みなさんこんにちは。

アクアライフWEB編集部です。

本日は、多くのアクアリストが愛してやまない流木のお話。

 

形、色、風合い……あなたは、理想の流木に出会えていますか?

山口 正吾山口 正吾

昔、ダム湖に流木を取りにいきました。

板近 代板近 代

魚と同じ場所でとれた流木とか手に入ったら、すごく嬉しい気がします。

アクアの雑談

アクアの雑談は、その名の通りアクアリウムに関する「雑談」をお届けする連載です。お題は回ごとにいろいろ! 雑談いたしますのは、月刊アクアライフ前編集長の山口 正吾(やまぐち しょうご)と、アクアライフWEB編集部の板近 代(いたちか しろ)。雑談ならではのお話を、どうぞお楽しみください。

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年末年始、山口の場合「水槽台を作りました」

板近山口さんは年末年始でなにをされていましたか。

山口:水槽台を作っていました。以前話したキャスター付きの水槽台です。都合、1週間くらいかけたかな。

板近:おお、どのくらいのサイズですか。

山口:120cm幅ですね。

板近:大きいですね。そのサイズがキャスターで動かせると思うと夢があります。

山口:荷重だなんだと結構気を使って。あとは安くあげるのも私のモットーなので、材料選びなど頭を使いました。

板近:水槽を乗せるなら、荷重や強度は重要ですもんね。

山口:ええ。ただ、華奢に見えることにもこだわりがあって。わりと細い材を使ったりしているんです。

板近:インテリア性を考えているんですね。

山口:それもありますね。ところが、120cm幅とやや大きく作ったので、水槽を置いたら少したわみが目立って。

板近:おお……それはよくないですね。

山口:台の真ん中あたりで4〜5mm下がってしまった。それで急きょ柱を追加したりとドタバタでした。

板近:でも、そんなドタバタも楽しそうですね。

山口:そうそう。途中で仕様変更できるのもDIYのよさだから。おかげで充実した休日となりました。

板近:それはなによりです。

年末年始、板近の場合「流木をいろいろと」

山口:それで、板近さんはどんなお正月を。

板近:私は山口さんほど大掛かりではなかったのですが、伸び放題になっていた水草のトリミングをしたり。

山口:いいですね、そんな休日も。

板近:ええ。そこで、流木を一本減らしてレイアウトを少し変えてみて。

山口:減らすのはいいですね、レイアウトの引き算は難しいですから。

板近:難しいですよね、今回の形にするまでも結構悩みました。あと、逆に流木を追加した水槽もありました。そっちは二本追加です。

山口:二つの水槽のレイアウトを触ったんですね。

板近:はい。この年末年始で一番大きな作業は……大きいと言っても一瞬で終わる作業ではあるのですが、形が気に入って飾ってあった流木をついに水につけたことですね。沈むようにするために。なんだか流木のことが多いですね、今年のお正月は。

山口:ああ、とっておいたんですね。

板近:あんまりにもかっこいいんで、上部式フィルターの上にドーンと載せていたんですよ。

山口:オブジェにしていたんですか。では、今回の雑談のお題は、流木でいいんじゃないですかね。

板近:いいですね!

山口:正月のオブジェといえば門松がありますが、なんとなく、流木にはそんな雰囲気もありますし。……かなり強引ですが(笑)。

板近:前回の砂利に続くお正月シリーズということで(笑)。

流木の味わい

板近:あらためて……流木はいいですよね。私はレイアウトに使われる、いわゆる素材の中で一番好きですよ。

山口:私も好きな方かな。なんというか、水槽に2〜3本流木を入れる。それだけで「アクアリウム」という佇まいになりますよね。

流木レイアウト
ごろっと流木をおいただけても雰囲気がよくなる(月刊アクアライフ2021年2月号「一種類徹底飼育講座」より)  Photo by MPJ

板近:なりますなります。

山口:とても手軽だし、味わい深い。板近さんは、さっき流木を飾ると言ってましたが……本当にそうしているんですか?

板近:はい。「飾っとけばいいや!」と、使う予定がない流木を買ったこともありますね。

山口:……うーん、銘木を飾ることもあるし、不自然ではないか。実家の床の間にもありましたよ、直径1メートルを超える木の瘤が。よく磨き上げているやつ。

板近:ああ、ああいうのいいですよね。

山口:まだ子供であったこともあって「なんか嫌だなぁ」と思っていました(笑)。けっこう模様なんかが怖い感じで。おどろおどろしいというか。

板近:木の模様って怖く見えたりもしますよね。顔に見えたりとか。

山口:それで、板近さんはどんな流木を飾っているんですか?

板近:最近は「これはいいぞ!」と単品で見ごたえあるものを選んで飾ったりしています。先にお話しした先日沈めたやつとかですね。ただ、はじめからピックアップして飾っていたわけではなく、元は、使っていない流木をしまってしまうのが惜しく、水槽の上に並べはじめたとこからはじまっているんです。

山口:並べると壮観という?

