みなさんこんにちは。
アクアライフWEB編集部です。
有名な熱帯魚と聞いて、どの魚が思い浮かぶでしょうか。
本日は編集部で、9種類の有名な熱帯魚を挙げていきます。
なぜ、その魚を“有名だと思ったか”という話も。
アクアリスト以外の視点にも触れた、今回の雑談。どうぞよろしくお願いいたします。
ふわっとしたお題ですが、選出はけっこういい線をついているのではないかと。
今まで公開した「○○な熱帯魚」一覧は、文末に掲載しています!
アクアの雑談 アクアの雑談は、その名の通りアクアリウムに関する「雑談」をお届けする連載です。お題は回ごとにいろいろ! 雑談いたしますのは、月刊アクアライフ前編集長の山口 正吾(やまぐち しょうご)と、アクアライフWEB編集部の板近 代(いたちか しろ)。雑談ならではのお話を、どうぞお楽しみください。 |
※以下目次を開くと今回登場の魚種名が一覧で並びます。
ネオンテトラって有名ですよね
板近:今更な話かもしれませんが、ネオンテトラってめちゃくちゃ有名ですよね。
山口:そうですね。
板近:他にも有名な熱帯魚っていろいろいると思うんですが、その「有名」について、深く考えたことってあるかなぁ……と、思いまして。
山口:なるほど、それが本日のお題と。面白そうですね。
板近:ありがとうございます。
山口:いつもの選出シリーズのように、お互い有名だと思う熱帯魚を挙げていきましょうか。
板近:そうですね。そこから何か見えればと思います。
有名な熱帯魚9選
山口:有名と言っても、いろいろな有名がありますよね。
板近:そうですね。私としては、多くの方が知っているという意味での有名だけでなく、いろいろな角度からの有名を探ってみたい気もします。たとえば「世間では知られていないけど、アクアリストには有名」など。
山口:なるほど、私は、アクアリスト以外の方にも知られているような魚のことかなと思ったのですが。まあ、どちらに限定することもなく、思い思いの魚を挙げていきましょうか。
板近:わかりました。
山口:では、板近さんどうぞ。
グッピー
板近:このお題であると、やはりグッピーは外せないかなぁと思います。
山口:文句なしですね。熱帯魚といえばグッピー、昔からそう聞くし、今だってそういうところはあると思う。
板近:ええ。熱帯魚をよく知らない方でも知っている可能性が高い魚ですよね。
山口:名前もいいですよね、なんかのキャラクターみたいで。覚えやすいし。
板近:親しみやすい名前ですよね。
山口:シルエットもいい、色もいい。姿かたち、名前ともに覚えやすい。ましてやよく殖えるから、知り合いからもらったなんて人も結構いると思うんですよね。
板近:私も子どものころ、グッピーをいただいたことありますね。
山口:グッピーは昭和30年代くらいから何度か大きなブームがあったみたいだし、世間にも定着している魚だと思います。
板近:ええ。世間でもアクアリストにも有名。そんな存在ですね。ではでは、山口さんどうぞ。
山口:グッピーを挙げられると、後が大変ですね。
板近:(笑)
アジアアロワナ
山口:ではアジアアロワナどうでしょう。
板近:たしかにアロワナは有名ですが、あえてアジアと限定した理由はなんでしょうか。
山口:90年頃かな、ワシントン条約の絡んだ事件があって国会でも取り上げられた。その他、いくつかの事件もあって、メジャーなマスコミに取り上げられた機会がものすごく多い。
板近:そんなことがあったんですね。悲しい話ですが、これも「有名」の一面かもですね。
山口:そうですね、今の話は負の面ですが、その後、アジアアロワナは健全な趣味魚として広まったと思うんですね。2000年代に入ってからは、いくつかのTVドラマや映画のセットで水槽に泳ぐアジアアロワナを見たし。
板近:ドラマに出せるほど安定した状況になったわけですね。
山口:もともと魅力的な魚だから。先の負の面にせよ、魚自体に魅力がなければ起きないわけですから。不人気魚では考えにくいですよね、密輸だとか泥棒だとかは。
板近:その魅力と正しく向き合えるようにしようという動きが、今の時代につながったわけですね。先程お話されていたドラマや映画の中では、アジアアロワナはどういう立ち位置なのでしょう。
