここでは「ブルースター」を推しておきます。

エンドラーズブルースター
青色が美しい、エンドラーズ「ブルースター」。色彩だけでなく、その配色も楽しみたい Photo by MPJ

板近:エンドラーズはタイプにより入手性も異なりますよね。

山口:はい。ブルースターはメジャーなタイプなので、入手性はいいと思います。

板近:ブルースターの青、いいですよね。

山口:あのブルーは他になかなか思い当たらなくて。グッピーにも援用されているくらいですから

板近:援用。つまりグッピーの改良にも用いられているということですね。

山口:ええ。では、次行きましょうか。

板近:ベタはどうでしょう。ここで言うベタはワイルドベタではなく、改良ベタのことですね。

ベタ
改良ベタは人にも馴れやすく親しみやすい魚だ。ただオス同士は激しく争うなど、飼育上の注意点も多い Photo by N.Hashimoto

山口:お、そこですね。私はエクスキューズが多くなりそうで躊躇していたのですが……。板近さんの意見をお聞きしたいところです。

板近:躊躇する気持ちもわかります。ただ、ベタから熱帯魚飼育を始める人はとても多いと思いますし、触れておくべきかなと。

山口:ですね。今日のお題でベタを挙げないと、作為的であると思われるかもしれないくらいメジャーな魚ですし。

板近:ええ。ベタは、あちこちで初心者さんにおすすめの魚とされていますが、それは間違いではないとは思うんです。

山口:はい。

板近:ただ、山口さんの言う通りエクスキューズをつける必要性を感じる魚でもあり。

山口:そうなんですよね。

板近:ベタは飼いやすい特徴が多い反面独特な部分もあるので、意外な失敗をしてしまう魚でもあると思うんです。ネオンテトラなどと比べると、その扱い方にけっこうな違いがある。

山口:はい。

板近:その生態や飼い方を知っているか知らないかで、おすすめできるかどうかの差が大きく開いてしまうと思うんですよ。

山口:初心者向けであれば「飼い方を知らない」が前提でもありますよね。板近さんはベタを知らない人にも勧められますか?

板近:知らない人に勧めるのであれば、今したような話もセットで伝えると思います。必要であれば、飼育のコツの話なども。

山口:まあ、そのコツみたいなものもベタの持つ個性によるものだし、そんなに難しいコツでもないので説明もしやすいとは思います。「ベタは水槽に1匹で飼う」という話は、わかりやすいから。

板近:ええ。「なぜ1匹で飼うのか」という理由なんかも知ると、ベタという魚の面白さもよりわかると思いますし。ベタは資料も多いですから、基本的な情報を入手しやすいのもいいですよね。

山口:うーん、ベタを取られたか……抜群に綺麗ですし、ありだよなぁやっぱり。では、次行きますね。

板近:お願いします。

山口:アピストなんてどうでしょうか。種類を絞るのならアガシジィ。アガシジィを選んだのは、改良品種があるくらいポピュラーですし、基本的なアピストの1種と言えるので。

アピストグラマ・アガシジィ
アピストグラマ・アガシジィのオス。ペアで入手できれば繁殖に挑戦することも! Photo by T.ishiwata

板近:シクリッドは入れたいですよね。

山口:シクリッドという枠はたしかに欲しかったのと、3月発売のアクアライフ(2021年4月号)がアピスト特集なので、頭の中にふと浮かんだというのもあります。

板近:なるほどです。

山口:シクリッドといえば子育てをする魚として有名ですよね。卵や稚魚を守る、それに喜怒哀楽がはっきりしているというか、非常に人間臭いと感じる振る舞いをするので、水槽の中にドラマが生まれやすい魚です。

板近:縄張り意識があるので、注意すべきところはありますが、だからといって初心者向けリストからシクリッドを敬遠してしまうのはもったいない気がしますね。

山口:喧嘩をしたり、ときには繁殖をしたり。そうした魚の行動に振り回されるのも、この趣味の面白さだと思うんです。

板近:ええ。感情的な起伏を感じるというのは、本当に素晴らしいことです。山口さんの言う通り、シクリッドのドラマ性はすごいですよね。

山口:「あれ、卵産んでる? 稚魚の餌どうしよう?」こういうイベントがある。飼育に飽きないですよね。

板近:あの子育てする姿には、心打たれますよね。

山口:まあ、あとアピストはショップの水槽ではイマイチなことが多いので。

板近:発色などの話ですね。

山口:はい。ペアで飼うなりして環境を整えないと本来の美しさを味わえない。だからこそ「私が育てたんだ」という満足感を得やすい。アピスト一つとっても種類が豊富だから、アガシジィでハマったら次のアピスト、という風に世界が展開するのもいい。

当記事「初心者向けの熱帯魚」は前後編に分けてお送りしております。【後編】はこちらからご覧ください!

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