みなさんこんにちは。
熱帯魚Q&A編集部の赤沼敏春です。
熱帯魚水槽の状態を、
数値以外で把握する方法はあるのでしょうか。
熱帯魚Q&Aとは 熱帯魚Q&Aは“熱帯魚専門編集部”が、熱帯魚の飼育などに関する質問にお答えしていく連載です。熱帯魚Q&Aの更新情報はアクアライフ編集部のX(旧Twitter)でもお知らせしておりますので、あわせてご覧ください。 |
水質悪化に気づく方法
水の透明度は重要なサインです
水質は試薬などを使って調べるのが基本ですが、ある程度は見た目でも判断することができます。
あくまで「ある程度」なので、試験紙や試薬を使うことをおすすめしますが、普段からよく観察することで、水質悪化のサインを拾うことはできるのです。
まずは水の色や透明度です。
ろ過がよく効いた状態の良い水は、水道から出てきた水とはまた違う、高い透明度があります。
文章では説明しにくいのですが、普段からよく水槽を観察して状態のよい水を把握しておくとよいでしょう。
水質が悪化すると、透明度が失われて白濁したり、黄ばんだりしてきます。
セットしたての水槽は白濁することもよくありますが、状態の良い水槽が白濁してきた場合は、ろ過に問題がある可能性があります。
原因は
・餌が多すぎる
・過密飼育で有機物の分解やろ過が機能不全になっている
・メンテナンス不足
などいくつか考えられます。
いずれも水槽の状態を分析し、ろ過能力の見直しなど対策を立てましょう。
黄ばみは流木などからも出てくるのですが、富栄養化が原因で浮遊藻類が発生したり、枯れた水草やフンなど有機物が分解された最後に出てくる難分解性有機物(※文末に解説)が増えすぎたときも発生します。
水換えが足りていない可能性がありますので、掃除や水換えをしてみましょう。
においや魚の動きでわかることも
水の色のほか、においでもある程度把握できます。
水槽はバクテリアの影響で独特のにおいがしますが、腐臭が混じるなど普段と違うにおいがする場合、水質になにか問題が発生している可能性があります。
どこかでなにかが腐っていたり、ろ過槽が詰まって嫌気的な部分が発生していたり、と問題が発生している可能性があるので要チェックです。
魚の様子を観察することも大切です。
酸素が足りているのに呼吸が速い場合、なんらかの病気の可能性もありますが、水質悪化が原因のこともあります。
元気だった魚が急に動かなくなったり、おびえて隠れるようになったなど、おかしな行動をとるときも、水質悪化が原因のことがあります。
魚に病変がみられないときは、アンモニアや亜硝酸塩濃度など水質をチェックしてみましょう。
アンモニアや硝酸塩が増えてきている場合、藻類が急激に増えてくることもあるので、「最近なんだか藻類がやたら元気だ」というときも要注意です。
このように水質悪化のサインはいろいろですが、なにより大切なのは普段からよく観察し、異常を早めに感知できるようにすることです。
※難分解性有機物
難分解性有機物は、文字通り微生物に分解されにくい有機物です。
魚のフンや枯れた水草など有機物は、カビや原生動物などさまざまな微生物に分解されます。
このとき発生するアンモニアなどはろ過バクテリアで処理されるのですが、その一方で、最後には残りカスのような分解されにくい有機物が出てきます。
フミン物資と呼ばれるものが代表で、流木やピートモスから出る色もその一種です。
とても安定した物質であるため、微生物にほとんど分解されず、だんだん水槽にたまっていきます。
とくに害はないのですが、水が黄ばんだり濁ったりする原因になりますし、水換え不足のサインでもあります。
定期的に掃除して、濃度を減らしたほうがいいでしょう。
Written by 赤沼敏春