山口:アジアアロワナは設定やメッセージを伝えやすい魚であると思います。富や権力の象徴みたいなところですね。中国ではそういうふうに捉える文化がありますし、日本でもそういうイメージで見られることが多いのではないかな。
板近:たしかにドラマのセットにアジアアロワナが泳いでいたら、豪華さを感じるかも。たとえ短いシーンだとしても、目を引く存在感があるでしょうし。
山口:まあ、そんな露出の多さもあって、アクアリスト以外にも認知されているのではないかなと思います。
板近:アジアアロワナという名前が出てこなくとも、あの姿を知っているという人もいるのでしょうね。
山口:そうでしょうね。
ブラックゴースト
板近:次は、ちょっと特殊な選出だとは思うのですが、ブラックゴーストはどうでしょうか。
山口:板近さんが最初に言っていた「いろいろな角度から有名というものを探ってみたい」という視点からの選出ですね。
板近:はい。ブラックゴーストはシンプルに有名な魚として挙げるのであれば違うかなと思うんですね。
山口:私もそう思います。アクアリスト以外にはわかりづらい。
板近:ただ、こうしたちょっとマニアックというか、変わった魚の中では頭一つ抜けて知られている魚だと思うんです。名前もビジュアルも印象に残りやすい……どうでしょう?
山口:なるほど。選出の理由は伝わりましたが、私の中では「それでも……?」という思いがあるかも。
板近:そうでしたか。
山口:その線で行くと……トランスルーセントグラスキャットとかどうだろう。違いますかね?
板近:あ、多分私が伝えたかった感覚と同じ気がします!
山口:よかった。
板近:すいません、うまく説明できず。
山口:いえいえ。
板近:ひとつエピソードを加えさせてもらうと、ブラックゴーストは、私が過去に飼育した魚の中でも、家族に人気であったんですね。それは、ちょっと変わった魚の中ではダントツで。なのであの魚は「変わった魚の中で有名」となるポテンシャルを持っているのかなと。
山口:なるほど。
板近:でも、今思い返せば、トランスルーセントグラスキャットも同じような感覚で人気を得ていましたね。
山口:(笑)。次は私ですかね。
板近:はい、お願いいたします。
アーチャーフィッシュ
山口:うーん、これかなぁ。アーチャーフィッシュ。テッポウウオという名前で覚えている人もいるかな。
板近:水族館的な有名さがありますよね。
山口:ええ、水族館での展示もあるだろうし、図鑑には高確率で登場する魚だと思うんです。昔私が見た図鑑にも載っていたし、最近のお子さん向けの図鑑にも載っていますね。
板近:変わった生態を持つ魚として。
山口:口から水を吹き出して、水面より上にいる獲物を落とすわけですからね。
板近:最初知った時、驚きました。まだ子どもの頃でしたね。たしか、私も図鑑で見たはずです。
山口:ええ、本当に図鑑的な魚です。そしてそれがたまたま、熱帯魚として流通しているという。つまり、飼育できてしまう。
板近:一般の人に不思議な魚としてよく知られていて、なおかつ熱帯魚としても流通している。また、アーチャーフィッシュがアクアリウムの世界ではちょっとマニアックなポジションにいるのが面白いですね。
山口:他に変わった生態を持つ魚として図鑑などで紹介される魚というと、逆さに泳ぐサカサナマズとか。
板近:葉っぱに擬態するリーフフィシュとか。みんな、特徴を表した名前を持っていますよね。
山口:ええ。デンキウナギなどもそうですね。
ネオンテトラ
板近:ではお次は……冒頭でも名前を出させてもらった魚ですが、ネオンテトラを。
山口:ええ。有名といって差し支えのない存在だと思います。
板近:グッピーに続きネオンテトラも「熱帯魚といえば」というポジションにあると思うんですね。
山口:そうですね。
板近:アクアリスト的な視点から言うとカージナルも有名ですが、やっぱり一般的にはネオンテトラのほうが知られている…………のかな? このあたりは、私の想像が入っているので断言はできないのですが、何かデータなどありますか?