板近:ええ、組み合わせてみたりもして。あと、水槽の前に小さな流木をちょんと置いていたりもしますね。

山口:そういうさりげない感じもいいですね。以前、アイデア特集の時には、水槽の中の流木と外の流木、これがつながったようなレイアウトを紹介したこともありました。当時は結構、先進だった。

流木レイアウト水槽
水槽の外と中で流木がつながったように見えるレイアウト Photo by T.Ishiwata

板近:水中と空気中の流木を楽しめる、素晴らしいですよね。

山口:流木って、どこか年月を感じさせるじゃないですか。あれがいいんですかね、盆栽のような。

板近:感じますね、年月。

山口:生木にはない風合いですよね。たとえば、そこらへんの木を切ってきて水槽に沈めたとしても、生々しくてダメかもしれない。

板近:陸上で、着生植物をつけてもいいですよね。生きた植物をつけることで、枯れ木であることがより際立ったりして。あと、鉢植えに添えたりしても。

山口:それはあるかも。そういえば、中国に行ったんですよ。13年くらい前かな。その時に、街の露天商がやたらとクルミを売っていて。

板近:クルミですか。

山口:ええ。それで、そんなにクルミばかり食べることもなさそうだし、不思議に思って通訳さんに聞いたんです。「何のためのクルミですか?」と。

板近:食用ではなかったんですか。

山口:ええ、二つのクルミを手に持って回すらしいんです、そういう遊びというのかな、手持ち無沙汰解消、健康のためとも言っていた記憶がある。

板近:なるほど。

山口:それで、いいクルミになるとやたらと高いんです。当時で万単位もあったような記憶が。

板近:クルミ一つの価格ですか?

山口:二つのセットで売っていたから、二つかな。

板近:その「よい」の基準は持ち心地だったり、回し心地だったりも関係してくるんですかね。

山口:味わいらしいですね。古木のような味わい。

板近:味わいというと、見た目としての味わいですかね。風合いと言うか。

山口:そうそう、今思うとそれが流木と似ているなぁと。

板近:確かに、流木の肌質と言えばいいんですかね、ああいうところに感じるよさもありますよね。

山口:はい。流木とクルミ、なんだか面白い繋がりがあるんではないかと。東アジア圏の感性なんですかね、侘び寂びに通じるような。今度、ちょっと調べてみたいと思いますが。特に日本は森林が多いし、木への接触も多いでしょうから。そんな感性が発達したのかもしれません。

中国流木、古木専門店
中国の流木や古木の専門店の店先(クルミの写真は見つかりませんでした)  Photo by MPJ

どんな流木がお好き?

板近:天然素材だからこその変化もいいですよね。水中に沈めることで、水を吸うというのも一つの変化ですし。空気中で見たときとはまたちがった表情を見せてくれる。

山口:ええ。ところで板近さんは、どんな流木がお好きですか?

板近:わりといろんな流木が好きなんですけど、なんだかんだ好きなのは色が濃くて、こう、ちょっと塊感があったりするといいかもしれません。

流木とフィギュア
現在、板近家に飾ってある流木の中で一番小さなもの(約5cm)。小さいながらも塊感があり、プレコのフィギュアにもよく似合うお気に入りの一本 Photo by S.Itachika

山口:ああ、ごろっとした感じの。

板近:はい。あと、置いたときに下に空間ができるようなものも好きですね。

山口:それは衛生面で? 珊瑚水槽なんかは設置面積が小さいものが好まれたりしますよね。毒となる成分が生じにくいように。

板近:淡水でも、接地面積が小さいと汚れも溜まりにくいし管理が楽ですよね。私も、そういう理由で愛用していたりもするのですが、好みの面でいえば、下に映る影や暗がりなんかが好きなのだと思います。そこを魚がくぐったり、佇んでいたり。

山口:ああ、くぐるのいいですよねぇ。その一瞬で、見る側の意識も現地に飛ぶというか。

板近:まさに現地感ですよね。あとは、小さめの流木や破片を水底に転がしておくのも好きですね。枯れ葉を一緒に沈めている時もありました。これも、現地感への憧れだと思います。

山口:魚が流木にからむ、それだけで何千キロも離れた現地にいるような気分になりますよね。

流木に身を寄せるシクリッド(ナノクロミス) Photo by MPJ

板近:なりますね。水が茶色くなった時なんかもうすごく好きで。その雰囲気をさらに増すために、オレンジっぽい電球で照らしたりもしましたよ。

山口:板近さんらしいこだわりだなぁ(笑)。まあ、流木もいろいろなタイプがあって、今は様々な銘柄もありますが、私なんかは細い方が好きかもしれません。でも、塊感のある、切り株のようなやつも面白いと思うし。アクアテラの土台にいいというか。

板近:あれもいい、これもいい、こっちもいい…………となってしまいますよね。流木は。

山口:それぞれによさはありますよね。

板近:ありますよね。あとは、使い込まれた流木もいいなぁと思っていまして。

山口:はいはい。角が取れている、なめらかな。それでいて朽ちかけたような脆さもある。

板近:ええ。以前、水槽の中でプレコがかじって削ったという流木を売ってもらったことがありまして。

山口:わざわざそんなものを?

板近:はい。これまたプレコがいい仕事をしていまして、なんていうか、水槽の底に転がしておくのに似合う仕上がりで。

山口:よくわかりませんが……(笑)。どんな感じでしょう? 雰囲気だけでも。

板近:伝わりづらくてすいません(笑)。その流木は、全体的に薄くなっていたんです。長く薄く。で、平起きすると下に細長い隙間ができて、さらに接地面も小さく汚れも溜まりにくい。今はそこに小型プレコが隠れてますよ。

山口:いいですね。

板近:プレコが削り、プレコの隠れ家に……職人芸でしたね。いや、職魚芸ですかね。もしかしたら、流木削りの達人……達魚であったのかもしれない。

山口:(笑)

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