山口:以前、私が雑誌の企画で行なった取材では、熱帯魚単体での輸入量はネオンテトラがずっと一番、という話を聞いたことがあります。
板近:おお、やはりそうなんですね。
山口:日本だけでなく、世界中の熱帯魚の流通でも、一番はネオンテトラではないかという話もあり。取材したのは10年以上前なのですが、今もあんまり変わってないんじゃないかな。売り場の様子を見るにつけ、その地位は揺るぎないという印象もあります。
板近:なるほどです。
エンゼルフィッシュ
山口:グッピー、ネオンテトラ的な有名さというと、エンゼルフィッシュがいるかな。
板近:ああ!
山口:戦前、大正時代かな? それくらい昔から輸入されていたようだし、人伝ですが、戦前に飼っていたという人の話を聞いたことがあります。
板近:熱帯魚の中でも、鑑賞されてきた歴史が長い。
山口:ええ。伝統的な存在と言えるのではないでしょうか。現在はたくさんの改良品種も作られているし、親しみやすい立ち位置にもいる。
板近:それだけの魅力があるのでしょうね。
山口:あの、印象に残りやすいシルエットは大きな魅力ですよね。それに名前も覚えやすい。
板近:なんだか、エンゼルフィッシュにはシンボル的なところもある気がします。
山口:そうそう、シンボル。月刊アクアライフでも10年くらい前まではエンゼルフィッシュのシールをノベルティにしていましたよ。
板近:ほしいなぁ。
山口:もう在庫はないだろうなぁ。作った時にはそれこそ配るくらいあるのですが、なくなると欲しくなる(笑)。
板近:レアグッズですね。もし出てきたら、見せてください。
山口:ええ。グッピー、ネオンテトラ、エンゼル。かなりこのお題にそった、わかりやすい魚ですよね。
板近:わかりやすい特徴というのも、有名になる大きな要素なのでしょうね。
山口:そうですね。では、板近さんどうぞ。
ベタ
板近:はい。ベタはどうでしょうか。
山口:なるほど、これもいいですね。古くからの観賞魚です。
板近:ええ。
山口:私が小さい頃には親父が並ベタを2匹買ってきて。それぞれ別の容器で泳がせて向かい合わせ、興奮させたりして。
板近:フレアリングをさせたわけですね。
山口:ええ。すごい記憶に残っている、その姿が。
板近:昔から人気のある魚ですよね。
山口:そうですね。
板近:ベタって「なんだろうあのカラフルな金魚」みたいな見られ方をすることもあると思うんです。熱帯魚という知識がまるでなくても目を引くし、見かける場面も増えている。
山口:ですね、最近だとアイフォンのイメージで使われたのは大きいと思う。あれはハーフムーンかな。あと、以前板近さんがこのブログで、ベタが使われたカメラのパッケージを紹介されていましたね。
板近:ええ、紹介させていただきました。あの箱は部屋に飾ってありますね。
山口:ベタの姿形は、けっこうクリエイターを刺激するんだと思う。物凄く印象的というか、綺麗なだけではない、なにかを感じさせる。エモい……というか。
板近:エモいですね。
山口:エモいは、普段の会話で使ったことがないので、正しい使いかたであるのか、よくわからないのですが(笑)。
板近:(笑)
カクレクマノミ
山口:これは、ちょっとジャンルが違うかな。でも、出さないわけにはいかん! という魚で……カクレクマノミどうですか。
板近:ニモですか?
山口:そうそう。正確にはニモはカクレクマノミではなくペルクラ種とする話もありますが、まあ、ここは世間でのブームという視点からニモ≒カクレクマノミ(含むペルクラ)でいかせていただきます。
板近:はい。当時を振り返ると、カクレクマノミをニモと紹介する場面を何度か見た記憶がありますね。カクレクマノミを見かける機会も多くなった印象があります。
山口:世界中でブームになったし、乱獲のニュースが聞かれるようにもなりました。
板近:有名になることの、負の面ですね。
山口:ええ。その影響もあって、当時から養殖が増えましたね。
板近:なるほど。
山口:ニモ以前の海水魚飼育の世界は、サンゴが飼えるシステム(ナチュラルシステム)で沸き立っていたんです。それが一段落ついたかなと思った頃に、あの映画が来たから。二段ロケットのように海水魚の世界を押し上げたんだと思う。
板近:相当のブームだったんですね。
山口:はい。当時の海水魚を扱っているショップの賑わいは、大変なものがありました。ちょっと、淡水熱帯魚を挙げていた流れから外れてしまいましたが、どうでしょう。
板近:ニモのブームは「有名」を掘り下げる上で、重要な出来事だと思います。触れるべき話題というか。
山口:ありがとうございます。では、板近さんどうぞ。
ディスカス
板近:これは、私のアクアリストとしての記憶から来ている面が強い魚ですが、ディスカスで。
山口:ああ、出された。最後の締めにとっておいたんですが。
板近:(笑)。では、ここでディスカスを2人で語って締めというのはどうでしょう。
山口:いいと思います、なんといっても、熱帯魚の王様だから。
板近:ええ。まさに私もディスカスが「熱帯魚の王様」として紹介されていたのが、とても印象に残っていて。
山口:あれもアジアアロワナと同じ、富の象徴というイメージもあったと思うなぁ。セレブが飼う魚というか。円い体に鮮やかなブルー、名前も覚えやすいし。今はディスカスブームと呼ばれていた時代から比べれば落ち着いているかもしれませんが、今でも有名ではあると思う。
板近:ディスカスは「アクアリストに有名」という感もありませんか。
山口:そうですね、アクアリストに有名かもしれない。飼育がちょっと難しいし、そういった意味での憧れもあって。
板近:ちょっと広めで水深のあるベアタンクに産卵筒で……そんな絵がパッと浮かびますね。
山口:それは、かなりアクアリスト寄りなイメージですね。ブルーダイヤ、もしくはそれに近い魚になるのかなぁ、多くの人がイメージするディスカスは。
板近:ブルーダイヤはたしかに「有名なディスカス」ですね。
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有名な熱帯魚とは?
山口:さて、本日はディスカスで締めとなりましたが、振り返ってどうでしょうか。
板近:今思っているのは、山口さんの視点は広かったなぁということですね。選出をはじめる前にもそのような話をお聞きしましたが。
山口:たしかに私は、世間様向けで考えていたのですが……もう、弾切れ感がありますね。
板近:弾切れですか。
山口:ええ。アクアリストという枠ではなく、世間一般にもよく知られている熱帯魚となると、ネオンテトラ、ベタ、ディスカス、エンゼル、アジアアロワナ、ニモ。その後がなかなか出てこない。ゆっくり考えればまだ挙げられるとは思いますが。
板近:たしかに、そのレベルで有名となると難しいですね。アクアリスト向けの有名であればどうでしょうか?
山口:正直、そうなると感覚としてわからないところもあるのですが……。
板近:それはどうしてですか。
山口:ずっとこの世界で働いているから、視点として特に意識できないかもしれない。当たり前すぎて。
板近:キャリアがあるがゆえに。
山口:ただ、月刊アクアライフで巻頭特集を組める魚はアクアリストにとっては有名といえるかもしれないですね。アピスト、ベタ、スネークヘッド、コリドラス、プレコなど。まあ、種ではなくグループになってしまいますが。
板近:なるほど。
山口:「有名なグループ」となると、当然その中にマニアックな種が含まれたりもしますから、特集に出てくる魚全てが有名かと言えばそうではないのだけれど。
板近:ええ。そういう視点で掘り下げてみるのも面白いかもしれませんね。有名なグループを挙げていったり、それぞれのグループの中での有名種を挙げていったり。
山口:熱帯魚は本当に幅広いですから、いろいろな見方ができると思います。
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